Experimental Animals
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28 巻, 4 号
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  • 浜田 佑二
    1979 年 28 巻 4 号 p. 485-490
    発行日: 1979/10/30
    公開日: 2010/12/09
    ジャーナル フリー
    ボーマン嚢上皮が立方細胞を有する腎小体は成熟したJCL-ICR, El, ASKおよびKKマウスの雄では90%以上に認められ, 成熟したJCL-ICR, dd, ElおよびASKマウスの雌では10%以下に認められたのに対し, 10週令および23~28週令のC57BL/6J-obマウスでは雄で87.2~88.7%, 雌で57.9~66.6%に見られた。このことから成熟C57BL/6J-ob雌マウスのボーマン嚢上皮細胞は通常の成熟雌マウスと異なり, 成熟雄マウスに類似していることが判明した。
    JCL-ICR雄マウスのボーマン嚢上皮が立方細胞を有する腎小体の出現率は5週令より高くなり始め, 週令と相関して増加し, 完全に成熟した10週令マウスでは95.8%に達し, 成熟雌マウスとの間に差が認められた。立方上皮細胞の表面では密な微細絨毛と1~2して本の線毛との混在が見られ, 近位尿細管と類似の構造が観察された。
  • 笠井 一弘, 宮本 政樹, 坂口 孝
    1979 年 28 巻 4 号 p. 491-495
    発行日: 1979/10/30
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    Coccidiumに罹患した親から生まれた仔を生後25日令で離乳し, 隔離することによって, Coccidiumフリーウサギのコロニーを作出することに成功した。このコロニーは衛生的な飼育管理のもとで, 5年間にわたりCoccidium, Bordetella, Pasteurellaならびに耳介センダニの汚染を受けずに維持された。その結果, 離乳後幼若仔の下痢, 死亡はほとんど見られなくなった。一方, このコロニーでは新生仔の食殺や親に踏まれる圧迫死が多かったが, 産室床面積の拡大 (1, 600から3, 100cm2) , スノコの金網化, 滅菌乾草の使用などによって, これらの障害はかなり改善された。
  • 飯田 晶敏, 内海 健二朗, 石川 隆司, 上田 芳仲, 前田 敏宏, 大西 久美雄, 辰巳 熙, 藤原 公策
    1979 年 28 巻 4 号 p. 497-506
    発行日: 1979/10/30
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    Spontaneously hypertensiveラット (SHRラット) の繁殖集団で, 1971年から1975年にかけて9, 132例の離乳ラットの中から18例の多発性の骨肉腫を経験した。
    1.外見および触診により骨肉腫の発見されたのは72から145日令の間であった。
    2.発生部位は最も高頻度にみられたのは顔面骨で, 次いで尾椎, その他前肢, 後肢にもみられた。
    3.組織学的に腫瘍は肉腫性の腫瘍組織の中に種々の程度で類骨, ときには軟骨の形成も示すという骨肉腫の特徴を示したが, 転移はどの臓器・組織にもみられなかった。
    4.担腫瘍動物の血中アルカリ・フォスファターゼ値は同年令の非担腫瘍SHRラットの2倍以上を示した。
    5.腫瘍以外に気管支拡張症と顎下リンパ節の膿瘍形成がほとんどの担腫瘍動物にみられた。
  • 棚瀬 久雄, 松沼 尚史, 鈴木 善雄
    1979 年 28 巻 4 号 p. 507-518
    発行日: 1979/10/30
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    薬物に対する感受性が生産された動物の飼育環境や実験環境などのいわゆる近隣環境によりどの程度の影響を受けるかについて主としてビタミンB1塩酸塩と一部イソニアジドを用いてマウスに対する急性毒性のLD50値を指標にして3つの独立した実験を行なった。第1は環境統御の不充分な施設で生産された動物を購入して, 不充分な実験環境で実験を行なったものであり, 第2はある程度の環境統御がなされた施設で生産された動物を購入して, 比較的整備された実験環境で実験を行なったものであり, 第3はバリアーシステムのもとで自家生産した動物を用いて, 充分な実験環境の整備のもとで実験を行なったものである。その結果, 入荷後の環境統御が充分なほど動物は薬物に対する感受性が強く現われ, この点は毒性反応が緩徐に現われるイソニアジドでより著明であった。また薬物の感受性は季節の影響を受けるようであったが, その受け方はそれぞれの動物の飼育環境や実験環境で異なっており, これらの近隣環境の統御が充分に行なわれた実験3では季節間変動は非常に少なかった。よって動物実験には良好な飼育環境で生産された動物の使用と充分な実験環境の整備が必要であることが判明した。
  • 棚瀬 久雄
    1979 年 28 巻 4 号 p. 519-530
    発行日: 1979/10/30
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    SHRの血圧の遺伝様式を明らかにするために正常血圧系統としてDonryuを使って遺伝分析を行なった。SHRとDonryuの交雑より得られたF1, F2, 各もどし交配世代の平均血圧は両親の中間値を示した。さらにF2世代の血圧分布は3相性を, 各もどし交配世代のそれらは2相性を示した。そこで各個体を血圧によりSHR型, F1型, Dornyu型に分類し, その表型分離比を求めたところ, F2世代では1: 2: 1, 各もどし交配世代では1: 1であった。またF2世代より高血圧・低血圧の2方向選抜を行なったところ, 選抜第1世代で急激な選抜効果が得られ, その後の選抜反応は徐々に現われ選抜第7世代でそれぞれ両親系統の血圧に等しくなった。次にF1世代より血圧の最とも高い個体をDonryuへ, また最とも低い個体をSHRへ連続もどし交配を行なったところ, 各世代の血圧分布はいずれも2相性を示し, 表型分離比も1: 1であった。また各もどし交配世代の中でF1型の血圧を示す個体の交配によって得られた世代の血圧分布は3相性を示し, 表型分離比もほぼ1: 2: 1であった。以上の結果からSHRの血圧は主遺伝子といくつかの小さな効果をもった変更遺伝子群によって支配されていることが判明した。そこでこの主遺伝子に遺伝記号ht (hypertension) を与えた。またDonryuの遺伝子組成にht遺伝子が導入されたcongenic strainが育成された。
