糖タンパク質糖鎖の新たな解析手法として,レクチン結合解析やエキソグリコシダーゼ消化をキャピラリー内で行う,いわゆる部分導入キャピラリー電気泳動法を紹介する.糖タンパク質糖鎖はPNGase Fで遊離させた後,8-アミノピレン-1,3,6-トリスルホン酸で蛍光標識した.様々なレクチンを用いたところ,糖鎖構造特異的な泳動パターンが得られ,レクチンによってピークが遅延するタイプと消失するタイプがあった.エキソグリコシダーゼ消化については酵素によって測定法を工夫する必要があった.ノイラミニダーゼやα/β-ガラクトシダーゼ消化は酵素溶液の導入時間を増加させることで進行した.ヘキソサミニダーゼは0電位印加法,フコシダーゼとα-マンノシダーゼは低電位印加法を用いる必要があった.応用として糖鎖混合物中の高マンノース型糖鎖の特異的検出ならびに,抗体医薬品中のN-グリコリルノイラミン酸およびα-ガラクトース残基の検出に適用した例も紹介する.
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