栄養学雑誌
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69 巻 , 1 号
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巻頭言
総説
原著
  • 川上 育代, 我如古 菜月, 池上 由美, 湯之上 祐子, 松添 直隆, 北野 直子
    2011 年 69 巻 1 号 p. 10-19
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/03/30
    ジャーナル フリー
    【目的】食生活や食環境の変化は食嗜好や味覚に強く影響し,塩味や甘味の味覚閾値の上昇に関係していることが報告されている。そこで,若年女性に対して,5味識別や濃度識別の味覚官能検査,和食の基本である「だし」の嗜好調査を行ない,若年女性の味覚感度の現状と「だし」の嗜好性について検討した。
    【方法】調査対象者は,121名の女子学生(平均年齢19.5±1.2歳)とし,2009年7月から10月に実施した。試料はショ糖(甘味),塩化ナトリウム(塩味),グルタミン酸ナトリウム(うま味),酢酸(酸味),硫酸キニーネ(苦味)の5種類で試料溶液を作り,5味の識別と濃度差弁別検査を行った。併せて,昆布とかつお節からとった1番だしと,市販の風味調味料の2種類のだしを用いて官能検査と嗜好調査を行った。
    【結果】味の正解率は,5基本味の中でうま味が一番低かった。うま味が判別できる者は,塩味や苦味も判別できる者が多かった。また,うま味感受性が高い者は甘味,塩味の味覚感受性が高かった。だしの官能評価では,天然だしを好む者は苦味の感受性が高かった。
    【結論】5基本味の味覚感受性について検討した結果,うま味の味覚感受性は塩味の味覚感受性と関連があることが示唆された。
短報
  • 山本 久美子, 赤松 利恵, 玉浦 有紀, 武見 ゆかり
    2011 年 69 巻 1 号 p. 20-28
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/03/30
    ジャーナル フリー
    【目的】成人を対象とした「野菜摂取のセルフエフィカシー」を測定する尺度の作成を目的に,尺度の信頼性と妥当性を検討する。
    【方法】2009年2月に,都内の運送会社営業所の社員317名を対象に,自記式質問紙調査を実施した。尺度の信頼性は,内的整合性の指標であるクロンバックα係数を用いて確認し,妥当性は,野菜をたくさん食べるための対策の行動変容ステージ,野菜摂取に関する認知的要因,属性との関連性によって検討した。
    【結果】有効回答数は,221人であった(回答率69.7%)。探索的因子分析の結果,「手間」因子と「環境」因子,「疲労」因子の3つの因子が得られた。確証的因子分析を行った結果,野菜摂取のセルフエフィカシー尺度には,3因子各3項目からなる計9項目が残った(適合度指標:GFI=0.96,AGFI=0.92,RMSEA=0.07)。信頼性(クロンバックα係数)は,全項目0.90,「手間」因子0.87,「環境」因子0.78,「疲労」因子0.91だった。基準関連妥当性について検討した結果,妥当な結果が得られた(例えば,野菜摂取の対策のステージが維持期の人は,無関心期の人に比べ,「野菜摂取のセルフエフィカシー」の得点が高かった(p<0.01))。
    【結論】本研究では,野菜摂取が困難な場面におけるセルフエフィカシーの尺度を開発し,成人における信頼性と妥当性を確認した。
資料
  • 田原 遠, 田淵 貴大, 針原 重義, 坂東 徳久栄, 井戸 武實
    2011 年 69 巻 1 号 p. 29-38
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/03/30
    ジャーナル フリー
    【目的】あいりん地域にはホームレス群と,生活保護受給にてホームレスを脱却した群(生保群)が混在している。これら2群の栄養学的特性を調査し,両群共通の問題点ならびに両群間の比較より浮かび上がった問題点を明らかにすることにより,今後必要なサポートについての検討を行った。
    【方法】2007年9月から2008年2月の間,当院における結核検診受診者を対象に,半定量食物摂取頻度調査法による食事調査を行った。うち,156名のホームレス群と45名の生保群を合わせた201名を本調査の対象者とし,身体計測,採血,食事調査結果の比較を行った。
