脳は,性腺や副腎で合成されたステロイドホルモンの作用部位であることが良く知られている.しかし,脳もコレステロールをもとに様々なステロイドホルモン(ニューロステロイド)を合成していることが1990年代に明らかにされた.ニューロステロイドは海馬や視床下部で活発に合成されることが分かっていたが,著者らは鳥類を用いた研究により,新たに松果体が活発にニューロステロイドを合成していることを見出した.
松果体に豊富に存在するニューロステロイドは,アロプレグナノロンと7α-ヒドロキシプレグネノロンであった.これらのニューロステロイドは孵化直後の時期に松果体で活発に合成されていたので,孵化直後のヒヨコを用いて機能解析を行った.その結果,松果体から分泌されたアロプレグナノロンは小脳プルキンエ細胞に作用し,プルキンエ細胞のアポトーシスを制御することで,脳の適切な発達に関わることを明らかにした.
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