和歌山県内4地域 (都市近郊, 平地農村, 農山村, 漁村) において, 調理担当者を対象に調理済み食品等の利用状況の地域差について検討を行うとともに, 調理済み食品の利用状況と栄養素摂取との関連について検討した。
1) 調理済み食品を週に1~2回以上利用する者の割合が最も多かった地域は, 平地農村で38%, 次いで都市近郊36%, 農山村29%, 漁村24%の順であった。逆に, 利用しないと回答した者の割合をみると, 最も高かったのは農山村で37%, 次いで漁村31%, 都市近郊25%, 平地農村18%の順であった。
2) 調理済み食品の利用理由としては, 各地域とも“家で作る時間的ゆとりがない”が最も多かったが, その割合には地域差が認められ, 農山村71%, 平地農村64%, 都市近郊63%, 漁村50%の川頁であった。次いで多い理由は“自分で作るより経済的”であった。
3) よく利用する調理済み食品の利用順位には地域差が認められず, 各地域ともギョーザ, コロッケがよく利用されていた。しかし, それらの利用頻度には地域差が認められ, 最も利用率が高かったのは平地農村 (55%) で, 最も低かったのは都市近郊 (40%) であった。
4) 調理済み食品を利用せず, 夕食の調理時間が長い家庭ほど栄養素摂取のバランスが優れていた。
以上の結果から, 調理済み食品の利用率には地域差が認められた。また, 調理済み食品利用の有無及び夕食調理時間の長短は, 栄養素摂取に影響を及ぼすことが分かった。
抄録全体を表示