栄養学雑誌
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巻頭言
原著
  • 小谷 清子, 古谷 佳世, 猿渡 綾子, 和田 小依里, 東 あかね
    原稿種別: 原著
    2020 年 78 巻 1 号 p. 5-12
    発行日: 2020/02/01
    公開日: 2020/03/19
    ジャーナル オープンアクセス

    【目的】家庭での共食の推進と地場産物の活用を目指した食育の効果を評価することを目的とした。

    【方法】研究デザインはクラスター割付比較対照試験とし,保護者の回答により評価した。2011年7月,京都府宮津市の幼稚園2園と保育所2所を,介入群と比較群に1園1所ずつ割り付け,両群の3~5歳児236人の保護者に,食育前後に無記名自記式調査を行った。食育前調査は属性,身体特性,食習慣,アカモクの利用に関する計8項目,食育後調査は身体特性を除く計4項目である。栄養教育として,介入群では,幼児にはアカモクに関する授業とアカモク料理の給食提供を実施し,保護者にはリーフレットを配布した。その後,情報提供として,両群の保護者に,地場産物を取り入れた,主食,主菜,副菜の揃った献立を配布した。解析対象は食育前158人(介入87,比較71)(66.9%),食育後181人(介入104,比較77)(76.7%)であった。

    【結果】食育前の両群は全ての項目に有意差はなかった。食育後,介入群で夕食の共食摂取頻度(p=0.042)とアカモクの認知度(p=0.007)が有意に上昇し,アカモクへの食意欲が上昇傾向(p=0.055)にあった。比較群では,全ての項目に有意な変化はなかった。

    【結論】地場産物を活用した食育を保護者の回答により評価したところ,夕食共食摂取頻度が上昇し,地場産物の認知を高める可能性が示唆された。

  • 田原 遠
    原稿種別: 原著
    2020 年 78 巻 1 号 p. 13-23
    発行日: 2020/02/01
    公開日: 2020/03/19
    ジャーナル オープンアクセス

    【目的】あいりん地域に生活の拠点を置く者の生活状況,栄養学的特性について明らかにすることを目的とした。

    【方法】大阪社会医療センター付属病院通院中の患者と高齢者特別清掃事業参加者に対し,半定量食物摂取頻度調査票による栄養調査と身体状況・生活状況調査を行い計255名より完全回答を得た。うち生活困窮度の低い5名を除いた250名(生活保護受給者=生保群とする123名,生活保護未受給者=未受給群とする127名)を対象者とした。対象者が平成26年国民健康・栄養調査における所得の低い集団(低所得群とする)が示している特徴を有しているかどうか,また生活保護受給の有無で対象者の特性に差異が生じるかどうかの検討を行った。

    【結果】本対象者は残歯20本未満の者が79.2%,喫煙者は58.8%と共に極めて多く,野菜類摂取量は極めて少なかった。両群間の比較では,生保群において仕事をしている者がより少なく,肥満者はより多く,野菜類,果実類,きのこ類,乳類の摂取量はより多かったが,飲酒習慣者の割合や嗜好飲料類の摂取量はより少なかった。

    【結論】本対象者は低所得群の特徴を有しており,なおかつ低所得群よりもより顕著な傾向を示した。両群間の比較より,生保群においては活動量に見合った摂取量に関する栄養教育が,未受給群においては飲酒に関する教育,外食や中食でも野菜類を摂取できるような栄養教育が必要であると考えられた。

  • 林 芙美, 野口 真希, 宇野 薫, 武見 ゆかり
    原稿種別: 原著
    2020 年 78 巻 1 号 p. 24-36
    発行日: 2020/02/01
    公開日: 2020/03/19
    ジャーナル オープンアクセス

    【目的】妊婦を対象に,主食・主菜・副菜がそろう食事の頻度と栄養・食物摂取状況との関連を検討し,さらに食知識,食態度,食行動,周囲のサポート等との関連を把握すること。

    【方法】2015年1~3月,群馬県T市S病院にて妊婦健診・母親学級に訪れた妊婦(11~20週)に研究参加を呼びかけ,141名から自記式質問紙及び簡易型自記式食事歴法質問票(BDHQ)に回答を得た。身長,妊娠前体重,調査時体重はカルテより把握した。最終的に118名を分析対象者とし,主食・主菜・副菜がそろう食事の頻度別に3群(1日2回以上,1日1回,1日1回未満)間で,年齢,妊娠期区分,妊娠回数,世帯構成,暮らし向きを調整した共分散分析を用いて栄養・食物摂取状況を比較した。関連要因の検討には,多重ロジスティック回帰分析を用いた。

    【結果】主食・主菜・副菜がそろう食事の頻度が高い者ほど,いも類,野菜類,肉類の摂取量が多かった(p for trend<0.05)。1日1回未満群に比べて,1日2回以上群は1食の量とバランスの知識があり,調理が好きで大切だと感じており,食事を整える自信があり,欠食がなく,家族との朝食共食がほぼ毎日で,専門的な学習の経験者が多かった。また,1日1回群でも食事を整える自信がある者が多かった。

    【結論】主食・主菜・副菜がそろう食事の実現には,適切な食知識や食事づくりに対する前向きな姿勢が重要であると示唆された。

研究ノート
  • 保井 智香子, 吉村 瑞紀, 中村 富予
    原稿種別: 研究ノート
    2020 年 78 巻 1 号 p. 37-46
    発行日: 2020/02/01
    公開日: 2020/03/19
    ジャーナル オープンアクセス

    【目的】本研究は企業チームに属さない競技志向の高い社会人アスリートやスポーツを楽しむ人々への適正な栄養素等摂取啓発を目的とし,企業チームに属していない社会人アスリートにおける栄養摂取の実態把握とその課題を明らかにするために,社会人女子ラクロス選手を対象に勤務日と練習日の身体活動量と栄養素等摂取量について比較検討を行った。

    【方法】対象は社会人女子ラクロスクラブSチームの選手13名(年齢25.9±2.6歳)とした。測定・調査内容は体格及び身体組成,秤量記録法と写真記録法を用いた練習日2日間・勤務日2日間のエネルギー及び栄養素等摂取量,練習日2日間・勤務日5日間のエネルギー消費量とした。

    【結果】エネルギー消費量は,練習日の方が約 400 kcal高かった(練習日:2,437±201 kcal,勤務日:2,000±160 kcal,p<0.001)。しかし,エネルギー摂取量に差はなかった。練習日の方が体重あたり炭水化物摂取量は少なく(p=0.009),たんぱく質エネルギー比率は低かった(p=0.021)。練習日の食事では,エネルギー消費量の増量分を補えていなかった。

    【結論】社会人女子アスリートの練習日における体重あたり炭水化物摂取量,たんぱく質エネルギー比率の低下を防ぐためには,練習日は欠食せずに,各食事において炭水化物源となる主食とたんぱく質源となる主菜の摂取量を増やす必要性が示唆された。

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