記憶部からバスを介して命令を逐次に読み出し高機能な中央処理部でそれを実行するノイマン形プロセッサは, 2 進コードによる情報処理をいわば万能的に可能にしてきたが, 二次元積層技術では限界が見え始めてきた. そこで, 近年, 集積回路の実装技術において垂直方向に情報を伝送させることにより, 記憶と処理間の転送を並列かつ直接的に行う三次元積層技術が注目されてきた. また, アナログ空間の情報をディジタル空間の情報に変換し処理する過程において, センサ処理, 量子化処理, 符号化処理などの並列化A-D 変換技術, 更に, 近傍情報のみを知るセルの集合で準最適な情報を発見するアドホック的ネットワーク内での効率的情報探索などを行う最適化伝送技術も重要視されてきた. 三次元構造である実際の脳内では, 興奮性と抑制性の単一細胞(セル) は2 値パルス列を生成し, 複数のセルが近傍結合された, いわば, セルラニューラルネットワーク(CNN) を伝搬するパルス情報を使って並列かつ高度なダイナミクスによる情報処理を既に行っている. CNNの定義は, セルの局所結合性とセルの状態変数の実数性のみであって, いわば, 複数のA-D 変換セルが局所的に結合された非線形RC 回路である. 本稿では, セルの状態をパルス列にΣΔ 変調するローカルなダイナミクスとそのダイナミクスから生成された非線形出力の近傍結合によるグローバルなダイナミクス情報処理, 特に, 静的構造によるセンサ画像処理, 動的構造によるCNN 学習処理について分かりやすく解説する.
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