Experimental Animals
Online ISSN : 1881-7122
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30 巻, 2 号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
  • 吉村 裕之
    1981 年 30 巻 2 号 p. 107-112
    発行日: 1981/04/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    スナネズミ (英名: Mongolian gerbil, 学名: Meriones unguiculatus) のscent marking behaviorに関する基礎的研究を行ない, その行動特性を検討した。スナネズミをオープンブイールド装置内に入れると, その床面に設置した突起物に腹部をこすりつける特有の行動を発現し, 腹部腺組織から芳香臭を有する黄褐色分泌物を塗布する。このmarking behaviorの発現率とその平均頻度には著明な性差が認められ, 雄に優位であった。雄性スナネズミのみを群居飼育 (4匹/ケージ) した場合, 各ケージごとに高頻度にmarking behaviorを発現する個体と非常に少ないものまで一定の分布が認められた。また, ほぼ同一のmarking回数を示す雄性スナネズミを各ケージから選び2匹つつ同居させた場合は, 必らず一方がmarking回数を増加し他方は著明に減少した。動物を群居させると社会的順位が形成されることは周知の事実であるが, 個体のterritoryと密接な関係を有するscent marking behaviorセこもsocial rankin9あるいはdominancyとの関連を示唆する結果が得られたことは興味深い。スナネズミのscent marking behaviorは判定が比較的容易であり, 攻撃行動をはじめ動物の情動行動あるいは社会行動の背景要因として重要性が指摘されているterritorialityの研究分野に新しい実験動物としての有用性が期待される。
  • II. 前肢骨および後肢骨
    大塚 閏一, 豊満 義邦, 西中川 駿
    1981 年 30 巻 2 号 p. 113-127
    発行日: 1981/04/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    キュウシュウノウサギ (以下Lepus) , アマミノクロウサギ (以下Pentalagus) および家兎JW-NIBSの前肢骨・後肢骨を骨計測学的に検索した。
    1) 肩甲骨, 寛骨以外の四肢の各骨の長さは, 第一中手骨, 膝蓋骨, 前・後肢の末節骨を除いて, Lepusが最も大きく, ついでJW-NIBSで, Pentalagusが極端に小さい。
    2) 肩甲骨, 寛骨以外の四肢の各骨の幅は, 全般的にPentalagusがやや人きい傾向を示し, LepusとJW-NIBSの間には顕著な差異は認められない。.
    3) 四肢の各骨の関節面の面積は, 骨の長さとの比率でみると, Pentalagusが広い。
    4) Pentalagusの末節骨の長さおよび中節骨との関節面の幅は, 最も大きく, 強大で, また, 内側の指または趾列が外側よりも大きい。 JW-NIBSの末節骨は幅狭く, 弱小である。
    5) LepusおよびJW-NIBSの寛骨の幅は, 雌が雄よりも明らかに大きいが, Pentalagusではこの差異は明確ではない。
  • 豊島 英徳, 丸橋 弘幸, 松井 京子, 真野 行生, 安藤 一也
    1981 年 30 巻 2 号 p. 129-135
    発行日: 1981/04/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    Rolling mouse Nagoyaは本邦で開発された唯一の遺伝性運動失調症モデルマウスである。このマウスは著明な歩行異常を示すにも拘らず, それに相応する明確な病理所見は得られていない。そこでわれわれはこの歩行異常, 歩行動態を電磁的手法により検出し, 定量化して, 客観的に把握し, この結果を, 病理組織学的所見の明らかな他の遺伝性運動失調症モデルマウス (ReelerおよびWeaver) と比較検討した。その結果, 運動サイズと運動量の関係を示す運動スペクトルでは, 各失調マウス共ほぼ同一Jパターンを示し, この点からはRolling mouse Nagoyaの歩行異常の主体は小脳性運動失調であろうと考えられた。また, 運動軌跡では各失調マウス間に若干の差異のあることが認められたが, これの定量化については装置その他方法等についてさらに検討を加える必要のあることが示された。
    Rolling mousy Nagoyaを分与して下さった名古屋大学環境医学研究所織田銑一先生に感謝致します。本論文の主旨は第15回日本実験動物学会 (浜松, 1980.8.29) にて報告した。
  • 牧野 進, 国本 喜久子, 村岡 義博, 片桐 謙
    1981 年 30 巻 2 号 p. 137-140
