栄養学雑誌
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最新号
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原著
  • 木林 悦子
    原稿種別: 原著
    2021 年 79 巻 2 号 p. 53-63
    発行日: 2021/04/01
    公開日: 2021/05/15
    ジャーナル オープンアクセス

    【目的】高校3年間の追跡調査により,食生活改善への準備性からみたセルフエフィカシーと行動変容ステージの学年比較及び関連を明らかにする。

    【方法】兵庫県A高等学校の2012年度入学生320名のうち,家庭教科専門科目選択者を除き,2014年の3年まで継続して回答が得られた225名を対象とした。セルフエフィカシーは,食生活改善ができるか否かを5件法より得た。セルフエフィカシーと行動変容ステージの学年比較はFriedman 検定,3年におけるこれらの関連は共分散構造分析後,セルフエフィカシーの信頼性を検討するために開発した12項目のセルフエフィカシー尺度を従属変数,性別を調整因子とした二項ロジスティック回帰分析をした。

    【結果】高校3年間で男子はセルフエフィカシーの「やや改善できると思う」及び「改善できる」者が減少し,行動変容ステージの前熟考期が増加したが,女子ではいずれも学年別に有意差はなかった。共分散構造分析では,セルフエフィカシーから行動変容ステージへの有意な正のパスが示された。ロジスティック回帰分析の結果,準備・実行・維持期を基準として,前熟考期におけるセルフエフィカシー低得点群のオッズ比が有意に高かった。

    【結論】高校3年間で,食生活改善への準備性からみたセルフエフィカシーと行動変容ステージの伴った,男子における低下と女子の変化なしの実態が明らかとなった。食生活を改善させるには,セルフエフィカシーを高める教育支援の充実が望まれる。

  • 西田 由香, 出口 佳奈絵, 前田 朝美
    原稿種別: 原著
    2021 年 79 巻 2 号 p. 64-75
    発行日: 2021/04/01
    公開日: 2021/05/15
    ジャーナル オープンアクセス

    【目的】食事の摂取時刻とミネラル代謝の関連を調べることを目的に,同一の食事で夕食の摂取時刻のみ変化させた際の尿中ミネラル排泄量と尿排泄リズムへの影響を検討した。

    【方法】腎機能に異常のない若年成人女性10名を対象に,夕食を18:30に摂取する「早い夕食」と23:30に摂取する「遅い夕食」の2種類の摂食条件で採尿実験を実施した。実験前日17時以降の食事と飲水量を統一し,朝6:30から翌朝までの24時間尿を2時間(夜間は6時間)の間隔で全尿を採取した。尿中ナトリウム,カリウム,リン,カルシウム,マグネシウム,クレアチニン濃度を測定し,尿中ミネラル排泄の日内変動(クレアチニン補正値)と各食後6時間の尿中排泄量を検討した。

    【結果】遅い夕食では,翌朝6:30(24:30~翌朝6:30)におけるカリウムとリンの尿排泄(クレアチニン補正値)が早い夕食に比べて有意に低下した(カリウムp=0.002,リンp=0.006)。ナトリウムとカリウムでは,18:30から翌朝6:30までの12時間尿中排泄量が早い夕食より遅い夕食で有意に低値を示した(ナトリウムp=0.025,カリウムp=0.030)。カルシウムとマグネシウムの尿中排泄量は,摂食時刻に関係なく食後の経過時間に応じた尿排泄パターンを示した。

    【結論】夜遅い時間帯に夕食を摂取すると,ナトリウムとカリウムは尿排泄されにくく体内に蓄積しやすいことが示唆された。高血圧予防や腎不全の食事管理において,夕食時刻を遅くしないことが重要であると考えられる。

研究ノート
  • ─アンケート調査の結果から─
    戸張 千夏, 高増 雅子
    原稿種別: 研究ノート
    2021 年 79 巻 2 号 p. 76-89
    発行日: 2021/04/01
    公開日: 2021/05/15
    ジャーナル オープンアクセス

    【目的】本研究では,マレーシアにおける大学生の食生活や飲料摂取状況の現状を把握し,その特徴について明らかにすることを目的とした。

    【方法】マレー半島のトレンガヌ州にあるマラ工科大学ドゥングン校,スランゴール州にあるマラ工科大学プンチャックアラム校の学生632名を対象とし,2019年3月~4月に食生活調査及び飲料摂取調査を実施した。食生活調査について,アンケート回答をスコア化し,群間の差(男女間,大学間)にはMann-Whitney のU検定を用いた。飲料摂取調査については,項目ごとに結果を集計し,χ2検定を行った。

