日本内分泌学会雑誌
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46 巻, 2 号
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  • 紫芝 良昌, 清水 多恵子, 吉村 静子, 鎮目 和夫
    1970 年 46 巻 2 号 p. 122-126,107
    発行日: 1970/05/20
    公開日: 2012/09/24
    ジャーナル フリー
    甲状腺ミクロソーム分画によるLATS不活性化作用を, ヒト, ヒヨコ, マウスの甲状腺で比較したところ, ヒト甲状腺ミクロソームによつてのみ, 有意な, 強い不活性化が認められた.ヒヨコ, 及びマウスの甲状腺ミクロソームでは, LATSは不活性化されないか, 或は不活性化されてもごく軽度であつた.
    LATSは, マウスの甲状腺を刺激するが, ヒヨコの甲状腺を刺激しないことが知られている.この事実と, 我々の実験の結果とから, LATSの甲状腺刺激作用と, 甲状腺ミクロソームによる不活性化は別個の性質である, と考えられる.
  • モルモット精液に対するパロチンの作用
    青沼 繁, 真弓 忠範, 中島 敏彦, 鈴木 宏治
    1970 年 46 巻 2 号 p. 127-138,109
    発行日: 1970/05/20
    公開日: 2012/09/24
    ジャーナル フリー
    androgensと密接な関係を有する射精精液量, および精子などに対する唾液腺ホルモンの作用について検討した.parotinは, 1日0.5mg2週間筋肉内注射し, 射精は電気刺激により, 精子は副睾丸より直接採取して用いた.過度の射精を行なわせると射精量は著るしく減少するが, parotin投与群ではその減少が抑制され, controlの約2倍を示した.しかし去勢モルモットでは何ら影響をおよぼさなかった.また唾液腺を別出すると射精量は有意に減少した.精漿成分については遊離アミノ酸がparotin投与により増加すること, 酸性ホスファターゼ活性は唾液腺別出により低下すること, 唾液腺別出により減少した果糖が唾液腺ホルモン投与により再び増加回復することが認められた.またparotinは精子自体にも働き, 精子運動性, 生存性などを向上させることが認められた.
  • 唾液腺ホルモンの下垂体前葉FSH, LH活性に対する作用および下垂体易咄, 去勢などによる唾液腺ホルモンの変動
    青沼 繁, 真弓 忠範, 中島 敏彦, 鈴木 宏治
    1970 年 46 巻 2 号 p. 139-147,110
    発行日: 1970/05/20
    公開日: 2012/09/24
    ジャーナル フリー
    唾液腺ホルモンの下垂体前葉に対する作用を検討すると共に, 下垂体, 睾丸側からみた唾液腺を唾液腺ホルモン産生, 分泌の面から検討するため, 唾液腺ホルモン投与後の下垂体前葉中FSH, LH活性, 尿中17-KS, 血中estrogenを測定した.また唾液腺ホルモンの定量はradioimmunoassayによつた.その結果唾液腺ホルモン投与により下垂体中FSH, LH含量が増加し, 同時に尿中17-KS, 血中estrogenも増加することを認めた, また下垂体あるいは睾丸を別出することにより, 耳下腺, 顎下腺は有意な萎縮をみせ, 唾液腺ホルモン濃度も有意に減少することをみとめ, さらにこれと平行して血中唾液腺ホルモン量も変動することを認めた.
  • 緒方 佳晃
    1970 年 46 巻 2 号 p. 148-162_2,112
    発行日: 1970/05/20
    公開日: 2012/09/24
    ジャーナル フリー
    幼若ラット膵の器官培養を試み, ブドウ糖1mg/mlを含む modified Eagle's medium に chick embryo extract および仔牛血清をそれぞれ10%の割合に加えた培養液を用いて, 97%O2-3%CO2なる混合ガスを通気した場合6-9日間はその機能を維持しうることを形態学的に観察した.ついで諸種薬剤あるいはhormoneを培養液に加えて3日間培養し, 形態学的に観察するとともに培養液中に放出されるimmunoreactive insulinを測定して諸種物質の培養膵組織の形態およびinsulin放出におよぼす影響について検討した.
    生後14日前後のラット膵をブドウ糖1mg/mlを含むmodied Eagle's mediumに CEE および仔牛血清をそれぞれ10%の割合に加えた培養液を用いて, 97%O2-3%CO2なる気相下で器官培養を行ない, まず形態学的に観察した結果, 少なくとも培養6-9日間はその機能を維持しうると推定した.ついで諸種物質を培養液に加えて3日間培養し, 形態学的に観察するとともに培養液中に放出されるIRIを測定した.
