栄養学雑誌
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58 巻, 6 号
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  • 原 博文, 滝 ちづる, 今 留美子, 埋橋 祐二, 笹谷 美恵子, 佐々木 一晃
    2000 年 58 巻 6 号 p. 239-248
    発行日: 2000/12/01
    公開日: 2010/02/09
    ジャーナル フリー
    本論文の目的は, 排便回数, 排便量及び便性における, 寒天のみからなる食物繊維の摂取の効果を検討することである。被験者は, 健常成人19人 (19~52歳) と健常女子大学生60人 (20~22歳) である。被験者は, 本試験用に特別に調整された, 寒天のみでつくられた麺 (寒天麺) と, 健常成人では市販されている即席麺であるサイリウム種皮を配合した麺 (サイリウム麺) を, また, 女子大学生では市販のカップ麺を対照食として摂取した。その結果は以下のとおりである。
    1) 健常成人において, 寒天麺非摂取期と比較して寒天麺摂取期では, 1週間当たりの排便回数と排便量が有意に増加した (p<0.01)。また, 同期間サイリウム麺を摂取した時と比較して, 寒天麺を摂取することで, 排便回数と排便量は顕著に増加した (p<0.05)。
    2) 健常な女子大学生において, 排便回数と排便量は, 寒天非摂取時と比べて摂取期で顕著に増加した (p<0.001)。また, 市販のカップ麺摂取と比較して, 寒天麺を摂取することにより排便回数と便量は顕著に増加した(p<0.001)。
    3) 便性において, 寒天麺を摂取することにより, 便の色は黒色から褐色へ変化し, 便の匂いは減少する傾向がみられた。便の固さは, 硬いものから軟らかいものへ変化し, 形はバナナ状であり, 被験者は排便の過程が良好であると感じた。
    4) 寒天麺摂取により, 数人の被験者は軽度の腹部膨満感を感じたが, 一過性のものであった。
    これらの結果より, 健常成人においては寒天麺の摂取により, 排便回数及び排便量が増え, 便性が改善されることが明らかになった。
  • 板垣 聖子, 木之下 徹, 平尾 節子, 平尾 紘一
    2000 年 58 巻 6 号 p. 249-252
    発行日: 2000/12/01
    公開日: 2010/02/09
    ジャーナル フリー
    今回開発したこの“ダイエット和菓子”は, 市販の和菓子である練りきり, きんつばに, 食物繊維であるポリデキストロースを添加し, マルチトールでショ糖を置換することにより, ほぼ等重量でエネルギー量を減じたものである。そこで, 本研究では, 糖尿病患者に対して, 市販の和菓子と今回開発したダイエット和菓子との血糖上昇についての反応性を比較したところ, ダイエット和菓子は有意に血糖の上昇を抑えた。また, 本研究では, ダイエット和菓子は製品としてのおいしさの点において市販の和菓子と比して遜色なく, 血糖の上昇に対する程度は市販の和菓子に対して相対的に有利であるということが分かった。一過性の下痢に対する影響も考慮すると, 糖尿病患者にとって市販の同等な和菓子よりよいが, 無制限に許可できる和菓子ではないことには留意したい。
  • 松崎 広志, 中村 カホル
    2000 年 58 巻 6 号 p. 253-259
    発行日: 2000/12/01
    公開日: 2010/02/09
    ジャーナル フリー
    腎臓中ミネラル濃度, 腎機能及びミネラル出納に及ぼす飼料中リン (P) 濃度とリン酸塩の形態の違いによる影響について検討を行った。被験動物として4週齢のWistar 系雌ラットを用いた。ラットに飼料中P給源としてリン酸二水素ナトリウム (NaH2PO4) とトリポリリン酸ナトリウム (Na5P3O10) の2種類を用い, 飼料中P濃度を約99.7mmol/kg diet とした正常P食と約391mmol/kg diet とした高P食の2段階に調整した飼料を21日間投与した。
    腎重量は, 湿重量及び乾燥重量とも高P食投与により有意に高値を示した。高P食投与により, 腎臓中カルシウム (Ca), マグネシウム (Mg) 及びP濃度は有意に高値を示したが, NaH2PO4とNa5P3O10の違いによる影響はみられなかった。クレアチニンクリアランスは, 高P食投与時においてNaH2PO4に比し, Na5P3O10は有意に高値を示した。尿中アルブミン排泄量は, 高P食投与により有意に高値を示したが, NaH2PO4とNa5P3O10の違いによる影響はみられなかった。Caの吸収量と体内保留量は高P食投与による影響はみられなかった。Mgの吸収量と体内保留量は, 高P食投与により有意に低値を示し, Pの吸収量と体内保留量は有意に高値を示した。また, Ca, Mg及びP出納に対して, 投与リン酸塩としてのNaH2PO4とNa5P3O10の違いによる有意な差はみられなかった。
