栄養学雑誌
Online ISSN : 1883-7921
Print ISSN : 0021-5147
ISSN-L : 0021-5147
81 巻, 4 号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
研究ノート
  • 西 太郎, 上田 由喜子, 早見 直美
    原稿種別: 研究ノート
    2023 年 81 巻 4 号 p. 153-163
    発行日: 2023/08/01
    公開日: 2023/09/23
    ジャーナル フリー

    【目的】児童に食品ロス削減に対する態度を培うため,動画による指導と学級活動における食に関する指導を関連づけた食教育プログラムの有効性を検討した。

    【方法】準実験デザインにより公立小学校の6年生を対象に,2クラスを教育群(n=31)と対照群(n=31)に振り分けた。期間は1か月間とし,学級活動の時間に食品ロス削減を考える食に関する指導を行い,給食の時間に動画による事前学習を8回,事後学習を5回行った。ワークシートによる学習目標の達成度,22項目から成る質問紙を用いて知識,思考力・判断力,感謝の心の3つの観点から両群を教育前と後の変化により評価した。

    【結果】ワークシートの分析から,すべての児童が学習目標に対して「おおむね満足できると判断される子どもの具体的な姿(B)」,もしくは「十分満足できると判断される子どもの具体的な姿(A)」と評価できた。教育後の2群の比較において,教育群の方が対照群よりも「食品ロスを減らすために何かできることはないか考えた」児童が増加し(教育群42.0%,対照群3.7%,p=0.013),食品に対する知識も向上した。さらに,教育群にのみ行った教育後から1か月後の変化では食品に対する知識は低下したが,一方食品ロス削減に対する態度は変わらなかった。

    【結論】本食教育プログラムにより食品ロス削減に対する態度の向上が認められ,動画による指導と学級活動を関連させた学習の有効性が示唆された。

実践活動報告
  • 衞藤 久美, 岩田 瑠美, 信田 幸大, 矢賀部 隆史, 深井 善雄
    原稿種別: 実践活動報告
    2023 年 81 巻 4 号 p. 164-175
    発行日: 2023/08/01
    公開日: 2023/09/23
    ジャーナル フリー
    電子付録

    【目的】SHEP(Smallholder Horticulture Empowerment & Promotion:市場志向型農業振興)導入済み農家世帯の食生活の実態を把握することを目的に実施した調査の実施プロセスと抽出された課題について報告する。

    【活動内容】日本人専門家,現地スタッフ,現地調査員でニャイ地区を対象に調査を計画,実施した。面接法による質問紙調査と食事調査より,世帯の食事状況,食物の入手方法,食事づくり担当者の食態度・食行動等,SHEP導入による食生活の変化を調査した。プレ調査をふまえて本調査を2020年12月に実施し100世帯から回答を得た。

    【活動成果】回答者は全員イスラム教徒の女性,年齢(中央値)45歳,55世帯は一夫多妻制,世帯員数の中央値は15名だった。医療関係者に貧血と判断された15~49歳の女性がいる世帯は43世帯だった。調査前日に食事を3回食べたのは98世帯で,1回目の食事ではパンとコーヒーなど2種類,2,3回目の食事ではチェブジェンなど1種類の料理を食べた世帯が多かった。SHEP導入により収入が向上した71世帯中63世帯は収入を食生活改善に活用し,約3割の世帯で野菜・果物,肉・魚の食卓登場頻度が増えた。

    【今後の課題】栄養改善活動に向けた課題として1)優先すべき健康課題は貧血である,2)食事の量と質の両面で課題がある,3)多様な食品を食べるなどを食生活で重視し,実践している者は約半数である,4)SHEPによる収入向上は必ずしも栄養改善につながっていないの4つが抽出された。

資料
  • ─平常時の協定締結と発災後の内容調整について─
    武田 環, 須藤 紀子, 島田 郁子, 坪山(笠岡) 宜代
    原稿種別: 資料
    2023 年 81 巻 4 号 p. 176-183
    発行日: 2023/08/01
    公開日: 2023/09/23
    ジャーナル フリー

    【目的】避難所での弁当提供は,調理担当者の負担軽減に加え,栄養素等供給量の増加が期待できる。災害発生後早期に「避難所における栄養の参照量」の1/3付近またはそれ以上の栄養素等を供給する弁当(以下,参照量を満たす弁当)を提供するうえでの障害を,平常時の協定締結と発災後の弁当内容の調整という2つの観点から明らかにすることを目的とした。

    【方法】2022年1月に,南海トラフ巨大地震の被害が想定されているX県の弁当製造・販売業者4社を対象に,半構造化インタビューを実施した。対象業者は,大手コンビニエンスストアエリアフランチャイザー,スーパーマーケット,大学生活協同組合2社であった。

    【結果】参照量を満たす弁当提供に関する協定を締結する際の障害として,発災時の食材調達のための平常時からの備蓄や物流の確保,弁当業者が行政の担当者や窓口を知らない,大学生活協同組合が自治体と災害協定を締結するためには大学の承認が必要という3点が明らかになった。また,発災後に弁当の内容を調整する際は,弁当の栄養成分表示と食材調達が障害になることが分かった。

    【結論】食材調達は,弁当業者にとって,参照量を満たす弁当提供に関する協定締結と,発災後に弁当の内容を調整する際の両方で障害となりうる。弁当業者は,災害時の食材調達について平常時から準備をするとともに,自治体や物流業者と,災害時の食材や弁当の運搬について協議をすることが望まれる。

  • 岡田 恵美子, 瀧本 秀美
    原稿種別: 資料
    2023 年 81 巻 4 号 p. 184-191
    発行日: 2023/08/01
    公開日: 2023/09/23
    ジャーナル フリー
    電子付録

    【目的】岐阜県下呂市における幼児の食塩摂取状況の実態を把握し,食塩摂取量別にみた食事内容を比較検討することを目的とした。

    【方法】2016年4月~2019年3月に,下呂市の3歳児健康診査を受診した3歳児535人および保育所・こども園に在園する5歳児657人を対象とした。尿検査および食事内容を含む生活アンケートを実施した。ウロペーパー栄研ソルトまたは尿中ナトリウム濃度からの換算式を用いて1日の食塩摂取量を推定した。食塩摂取量が日本人の食塩摂取基準(2020年版)の目標量の範囲内の者と95パーセンタイル値以上の者について,朝食と夕食の食事内容を分類し,比較検討を行った。

    【結果】食塩摂取量の平均値は3歳児で 6.9 g,5歳児は 7.8 gであった。食塩摂取量が目標量の範囲内の者は,3歳児が82名(15.5%),5歳児で22名(3.4%)であった。3歳児と5歳児ともに朝食はほとんどがパン類とその他の和食に分類され,3歳児の95パーセンタイル値以上の者はその他の和食が23名(52.3%)であった。5歳児の95パーセンタイル値以上の者の夕食では,そば,うどん類,丼ものおよびカレーライス類が13名(32.5%)であった。

    【結論】3歳児と5歳児ともに食塩摂取量が多かった。食塩摂取量が特に多い者では,朝食にその他の和食を摂取している割合が3歳児で52.3%,5歳児では62.5%を占めた。家庭ならびに地域全体における食生活の改善や支援を行うために,引き続き減塩推進活動に取り組む必要がある。

feedback
Top