電気泳動
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63 巻 , 2 号
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第69 回日本電気泳動学会総会シンポジウム:様々な翻訳後修飾にせまる電気泳動
総合論文
  • 伊藤 弦太, 富田 泰輔
    2019 年 63 巻 2 号 p. 31-34
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/28
    ジャーナル フリー

    LRRK2(leucine-rich repeat kinase 2)は,家族性パーキンソン病(Parkinson’s disease; PD)の原因遺伝子産物のひとつであり,Ser/Thrキナーゼドメインを有する機能未知のタンパク質である.筆者らは近年,LRRK2の生理的基質としてRab10を含む低分子量GTPase Rabファミリータンパク質を同定し,家族性PD変異によってRab10のリン酸化が異常亢進することを明らかにした.この過程で,内因性Rab10のリン酸化を検出するためにPhos-tag SDS–PAGEを活用した.Phos-tag SDS–PAGEでは,タンパク質のリン酸化をバンドシフトとして観察することが可能であり,リン酸化特異抗体を作製せずとも,内因性レベルのリン酸化を検出することができた.本稿では,Phos-tagを駆使して行ったRab10リン酸化に関する研究をまとめた.

  • 高橋 典子, 今井 正彦
    2019 年 63 巻 2 号 p. 35-39
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/28
    ジャーナル フリー

    タンパク質修飾はタンパク質機能の多様化という観点から,遺伝子の転写発現調節やタンパク質の輸送と分解に着目したシグナル伝達機構として注目されている.ビタミンAであるレチナールのオプシン修飾が視覚作用に関わることはよく知られている.一方,レチナールの酸化物であるレチノイン酸(RA)はヒト白血病細胞株HL60の分化誘導剤であり,急性前骨髄球性白血病患者を寛解させる.RAのノンジェノミックな作用機構としてレチノイルCoAを中間体とするRAによるタンパク質修飾反応(レチノイル化)を見出した.RA処理でHL60細胞分化初期にプロテインキナーゼA(PKA)の調節サブユニットはレチノイル化され,核内に移行したPKAが核タンパク質のリン酸化を促進することで,顆粒球様細胞への分化を誘導する可能性を示した.レチノイル化タンパク質の検出・同定・RA結合アミノ酸の決定に,電気泳動法,アミノ酸配列・TOF-Ms解析を駆使したので紹介する.

  • 久保田 裕二, 藤岡 興, 武川 睦寛
    2019 年 63 巻 2 号 p. 41-45
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/28
    ジャーナル フリー

    蛋白質O-GlcNAc化は細胞内蛋白質の翻訳後修飾の一つであり,分子内のセリンあるいはトレオニン残基に1分子のN-アセチルグルコサミンが結合するO-結合型糖鎖修飾反応である.O-GlcNAc化は蛋白質の機能や性質を変化させることで,細胞の基本的生命機能の制御や難治性疾患の発症に関与する.O-GlcNAc化の修飾効率は基質蛋白質や細胞環境によって大きく異なるが,特定蛋白質の修飾効率を簡便かつ迅速に定量する解析技術は未開発であった.そこで我々は小麦胚芽由来レクチン(WGA; Wheat Germ Agglutinin)を利用し,O-GlcNAc化蛋白質を選択的に分離するアフィニティーゲル電気泳動法(WGA-SDS-PAGE)を考案した.O-GlcNAc化蛋白質は,ポリアクリルアミドゲルに重合したWGAと相互作用する事で泳動度が減衰し,高分子量側へとシフトするため,特異的抗体を用いたウェスタンブロットにより,そのO-GlcNAc化型と非修飾型の比率を算出することが可能である.本稿ではWGA-SDS-PAGE法の原理,及び複数の分子を例とした実験結果の解釈について概説する.

技術
  • 木下 充弘, 山本 佐知雄, 鈴木 茂生
    2019 年 63 巻 2 号 p. 47-54
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/28
    ジャーナル フリー

    マイクロチップ電気泳動は,糖鎖分析の高速化を達成できる最有力候補であり,高スループット分析と全自動分析を同時に達成可能な分析法である.さらに,全ての分析プロセスを全自動化することで分離の正確性と再現性を向上させ,膨大なデータを取得,蓄積することで解析結果のデータベース化も容易になる.本報告では,核酸分析用の全自動型マイクロチップ電気泳動装置MultiNAを糖鎖分析へと応用するため,8-aminopyrene-1,3,6-trisulfonate(APTS)で蛍光標識した糖鎖を用いて各種分析性能を評価するとともに,その実行可能性を検証した.また,レクチンとの親和性プロファイルから糖鎖構造を推定する方法についても紹介する.

総合論文
  • 亀山 昭彦, 松野 裕樹, 飯田 真由, 丸山 光生, 渡邉 淳, 山越 貴水
    2019 年 63 巻 2 号 p. 55-61
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/28
    ジャーナル フリー

    唾液の減少と粘度の増大を主徴とする口腔乾燥症の原因の一つに老化がある.唾液の粘性は唾液中に含まれるムチンが担っていると考えられている.したがって,老化に伴う唾液腺ムチンの変化を理解することは口腔乾燥症の予防と治療に関する新たな対策の糸口となることが期待される.本研究ではマウスをモデルとして,その顎下腺組織に含まれるムチンの老化に伴う変化を分子マトリックス電気泳動を含む種々の方法により多角的に調べた.その結果,老化したマウスの顎下腺には若齢時には認められないムチン様分子が現れ,そのムチンはシアル酸を多く含有することが明らかとなった.また,老化した顎下腺組織ではシアル酸を転移する酵素の遺伝子ST6GalNAc IおよびST6GalNAc IIの発現が増加していた.

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