昭和20年から20年間の日常食献立を対象に, 食生活の変容について「栄養と料理」,「食生活」の献立カレンダーを用いて, 調理操作及び料理の視点から分析した。両誌の献立作成者は栄養, 食の専門家が担当し, 当時の栄養, 健康の課題をテーマにしながら, 読者層の実生活で使えることを前提にしていることから, その時代の食生活を反映していると考えたためである。得られた結果は次のとおりである。
20年間の献立は朝・夕の主食, 主菜について分析した。
1) 主食は, 25年以前は主食代わりに雑穀, 豆類などがみられた。また“米飯”は30年以降減少し,“パン”は25年以降顕著な変動はみられなかったが,“小麦製品”は増加していた。
2) 主菜についてみると,“主菜なし”の献立は30年以降顕著に減少した。主材料は30年代後半に魚介類が減少し, 代わって肉類の摂取が増加した。
3) 夕食献立の主菜 (560種) については, 使用食品数, 使用調味料数は経年, 漸増傾向を示した。
4) 調味料の種類は,“食塩”はわずかずつ増加,“しょうゆ・みそ”などの和風調味料は減少,“油脂”,“香辛料・酒・ケチャップ, 他”,“でんぷん・小麦粉・パン粉”は著しい増加を示した。
5) 調理操作では,“煮る・蒸す, 他”などの湿式加熱調理操作が減少,“焼く (間接焼き)”,“妙める”,“揚げる”などの乾式加熱調理操作は30年代後半に顕著な増加を示した。また, 同一の調理操作での調味料の使用種類数は, 年々増加している。
6) 20年間に料理様式は洋風, 中国風が取り入れられ, 多様な献立へと変化する兆しが認められた。
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