栄養学雑誌
Online ISSN : 1883-7921
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81 巻, 1 号
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巻頭言
原著
  • 塩原 由香, 村山 伸子, 山本 妙子, 石田 裕美, 中西 明美, 駿藤 晶子, 硲野 佐也香, 野末 みほ, 吉岡 有紀子
    原稿種別: 原著
    2023 年81 巻1 号 p. 3-19
    発行日: 2023/02/01
    公開日: 2023/03/24
    ジャーナル フリー
    電子付録

    【目的】小学生の食事パタン別に栄養素等摂取量の実態を明らかにし,栄養素等摂取量が適正な食事パタンを検討した。

    【方法】対象者はK県の小学5年生235人のうち,4日間の食事記録がある185人。調査時期及び内容は,2013年10~11月のうち,4日間の食事記録を,写真法を併用した秤量法または目安量記録法で行った。食事記録と写真から,主食・主菜・副菜・主食と主菜等を合わせた料理・汁物等を確認し,それらを組み合わせた13の食事パタンに分類した。食事パタンの栄養素等摂取量の適正さは,日本人の食事摂取基準(2020年版)の1日の3分の1の値より評価した。

    【結果】食事パタン別に栄養素等摂取量の中央値は異なり,複数の料理を組み合わせた食事パタンほど栄養素等摂取量が多かった。また,14項目の栄養素等摂取量のうち食事摂取基準の基準値の「適正」に該当した項目数の中央値は,男子で「主食と主菜等を合わせた料理+主菜+副菜」7.5が最も多く,次に「主食+主菜+副菜」7.0であった。女子では「主食と主菜等を合わせた料理+主菜+副菜」7.0が最も多く,次に「主食と主菜等を合わせた料理+副菜」6.0,3番目に「主食+主菜+副菜」「主食と主菜等を合わせた料理+主菜」5.0であった。

    【結論】栄養素等摂取量が適正な食事パタンは,「主食+主菜+副菜」の他に「主食と主菜等を合わせた料理」と主菜や副菜等の組み合わせがあげられた。

研究ノート
  • 石長 孝二郎
    原稿種別: 研究ノート
    2023 年81 巻1 号 p. 20-29
    発行日: 2023/02/01
    公開日: 2023/03/24
    ジャーナル フリー

    【目的】食物の混合されたにおいをヒトはどの程度認知できるか把握する。また,食物のにおい認知と食物臭嫌悪を誘導する情動との関連を検討する。

    【方法】あらかじめ単独試料のにおいを学習させ,その際ににおいに誘導される情動 (快・不快) をビジュアルアナログスケール (VAS) で評価させた。その後に,2種混合のにおいの同定検査を実施し,提示した6種類の中から2種類のにおいを選択させた。その際に混合のにおいに誘導される情動 (快・不快) もVASで評価させ,単独試料の評価と比較した。

    【結果】2種混合でもバナナ (正解率85.3%),煮魚煮汁 (正解率82.4%),グレープフルーツ果汁 (正解率70.6%) はにおいを認知されやすかった。ただし,臭気指数が高く,快なにおいのグレープフルーツ果汁よりも,不快なにおいのバナナと煮魚煮汁の方が高い正解率で認知された。また,不快なにおいである煮魚煮汁 (VAS37.5点) と快なにおいであるグレープフルーツ果汁 (VAS80.0点) を混合すると,さらに不快な情動が強くなった (混合VAS15.5点)。

    【結論】ヒトは食物のにおいを2種混合しても,1つ1つのにおいを別々に認知することができ,その認知する能力は食物のにおいの強さや質だけでなく,そのにおいに誘導される情動 (特に不快) が深く関わっている可能性が示唆された。

  • 野末 みほ, 石田 裕美, 由田 克士, 原 光彦, 緒方 裕光, 岡部 哲子, 吉岡 有紀子, 高橋 孝子, 坂本 達昭, 佐々木 ルリ子 ...
    原稿種別: 研究ノート
    2023 年81 巻1 号 p. 30-39
    発行日: 2023/02/01
    公開日: 2023/03/24
    ジャーナル フリー

    【目的】本研究では保育所等を対象に,栄養管理加算の認定の有無別による栄養管理の実態を把握することを目的とした。

    【方法】2019年8月~10月に,国内8市の1,538の保育所等を対象に,郵送法により質問紙を配布し,979施設より回答を得た。このうち,運営形態に私立と回答し,栄養管理加算の認定の有無に回答があった684施設を本研究の解析対象とした。栄養管理については食事提供のPDCAサイクルとして12項目,保護者への栄養教育として栄養・食生活に関する情報提供について8項目を尋ねた。

    【結果】栄養管理加算の認定の有無について,認定なし群は200施設 (29.2%),認定あり群は484施設 (70.8%) であった。栄養管理加算の認定あり群が認定なし群に比べて,食事提供のPDCAサイクルのPlanに該当する項目のうち,給与栄養量の計算 (昼食とおやつ) をしているオッズ比は2.36 (95%信頼区間 (95%CI):1.46~3.82) であり,栄養・食生活に関する情報提供のうち,給食の試食会を実施しているオッズ比は1.53 (95%CI: 1.07~2.17) であった。

    【結論】食事提供のPDCAサイクルについて,Planの給与栄養目標量の設定,給与栄養量の計算 (昼食とおやつ),Actionの給与栄養目標量の設定の見直しについて,また,保護者への栄養教育として,給食の試食会の実施について,栄養管理加算の認定なし群に比べて認定あり群の施設において多く実施されていた。栄養管理加算の認定なしに比べて,認定ありの施設では栄養管理が良好であることが示された。

実践活動報告
  • 岡田 圭子, 濱嵜 朋子, 角田 聡子, 朴 祇佑, 茂山 博代, 片岡 正太, 山田 志麻, 酒井 理恵, 芹田 千穂, 白木 光, 星野 ...
    原稿種別: 実践活動報告
    2023 年81 巻1 号 p. 40-49
    発行日: 2023/02/01
    公開日: 2023/03/24
    ジャーナル フリー

    【目的】豊前市では,高齢者を対象とした「在宅歯科訪問事業」が行われている。今回我々は,口腔ケア実施の前後における栄養に関連する因子として,低栄養状態,栄養素摂取量および食品摂取の多様性について,口腔および全身状態の関連を明らかにすることを目的として評価分析を行った。

    【活動内容】事業参加者は,豊前市在住の65歳以上の207人である。口腔,身体状況,血液検査,栄養状態,食事について評価した。その後,歯科医師,歯科衛生士および管理栄養士によって,口腔や全身の状況に応じた口腔ケアおよび栄養指導等を実施し,再評価を行った。

    【活動成果】口腔ケア実施後には,ベースライン時と比較して,骨格筋指数,骨格筋量が有意に高くなっていた。口腔ケア実施後に,栄養状態良好な者の割合が高くなっていたことに着目し,再評価時の簡易栄養状態評価表 (Mini Nutritional Assessment Short Form: MNA-SF) を目的変数とした多変量のロジスティック回帰分析を行った。その結果,ベースライン時の骨格筋指数と食品摂取の多様性評価票 (Dietary Variety Score: DVS) の点数が,有意に低栄養評価と関連していた。

    【今後の課題】口腔のみならず栄養や全身健康状態の改善がみられたことは,有意義で実践的な取り組みであるといえる。在宅における訪問歯科治療や口腔ケアでは,対象者の食生活や生活状況の把握ができるというメリットがあるにもかかわらず,管理栄養士との協働例はまだ少ないのが現状である。今後,検証を行いながら,口腔栄養協働モデルシステムを築くことを目指している。

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