Experimental Animals
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29 巻, 4 号
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  • 藤島 通
    1980 年 29 巻 4 号 p. 383-390
    発行日: 1980/10/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    特別に製作したY型迷路自動測定装置を用いて, 近交系マウス15系統の雌雄各10匹の成熟マウス (60~75日令) の回避, 弁別および弁別回避の各学習成績を測定し, 各系統の学習能力特性を調べた。
    その結果,
    1) すべての学習成績において, 系統間には統計的に有意な差が認められ, 雌雄の成績の間の相関も有意であった。また, 近縁の系統は一般に類似の成績を示した。これらのことから, 本実験で測定された学習成績は遺伝的形質であることが示唆された。
    2) 回避成績と弁別成績との間には一般に負の相関が認められ, 回避能力の優れた個体または系統は弁別能力が劣る傾向があった。
    3) 上記のことから, 一般に回避学習実験に適した系統と弁別学習実験に適した系統とを兼ねることは難しく, RF/Ms, SWM/Ms, SWR/Msは回避学習に, またC3H/HeMs, DBA/2, DBAf/Lwは弁別学習に適した系統であったが, なかでもC3H/HeMs, C57BL/6HeMsは比較的両学習に優れた系統といえる。
    4) 回避学習に関して, 学習第1回目の成績 (AR1) とそれが第2回目の成績に及ぼす効果の程度 (AR2-1) とを検討した結果, RF/Ms, C3H/HeMsはAR1, AR2-1ともに優れた系統, SWM/Ms, BALB/cJMs, CBA/StMsはAR1が優れ, AR2-1が劣っている系統, DBA/2, C57L/JMs, C57BR/aJMsは逆にAR1が劣り, AR2-1が優れた系統, D103/Ms, AKR/JMsはAR1, AR2-1ともに劣った系統であることがわかった。
    5) D103/Msは回避学習成績が, SWM/Ms, SWR/Msは弁別学習成績がそれぞれ最も低い系統であった。
  • 早坂 郁夫, 中塚 敏夫, 藤井 孝朗, 成瀬 一郎, 織田 銑一
    1980 年 29 巻 4 号 p. 391-395
    発行日: 1980/10/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    JCL: ICRマウスに遺伝性多指症が発見されたのでその遺伝様式および形質の特徴を調べた。交配実験よりこのミュータントは常染色体性優性遺伝子によつて支配されていることが判明した。ホモ個体は生後2日以内に死亡したが, 生存胎仔あるいは新生仔は前後の軸前側に1~3本の過剰指および軸後側に痕跡状過剰指を有していた。ヘテロ個体では後肢の軸前側に1本の過剰指がみられた。またヘテロ個体の前肢では第1指が肥大し, そのうち約半数に末節骨の分枝が観察され, 軸後側にはしばしば痕跡状過剰指がみられた。これらのことよりこのマウスの多指症をPolydactyly Nagoya, Pdnと命名した。なおホモ個体は外脳症 (20.7%) , 口蓋裂 (12.1%) , 眼険開存 (12.1%) , 後肢の短肢 (100%) および胸骨の異常 (100%) を伴っていた。
  • 金子 洋二, 三枝 雅, 佐藤 利和, 奈良間 功
    1980 年 29 巻 4 号 p. 397-400
    発行日: 1980/10/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    正常ラットの暗所指向性を利用した視覚異常検出のためのY字型装置を作製し, 無処置群及び盲目のモデルとして設定した眼険縫合群と眼球摘出群の各々100匹を用いて, その有効性について検討を加えた。まず, 本装置の一角に動物を入れ, 1分間の行動を観察し, 次に動物が装置内の明暗どちらの一角を選択するかを1例当り4回試行させ3群で比較検討した。
    前者の方法による行動パターンの解析では眼険縫合群, 眼球摘出群とも無処置群と明らかな差が得られた。後者の方法による暗所選択率は, 無処置, 眼険縫合, 眼球摘出の各群でそれぞれ97.5, 84.5, 50.0%を示した。本装置による視覚異常検査法は短時間に多数例の処理が可能である。また後者の方法では, 視覚異常の判定が従来感覚的であったのに対して測定値の数値化とそれに伴う統計学的処理を可能ならしめた。この簡便な検査方法は, 生殖試験における次世代での視覚機能のスクリーニングテストの一つとして有効に利用できると考えられた。
  • 長谷川 徳雄, 古岡 鐐二郎, 青山 卓夫, 今道 友則
    1980 年 29 巻 4 号 p. 401-407
    発行日: 1980/10/01
    公開日: 2010/12/09
    ジャーナル フリー
    ラットの水迷路学習における最適な試験の年令を検索する目的で, water filled multiple T-mazeを用いた3から10週令のSPF Wistar-Imamichiラットの各週令毎の学習成績と脳重量 (0から10週令) の推移について観察を行ない, 次の結果を得た。
    1.直線水路試験 (1日間3試行) における完泳にようした所要時間は, 第1試行に比べ第2, 第3試行で顕著な短縮を示したが, 週令の増加に伴った段階的変化は認められなかった。
    2.水迷路試験 (3日間9試行) における錯誤数は, 3日目まで試行日を重ねると共に減少したが, 週令との関係は2日目まで明確でなかった。3日目では3週令から5週令にかけて急激に減少したが, 5週令以降は顕著な変化を示さなかった。雌雄間の明確な差異は認められなかった。
