生活習慣の中にみられる改善したい所や困惑している所を含めて, 199人の女子大生の食生活の調査を行い, 改善の達成や困惑の解消の可能性について検討した。
1) 下宿での食事作りの実態について
下宿で作られる食事は, 手の込んだ料理が少なく, 主食は洋風のご飯類や麺類, 副食では野菜類 (煮物, 妙め物, サラダ) や味噌汁であった。デザート作りでは, 牛乳や乳製品類の利用が多かった。対象者は, 食品を購入する時, 費用を最も重視し, 生鮮食品では栄養面を, 加工食品では利便面を, 中食品や外食時では嗜好面を重視する傾向がみられた。
2) 下宿の生活要因と生活様式・意識との関連
(1) 多くの学生 (
n=154) が食事作り上の制約を認めていた。この制約は, 特に, 副食の揚げ物や直火の焼き物 (魚) に顕著で, 主な理由は, 器具や道具類の不揃と調理技術の未熟さであった。
(2) 改善の必要を認める者 (
n=161) は, 欠食回数が多く, 下宿での食事回数が少ない傾向があり, 主な原因は, 下宿生活による生活時間の乱れやひとりでの食事と思われた。食生活上改善したい内容の中で, 食事面や栄養面の比率が高かった。台所設備上の制約が, 食生活上の困惑状況を生み出し, かつ食事作りを嫌いにしたり, 外食回数を増加させていた。
(3) 自炊する人へ推薦できる本や雑誌から得た知識・技術や生活管理能力の2要因は, 食生活によい影響を示した。今後, 食生活の改善には, 食生活面だけでなく, 生活経営・管理に関する知識・能力の充実が望まれた。
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