細胞質DNAセンサーcyclic GMP-AMP synthase(cGAS)は,病原体DNAを認識して活性化し,環状ジヌクレオチドcyclic GMP-AMP(cGAMP)を生成する.このcGAMPはセカンドメッセンジャーとして働き,下流のアダプター分子stimulator of interferon genes(STING)の活性化を介して自然免疫応答を誘導する.本稿では,筆者らが開発したcGAS-cGAMP-STINGシグナル経路を解析するための2つの有用なツールを紹介する.1つ目は,clear-native PAGE(CN-PAGE)を利用した高感度なcGAMP検出法である.この検出法を用いることで,自己炎症性疾患の病態モデルマウスで恒常的に生成される微量なcGAMPの検出に成功した.2つ目は,タンパク質間相互作用解析に広く用いられる近位依存性ビオチン標識(BioID)法について,時間分解能と特異性を大幅に向上させた手法を紹介する.さらに改良型BioID法を用いてSTING相互作用因子を大規模に探索したところ,いくつかの新規下流シグナル因子を同定することができた.したがってこれらの解析ツールは,様々な疾患モデルにおけるcGAMPの検出や,cGAS-cGAMP-STINGシグナル伝達機構の解明に役立つものと期待される.
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