栄養学雑誌
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58 巻, 5 号
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  • 吉武 裕, 島田 美恵子, 海老根 直之, 齊藤 愼一, 田中 宏暁
    2000 年 58 巻 5 号 p. 185-194
    発行日: 2000/10/01
    公開日: 2010/02/09
    ジャーナル フリー
  • 佐々木 敏, 辻 とみ子
    2000 年 58 巻 5 号 p. 195-206
    発行日: 2000/10/01
    公開日: 2010/02/09
    ジャーナル フリー
    日本人の栄養素・食品群摂取量に世代差が存在することは広く認められているが, 血縁を有する世代間において, その差及び家族内での相関を, 家族との同居の有無を考慮して検討した報告は少ない。そこで, 愛知県内の短期大学栄養士養成課程に在籍する学生 (173人), その母及び祖母を対象とした食事調査を, 自記式食事歴法質問票を用いて行い, 学生の居住形態が自宅 (母と同居) または独居, かつその母及び祖母からも有効回答が得られた110組について解析を行った。
    検討した15栄養素及び14食品群のうち, レチノールとコレステロールを除く13栄養素と菓子類, 卵類, 乳類, 嗜好飲料を除く10食品群の平均摂取量に, 有意な世代差が認められた。学生では, 同居群と別居群で, 炭水化物, たんぱく質, 飽和脂肪酸, コレステロール, 魚介類の平均摂取量に有意差が認められた。世代間で摂取量の相関を検討した結果, 同居群では学生・母間で, 検討したほとんどの栄養素・食品群間で中等度の相関 (相関係数:栄養素=0.30~0.61, 食品群=0.21~0.56) が認められたが, 学生・祖母間 (同じく-0.18~0.59, -0.33~0.65) では栄養素・食品群によって異なり, 一定の傾向は認められなかった。別居群では意味があると考えられる相関は認められなかった。両群間の相関係数の差は, 同居群で相関が高かった栄養素・食品群ほど大きい傾向が認められた。そのうち, 豆類, 魚介類, 野菜で比較的に大きな差が認められた一方, 油脂類, 肉類, 果実類ではほとんど差が認められなかった。栄養素・食品群摂取量に顕著な世代間較差が存在する日本人においても, “同居”や“食事をともにする”ことは, これらの世代間の相関に重要な影響を与えている可能性が示唆された。
  • 江田 節子
    2000 年 58 巻 5 号 p. 207-212
    発行日: 2000/10/01
    公開日: 2010/02/09
    ジャーナル フリー
    茨城県金砂郷町に在住する高齢者73人 (男性20人: 平均年齢92.0±4.7歳, 女性53人: 91.8±2.4歳) を対象に, 日常の生活状態及び食生活について調査・検討を行った。その内容は次のとおりである。
    1) 金砂郷町の高齢者人口は, 26.5%と高率であった。世帯構造は, 二世代世帯が46.6%と多く, 三世代世帯が27.4%であった。
    2) “健康のために心がけている”と答えた者の割合は87.7%と多く, その内容は, 食事に気をつける, 睡眠を十分とる, 物事にこだわらないなどであった。
    3) 日常生活状態については, 隣近所に出かける程度の者が多く, 寝たきりの者の割合は, 男性10.0%, 女性13.2% (寝たり起きたりを含むと26.4%) で, 女性に多かった。更に, 要介護状態の者も女性に多く, 22.6%を占め, 男性は5.0%であった。
    4) 食品摂取頻度では, みそ汁, 漬け物の頻度が最も高く, 植物性食品に関しては, 男女ともに野菜の摂取頻度が高く, 次いで, 男性ではいも類, 女性では果物であった。動物性食品に関しては, 卵, 魚介類, 牛乳の頻度が高く, 肉類の摂取頻度は低率であった。
    5) 日常生活状態別のクロス分析の結果, “ほとんど寝たきり”群に比し, “寝たり起きたり, または起きているが動かない”群及び“少し動く, または活発に動く”群ではエネルギー, たんぱく質, 鉄, ビタミンB1, 食物繊維などの栄養素等の摂取量が多く, 両者間に有意差がみられた。
