Experimental Animals
Online ISSN : 1881-7122
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29 巻, 3 号
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  • 福田 俊, 松岡 理
    1980 年 29 巻 3 号 p. 317-326
    発行日: 1980/07/10
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    マウス (C3H) , ラット (Wistar) およびサル (Cynomolgus) の四肢長骨の発育を観察した結果はすでに本誌に報告した。本論文ではこれらの結果に同一方法で研究されたビーグル犬に関する論文を引用し, これら4種類の実験動物の四肢長骨の発育に関する比較検討を行なった。
    各動物種におけるそれぞれの四肢長骨の骨端核の出現から融合までの発育の様相は共通していた。そこで各動物種の骨端核の全発育過程を単純化かつ抱括的に比較するために, 各測定時点ごとに評価基準にもとついて得たそれぞれの骨端核の骨点数を総和し, それを各動物の暦年令に対してプロットする方法を用いた。その結果, 直線を示す3つのステージからなる単純化した発育パターンが各動物に共通して得られた。これらの3つのそれぞれのステージはどの動物種においても生物学的に同じ意味をもつと解釈された。すなわち第1ステージは骨端核の出現および初期の急速な発育を, 第2ステージはその後から融合完成までの緩徐な発育を, 第3ステージは融合完成以後を, それぞれ示すと考えられた。
    以上のことから, マウス, ラット, イヌおよびサルの四肢長骨の骨端核の発育過程は, 3つの生物学的ステージからなる共通した発育パターンを示し, かつ各動物のそれぞれのステージは相互に対応していることが知られた。
  • 栗原 久
    1980 年 29 巻 3 号 p. 327-333
    発行日: 1980/07/10
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    F344/DuCrj (Fischer) 系雄ラット (Fischer: 日本チャールス・リバー) の行動面の特性を把握するため, 無条件行動として自発運動量の測定, およびオペラント条件行動としてシドマン型および弁別型回避反応習得過程の観察を行ない, Wistar系雄ラットの成績と比較検討した。12時間明: 12時間暗環境下における自発運動は, 両系統のラットとも明期に低く暗期に高い, 明暗周期に同調した日周パターンを描いた。しかし運動カウント数はFischer系ラットの方がWistar系ラットより有意に高かった (P<0.01または0.001Student's t-test) 。シドマン型回避反応 (反応―ショック間隔=30秒, ショック―ショック間隔=5秒) の訓練初期段階 (第1~第3セッション) における被ショック率は, Fischer系ラットの方がWistar系ラットより高かった (p<0.05または0.01) 。逆に弁別型回避反応 (試行間隔=25秒, 警告刺激提示時間=5秒) の訓練初期段階 (第3~第5セッション) では, Wistar系ラットの方がFischer系ラットよりショックを多く受け, 低い回避率を示した (p<0.05または0.01) 。しかし訓練の進展後では両系統間の差異がほとんど認められなかった。シドマン型および弁別型回避スケジュールにおける総反応数あるいは試行間反応数に関する系統差は観察されなかった。本実験結果はFischer系ラットがWistar系ラットと異なる行動特性を示す可能性があることを暗示している。またFischer系ラットを使用して行動実験を行なう際, 本実験で観察された様な行動面の特性を考慮する必要性を示唆している。
  • 松本 清司, 赤木 博, 落合 敏秋, 萩埜 恵子, 関田 清司, 川崎 靖, Muhammed A. MATIN, 降矢 強
    1980 年 29 巻 3 号 p. 335-340
    発行日: 1980/07/10
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    アカゲザルおよびカニクイザルの血液生化学的検査を, コールターカウンター, オートアナライザーおよび電解質自動分析機を用い測定した。
    白血球数, 赤血球数については雌雄とも, アカゲザルに比べカニクイザルが高値を示し, ヘモグロビン量, ヘマトクリット値, MCV, MCH, MCHCについては逆にカニクイザルが低値を示した。総蛋白量およびAIPについては, 雌でアカゲザルに比べカニクイザルで高値を示したが, アルブミン量およびクレアチニン量については, 雌雄ともカニクイザルで低値を示した。性差が認められた項目は, アカゲザルでは, MCV, 無機リン, 総蛋白, アルブミン, クレアチニンであったのに対して, カニクイザルでは, クレアチニン, リン脂質, トリグリセライドであった。
  • I. Bruce効果の系統差について
    古舘 専一, 中野 健司
    1980 年 29 巻 3 号 p. 341-344
    発行日: 1980/07/10
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    雄フェロモンに反応して妊娠阻止を生ずるBruce効果について, C3H, C57BL/6, BALB/c, CBAおよびDDY系の5近交系マウスを用いて比較・検討した。
    各近交系マウスは同系雄と交配し交尾確認後, 交配雄, 非交配の同系雄, 異系雄との近接を行ない妊娠阻止反応を調べた。
    交配雄および同系雄に対する妊娠阻止反応はBALB/c系の場合を除いて, いずれも低率であった。C3H, BALB/c, CBAおよびDDY系では, 異系雄に対して妊娠阻止がおこりBruce効果が認められた。その効果はCBAおよびDDY系において顕著であった。C3H系では異系のBALB/c雄の近接に対して著明な妊娠阻止反応を示した。しかし, C57BL/6系では交配雄および異系雄の近接共に, Bruce効果は認められなかった。
    以上の結果, Bruce効果には雌系統間で顕著な差異が存在することが明らかになった。
  • 篠田 元扶, 田村 弘, 田嶋 嘉雄, 前島 一淑, 渡来 智
    1980 年 29 巻 3 号 p. 345-349
    発行日: 1980/07/10
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    1.幼若 (21~25日齢) 雌無菌 (Gf) およびふつう (Cv) ICRマウスに日量50IUのhCGを2日間皮下投与した。最終投与6時間後のGf, Cvマウスの子宮重量 (体重比) は, それぞれ175.8mg%, 238.7mg%で両者の差は有意 (p<0.05) であった。