  • 江守 利博, 高橋 正一, 長瀬 すみ, 吉田 俊秀
    1979 年 28 巻 4 号 p. 531-535
    発行日: 1979/10/30
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    ラットの血清中の乳酸脱水素酵素 (LDH) 活性値は血液凝固の経過にともない顕著に上昇し, その原因として血小板からの酵素の遊出が前報において指摘された。今回同じRattus属に属するクマネズミについて検討したところ, 次の結論を得た。
    1) クマネズミでは血清LDH活性のこのような上昇は極めて少なく, 他の酵素活性 (クレアチンキナーゼ) についても同じ傾向が示された。2) 両動物におけるこのような差を血小板からの酵素の遊出過程における差と考え, 両者の血液組成および血液凝固に関するいくつかの生理値を比較したところ, 血小板数および血小板あたりの酵素活性などには差が認められなかったが, 血しょうのフィブリノーゲン量がクマネズミで1.5倍多かった。3) 両者の血小板の膜を構成する蛋白質をSDS-ポリアクリルアミド電気泳動で比較したところ, 血小板の血液凝固能に最も関係するとされている糖蛋白パターンに両種の間で相違が認められた。
  • 森田 迪夫, 飯田 孝, 土屋 嘉樹, 青山 友三
    1979 年 28 巻 4 号 p. 537-550
    発行日: 1979/10/30
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    1976年8月26日, アメリカ合衆国経由で, 南アメリカから輸入されたワタボウシマーモセット (Saguinus oe-dipus) に致死的経過をみたherpesvirus tamarinus感染がみられた。Herpesvirus tamarinus感染症例において, これまでに報告されている病変のほかに, 消化管の神経叢, 腹腔の交感神経およびその神経節に核内封入体の形成を伴った神経細胞の高度の変性・壊死が認められた。中枢神経系における炎症性・退行性変化も同時に認められた。多形核巨細胞にしばしば認められた多くの塩基好性ないし酸好性核内封入体が各種の臓器および組織にみられ, これらの封入体は電顕レベルにおいて, 異にした像を示していた。病理形態学的所見から, herpesvirus tamarinus感染症はヒトのherpes simplex virus感染症に類似しているようにみえた。
    血清学的にherpevirus tamarinusと同定された分離ウイルスに対する各種培養細胞の感受性およびその分離ウイルスの物理化学的性状の所見は, 以前の研究者によって報告されたherpesvirus tamarinusの所見とほぼ一致していた。
  • 桐野 高明
    1979 年 28 巻 4 号 p. 551-554
    発行日: 1979/10/30
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    1962年にPalayらが発表した灌流固定法は, 非常に安定した固定条件が得られるため, その後固定の標準的な方法として広く採用されている。人工呼吸下に動物の開胸を行ない, 心臓から大動脈を経て固定液を灌流するというのが, 彼らの方法の要点である。特に中枢神経系の固定には彼らの言うような人工呼吸下の灌流が不可決と考えられる。筆者は, この人工呼吸を安定に維持し, しかも灌流固定を一人の研究者のみで行ない得るような人工呼吸器を開発, 試作したのでここに発表する。
    最後に, 本機の製作にあたリ, 御助言をいただきました, 東京大学理学部動物学教室, 舘鄰先生に深く感謝いたします。
  • 真板 敬三, 松沼 尚史, 増田 裕, 鈴木 善雄
    1979 年 28 巻 4 号 p. 555-560
    発行日: 1979/10/30
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    Wistar今道ラット雄320, 雌354例における自然発生腫瘍の頻度と種類を130週齢まで経時的に検索した。
    検索期間中に認められた担腫瘍動物は雄170, 雌269例で, 53週から78週齢の間に急激に増加した。また, 雄62, 雌115例には複数の腫瘍が認められた。最も頻発した腫瘍は下垂体 (雄69: 雌224) , 乳腺 (29: 99) , 精巣 (雄74) , および副腎 (26: 21) に見出された。このうち下垂体と雄の精巣の腫瘍は加齢とともに発生頓度が増加した。そのほか腫瘍は卵巣・子宮・腟 (雌27) , 甲状腺・上皮小体 (13・12) , 皮ふ (8: 8) , 脾・リンパ節 (8: 7) , 膵 (9: 5) , 肝 (3: 7) に, また, 肺 (3: 3) , 胸腺 (1: 4) , 大網・腸間膜 (2: 3) , 胃・小腸 (2: 2) , 腎・膀胱 (1: 2) , に認められ, さらに, 右大腿骨 (雌1) と大脳 (雌1) にも観察されたが, これらの多くは観察期間の後期に発生した。
  • 長澤 弘
    1979 年 28 巻 4 号 p. 561-575
    発行日: 1979/10/30
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    A basal stock of Swiss albino mice was selected to two ways for high and low mammary tumorigenesis and two new strains were established (SHN and SLN) [27, 34] . They have still been selected and maintained by the strict brother×sister mating. SHN and SLN are now at F37 and F31, respectively.
    In this paper, the changes in mammary tumorigenesis in both strains until F30 and the strain-difference in several characteristics concerning mammary tumorigenesis were briefly reviewed.