    3.水迷路試験における完泳にようした所要時間は, 3日目まで試行日を重ねると共に短縮したが, 週令の増加に伴った段階的変化は認められなかった。3日目では, 雄に比べ雌で短い傾向が認められた。
    4.脳重量は, 雌雄とも生後急増し, 4, 5週令でほぼ成熟時の重量に達した。
    以上の成績より, Wistar-Imamichiラットの水迷路試験における錯誤数は, 第3試行日 (3日目) において安定した成績が得られ, 5~10週令の動物では週令間に著しい差異は認められないことが明らかとなった。そして, 学習能の完成時期 (錯誤数の減少を指標) は5週令であり, 脳重量も同時期にほぼプラトーに達することから, 両成績間の強い関連性が推測された。
    本成績の概要は第17回日本先天異常学会にて報告した。
  • 小島 明広, 藤波 不二雄, 土井 邦雄, 八十島 昭, 岡庭 梓
    1980 年 29 巻 4 号 p. 409-418
    発行日: 1980/10/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    唾液腺涙腺炎 (SDA) 様疾患罹患ラットの顎下腺組織から, マウス脳内接種法によりM株, およびラット腎培養細胞 (PRK) 接種法により930-10株を得, これらの分離株につき, ウイルス学的に検索を加えた。その結果, これらの分離株がコロナウイルス群に属し, ラット唾液腺涙腺炎ウイルスと同一のものであることが明らかとなった。分離株の諸性状は, 既知のSDAウイルスのそれと概ね一致した。さらに今回の検索において, 下記のような知見が得られた。すなわち, 1) SDAウイルスのenvelopeには長短2種類のSurface projectionを持つ。2) われわれの分離株である930-10株とSDAV681株の間に抗原性の違いがあることが交差中和反応で明らかにされた。3) SDAウイルスの増殖には35℃が適していた。4) DBT細胞では増殖しない, などの点である。
  • 土井 邦雄, 八十島 昭, 小島 明広, 大川 仁, 倉部 繁雄, 岡庭 梓
    1980 年 29 巻 4 号 p. 419-426
    発行日: 1980/10/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    唾液腺・涙腺炎の集団発生から得た100匹のラットを病理学的に検索した。臨床および肉眼所見と一致して, 病理組織学的変化は唾液腺 (顎下腺および耳下腺) およびハーダー腺に主として認められた。これらの腺組織における病変は間質における高度の漿液性炎を伴う導管および腺胞の上皮細胞の退行性変化で特徴づけられ, 感染の末期には導管上皮の扁平上皮様化生が普通に観察された。このように, 唾液腺およびハーダー腺の病変は本質的にはほぼ同様であったが, 2, 3の点で異なっていた。すなわち, 唾液腺では一次的に障害されるのは導管の上皮細胞であり, 腺胞の上皮細胞は間質における炎症性変化の進展に伴って二次的に障害されるのに比べて, ハーダー腺では導管および腺胞の上皮細胞がともに一次的に障害された。また, 修復過程における結合組織要素の関与の程度は唾液腺と比較してハーダー腺でより顕著であり, ハーダー腺の大部分の領域は活発に増殖する間葉系細胞によって置換され, 腺胞本来の構造はほとんど識別出来なくなっていた。
  • 石原 智明
    1980 年 29 巻 4 号 p. 427-432
    発行日: 1980/10/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    A skin disease showing marked erythema and subsequent epidermal exfoliation has recently been observed in our breeding colony of guinea pigs. The distribution of staphylococcal antibodies and the frequency of Staphylococcus aureus isolation were studied in 5 guinea pig groups, three of which were in the clinical stages of the exfoliative skin disease, and two control groups. The mean titers of anti-alpha-toxin antibodies exhibited peak levels in the group of the middle clinical stage (titer of 24.0) , when compared to those in the groups of the early (titer of 3.5) or the late clinical stages (titer of 4.1) . The percentage of positive sera (titers≧5) for this antibody was also greater in the group of the middle clinical stage (100%) than in the groups of the early (55%) or the late clinical stages (64%) . The agglutinating antibody was detected only in the groups of the early and the middle clinical stages. Staphylococcus auyeus was isolated from 73% of the animals in the early stage, and from only 11% of those in the late stage.
