画像知覚暗号化は,画像の視聴内容を把握困難にする暗号化技術として,プライバシー保護やアクセス制御,メディア配信などの分野で注目されてきた.近年,SNSやその他のクラウドサービスなどで通信される画像は,送信者の意図によらず,JPEGなどの圧縮規格(フォーマット)で公開され,いわゆるZIPファイルなどの非公開状態での通信に非対応であることが多い.そのため,このJPEGをはじめとした国際標準フォーマットに準拠しつつ,その視聴内容を保護する知覚暗号化,すなわち「フォーマット準拠暗号化」が強く求められ,重要な研究分野として発展してきた.国際標準フォーマットに準拠しつつ暗号化を実現することによって,既存の復号器(画像ビューア)を搭載したプラットホーム上で視聴できつつも,その視聴内容を保護することが可能である.これまでのフォーマット準拠暗号化は,画素領域や変換領域などにおいて多様に設計・提案されており,知覚劣化度合の調整可能性・攻撃への頑健性・計算量・一部プラットホーム上での画像の再圧縮への対応(設計上の課題)といった観点で研究されている.本解説論文では,まず画像知覚暗号化技術全体の研究動向を俯瞰し,その中で更にJPEGフォーマット準拠暗号化アルゴリズムに焦点を絞り,上記の設計上の課題について概観・整理する.
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