糖尿病に於ける脂質代謝異常が, 肝障害及び血管障害の発生, 進展に果す役割を検討するため, 除膵犬を高脂肪食或いは普通食を与え, Insulinでgood或いはpoor controlの状態で, 1~10カ月間飼育して観察した.
poor controlの除膵犬では, 脂質代謝異常がすでに術後2週で見られ, 1カ月で肝の脂肪変性, 4カ月で腎糸球体病変が現われ, この変化は高脂肪食を投与する事により促進し, Insulinの負荷によつて軽減した.又, 肝障害とT.Gの変動, 及び腎病変とFFAの変動とが平行関係を示した.
以上の事により, 糖尿病に於ける肝, 腎の変化は, Insulin欠乏による糖代謝及び脂質代謝異常によつて引き起される事を認めた.
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