    その結果, 培養液中にブドウ糖5mg/mlを加えた場合にはA-F染色でβ顆粒が減少, 抗insulin血清を用いた螢光抗体法で螢光の輝度および強さが弱減, 培養液中にinsulin放出が増加した.xylitol 1mg/mlをブドウ糖の代りに用いた場合には, 対照に比し形態学的にはとくに差異を認められなかつたが, 培養液中IRIの減少がみられた.CEEを培養液から除いた場合にはβ顆粒の減少と螢光の減弱を, 培養液中IRIは減少した.Alloxan5または10μg/mlではβ細胞に退行変性像, 顆粒の減少および螢光の減弱を示すものが多く, IRIはいちじるしく減少した.Tolbutamide-Na 100μg/mlではβ顆粒の減少, 螢光の減弱およびIRIの著増を, dimethylbiguanide-HCl 100μg/mlでは形態学的にも, またinsulin放出についても対照と差異がみられなかつた.
    ついで, それぞれ10μg/mlの各種hormoneを培養液に加えてその影響を観察したが, 培養3日間に関する限り, 形態学的にはとくに対照と差異がみられなかつた.一方, IRIについては天然ACTHおよびglucagon添加で増加が, 塩化acetylcholine添加でやや増加の傾向がみられ, 合成ACTH, l-thyroxine-Na添加ではほとんど影響がみられなかつた.しかし, cortisone, 塩酸epinephrine添加では減少し, 牛growth hormoneに関してはブドウ糖1mg/mlを含む培養液に添加した場合やや減少の傾向が, またブドウ糖5mg/mlを含む培養液に添加した場合にはブドウ糖5mg/mlのみを含む場合に比し減少がみられた.
  • 松原 嘉雄
    1970 年 46 巻 2 号 p. 163-175,114
    発行日: 1970/05/20
    公開日: 2012/09/24
    ジャーナル フリー
    組繊に於ける脂肪酸動員機構を解明するためLipoprotein Lipase (LPL) と共に重要な意義を有すると考えられるHormone Sensitive Lipase (HSL) の Assay Gonditionを設定した.次いで, 白鼠組繊を用い各種inhibitor, 絶食による影響, 細胞内分布, 至適pH等の諸点につきLPL及び膵Lipaseとの相異性を検討し, 更にHSL, LPL活性が, 脂肪酸動員作用を有する種々のホルモン, 即ち, ACTH, Growth Hormone, H-factor, Epinephrine, Norepincphrine等により活性増加を示すことを知つた.又, 3′, 5′-cyclicAMP及びCaffein, Theophyllinが著明なLPL, HSL活性賦活作用を示したので, これら二つのLipase活性は, phosphorylase活性化と同様にadenyl cyclascを介して調節されているものと推定される.
  • 中林 弘好
    1970 年 46 巻 2 号 p. 176-188,116
    発行日: 1970/05/20
    公開日: 2012/09/24
    ジャーナル フリー
    Saffran, Schallyらの下垂体短時間Incubation法によるin vitroの方法でTRFの検定を行つた.TRF preparationの牛視床下部起源の純化TRFとラット視床下部より抽出した粗TRFとを用いた.これらのTRF preparationがin vitroの方法で検定が可能であることを証明し, ラット視床下部粗TRF活性の検定を通じて, 甲状腺剔除, 甲状腺ホルモン投与および寒冷曝露時のラット視床下部TRF活性の変動を観察した.又甲状腺ホルモンはTRFに対する下垂体の反応を抑制する結果を得た.
  • 阿佐美 実
    1970 年 46 巻 2 号 p. 189-206,118
    発行日: 1970/05/20
    公開日: 2012/09/24
    ジャーナル フリー
    視床下部にその存在が想定されているTSH放出因子 (TRF) の抽出分離を試み, 且つTRFの本態を確めるために, 大量の牛視床下部をKamm Aldrichの方法で抽出し, 更にDEAE-Sephadex A50を使用したカラムクロマトにより分画化して得られたD分画に特異的なTRF効果を認めた.TRFの本態は後葉ホルモンや既知の活性アミン類やPeptideとは異つた特異的なものである事を示した.
  • 百渓 尚子
    1970 年 46 巻 2 号 p. 207-217,120
    発行日: 1970/05/20
    公開日: 2012/09/24
    ジャーナル フリー
    甲状腺機能亢進症では筋肉量の減少があるのではないかと考え, 体重補正上腕囲 (体重増減度を0としたときの上腕囲) を筋肉量の指標として用いて本研究をおこなつた.対象は甲状腺機能亢進症患者男109例, 女292例で, 各々の患者と身長, 体重, 年令のほぼ見合う健常者男109例, 女292例と体重補正上腕囲の比較をおこなつた.また治療により機能の正常化を認めた時, その後3~4ケ月経た時の体重補正上腕囲を, 治療前, 健常者などと比較した.亢進症男子の治療前の体重補正上腕囲の平均は25.4cm, 女子25.4cmで, 健常男子26.7cm, 女子26.0cmと比べ男女とも亢進症患者が有意に小さく (p<0.001), 機能の正常化を認みた時点でもなお健常者より小さく, その後3~4ヵ月を経て初めて健常者との差がほとんどなくなつた.以上のことから「甲状腺機能亢進症患者では筋肉量の減少があり, その回復は甲状腺機能の回復よりおくれる」という結論が得られた.
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