抗利尿ホルモン (ADH) 分泌調節機構における動脈圧の役割りを明らかにすることを目的に, 実験をおこなつた.
脾臓摘出犬を用いた段階的潟血実験から, 血中ADH濃度の著しい上昇が血圧の低下と密接に関連していることを認めた.さらに, 薬物を用いた血圧降下実験から, 循環血液量ならびに血漿浸透圧濃度が一定と考えられる条件のもとでも, ADHの分泌が血圧の低下によつて著明に促進されることが確認された.
これらの事実は・動脈圧が・従来から分泌調節因子として知られている循環血液量および血漿浸透圧濃度に加えて, ADH分泌調節機構に関与している可能性を示唆するものである.分泌調節因子としての動脈圧の生理的意義について考察を加えた.
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