栄養学雑誌
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74 巻, 2 号
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短報
  • 阿部 由紀子
    2016 年 74 巻 2 号 p. 29-37
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/05/12
    ジャーナル フリー
    【目的】大学生について,抑うつと関連のある食品を探索するため,抑うつ傾向と食品の摂取頻度との関連性を明らかにすることを目的とした。
    【方法】大学生192名を対象に質問紙法による調査を行い,138名を分析対象とした。抑うつ傾向の程度はCenter for Epidemiologic Studies Depression(CES-D)Scaleにより把握した。また,162品目の食品の摂取について,過去1週間に「全くない」,「週1回」,「週2~3回」,「週4~6回」,「毎日1回」,「毎日2回以上」の6択で調査を行い,それぞれ0~5点とした。CES-D 得点は,26点をカットオフ値として評価した。CES-D 26点未満をCES-D低得点群,26点以上をCES-D高得点群とし,2群間の各食品の摂取頻度ならびに食品群ごとの平均摂取頻度得点を比較した。
    【結果】調査を行った品目のうち,男性においてはこんにゃく,女性においては食パンおよびヨーグルトの摂取頻度が,CES-D高得点群で有意に低かった。また,男性における果実類,女性における魚類の平均摂取頻度得点は,CES-D高得点群が有意に低かった。
    【結論】大学生を対象に行った本研究の結果から,CES-D高得点群は低得点群に比べていくつかの食品摂取頻度並びに食品群ごとの平均摂取頻度得点が低いことが示唆されたが,本研究には限界点があるため,今後さらなる検討が必要である。
資料
  • 玉浦 有紀, 赤松 利恵
    2016 年 74 巻 2 号 p. 38-49
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/05/12
    ジャーナル フリー
    【目的】維持血液透析患者の食事管理・水分制限アドヒアランス達成に向け,適切な介入を行うため,アドヒアランスと関わる社会心理学的要因を評価する尺度を収集し,利用可能性,及び課題について検討する。
    【方法】データベース(PubMed,Scopus)を用い,維持血液透析患者を対象とした食事管理・水分制限アドヒアランスに関わる社会心理学的要因を下位尺度に含む尺度の開発論文を収集した。対象論文は2名の研究者で抽出し,各尺度の「下位尺度の概要」「信頼性・妥当性」を整理する。
    【結果】10編を採択し,7種の尺度を確認した。これらは社会心理学的概念に基づき,「セルフ・エフィカシー」「ヘルスビリーフモデルの利得と障害」「全般的な信念・態度」の3カテゴリーに区分された。セルフ・エフィカシーに着目した尺度では,高い信頼性・妥当性が確認されたが,信念・態度に着目した尺度では,アドヒアランスに対する妥当性が低く,信頼性・妥当性が,十分得られていなかった。
    【結論】アドヒアランス改善に向け,社会心理学的要因の具体的内容を,下位尺度に含む尺度の活用が期待される。同時に,信念・態度をはじめ,他の慢性疾患とは異なる透析患者特有の病態や日常生活の制限背景を踏まえた社会心理学的要因の概念は,今後,十分に抽出を行い,アドヒアランスに対する信頼性・妥当性の高い尺度を検討する必要がある。
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