栄養学雑誌
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72 巻 , 1 号
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巻頭言
原著
  • 岩部 万衣子, 岩岡 未佳, 吉池 信男
    2014 年 72 巻 1 号 p. 2-11
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/04/26
    ジャーナル オープンアクセス
    【目的】我が国では小児の野菜摂取を促す様々な教育プログラムが行われているが,教育内容や評価方法に関する研究報告の状況は不明である。そこで,国際的な動向をふまえて,我が国の研究報告の状況把握と課題整理を行い,今後の関連研究に資するため,日本人小児の野菜摂取を促す教育プログラムの効果を検証した論文の系統的レビューを行った。
    【方法】データベース検索(医学中央雑誌,CiNii,PubMed)及びハンドサーチ(栄養・食・小児に関する17誌)により2003~2012年の論文を抽出し,対象雑誌,論文の種類,研究デザイン,対象,内容,エンドポイント,統計解析について設けた採択基準に従い該当論文を系統的に採択し,エビデンステーブルを用いて分析した。
    【結果】採択論文13件のうち無作為化比較試験はなく,7件は比較対照のない前後比較研究であった。直接的な介入対象に保護者は含まず,学校を中心とした場において小児に体験学習や行動科学理論を用いた教育を行っている報告が多かった。定量的な野菜摂取量の把握を行っているものは4件と限られており,その中で対照を有する非無作為化比較試験は1件しかなかった。
    【結論】我が国では学校を中心に野菜摂取の増加を促す介入研究は報告されているが,評価デザインやエンドポイントの測定に関し,より高いエビデンスレベルとなる研究実施が必要である。
  • 森 博康, 丹羽 正人
    2014 年 72 巻 1 号 p. 12-20
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/04/26
    ジャーナル オープンアクセス
    【目的】本研究の目的は,適切な栄養管理下におけるコンバインドエクササイズ直後のホエイたんぱく質の摂取が,高齢者の身体組成と身体機能に与える影響について検証することである。
    【方法】対象者は地域在住の高齢者24名(男性6名と女性18名,66.2±4.8歳)とし,ホエイたんぱく質飲料を摂取する群(PRO群:12名)とカロリーゼロのプラセボ飲料を摂取する群(PLA群:12名)の2群に無作為に分けた。運動介入は,週2回9週間に渡るレジスタンス運動と有酸素性運動を組み合わせたコンバインドエクササイズとした。栄養介入方法は,PRO群はコンバインドエクササイズ直後にホエイたんぱく質飲料を,PLA群はコンバインドエクササイズ直後にプラセボ飲料を摂取させた。さらに本研究では,介入中の対象者の栄養状態を把握し,栄養管理を適切に行った。また,介入前後に身体組成や膝伸展筋力,Timed Up & Go(TUG),5 m最大歩行速度などの身体機能を測定した。
    【結果】PRO群は介入後の除脂肪量(LBM)と膝伸展筋力,TUG,5 m 最大歩行速度の値が,介入前と比べ有意に高い値であった(p<0.01)。また,PRO群のΔLBMとΔ膝伸展筋力,ΔTUG,Δ5 m最大歩行速度は,PLA群と比べ有意に高い値であった(Δ膝伸展筋力とΔTUG:p<0.05,ΔLBMとΔ5 m最大歩行速度:p<0.01)。
    【結論】本研究の結果より,適切な栄養管理の実施とコンバインドエクササイズ直後のホエイたんぱく質の摂取は,高齢者の骨格筋量や身体機能を改善させる可能性が示唆された。
  • 駒場 千佳子, 武見 ゆかり, 中西 明美, 松田 康子, 高橋 敦子
    2014 年 72 巻 1 号 p. 21-32
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/04/26
    ジャーナル オープンアクセス
    【目的】女子大学生の「食事づくり力」を簡便に測定する質問紙の開発を目的とした。
    【方法】「調理の知識・技術」と,「作ろうとする食事のイメージを描く力」から成る「食事づくり力」は,先行研究と「食事づくり力」の定義から得た項目を元に46項目を選定した。2011年に入学直後の栄養学を専攻する女子大学生316名を対象に,46項目の質問紙調査を実施した。妥当性は,探索的因子分析と確証的因子分析,「料理作成能力自己評価」得点で構成概念妥当性を検討した。信頼性は,クロンバックのα係数と再検査法を用いた。
    【結果】有効回答数は219名であった(69.3%)。探索的因子分析の結果,<中学・高校時代の主体的な食事づくり経験>,<小学校時代の食事づくりの手伝い>,<食事づくりのイメージを描く力>,<調理に対する家族の積極的な態度>の4因子構造18項目を得た(累積寄与率57.3%)。さらに,確証的因子分析の適合度も良好(GFI=0.910,AGFI=0.881,RMSEA=0.049)であった。「食事づくり力」は中央値61点以上を高群,61点未満を低群とした。「食事づくり力」高群は,「料理作成自己評価得点」が低群より高く(p<0.001),構成概念妥当性が確認された。信頼性では,4因子のクロンバックのα係数(0.774~0.901)と,再検査法による信頼性(r=0.423~0.762,p<0.015)を確認し,良好な結果を得た。
    【結論】栄養学を専攻する新入生を対象に「食事づくり力」測定のための質問紙を開発し,信頼性と妥当性が確認された。
短報
実践報告
  • 新宅 賀洋, 春木 敏
    2014 年 72 巻 1 号 p. 41-49
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/04/26
    ジャーナル オープンアクセス
    【目的】介護福祉士をめざす学生に対して,「食事の意義と目的」および「おいしく食べることを支える介護」に重点をおき,参加型学習法と知識・態度・スキル形成を促す行動科学理論を一部取り入れた学習は,介護福祉士が高齢者の食生活支援を担うことができる教育として有用となるかについて検討した。
    【方法】対象は介護福祉士養成施設の在籍学生であり,授業を行った実施群35名と,対照群30名(B校16名,C校14名)であった。授業の開始前と終了後に,事前に主旨を説明し同意の得られた学生に対して自記式による質問紙調査を実施した。授業開始時と終了時の前後差をもって学習成果とした。
    【結果】実施群において,野菜・魚の旬および日本食の配膳様式の正答率は有意に高くなった。食事のあり方で大切と思うことはコミュニケーションの場を選択した学生は増加傾向を示すにとどまり,朝食を毎日食べることは大切であると理解しているにも関わらず朝食摂取が減少した。
    【結論】高齢者の食生活支援を担う介護福祉士をめざす学生に対して,「食事の意義と目的」および「おいしく食べることを支える介護」に重点をおいた学習を試行したところ,知識に関して学習成果はみられたものの,学生自身の望ましい食生活管理を促すには至らなかった。
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