Experimental Animals
Online ISSN : 1881-7122
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33 巻, 4 号
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  • 松井 京子, 安藤 一也
    1984 年 33 巻 4 号 p. 465-469
    発行日: 1984/10/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    TRHはRolling mouse Nagoyaに対して運動失調改善効果を示すが, この作用機序を検索するためにドーパミン系 (pimozide, apomorphine) , アセチルコリン系 (atropine, physostigmine) 薬剤を前処置後TRHを投与し, open-fieldおよびANIMEX-IIを用いTRHの効果に対する影響について検討した。Pimozide, apomorphine前処置はTRHの運動失調改善作用には影響を与えなかった。physostigmine前処置はTRHの運動失調改善作用を低下させ, atropineでは増強した。TRHの運動量亢進作用に対してはpimozide, physostigmine前処置で低下し, atropine前処置で増加した。この結果からTRHの運動失調改善作用, 運動量亢進作用にはアセチルコリン系がなんらかの関与をもつことが推察される。
  • 山田 隆, 内田 英男, 西山 勤
    1984 年 33 巻 4 号 p. 471-479
    発行日: 1984/10/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    動物生産業者から購入したラット (F0) について, 水迷路及び受動的回避反応 (PAR) 学習試験を行って, 学習成績のよいもの (Bright) と悪いもの (Dull) に分け, 各々の次世代仔 (F1) がF0と同一の反応を示すか否かを検討した。1.Bright×Bright, Bright×Dull, Dull×Bright, Dull×Dullの交配の結果, 両親とも水迷路並びにPAR学習にDullの場合, その仔に有意なDullの出現が認められた。2.PAR学習によるBrightとDullに選別されたF0の妊娠13日目にchlorpromazine 6mg/kg (2回/日/皮下) を投与したところ, Dull群由来のF1にDull仔の出現がやや多くなった。3.購入動物による次世代動物の学習検索にはあらかじめ用いる装置に対する親動物の反応 (学習効果) を確認しておく必要があると考えられる。
  • 宮本 達, 長瀬 すみ
    1984 年 33 巻 4 号 p. 481-485
    発行日: 1984/10/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    胎仔, 新生仔, 1, 2, 3, 4, 13, 26, 52週齢のウィスター系ラット雄の皮膚よりピアルロン酸を抽出, 精製し, その分子量の加齢変化について調べた。ピアルロン酸分子量は3段階に分かれて変化し, 胎仔, 新生仔, 1週齢の3試料の平均値は39万であり, 2週齢から26週齢までの5試料の平均値は55万であり, 52週齢では87万の値であった。さらに, 4週齢と52週齢のラットの皮膚ピアルロン酸の分子量分布についても調べた結果, 互いに大きく異なっていることが判明した。4週齢ではピアルロン酸の分子量は18万から79万の間に広く分布していたが, 52週齢ではピアルロン酸の分子量は高く, かつ92万から119万の間の狭い分子量分布を示した。
  • 鈴木 秀作, 吾郷 昭夫, 毛利 資郎, 西中 川駿, 大塚 閏一
    1984 年 33 巻 4 号 p. 487-496
    発行日: 1984/10/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    ジャンガリアンハムスターの下顎腺について光学顕微鏡ならびに透過・走査電子顕微鏡で観察した。腺胞細胞は明るく微塩基好性でPASおよびABに弱陽性を示す漿粘液細胞であった。電顕的に腺胞細胞は明調細胞からなり, 種々の分泌顆粒を有し, 隣接する腺胞細胞間には細胞間分泌細管が認められた。割断像でこれらの分泌顆粒は球形を呈していた。顆粒細胞は腺胞と介在部の間に存在し, 酸好性でPAS陽性, ABに染まらない分泌顆粒を有していた。電顕的に顆粒細胞は明調細胞からなり, 電子密度の低いものから高い顆粒を有し, 細胞小器官の発達も一般に良好であった。介在部上皮細胞は明調細胞からなり, 頂部には電子密度の高い円形顆粒が少数認められた。線条部は, PASに強陽性を示す顆粒をもつ線条部と顆粒をもたない線条部に分けられ, 前者の上皮細胞には種々の電子密度や大きさの球形顆粒が, 後者には微細空胞が存在した。なお, ジャンガリアンハムスターの下顎腺の腺胞・介在部および線条部には雌雄による形態学的差異は認められなかった。