    【結果】両群ともに痩せや貧血の者が多い半面,生活習慣病ハイリスク者も存在し,問題が多いことが分かった。両群の摂取量の比較では,ホームレス群において嗜好飲料がより多く,野菜がより少なかった。これら食品群の特徴を調査したところ,この地域には嗜好飲料の自動販売機が非常に多く,他地域より安いため入手しやすいこと,スーパーで主菜類・主食類の惣菜が安価で販売され,相対的に野菜類の惣菜は高価であることが分かった。
    【結論】両群ともに問題点が多かったが,生保群の方が一部において良好であった。今後,ホームレス脱却のための社会的支援と同時に,嗜好飲料入手環境及びスーパーにおける食環境の整備,並びに栄養教育が重要であると考えられた。
  • 橋本 洋子, 佐藤 陽子, 中西 朋子, 横谷 馨倫, 梅垣 敬三
    2011 年 69 巻 1 号 p. 39-47
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/03/30
    ジャーナル フリー
    【目的】健康食品やサプリメントの利用が普及する中,その利用は幼児にまで広がっている。幼児のサプリメント利用の判断は主に母親に委ねられている。そこで,本研究は,幼児を持つ母親の食や栄養,サプリメントに関する知識の実態とその情報源を把握することとした。
    【方法】2008年10月11日-2009年1月26日に6都県(青森,山形,茨城,埼玉,東京,千葉)の幼稚園および保育所に通う幼児の親1,844名を対象とし,自記式質問紙法によるアンケート調査を行った。回答者のうち母親1,050名を解析対象者とした(有効回収率55.7%)。
    【結果】幼児にサプリメント(錠剤やカプセル状)を利用させたことのある母親は9.5%であった。幼児を持つ母親は,5大栄養素の基礎的知識はよく理解していたが,特定成分の摂取量と生体影響の関係を踏まえた有効性や安全性に誤解が見られた。また,国が実施している健康食品に関する制度や栄養調査結果に関する知識が乏しかった。さらに,母親が栄養や食に関する判断を行う際,最も参考にしている情報源は,テレビ・インターネットであり,政府機関の発行物はほとんど参考にされていなかった。
    【結論】幼児を持つ母親は,栄養や食に関する基礎的な知識は持っていたが,公的な情報が充分に伝わっていない現状が明らかとなった。公的もしくは専門機関からの正しい情報の積極的な提供が必要と考えられた。
  • 安部 景奈, 赤松 利恵
    2011 年 69 巻 1 号 p. 48-55
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/03/30
    ジャーナル フリー
    【目的】給食の実際の食べ残しの量と児童の自己申告との妥当性および普段の食べ残しとの関連性について検討することを目的とした。
    【方法】質問紙調査(普段の食べ残しと給食の食べ残しに関する項目)と2日間の個人レベルでの給食の残食調査を行った。対象者は都内の小学校に通う5-6年生112名,調査実施時期は2009年5-6月であった。食べ残しに関する質問項目の妥当性について,残食調査での食べ残し実測重量を用いて検討した。また,普段の食べ残しの質問項目の得点について,残食調査において食べ残しをした回数によって分けた3群で比較した。
    【結果】各群の食べ残し実測重量の中央値は,「残した」群189.0g,「全部食べた」群0.0gであり,調査日の給食の食べ残しに関する自己申告と食べ残しの実測重量の妥当性がみられた(GEE,p<0.001)。普段の食べ残しに関する自己申告の項目についても,実測重量と相関が見られた(2項目の合計得点との順位相関係数rs=-0.43,p<0.001)。さらに,「2日とも残した」群では,「2日とも全部食べた」群に比べて普段の食べ残しの2項目の合計得点が低く,これら2つの自己申告の間に関連が見られた(「2日とも残した」群5.0点,「2日とも全部食べた」群7.0点,p<0.017=0.05/3)。
    【結論】本研究は,給食の食べ残しの自己申告が,児童の給食の食べ残しの現状を把握でき,学校給食の食べ残しは普段の食べ残しと関連があることを示唆した。
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