Ungar, Dupré, Eisentrautら (1969) 1) は, 膵島ホルモンに対する胃腸調節システムについて述べ, これを'entero-insularaxis'と呼ぶことを提唱した。しかし, このaxisに関する概念は, 既に1906年Moore, Edie, Abramらによって指摘されていた。その後, 歴史的発展をみたが, 最近Creutzfeldt 2)は狭義のincretinとして, GIPをあげ, insulin分泌刺激の中心的ペプタイドとしてその生理的意義を論じている。彼は, incretinとは胃腸管で生産され, endocrine transmitterとして認められるものに限定して用いるべきであるとしている。特に栄養素, 中でも糖質に依存してインスリンが放出されること, さらにそのGIPが仲介するinsulin低血糖に対しても安全装置としての機構が具備されていて, GIPの生理的合目的性を強調している。従ってVIPのような神経ペプチドはinsulin放出能をもつにも拘らずincretinから除外すべきであると述べている。
しかし, 食物摂取後にみられるinsulin放出機序にpeptidergie (VIPergic) innervationの生理作用を除外して論議することは, 実際的でなく, また出来ないことである。
生体反応として, おこりうる生理的反応は複雑な綜合的機構であり, incretinは, むしろ, neuro-endocrine systemの一つとしてのentero-insular axisを形成するとみるべきであろう。
そこで, 本シンポジウムでは, CCKと膵ポリペプチド (PP) とをとりあげ, neuro-endrocrine systemとしてのentero-insular, あるいはenteropancreatic axisをhumoral regulationとneuofiberを介した調節機構との両面より再整理してみたい。
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