  • 利部 聰
    1984 年 33 巻 4 号 p. 497-499
    発行日: 1984/10/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    成熟ラットにおけるペントバルビタール・ソディウムを併用した過排卵処理法 (PB法) を検討するために, PMSG・hCGの投与量を種々かえて排卵数を調べ, 従来ひろく行われているPMSG・hCGのみの方法と比較した。PB法は, PMSGを発情後期日に投与し, 発情前期予定日にペントバルビタール・ソディウムを投与, 発情期予定日にhCGを投与することにより行った。一方, 従来の方法ではPMSGを同様に投与し, 発情前期予定日にhCGを投与した。
    PB法による排卵数はPMSG・hCGの投与量に比例して増加し, 40iuで最大 (約100) となった。一方, 従来の方法における排卵数は50iuで最大 (約43) となった。
    以上の結果から, 過排卵処理におけるPBの併用は排卵数の増加に対し有効であることが判明した。
  • 佐藤 亨, 米田 嘉重郎, 白間 一彦
    1984 年 33 巻 4 号 p. 501-508
    発行日: 1984/10/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    チャイニーズハムスターの性周期は基本的に4日であり, 黄体はDiestrus 1からDiestrus 2にかけて形成された。しかし, Proestrusでは完全に消失していた。血中Progesteroneは, 性周期によって変化し, Diestrus 2と排卵前とにピークがあり2相性を呈した。妊娠により発達した黄体は分娩直後に消失し, 授乳中, 黄体はみられなかった。この間のProgesteroneの動態は卵巣の組織学的変化とよく対応していた。すなわち, 着床期の妊娠6日目から急激に増加し, 妊娠後期には高レベルを維持していた。しかし, 分娩直前の夜から急激に減少し, 分娩日には性周期中にみられる最低値程度となった。授乳中も低値のままであり, 実体顕微鏡下での卵管の観察からも後分娩排卵はみられなかった。
  • 九郎丸 正道, 早川 徹, 関 真, 城 勝哉
    1984 年 33 巻 4 号 p. 509-518
    発行日: 1984/10/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    ナキウサギの腸管各部を肉眼, 光顕および走査電顕で観察し, カイウサギ (日本白色種) のそれらと比較検討した。カイウサギの十二指腸粘膜はヒダ構造でおおわれるが, ナキウサギでは葉状ないし円柱状の絨毛からなる。しかし回腸では両者とも円柱状の絨毛が存在する。ナキウサギの回盲口付近には回盲口部虫垂とよばれる特異的なリンパ装置が発達し, 結腸への移行部においては筋層が厚く発達した狭窄部とよばれる特有の部位が認められる。狭窄部の粘膜表面は網目状のヒダ構造を示し, ヒダの側面には多数の絨毛様小突起が存在する。またカイウサギの盲腸粘膜にはラセン状に走る盲腸ラセン弁が認められるのに対し, ナキウサギではラセン弁は存在せず, 代わりに細長い小突起 (盲腸指状突起) が盲腸膨起間の溝の部分から輪状に突出している。結腸近位部以下では両者とも3本さらに1本の結腸ヒモをもつ部位が順に続いた後, 結腸ヒモのない部位へと移行している。結腸ヒモ3本の部位ではナキウサギの粘膜表面には多くの小突起があり, その粘膜固有層中には粘液腺が存在するのに対し, カイウサギではいずれも認められない。結腸ヒモ1本の部位ではナキウサギの粘膜表面は絨毛様隆起におおわれるが, カイウサギではコブ状隆起が連続している。この部位では両者とも固有層中に粘液腺をもつ。結腸ヒモのない部位では両者とも粘膜面は比較的平坦で, 固有層中には直腸に至るまで粘液腺が観察される。
  • 服部 正策, 山内 一也
    1984 年 33 巻 4 号 p. 519-524
    発行日: 1984/10/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    南西諸島特産の食虫目トガリネズミ科のワタセジネズミ (Crociduya hoysfieldi watasei) は成体重5~8gの最小の哺乳類の一種である。奄美諸島で捕獲した雌雄成獣の胸腔及び腹腔内臓器の解剖を行った。観察には解剖顕微鏡を用い, 細部の観察は連続切片法によった。同じジネズミ亜科に属するジャコウネズミ (スンクス, Suncus muyinus) に比較して, 以下のような共通する形態学的特徴を持っていることが分った。体長に比して極めて短い腸管を持つこと, 盲腸を欠き, 大腸と小腸の外見上の区別がつかないこと, 特徴的な生殖器を有することなどである。一方, 差異が認められた点としては, 大きさの違いのほか, 体重に比して小型の脾臓を有すること, 噴門腺が食道下部に限って分布することなどがある。