    モルモットの繁殖集団に紅斑とそれにつづく皮膚剥離を主徴とする病気が認められた。この病気と, その病原と思われるブドウ球菌との相関を明らかにするために本症の血清学的・細菌学的検討をおこなった。モルモットをその臨床像から, 発症初期, 中期, および後期の3群に分け, 各群の個体について抗体保育状況とブドウ球菌分離状況をしらべた。その結果, ブドウ球菌α溶血毒に対する各群の平均抗体価は初期3.5, 中期24.0, および後期4.1と中期群で最も高く, また抗体陽性率 (抗体価5倍以上) も初期55%, 中期100%, 後期64%と中期群が他の2群より高かった。ブドウ球菌に対する凝集抗体は発症初期および中期群に認められ, 後期群は陰性であった。またブドウ球菌分離率は発症初期群が73%であったのに対し, 後期群では11%と低かった。このようにモルモットの本症においては, ブドウ球菌に対する抗体保有状況およびブドウ球菌分離成績は, いずれも本症の臨床像とよく相関していた。
  • 菅野 茂, 須藤 有二, 澤崎 坦, 澤崎 徹, 加納 康彦, 松井 寛二, 森 裕司
    1980 年 29 巻 4 号 p. 433-439
    発行日: 1980/10/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    東京大学農学部附属牧場コロニーのシバヤギ55頭を対象にRaBA-Super Systemを用い, 血清総蛋白以下16項目の臨床血液化学値の測定を行った。
    1) ビリルビン, コレステロール, TTT, ALPおよびCPKのバラツキが著しかったが, 計測不能の項目はなかった。
    2) 年齢による差がみとめられ, 血糖, ChE, ALPおよびCPKは育成群が, 血清総蛋白およびアルブミンは成熟群が高値を示した。
    3) 雌成熟群におけるGPTおよびBUN値は秋, 冬に比べ, 夏に有意に低い値を示した。
    4) トリグリセライドおよびアルブミンについて, RaBA法と用手法の同時比較を行ったところ, 測定法による差がみとめられた。
  • I. 頭蓋および胴骨
    大塚 潤一, 豊満 義邦, 西中川 駿
    1980 年 29 巻 4 号 p. 441-455
    発行日: 1980/10/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    キュウシュウノウサギ (以下Lepus) , アマミノクロウサギ (Pentalagus) および家兎JW-NIBSの頭蓋骨・胴骨を形態学的ならびに骨計測学的に検索した。
    1) 尾椎数はLepusが10~12個, Pentalagusが10~11個およびJW-NIBSが15~17個である。
    2) Pentalagusの上顎臼歯数が5個という従来の記載は, この種属の識別用形質とは認められない。
    3) Pentalagusの眼窩および鼓室胞は極端に小さい。
    4) JW-NIBSの脳頭蓋の長さおよび頸椎, 胸椎, 腰椎の椎孔の幅は, 他の二者より小さい傾向を示す。
    5) 腰椎の棘突起および横突起の形状および大きさは, 三者間に明白な差異がある。
    6) 骨の計測値の変異係数は, JW-NIBSが最も小さい。
  • 斉藤 学, 鈴木 映子, 中山 一栄, 松原 純子, 中川 雅郎
    1980 年 29 巻 4 号 p. 457-460
    発行日: 1980/10/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    Eradication of Sendai virus from an infected mouse breeding colony was successfully made by sacrificing all offspring younger than 5 weeks of age at a time and then newborns as well as severely affected breeder mice for successive 2 weeks. By this method, number of breeders decreased to two third of those in the original colony but recovered again about 2 months later.
  • 松澤 利明, 佐川 進, 桑原 圭吾
    1980 年 29 巻 4 号 p. 461-463
    発行日: 1980/10/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    An automatic watering device was developed for the pika (Ochotona rufescens rufescens), using drinking nozzles for rat use and plastic pipes. This device was used for at least one year without any mechanical troubles, resulting in labor saving of animal caretakers. No difference in growth was observed between pikas reared with the automatic watering device and those maintained with conventional watering bottles.
  • ―主として遺伝学的考察―
    山田 淳三
    1980 年 29 巻 4 号 p. 465-473
    発行日: 1980/10/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
  • 1980 年 29 巻 4 号 p. 475-485
    発行日: 1980/10/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
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