    Mammary tumor incidence was increased and onset age of tumors was decreased with the advance of generation in SHN breeders and they were almost constantly 100% and 6-7 months, respectively, after F11. The effects of selection were not so marked in SLN breeders; mammary tumor incidence was fluctuate largely around the mean value of P generation and increased considerably after F23. The onset age of tumors became about 1 month later than P generation on average (Fig. 1) .
    SHN virgins showed mammary tumor incidence of more than 90% and the onset age of 8-9 months. The effect of selection in SLN females was marked in virgins and the incidence and the onset age were 10-20% and 14-18 months, respectively, in each generation (Fig. 2) .
    While the life spans of breeders and virgins which died without mammary tumors were 8-14 months and 13-19 months, respectively, in both strains, the variations were so large in each generation.
    All mammary tumors checked were diagnosed as adenocarcinoma and the number of tumors per mouse was significantly higher in SHN than in SLN. The tumors of both strains were hormone independent (Fig. 3) [21], and the growth potential of tumors was higher in SHN than in SLN when transplanted into female nude mice (Fig. 4) .
    While 1 out of 39 (2.6%) mammary tumor bearing SHN mice had metastases to the lung, the ratio increased up to 23% (10/43) by elongation of survival time of animals by surgical removal of mammary tumors.
    Both normal mammary growth (Fig. 6) and preneoplastic mammary hyperplastic alveolar nodule (HAN) formation (Fig. 7) were much more marked in SHN than in SLN.
    SHN was superior to SLN in mammary sensitivity to prolactin and ovarian hormones, whereas no clear differences between strains were observed in plasma prolactin levels at different reproductive states (Fig. 8) [15, 27] or mammary gland prolactin receptor during lactation [15] .
    The pattern of estrous cycles of SHN females was characteristic in having long continued diestrous phases (Fig. 9) [24] . Among several characteristics examined as the indices of reproductivity (Fig. 10), characteristics concerning lactational performance, litter growth and litter growth rate, became better with the advance of selection in SHN (Fig. 10-E, F, G, H) .
    The mammary tumor appearance was much higher and earlier in (SHN×SLN) F1 virgins than in (SLN×SHN) F1 virgins (Fig. 11), indicating higher mammary tumor virus (MTV) activity in SHN than in SLN. MTV antigen was identified by immunodiff usion test in the milk of both SHN (100%) and SLN (83%) [2] . It was also found in prostates and seminal vesicles of males of both strains [36] .
    The responses of normal spleen cells and that of fat pad to PHA were significantly lower and higher, respectively, in SHN than in SLN.
  • 1979 年 28 巻 4 号 p. 577-612
    発行日: 1979/10/30
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
  • 1979 年 28 巻 4 号 p. 613-618
    発行日: 1979/10/30
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
  • 1979 年 28 巻 4 号 p. 619-621
    発行日: 1979/10/30
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
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