  • 二宮 博義, 深瀬 徹, 中村 経紀
    1984 年 33 巻 4 号 p. 525-528
    発行日: 1984/10/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    性成熟したネコと去勢後3箇月のネコを用意して, セルロイドを酢酸アミルで溶かし, その一滴を亀頭の皮膚に垂らし, レプリカを作成した。そのレプリカで亀頭の表面に見られる微細な刺状突起 (Penile spines) を走.査型電子顕微鏡で観察した。このセルロイドレプリカ法で刺状突起の微細な構造および去勢に伴なう変化を詳細にしかも立体的に観察できることがわかった。このセルロイドレプリカ法を, 以下の2点により, 雄ネコの生殖能力の診断に用いる可能性を考察した。 (1) ネコでは亀頭の刺状突起が性ホルモンの影響を直接的に受けホルモンの増減に伴ない刺状突起が発達あるいは退行することから, 外形的に性ホルモンの動態を推察することが出来る, (2) この方法では標本採取に動物を殺したり, 組織の一部を摘出する必要がない。
  • 小島 暁, 加藤 正秀
    1984 年 33 巻 4 号 p. 529-533
    発行日: 1984/10/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    摂食障害, 消化管分泌障害, 消化吸収障害をもち, 疲労モデルとしても利用される振盪ストレス負荷動物の性格を明らかにするため, ラットに振盪ストレス (振幅13.5cm, 130往復/分, 3時間/日) を2週間反復負荷し, 最終ストレス負荷の18時間後に臓器重量, 血液像, 血清生化学値, 肝グリコーゲン量, 副腎アスコルビン酸量および輸精管の薬物反応性にみられる変化を検討した。
    振盪ストレスの反復負荷により形態面では, 胸腺重量の減少および副腎重量の増大が認められた。血液検査所見としては白血球数の減少, 血糖値の低下, NEFA濃度の上昇, Na+濃度の上昇およびK+濃度の低下が, また輸精管のnoradrenalineに対する反応は増大することが認められた。これらの績成は, 交感神経―副腎髄質系および下垂体一副腎皮質系の活動亢進を示すものであるが, 他の血液検査所見, 肝グリコーゲン量および副腎アスコルビン酸量では正常ラットと同様であり, 一部には, ストレスに対する抵抗性が獲得されているものと推察された。
  • 久保田 善久, 山田 裕司, 高橋 千太郎, 松岡 理
    1984 年 33 巻 4 号 p. 535-538
    発行日: 1984/10/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    ボディプレシスモグラフィを使用することにより, ラットの呼吸量をかなり精度よく測定できることがわかった。吸入チャンバーの動物保定用ホルダーをプレシスモグラフボックスとして兼用すれば, 吸入実験中の動物の呼吸量を測定でき, 吸入チャンバー内の吸入物質濃度を同時に測定することにより, 各動物の吸入量を算定することができる。実際に, 吸入物質として径の異なるラテックス粒子をラットに吸入させ, 吸入ラテックス粒子数と肺沈着粒子数を算定した。
  • 松島 芳文, 今井 忠治, 渡辺 治, 河原 裕憲, 大根 光朝, 高井 宏
    1984 年 33 巻 4 号 p. 539-542
    発行日: 1984/10/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    DBA系マウスの舌に乳頭状あるいは軽度に隆起した病変を高頻度に見出したので, 病理組織学的に検索するとともに, 病変の発生傾向および系統差について検討した。病変の発生部位は主に舌側縁に近い舌背部であった。組織学的には石灰化物の沈着を伴う肉芽組織からなり, 舌筋表層部に認められ, 石灰化物はしばしば多核巨細胞により囲まれていた。本病変の発生は用いた近交系のDBA/2NCrj, DBA/2NJcl, DBA/2J, DBA/1JclおよびDBA/1Jには高頻度に認められ (13.3-85.7%) , SM/J, BALB/cAnNCrj, C57BL/6NCrjおよびC3H/HeNCrjにはまったく認められなかった。しかしCRJ: CDF1と (DBA/1×SM/J) F1にはそれぞれ2.0%と7.4%に本病変を認めた。これらのことからDBA系マウスの舌に自然発生する石灰化病変はポリジーンによって遺伝的に支配されていると推定される。
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