    2.卵巣摘出2週後の成熟 (80~150日齢) 雌GfおよびCvマウスに日量0.02mgのestradiol benzoateを5日間皮下投与したところ, 最終投与6時間後の子宮重量はGf, Cvマウスでそれぞれ358.8mg%, 462.7mg%を示し, その差は有意 (p<0.01) であった。
    3.同上卵巣摘出, estradiol benzoate2日間前処置成熟雌マウスに, 継続して3日間日量1mgのprogesteroneを皮下投与し, 最終投与の6時間後に子宮重量を測定したところ, Gf, Cvマウスはそれぞれ337.6m9%, 423.5mg%を示し両者の差は有意 (p<0.01) であった。
    4.精巣摘出2週後の成熟 (80~150日齢) 雄マウスに日量1mgのtestosterone propionateを5日間皮下投与し, 最終投与6時間後に測定した精嚢・凝固腺重量はGf, Cvマウスでそれぞれ376.0mg%, 611.8mg%であり, 両者間に有意差 (p<0.01) をみとめた。
    以上の如く, hCG, estradiol benzoate, progesteroneあるいはtestosterone propionateを投与されたGfマウスの子宮, あるいは精嚢・凝固腺重量はCvマウスに比べて有意に低い。なお雄の会陰部筋群を除くと, 無投与のGfおよびCvマウスの臓器重量に有意差はみとめられなかった。
  • 高橋 和明, 佐久間 伸一, 上田 英夫, 海老野 耕一, 斎藤 徹, 今道 友則
    1980 年 29 巻 3 号 p. 351-354
    発行日: 1980/07/10
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    モルモットの前肢の静脈を用いた無麻酔による静脈内注射と採血法について検討を行なった。その結果次の成績を得た。
    1) 静脈内注射および採血用血管として副橈側皮静脈と橈側皮静脈が使用できることがわかった。副橈側皮静脈における注射および採血は容易であった。
    2) 副橈側皮静脈と橈側皮静脈を用いた注射と採血は次の手順で行なった。 (1) 注射部位の皮膚の除毛を行なう。 (2) 動物の肘関節部の前面と後面を母指と示指でつまみ注射する前腕部を確保する。 (3) アルコール綿で投与皮膚を消毒した後, 1/4~1/3の静脈針を装着した注射器を用いて注射する。採血の際は1/2位の静脈針で血管を破綻させ, 出血する血液を採取する。
  • 石島 芳郎, 富樫 守, 北島 省吾
    1980 年 29 巻 3 号 p. 355-357
    発行日: 1980/07/10
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    The non-surgical collection of rat embryos were examined. The apparatus for uterine flushing (Fig. 1 and 2) were designed to have a two-way system. Egg collection were made 5 days after mating. Eggs were collected from anesthetized donors using a pair of glass pipettes inserted to the end of each uterine horn through the cervix uteri. By non-surgical technique, it was successful to collect the eggs at an average of 4.0 from all the animal. The recovery rate was 40.7% as estimated the number of corpora lutea counted after the slaughter of the donor. The recovery rate in non-surgical methods was considerably lower as compared with that of the uterine flushing after the slaughter.
  • 斎藤 徹, 勝山 慎, 海老野 耕一, 高橋 和明
    1980 年 29 巻 3 号 p. 359-363
    発行日: 1980/07/10
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    生後12~20週齢のIVCS, C3H/HeおよびC57BL/6系雄マウスの飲水行動量 (リッキング回数) パタンの日周期リズムについて検討した。14時間明, 10時間暗の明暗サイクル下における各系統マウスの飲水行動量パタンは, 明暗サイクルに同調して24時間を周期とするリズムを示し, IVCS系マウスは点燈・消燈時前後にピークをもつ2峰性のパタンを示したが, C3H/HeおよびC57BL/6系マウスは暗期に幅広いピークをもつ1峰性のパタンを示す傾向がみられた。
  • 寺田 英司, 中山 太郎, 日置 恭司, 斎藤 宗雄, 奥平 博一
    1980 年 29 巻 3 号 p. 365-367
    発行日: 1980/07/10
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    Outbred hooded由来であるヌードラット (rnu/rnu) の, 免疫学的性格を検討した。胸腺依存性抗原 (ヒツジ赤血球) に対する抗体産生は, ヘテロ型 (+/rnu) ではIgM, IgG抗体ともに, 産生されるにもかかわらず, ホモ型 (rnu/rnu) ではIgM, IgG抗体とも, 一次反応, 二次反応でも検出されなかった。マウスsarcoma180の移植能を検討したところ, ヘテロ型では腫瘍の生着はみられなかったが, ホモ型では30日間以上生着し, 増殖することがわかった。T細胞にmitogenであるCoA, PHA-Pに対して, ホモ型の脾細胞は反応を示さなかった。
    以上のことから, rnu遺伝子をホモ型にもつこのヌードラットにおいては, T細胞機能が欠損していると結論した。
  • 1980 年 29 巻 3 号 p. 369-377
    発行日: 1980/07/10
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
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