    本実験の結果から, 投与リン酸塩としてのNaH2PO4とNa5P3O10の違いは, 腎臓中ミネラル濃度, 腎機能及びミネラル出納に影響を及ぼさないことが示唆された。
  • 丸山 智美, 鈴江 緑衣郎
    2000 年 58 巻 6 号 p. 261-265
    発行日: 2000/12/01
    公開日: 2010/02/09
    ジャーナル フリー
    正常月経周期を有する邦人女性7人 (33.3±2.7歳, body mass ihdex (BMI) 25.1±1.3) を対象とし, 血清レプチン, エストテジオール, プロゲステロン, BMI, 体脂肪率の月経期, 排卵期及び黄体期の臨床的機能段階における変動を調査, 検討した。結果は以下のとおりである。
    1) 血清レプチン量は, BMI, 体脂肪率と月経期, 排卵期及び黄体期それぞれにおいて, 正相関していた。
    2) 血清レプチン量, エストラジオール及びプロゲステロンは, 周期内変動を示し, レプチン, エストラジオール及びプロゲステロンは, 正相関を認めた。
    3) レプチン, エストラジオールは月経期に最も低値を示し, プロゲステロンは黄体期に最も高値を認めた。
    4) 摂取エネルギーは, 周期内変動を認めなかった。
    5) 月経期摂取エネルギーは, 血清レプチン量と負相関傾向を認めたが, 排卵期及び黄体期には相関はなかった。
    今回の結果より, 正常排卵性月経を有する邦人女性の血清レプチン量の周期内変動が確認された。 また, レプチンは, 月経期摂取エネルギー及び月経周期内エストラジオール, プロゲステロンと相関を認めたことから, 月経周期内において性ステロイドホルモンと相互に関係をもちながら, 摂取エネルギーに影響を与えている可能性が示唆された。
  • 木村 典代, 関根 豊子, 高橋 裕子, 井上 喜久子, 岡 純, 樋口 満
    2000 年 58 巻 6 号 p. 267-271
    発行日: 2000/12/01
    公開日: 2010/02/09
    ジャーナル フリー
    近年, 定期的に運動を行う中高年者が増加しているが, 中高年者の栄養バランスや運動と栄養との関連についてはあまり研究されていない。そこで我々は, 日常の運動量が異なる中高年女性 (62人, 年齢52±6歳, BMI21.6±2.3kg/m2) を対象に, 食事調査を含む水溶性ビタミン (B1, B2, C) の栄養状態に関する調査を行った。
    対象者を1週間の水泳距離によって, untrained 群(n=28), less-trained 水泳群 (n=18, 2.8±0.5km/週), well-trained 水泳群 (n=16, 5.5±1.8km/週) の3群に分けた。ビタミンB1, B2, C摂取量は, エネルギー摂取量との間に有意な相関関係が認められた (p<0.01)。エネルギー1,000kcal当たりのビタミンB1, B2摂取量は, 3群間で差は認められなかった (平均ビタミンB1:0.60±0.12mg/1,000kcal, B2: 0.84±0.18mg/1,000kca1)。ビタミンB1栄養状態の指標としての Thiamin diphosphate effect (TDP添加効果: 19.6±6.5%) は, 約1/3の者が基準域, B2栄養状態の指標としての Flavin adenine dinucleotide effect (FAD添加効果: 0.99±0.11ratio) では, 全員が基準域にあった。ビタミンC摂取量は174±103mg/日であり, 血中ビタミンC濃度に, ついても, 摂取基準値を下回った1人を除いては (48mg/日), かなり良好に保たれていた (1.17±0.24mg/dl)。
    今回の対象となった中高年女性は, 各水溶性ビタミン(B1, B2, C) を所要量に対して適正量摂取しており, 栄養状態についてはビタミンB1が不足傾向, ビタミンB2, Cは良好であった。
  • 特に食習慣を中心に
    鈴木 和枝, 福島 恭子
    2000 年 58 巻 6 号 p. 273-276
    発行日: 2000/12/01
    公開日: 2010/02/09
    ジャーナル フリー
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