電気泳動
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63 巻 , 1 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
第57 回日本電気泳動学会学会賞(児玉賞)受賞者論文
総合論文
第19 回日本電気泳動学会奨励賞(服部賞)受賞者論文
総説
  • 長塩 亮
    2019 年 63 巻 1 号 p. 7-9
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/04/26
    ジャーナル フリー

    肺癌の診断に有用なマーカーを獲得するため,二次元電気泳動(2-DE)法を用いたプロテオーム解析によりマーカー候補となるタンパク質の探索を行った.プロテオーム解析に用いる対象は,単純な組織型の異なる肺癌由来の細胞株同士の比較や,異なる培養条件により性状を変化させた細胞株とその親株との比較の他,最近では山中4因子を導入することで癌幹細胞様細胞にした細胞とその親株との比較を行うことで癌幹細胞関連マーカーの探索なども行っている.本稿では2-DE法に用いる比較対象を工夫することで得られた各種診断マーカーに関する成果について紹介する.2-DE法は現在,誰でも簡単に行えるプロテオーム解析手法となっており,様々な研究において使用されている.獲得したいマーカーに応じて2-DE法に用いる比較対象を工夫することで,より特徴的な新たなマーカー候補タンパク質の獲得が可能である.

第69 回日本電気泳動学会総会シンポジウム:日本比較内分泌学会との共催 比較内分泌から電気泳動への秋波
総説
  • 高橋 明義
    2019 年 63 巻 1 号 p. 11-14
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/04/26
    ジャーナル フリー

    視床下部で産生されるメラニン凝集ホルモン(MCH)と脳下垂体で産生される黒色素胞刺激ホルモン(MSH)は相異なる活性により魚類の体色を調節する.MCHは色素を凝集して体色を明化し,MSHは逆に拡散により暗化する.哺乳類ではMCHとMSHは食欲をそれぞれ亢進および抑制する.魚類におけるMCHとMSHの分泌は背地色の影響を受ける.前者の分泌は白背地で多く黒背地で少ない.後者では逆になる.以上の現象に基づく仮説,「魚類においてもこれらのホルモンが哺乳類と同様の作用で食欲調節に係わるならば,白背地で食欲が増加して成長する」が,一連の研究の端緒となった.これまでにカレイ目魚類のマツカワを中心とした研究により上記の仮説を立証してきた.現在これをさらに進めて,緑色光照射によりマツカワ,ヒラメ,ホシガレイなどの成長が促進されることを見出し,これにMCHが関与するとの知見を得ている.

  • 笠木 聡, 水澤 寛太, 高橋 明義
    2019 年 63 巻 1 号 p. 15-18
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/04/26
    ジャーナル フリー

    カレイ目魚類における緑色光と成長の関連を解明するため,視覚オプシン類の特性を調べた.マツカワでは緑タイプオプシンの一種であるRH2-Aが偽遺伝子化していた.また,構造上は青タイプオプシンのSWS2Aは,機能上は緑色光感受性であった.さらに,マツカワにホシガレイ,ババガレイおよびヒラメを加えた4魚種の間でオプシン遺伝子の特性を比較した.RH2-A遺伝子はホシガレイでは消失していた.またババガレイとヒラメの成魚では,遺伝子は存在するものの発現が認められなかった.よって,カレイ目全般でRH2-Aの重要性が低いことが示唆された.SWS2Aはババガレイとヒラメにおいて構造が示すとおり青色光感受性であった.しかしホシガレイではマツカワと同じように機能上は緑色光感受性であった.以上から,マツカワとホシガレイからなるマツカワ属では,SWS2Aが青色光感受性から緑色光感受性に変化して,同属におけるRH2-Aの機能的消失を補償していると考えられる.

  • 原口 省吾
    2019 年 63 巻 1 号 p. 19-23
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/04/26
    ジャーナル フリー

    脳は,性腺や副腎で合成されたステロイドホルモンの作用部位であることが良く知られている.しかし,脳もコレステロールをもとに様々なステロイドホルモン(ニューロステロイド)を合成していることが1990年代に明らかにされた.ニューロステロイドは海馬や視床下部で活発に合成されることが分かっていたが,著者らは鳥類を用いた研究により,新たに松果体が活発にニューロステロイドを合成していることを見出した.

    松果体に豊富に存在するニューロステロイドは,アロプレグナノロンと7α-ヒドロキシプレグネノロンであった.これらのニューロステロイドは孵化直後の時期に松果体で活発に合成されていたので,孵化直後のヒヨコを用いて機能解析を行った.その結果,松果体から分泌されたアロプレグナノロンは小脳プルキンエ細胞に作用し,プルキンエ細胞のアポトーシスを制御することで,脳の適切な発達に関わることを明らかにした.

  • 丸山 迪代, 吉村 崇
    2019 年 63 巻 1 号 p. 25-29
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/04/26
    ジャーナル フリー

    熱帯以外の地域に生息する動物の生理機能や行動は季節によってダイナミックに変化する.我々の研究グループは,洗練された季節応答を示すウズラを用いて季節繁殖の分子機構の解明に取り組んできた.まず季節繁殖の中枢が存在する視床下部内側基底部に着目して解析を行うことで,季節繁殖の制御に重要な一連の遺伝子群を明らかにした.さらに比較生物学アプローチにより,鳥類,哺乳類,魚類の季節繁殖の制御機構の共通点,多様性を示した.現在,我々は動物の行動に季節変化がもたらされる仕組みにも興味を持っており,明瞭な季節性を持つメダカに着目して研究を行なっている.最近の研究から,メダカが季節に応じて目の色覚をダイナミックに変化させることで環境の季節変動に巧みに適応していることが明らかとなった.本稿では,我々のグループの研究から明らかになった動物の季節適応のしくみについて紹介する.

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