成長期ラットに対する縮合リン酸塩の影響に関しては, P/Ca比1.5を越えた条件で多くの実験がなされ, 動物に対して種々の悪い影響のあることが報告されている。
本実験においては, 成長中の雄ラット (フィッシャー系, 4週齢) に, オルソリン酸 (OP) 塩としてリン酸水素二ナトリウム, また縮合リン酸塩としてトリポリリン酸 (TP) ナトリウムのみのいずれかをP源とし, P/Ca比を0.7とした飼料で31日間飼育して, 次のような結果を得た。
1) TP態Pは, OP態Pと同じように利用された。
2) TP群のラットの飼料摂取量と平均体重増加は, OP給与の対照群のラットより劣った (
p<0.05)。しかし, 飼料効率やたん白質効率には差は認められなかった。
3) TP群は対照群よりも, 肺の平均重量は低かった (
p<0.05) が, 胸腺, 心臓, 肝臓, 脾臓, 腎臓, 副腎及び精巣の重量では, 両群に差は認められなかった。
4) 大腿骨及び脛骨+腓骨の平均重量は, 両群の間に差はなかった。
5) TP群における糞及び尿へのカルシウム排泄量は対照群より多く, カルシウムの体内保留率は低くなった (
p<0.05)。
6) TP群におけるカルウシム, マグネシウム及び鉄の見かけの吸収率は, 対照群に比し低い値であったが, 有意差は認められなかった。
抄録全体を表示