    発行日: 1981/04/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    NODマウスの顕性糖尿発現におよぼす性ホルモンの影響を性腺摘出により検討した。性腺摘出雄の発症は高頻度で, その累積経時変化は無処置雌のそれとほぼ同じであった。一方, 性腺摘出雌の発症は低頻度で, 無処置雄のそれと類似するものであった。発症マウスの臨床所見について去勢マウスと無処置マウスの間に大きな差異は見られなかった。これらの成績は, 性ホルモンがNODマウスの顕性糖尿発現に関与していること, すなわち, 少くとも雄性ホルモンが抑制的に作用していることを示唆している。
  • 馬場 政行, 八十島 昭, 小島 明広, 加藤 祝久, 安孫子 利之, 仁田 修治
    1981 年 30 巻 2 号 p. 141-144
    発行日: 1981/04/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    1980年3月に, あるビーグル犬の飼育舎でイヌ・パルボウイルス感染症の集団発生がみられた。罹病イヌでは下痢等の消化器症状が目立ち, 同時に少数の例で白血球数の減少が認められた。また, 観察期間の後期には, 全例でネコ汎白血球減少症ウイルスに対する抗体の存在が証明された。さらに, 病理学的には, 今回の集団発生で斃死した1例で, 腸粘膜の陰窩上皮細胞の両染性核内封入体形成を伴う退行性変化ならびにリンパ系臓器の実質の退行性変化が指摘された。こうした所見は本症に関する先人の知見とほぼ一致するものであり, また, ネコ汎白血球減少症に関する知見とも多くの共通点を有するものであった。
    斃死例の腸粘膜の電顕的検索で, 陰窩上皮細胞の核内に典型的なパルボウイルス粒子が認められたが, その詳細については第90回日本獣医学会で報告した。
  • 中川 雅郎, 斉藤 学, 清水 文七, 大谷 明, 和気 朗, 佐藤 勇治
    1981 年 30 巻 2 号 p. 145-149
    発行日: 1981/04/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    実験小動物の呼吸器感染用にネブライザーを用いた流動型吸入装置を作製した。本機の特徴はつぎのとおりである。
    ネブライザー噴霧口の前方31mmの所に直径15mmのステンレス球を置き, 噴霧液をこの球に当てたのち, 毎分604で吸引される空気の流れに乗せて暴露チャンバーに導入した。その結果, 噴霧液は平均5.7~6.7μmの比較的整一な微細粒子となってチャンバー内にほぼ平等に分散し, 動物の肺にまで吸入された。また, 動物個体間の回収菌数の差はきわめて小さかった。一方, 排出空気は300℃10秒加熱後HEPAフィルターを通して無菌化するとともに, 装置の末端で空気を吸引することによって装置全体の内部を陰圧に保ち, 試料の漏出防止に備えた。
    本機の作製には環境庁研究補助金 (No.21) を受けたことを付記し, 感謝の意を表する。また, 本機の作製に協力を得た日本クレア株式会社に深謝する。
  • 江崎 孝三郎, 安田 幸雄, 中村 昌宏, 林 宏, 小野 啓郎
    1981 年 30 巻 2 号 p. 151-155
    発行日: 1981/04/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    CF#1マウスを近親交配している過程で発見された歩様異常マウスを, 解剖・組織学的に検索したところ, 総腓骨神経は退縮または欠損し, 前・外側下腿筋群は萎縮していることが明らかになった。
    また, 交配実験によって遺伝的支配を分析したところ, この異常は常染色体上の1個の劣性遺伝子によって強く支配されているけれども, その表現度は遺伝的背景によって影響されるものと推定された。この主遺伝子をperoneal muscular atrophy, 遺伝子記号をpmaと命名する。
  • 前島 一淑, 佐々木 淳, 下田 耕治, 黒沢 努
    1981 年 30 巻 2 号 p. 157-160
    発行日: 1981/04/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    無菌およびふつうマウスにふつうマウス, ウサギ, イヌ, カニクイザルから採った新鮮な糞便を経口投与したところ, (元) 無菌マウスの糞便には, それぞれの投与試料中にみられる細菌構成に似た細菌そうが形成されたが, ふつうマウスにおいては, 細菌そうの変化はみられなかった。また, 上記 (元) 無菌マウスにふつうマウスの糞便を投与すると, いずれのマウスの細菌そうもふつうマウスのそれに変った。これらの所見は, 動物の消化管細菌そうが宿主の生理条件および微生物の拮抗・共生作用に規定されることを示している。
  • 1981 年 30 巻 2 号 p. 161-172
    発行日: 1981/04/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
  • 1981 年 30 巻 2 号 p. 173-178
    発行日: 1981/04/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
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