E-journal GEO
Online ISSN : 1880-8107
3 巻 , 2 号
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解説記事
  • 島田 周平
    2009 年 3 巻 2 号 p. 2_1-16
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/06/02
    ジャーナル フリー
    脆弱性理論は,脆弱性概念の多義性のために未だ有効な分析概念とは認められていない.しかし,アフリカの貧困問題や農業の持続性の理解のための学際的研究分野においては,大きな可能性を持つと考えられている.本稿では,アフリカ農村社会の分析にとって適切な脆弱性の定義を試み,次に個人,世帯,社会集団という主体の違いによって現れる脆弱性の多様性を整理した.その上で,ナイジェリア,ブルキナ・ファソ,ザンビアで行った農村調査の結果をもとに,個人,世帯,社会集団の脆弱性がどのような過程で増大してきているのか考察した.その結果,個人,世帯,社会集団の脆弱性は,相互に密接な関連を持ち影響しあっていることが明らかとなった.たとえば,ブルキナ・ファソから南部諸国への出稼ぎは,干ばつ常襲地域の世帯の脆弱性を緩和するものであったが,2000年にコート・ジボワールで起きた外国人排斥運動に遭い,突然中止せざるを得なくなった.このことで国外追放された個人,世帯はもとより,彼らが帰った先の故郷の農村社会の脆弱性にも深刻な影響を与えた.このような複雑な脆弱性を理解するためには,主体間の脆弱性増大の影響やそのプロセスを明らかにした上で,次にそれらの間の相互関係を解析する必要がある.
地理教育総説記事
  • 秋本 弘章, 近 正美
    2009 年 3 巻 2 号 p. 2_17-32
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/06/02
    ジャーナル フリー
    本稿は,日本地理学会地理教育専門委員会において筆者らが中心となって行っているインタビューから得られた知見をまとめたものである.インタビューでは,大学等で地理学を学び,教育界以外で活躍している社会人を対象とし,地理学および地理教育の意義等を質問した.彼らによれば,地理は,大変魅力的な教科であり学問であるばかりでなく,実社会でも役に立つという.とりわけ,地図活用能力とフィールドワーク力が実社会でも極めて重要であることが指摘された.地理教育の内容に関しては,最低限の地理的知識を身につけさせることを前提としながらも,社会に対する見方・考え方を身につけさせることを期待している.今後は,こうした地理教育への社会的要請を基盤としながら,地理教育の内容や方法について検討していくことが求められる.
  • 松原 彰子
    2009 年 3 巻 2 号 p. 2_33-38
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/06/02
    ジャーナル フリー
    本稿では,筆者が慶應義塾大学の日吉キャンパスで行っている「地理学」の講義を例にして,大学の教養課程における自然地理学の授業の意義を論じた.地球環境や自然災害の多様な問題を正確に認識するためには,自然現象を空間的かつ時間的にとらえる自然地理学からのアプローチが有効である.したがって,このような立場から,教養課程において自然地理学の授業を展開することには意義があると考える.
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