皮膚炎マウスの病巣部等から分離された167株の
Staphylococcus aureusについて, 生物学的性状, ファージ型別および薬剤感受性を調べた。1.色素産生, ウサギおよびヒト血漿凝固性, 耐熱性および易熱性DNase, Clumping factor, 卵黄因子, Phosphatase活性, Tween 80水解性, 硝酸塩還元, 馬尿酸塩分解, 食塩耐性およびCV加寒天上における増殖型は, 全株が同様の態度を示した。また, 多くの菌株がウシ血漿を凝固し, Acetoin, Protease, Fibrinolysinを産生した。溶血型は, 25株がα型, 57株がβ型, 45株がαβ型で, 非溶血性のものが40株あった。2.供試菌75株の糖分解試験は, 全株あるいは大部分がFru, Gal, Glu, Gly, Lac, Mal, Mtl, Man, Suc, Treを分解したが, Ara, Dex, Inu, Raf, Sal, Sor, Xylは全株陰性であった。3.糖分解試験に用いた75株の各種薬剤に対する感受性は, 全株がPC, PCM, EM, SPM, LCM, CM, TC, KM, GM, CERに高度の感受性を示したが, SXには耐性であった。4.ヒト系ファージによる型別では, 167株のすべてが型別可能で, うち166株が混合群 (I+III+M群124株, I+III群35株, I+II+III+M群6株, I+M群1株) であった。残り1株はI群であった。5.Hájek and Maršálek [7, 8] の生物型別法に従って167株を型別すると, 5株が生物型A, 1株がB, 60株がCに型別されたが, 残りの101株は型別不能であった。型別不能株は生物型Aと生物型Cの中間的性状を示していた。
本論文の要旨は昭和54年4月, 第87回日本獣医学会において発表した。
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