    【結果】食生活調査では,対象者全体で,運動と健康との関わりや食生活の大切さについては理解しているが,砂糖摂取量に関する知識は乏しいことが分かった。砂糖摂取に関するセルフ・エフィカシーが低い傾向がみられた。また,朝食の欠食が昼食や夕食よりも多かった。女性は,砂糖摂取についての意識や栄養教育ワークショップへの関心も高く,男性は,運動について興味を持ち積極的に行っている傾向がみられた。飲料摂取調査では対象者全体で,水の摂取頻度が高かった。また,紅茶(コンデンスミルク入り,砂糖入り),麦芽飲料などのsugar-sweetened beverage(SSB)の摂取頻度が高い一方で,砂糖なしの紅茶やコーヒーの摂取頻度が低かった。女性は,男性より砂糖なしの飲料の摂取頻度が低かった。

    【結論】対象大学生における砂糖摂取量及びSSBの摂取頻度に係る課題が明らかになった。

実践活動報告
  • 佐藤 安貴, 正木 慎也, 梅本 萌李, 山本 浩貴, 小山田 正人
    原稿種別: 実践活動報告
    2021 年 79 巻 2 号 p. 90-102
    発行日: 2021/04/01
    公開日: 2021/05/15
    ジャーナル オープンアクセス

    【目的】摂食障害は,若年女子に好発する難治性の疾患で,治療の優先事項は栄養改善である。摂食障害の10~20%に自閉スペクトラム症が合併し,合併例は予後不良例が多く,治療では自閉スペクトラム症の特性に着目した対応が必要となる。摂食障害を発症し入院した自閉スペクトラム症女児2症例に,チーム医療の一環として自閉スペクトラム症の特性に着目した栄養指導を実施したので,報告する。

    【方法】対象は,摂食障害治療を目的に精神科病院へ入院した自閉スペクトラム症の15歳女児2名である。症例1は,体重管理の厳しい審美系スポーツの選手で,過剰な運動と食事制限から低体重となり入院した。症例2は,ストレス時に拒食反応を示す病態で,拒食による急激な体重減少で入院した。管理栄養士は,自閉スペクトラム症の特性に着目し,1)褒めて労う,2)視覚情報の利用,3)具体的説明の繰り返しを基本に栄養指導を行った。

    【結果】症例1は,1週間毎に増加する食事を全量摂取するとともに,活動量を減少させることにより,目標体重を達成した。症例2は,拒食が消失し目標体重を達成した。

    【結論】摂食障害と自閉スペクトラム症合併2症例において,自閉スペクトラム症の特性に着目した1)褒めて労う,2)視覚情報の利用,3)具体的説明の繰り返しを基本とした栄養指導の有用性が示唆された。

資料
  • ─エネルギー消費量の影響を調整して季節による違いを検討したプレスタディ─
    吉田 剛一郎, 岩間 茜, 坂田 (豊道) 美徳, 中村 夏実, 榮樂 洋光, 東恩納 玲代, 赤嶺 卓哉, 吉武 裕
    原稿種別: 資料
    2021 年 79 巻 2 号 p. 103-111
    発行日: 2021/04/01
    公開日: 2021/05/15
    ジャーナル オープンアクセス

    【目的】カヌースプリント競技カヤック種目を専門とする体育系大学のトップ選手を対象に,季節毎に練習時における水分の出納を調査し,エネルギー消費量の影響を調整して季節による違いを検討する。

    【方法】大学カヤック種目のトップ選手を対象に,春季,夏季,冬季のそれぞれ3日間について,練習時における水分の出納を検討した。同時に,心拍数法を用いて,練習時のエネルギー消費量を測定した。季節毎に求めた発汗量,発汗率,飲水量,飲水率について,エネルギー消費量を共変量とする共分散分析法を用いて季節による違いを検討した。

    【結果】カヤック種目の練習1回についてみると,水分の出納に関する各項目は,いずれも夏季は冬季のおおよそ2倍を示した。エネルギー消費量は,冬季のみ低値を示した。水分出納の各項目について,エネルギー消費量の影響を調整して季節による違いを検討したところ,発汗量および発汗率は,夏季,春季,冬季の順に有意な高値(p<0.001)を示し,いずれの季節間においても相違を認めた。飲水量および飲水率は,夏季に高値を示す季節差(p<0.001)を認めた。練習時の水分補給率は,春季61%,夏季54%,冬季68%を示し,練習後における飲水の必要性を認めた。

    【結論】大学カヌースプリント競技トップ選手について,練習時における水分出納の季節による違いは,エネルギー消費量の影響を調整して検討できることを示した。

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