電気泳動
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第70 回日本電気泳動学会シンポジウム:電気泳動によって解き明かされる生命現象
論文種目:総合論文
  • 豊田 優, 高田 龍平, 松尾 洋孝, 市田 公美, Blanka Stiburkova, 鈴木 洋史
    2021 年 65 巻 1 号 p. 1-5
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/04
    ジャーナル フリー

    ATP-binding cassette transporter G2(ABCG2)は,尿酸排泄臓器において体外へ尿酸を排泄する生理的に重要な尿酸輸送体であり,痛風・高尿酸血症の主要病因遺伝子である.最近我々は,日本人のみならず,世界的に見ても高尿酸血症・痛風の発症率が高いチェコ人症例にも着目し,ABCG2変異と尿酸関連疾患との関連を検討することで,その病態生理学的重要性を明らかにしてきた.また,in vitro機能解析を通じて,ABCG2の機能低下/欠損をもたらす変異を新たに20種類以上同定することにも成功している.ABCG2が重要な薬物動態規定因子のひとつでもあることを踏まえると,本研究を通じて得られた成果は,ファーマコゲノミクスの観点からも有益であるといえる.本稿では,個別化医療や予防医学への応用が期待されているこれら一連の研究成果について,最新の知見を交えて紹介したい.

  • 茂谷 康
    2021 年 65 巻 1 号 p. 7-11
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/04
    ジャーナル フリー

    細胞質DNAセンサーcyclic GMP-AMP synthase(cGAS)は,病原体DNAを認識して活性化し,環状ジヌクレオチドcyclic GMP-AMP(cGAMP)を生成する.このcGAMPはセカンドメッセンジャーとして働き,下流のアダプター分子stimulator of interferon genes(STING)の活性化を介して自然免疫応答を誘導する.本稿では,筆者らが開発したcGAS-cGAMP-STINGシグナル経路を解析するための2つの有用なツールを紹介する.1つ目は,clear-native PAGE(CN-PAGE)を利用した高感度なcGAMP検出法である.この検出法を用いることで,自己炎症性疾患の病態モデルマウスで恒常的に生成される微量なcGAMPの検出に成功した.2つ目は,タンパク質間相互作用解析に広く用いられる近位依存性ビオチン標識(BioID)法について,時間分解能と特異性を大幅に向上させた手法を紹介する.さらに改良型BioID法を用いてSTING相互作用因子を大規模に探索したところ,いくつかの新規下流シグナル因子を同定することができた.したがってこれらの解析ツールは,様々な疾患モデルにおけるcGAMPの検出や,cGAS-cGAMP-STINGシグナル伝達機構の解明に役立つものと期待される.

  • 樋口 琢磨, Rosemary Kiernan, 坂本 修士
    2021 年 65 巻 1 号 p. 13-16
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/04
    ジャーナル フリー

    二本鎖RNA結合タンパク質であるNuclear Factor 90(NF90)は結合パートナーであるNF45と複合体を形成し,機能性小分子RNAであるマイクロRNA(miRNA)の初期転写産物(pri-miRNA)に結合することで当該miRNAの生合成を抑制する.一方,NF90が結合するpri-miRNAの構造的特徴は不明であった.我々は,ENCODEに登録されたeCLIP-seqの結果からNF90が結合しプロセッシングを抑制する候補pri-miRNAを探索し,当該pri-miRNAに「自由エネルギーが低くミスマッチの少ない安定なステム構造を有する」という特徴を見出した.この結果をもとにRNA-EMSAを実施し,pri-miRNAのステム構造にミスマッチ変異を導入することで,NF90の結合性が低下することを実証した.本研究から,NF90が結合するpri-miRNAの構造的特徴が明らかとなった.

論文種目:技術論文
  • 沖田 直之
    2021 年 65 巻 1 号 p. 17-21
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/04
    ジャーナル フリー

    ペプチドホルモンの定量では,ELISA法を用いるのが一般的であるが,数値データ以外の情報が得られないため,特に夾雑サンプルを扱う場合に特異性に問題が生じる場合がある.この観点から考えると,電気泳動によるタンパク質分離と免疫学的検出の性質を併せもったWestern blotting(WB)による定量結果の確認は有効であると考えられる.その一方で,一般的なWBにおいて,分子量数千のペプチドホルモンを扱うことはメンブレンへの保持の観点などから難しいとされてきた.著者らのグループは,insulinを用いて,WBへの適応の可否を実際に検討し,WBによる半定量解析における障害となる諸問題(シグナルバンドの歪み及びWB作業中のPVDFメンブレンからのinsulinの剥離)を見出し,その解決に成功した.本論文では,WB改法の着想,改変プロトコールのポイント,本改法に関するQ&Aの3点について紹介する.

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