  • 松井 利夫, 飯田 和質, 奥村 雄外, 波田野 基一
    2000 年 58 巻 5 号 p. 213-218
    発行日: 2000/10/01
    公開日: 2010/02/09
    ジャーナル フリー
    我々は, ビフィズス菌発酵乳の飲用による高齢者の排便回数の改善効果を明らかにするための調査を行った。対象者は, 老健施設に入居している高齢者で, 男性7人 (平均年齢80.0歳), 女性30人 (平均年齢83.7歳) であった。まず始めに, 最初の3か月間における対象者の排便回数を調べた。次の1か月間では, 3.6×1010個のビフィズス菌を含む発酵乳を毎日100ml飲用させた。そして, 飲用中及び飲用を中止した後の1か月間における排便回数を調査した。調査対象者において, 日常生活動作能力(ADL) が完全である者, 緩下剤常用者, 脳循環異常者, 運動系疾患, 心・血液循環疾患の重複を含め, 人数は, 7人, 26人, 23人, 15人, 12人であった。結果は次のとおりである。
    1) 平均排便回数は, 最初の期間では0.56回/日 (標準偏差0.33), 飲用中では0.77回/日 (標準偏差0.42), 飲用中止後では0.76回/日 (標準偏差0.53) であった。ビフィズス菌発酵乳の飲用中における排便回数は, 有意に増加した (対応のあるt検定, p<0.001)。
    2) ビフィズス菌発酵乳の飲用によって, 排便の改善がみられた者の割合は59%であった。また, 飲用を中止しても, 対象者の24%において, 排便改善を持続していた。
    3) 緩下剤非常用群での排便回数は, たとえ不完全自立者であっても, 飲用によって有意に増加した (p<0.05)。緩下剤常用群でかつ自立・半自立者の場合も, 排便回数は有意に増加したが, 飲用を中止すると元に戻った。更に, 緩下剤常用者で寝たきり者においては, ビフィズス菌発酵乳の飲用による有意な改善効果は認められなかった。
    4) ビフィズス菌発酵乳の飲用は, 何らかの疾患をもつ患者の約50%において改善を認めた。また, ビフィズス菌発酵乳の飲用を中止しても, 改善効果は持続していた。
    5) 全対象者の約73%において, ビフィズス菌発酵乳飲用による排便改善効果を認めた。
  • 塩見 卓也, 小池 恒雄
    2000 年 58 巻 5 号 p. 219-224
    発行日: 2000/10/01
    公開日: 2010/02/09
    ジャーナル フリー
    栄養改善と生活習慣病の予防を目的とする食材として, ドナリエラ抽出物 (30%β-カロテンオイル) の安全性を検討するため, ラットに対する500mg/kg体重, 2,000mg/kg体重のドナリエラ抽出物の経口投与による単回経口投与毒性試験, また, ラットに対する500mg/kg体重, 1,000mg/kg体重のドナリエラ抽出物の経口投与による28日間反復経口投与毒性試験, そして, 細菌を用いた復帰突然変異試験を行った。以下に結果を示す。
    1) 単回経口投与毒性試験において, 2,000mg/kg体重投与量でも, 体重の推移や剖検において何ら影響は認められなかった。
    2) 反復経口投与毒性試験において, 一般状態, 体重, 摂餌量, 尿検査, 眼科的検査, 血液学的検査, 血液生化学的検査, 剖検, 臓器重量そして病理組織学的検査において何ら影響は認められなかった。
    3) 細菌を用いた復帰突然変異試験においては, 用いた菌の生育阻害はいずれの菌株においても認められず, 復帰変異コロニー数は陰性対照の2倍以下であったことより, 遺伝子突然変異誘発性がないことを認めた。
    これらの試験により, ドナリエラ抽出物の安全性は高いものであることが示唆された。
  • 栄養士の立場から
    武見 ゆかり
    2000 年 58 巻 5 号 p. 229-232
    発行日: 2000/10/01
    公開日: 2010/02/09
    ジャーナル フリー
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