栄養学雑誌
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73 巻 , 3 号
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原著
  • 河嵜 唯衣, 赤松 利恵
    2015 年 73 巻 3 号 p. 77-86
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/07/11
    ジャーナル オープンアクセス
    【目的】特定給食施設において対象者の栄養管理を適切に行うためには,健康的な食品選択を支援する食環境整備が不可欠であり,食環境の現状を正しく評価するためには,適切な尺度が必要である。本研究では,諸外国における集団給食のある施設を対象とした消費者食環境評価尺度の妥当性及び信頼性を検討した論文を系統的に収集し,尺度の動向を整理した。
    【方法】PubMed及びScopusによるデータベース検索を実施し,集団給食のある施設における消費者食環境評価の尺度開発論文を検索した。採択された尺度をGlanzらの食環境の概念図に基づき分類し,尺度の概要や開発手順をエビデンステーブルにまとめた。
    【結果】9件の論文が採択された。集団給食施設区分ごとの尺度数は,学校4尺度,児童福祉施設3尺度,病院2尺度であった。全ての尺度に,健康的な食品の入手可能性に関する質問項目が含まれていた。栄養価情報は3尺度に含まれていた。基準関連妥当性が4尺度,構成概念妥当性が1尺度で検討されていた。7尺度で評価者間信頼性が検討されていた。
    【結論】諸外国の集団給食のある施設における消費者食環境評価尺度は,若年者を対象とする施設において,健康的な食品の入手可能性を中心に開発されていた。今後は諸外国における尺度の動向を参考に,我が国の実情に合わせた尺度を開発する必要がある。
  • 神田 知子, 丸山 智美
    2015 年 73 巻 3 号 p. 87-99
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/07/11
    ジャーナル オープンアクセス
    【目的】学齢期男子の味覚の現状を明らかにするために,男子中学生のうま味感受性とだしの風味の評価との関連について検討した。
    【方法】男子中学生174人を解析対象とした。うま味(グルタミン酸ナトリウムに塩化ナトリウムを加えた溶液)の味覚識別能と3種類のだし(かつおだしと昆布だし,および2種類を混ぜ合わせたかつお昆布だし)の風味(うま味,香り,生臭み,しょっぱさ,酸っぱさ)の評価を調査した。うま味の味覚識別能を有する者を「うま味感受性高群」,それ以外を「うま味感受性低群」に分類し,両群の官能評価の評点を比較した。さらに異なるだしに対する評点をカテゴリー化した変数を用い,「うま味感受性高群」と「うま味感受性低群」との比率を比較することで,うま味感受性とだしの風味の評価との関連を解析した。
    【結果】「うま味感受性高群」は59人(33.9%)であり,うま味の認知閾値はグルタミン酸ナトリウムの濃度で 0.650 g/lであった。「うま味感受性高群」と「うま味感受性低群」との評点の比較では,だしの生臭みの評価のうち,かつお昆布だしで両群に有意差があり,「うま味感受性低群」でかつお昆布だしの生臭みの評点が低かった。3種類のだしについてのうま味の評価は,「うま味感受性高群」では,すべてのだしに対して75%以上の者が「うま味を感じる」と回答していたが,「うま味感受性低群」では,昆布だしの「うま味を感じる」と回答した者が58.5%と有意に少なかった。生臭みの評価は,「うま味感受性高群」では3種類のだしの生臭みの評価に有意な差を認めなかったが,「うま味感受性低群」では昆布だしを「生臭みが強い」と評価した者(41.3%)が有意に多く,かつお昆布だしを「生臭みが強い」と評価した者(13.5%)は有意に少なかった。
    【結論】男子中学生のうま味感受性は,だしの風味のうち,うま味と生臭みの評価に関連する可能性が示唆された。
短報
  • 木林 悦子
    2015 年 73 巻 3 号 p. 100-107
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/07/11
    ジャーナル オープンアクセス
    【目的】高校生の食育の基礎資料とするために,食生活改善への準備性からみた変容ステージ別に食・生活習慣及び自己効力感の特徴を明らかにすることを目的とした。
    【方法】対象は兵庫県内のA高等学校(公立)に在籍する1年生320名とした。食生活改善への準備性からみた変容ステージは,Transtheoretical Modelに基づいて作成した5段階の選択肢から決定した。食・生活習慣は,無記名自記式の食・生活習慣に関する質問紙及び半定量食物摂取頻度調査票を用い,自己効力感尺度は,食生活改善について「できる」から「できない」までの5件法で質問紙を用いて調査した。
    【結果】対象生徒の変容ステージ分布は,前熟考期(30.4%)と熟考期(50.2%)で,全体の約8割を占めた。変容ステージ別にみた食・生活習慣の特徴は,男子では身体活動レベルのスコアが準備期以上で変容ステージが上がるに従い高かったこと(p=0.011),女子では変容ステージが上がるに従い食事摂取状況の評価点が高かったことであり(p=0.018),いずれも変容ステージ別間で有意な差が認められた。また,自己効力感の点数は,男女共に変容ステージが上がるに伴い高くなることも明らかとなった(男子:p=0.005,女子:p=0.01)。
    【結論】本研究結果から,高校生男子では身体活動レベルのスコア,女子では食事摂取評価点が,食生活改善への準備性からみた変容ステージが上がるにつれ高くなること,および,自己効力感も男女共に高まることが示唆された。
資料
  • 會退 友美, 山本 久美子, 赤松 利恵, 林 芙美, 武見 ゆかり
    2015 年 73 巻 3 号 p. 108-117
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/07/11
    ジャーナル オープンアクセス
    【目的】本研究は,職場の食環境整備に資することを目的に,職場やその周辺の食環境に対する勤労者の認知と食習慣との関連を検討する。
    【方法】平成21年11~12月に内閣府が実施した「食育の現状と意識に関する調査」に回答した2,936人のデータの内(回収率58.7%),勤労者1,379人を用いて2次解析を行った。男女別の属性,食環境の認知と属性との関係についてχ2 検定を用い,職場やその周辺の食環境の認知と食習慣との関連を検討するため,属性を調整したロジスティック回帰分析を男女別に行った。
    【結果】解析対象者の性別は,男性749人(54.3%),女性630人(45.7%)であり,平均年齢(標準偏差)は,それぞれ48.2(13.1)歳,45.5(12.7)歳であった。食環境の認知の有無では,「食事を大切にする雰囲気」等で女性の方が認知している者が多かった。また,男女ともに,「周囲の人がバランスのよい食事に関心がある」と認知している者はそうでない者よりも,主食・主菜・副菜をそろえる習慣があった(男性のオッズ比:2.16(95%信頼区間(CI):1.48~3.15),女性のオッズ比:1.64(95%CI:1.13~2.39))。さらに男性では,「バランスのとれた食事の入手可能性が高い」ことを認知している者は全ての食習慣が健康的であった。
    【結論】男女ともに周囲の人がバランスのよい食事に関心があると認知している者はバランスのとれた食習慣であった。また,バランスのよい食べ物が入手しやすい環境であると認知している男性は朝食欠食習慣がない等,健康的な食習慣であった。
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