学生とその母458組を対象とし, 体型に関する意識について世代比較を行い, つぎのような結果を得た。
1) 平均BMIは, 学生20.2±2.0, 母22.2±2.5, 現在の体型が「やせ」は, 学生17% 母4%,「肥満」は, 学生2% 母14%であり, 現在の体型に関する不満者は学生84%, 母75%で, いずれも世代間に有意差が認められた。しかし, 現在の体型を太めに評価していた者は, 学生, 母ともに約62%であった。
2) Body Shape Questionnaire (BSQ) 項目に関する意識で“そう思う”者の割合を世代比較すると, 体型面では“体の脂肪の部分を切り落とせたらよいと思う”者が,「やせ」であるにもかかわらず学生66.2% (母15.0%) で, 学生には異常とさえ思われるやせ願望の特徴が伺えた。また, BSQ得点は学生の方が大きかったが, 両世代ともどの体型区分でも体型面>食生活面>肥満ストレス面であった。
3) BSQ項目に関する意識を因子分析した結果, 第1因子を「肥満体型への欲求不満 (やせ願望) 意識」,第2因子を「人と比べられた時の肥満体型の劣等感 (コンプレックス) 意識」, 第3因子を「食事量への意識」と解釈した。第1・第2因子では世代間に有意差が認められ, 学生の方に高かったが, 第3因子には有意差はなかった。
以上のように, 学生の方が理想のBMIはやせ体型であり, 理想の体型意識として“やせたい”者の割合が高く, 痩身願望が強いこと, また, BSQの結果から, 潜在化しているやせ願望意識, 劣等感意識は体型への関心の強さを示すものであることがわかった。
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