無菌 (Gf) マウスの心臓重量はふつう (Cv) マウスに比べて小さいことが知られているが, これに伴なうGfマウスの心臓機能については検討されていない。そこで, 心臓機能の指標として, Gfマウスの心電図 (ECG) を測定し, 心臓重量との関連について追究した。その結果, 雄GfマウスのQT間隔およびPP間隔が対照マウスより短くなっていたことを除き, 他の波形および雌Gfマウスのすべての波形成分には対照群との間に差が認められなかった。心拍数は, 雄Gfマウスにおいて対照マウスよりも多く, 有意差が認められたが, 雌Gfマウスでは対照群との間に差はなかった。なお, 心臓重量については, 雄, 雌ともGfマウスの方が対照マウスよりも低値を示し, 有意差が認められた。
以上のように, GfマウスおよびCvマウス間には心臓重量に有意な差異が認められるにもかかわらず, ECG波形に現われるほどの本質的な心臓機能の差はないことが示された。
稿を終えるにあたり, 本実験の場を与えていただいた帝京大学医学部田村弘助教授に深く感謝する。また, 種々の御助言をいただいた日本獣医畜産大学内科学教室の三谷節生氏に深謝する。
抄録全体を表示