Experimental Animals
Online ISSN : 1881-7122
Print ISSN : 0007-5124
34 巻, 2 号
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  • 黒澤 努, 前島 一淑
    1985 年 34 巻 2 号 p. 113-122
    発行日: 1985/04/01
    公開日: 2010/12/09
    ジャーナル フリー
  • 大庭 清, 沢井 高志, 信永 利馬, 石田 名香雄
    1985 年 34 巻 2 号 p. 123-130
    発行日: 1985/04/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    IVCS系マウスは, 高齢になると雌雄ともに全例が, 多尿症を示すようになるので, その発現機序を明らかにするために生化学的および組織学的な検討を行なった。その結果, 7~8ケ月齢頃より多尿の傾向が認められ, 10~11ケ月齢になると飲水量, 尿量は顕著に増加し, 12ケ月齢以降にはDDI系マウスの約5~6倍の値を示した。多尿症マウスの尿浸透圧は比較的低張で, 発症初期には尿量の増加とともにNa, K排泄の増加も認められ, 多尿症がかなり進行した状態では蛋白尿特に低分子蛋白の排泄が多くの個体で認められた。さらに多尿症が発症した直後では, 発症前とくらべてADHに対する感受性が極端に低下することが認められた。これらの事実から, この多尿症の原因は腎尿細管機能障害に起因するものと考えられる。また組織学的検索の結果, 多尿を呈する頃より肝, 腎, 脾などに無構造物質の顕著な沈着が認められた。以上の結果, IVCS系マウスは加齢にともない多尿症および沈着症を発現する特徴的な系統であることが明らかとなった。
  • ―育成ザルにみられた異常所見―
    鈴木 通弘, 成田 勇人, 長 文昭, 福井 正信, 本庄 重男
    1985 年 34 巻 2 号 p. 131-140
    発行日: 1985/04/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    実験室内で繁殖育成された0歳から19歳齢のカニクイザル1, 151頭の眼底を観察し, 219頭, 延べ238例の異常所見を認めた。すなわち, 円板域で23例, 網膜血管で115例で, 他の100例の異常所見は, 網膜変性91例, 網膜出血9例であった。円板域の23例は小円板症 (3例) , 円板拡張 (4例) , 有髄神経線維形成 (16例) に分類された。網膜血管115例は, 動脈蛇行 (87例) , 静脈蛇行 (1例) , 動・静脈の蛇行 (2例) , 動静脈交叉 (2例) , 銅線化動脈 (20例) , 動脈吻合 (1例) , 静脈血管新生 (1例) , および硝子体動脈遺残 (1例) とした。その他の網膜異常として, 円板周辺および黄斑周辺網膜変性 (1例) , 黄斑変性 (8例) , 非中心性網膜変性 (82例) を認めた。なお, 網膜出血がみられた9例はすべて6歳齢以下であった。
  • 森本 純司, 今井 俊介, 螺良 義彦, Jo HILGERS
    1985 年 34 巻 2 号 p. 141-146
    発行日: 1985/04/01
    公開日: 2010/12/09
    ジャーナル フリー
    乳癌高発系 (DD/Tbr, SHN, GR) マウスと乳癌低発系BALB/cマウスとを同居, 対照群としてBALB/c同志を同居させ, BALB/cマウスの乳汁, 唾液腺, 乳腺及び雄の二次生殖器中におけるMTV抗原 (MTVp27, MTVgp52) の発現をImmunodiffusion (I.D.) 及びRadioimmunoassay (RIA) にて検索を行なった。
    MTVがほとんど検出されないBALB/cマウスにおいて, 乳癌高発系マウスと約8ケ月間同居させた場合, 雌同志の同居では唾液腺に, 雄同志の同居では唾液腺, 精嚢, 前立腺にMTV抗原 (3~50ng/蛋白) が検出された。また, BALB/c雌マウスと乳癌高発系雄マウスとの交配群においては同性同居群に比べてMTV抗原はやや高値 (5~200ng/蛋白) を示した。対照群ではMTV抗原は検出されなかった。また, 乳癌高発系DD/Tbr, SHNマウスの精嚢 (精液) ならびに唾液腺の抽出物を乳癌低発系DDf, BALB/cマウスに接種したところ, MTV抗原発現及び乳癌の発生が認められ, これら臓器の内在性MTVの感染性及び造腫瘍性が確かめられた。
  • 田村 弘, 桑水 郁朗, 田島 優, 清水 晃, 木村 重, 二木 力夫, 前島 一淑, 佐藤 儀平
    1985 年 34 巻 2 号 p. 147-154
    発行日: 1985/04/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    JCL-ICRマウスの加齢のための飼育コロニーに発生した皮膚炎について, その発生状況ならびに細菌学的および病理学的検索を行い, つぎの知見を得た。皮膚炎の発生は1975年12月頃からはじまり, 翌年3月には雄48.3% (577/1195) , 雌2.4% (15/636) の発生率であった。皮膚炎の好発部位は腰から尾根部, 包皮, 耳根部から下顎および眼険から頬の皮膚であった。皮膚病変部の肉眼所見は糜爛, 潰瘍, 痂皮形成を主徴とする慢性炎症像を呈していた。また, 病理組織学的観察では表皮層はほとんど欠除し, 真皮層は壊死, 崩壊または脱落しており, 該部には核の破片および好中球の浸潤, 無構造でエオシンに淡染する漿液層の形成がみられ, その表面にブドウ球菌の小集塊が散在していた。病変が皮下織におよぶものや慢性に経過した例では, 好中球の浸潤を伴う線維性肉芽組織を形成していた。細菌学的検査では, 検索したマウス115匹全例の皮膚病巣部等からStaphylococcus aureusがほぼ純培養状に分離された。また, 分離菌の約107個をJCL-ICRマウスに皮下接種したところ, 自然発生例と同様の皮膚炎をおこした。塩酸クロールテトラサイクリンを1週間飲水投与して治療を試みたところ, 軽症例では症状は漸次軽減したが, 重症例では効果がなかった。以上のことから, 本皮膚炎はS.aureusに起因した疾患であると推定された。
  • 清水 晃, 木村 重, 田村 弘, 桑水 郁朗, 前島 一淑, 二木 力夫, 佐藤 儀平
    1985 年 34 巻 2 号 p. 155-163
    発行日: 1985/04/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    皮膚炎マウスの病巣部等から分離された167株のStaphylococcus aureusについて, 生物学的性状, ファージ型別および薬剤感受性を調べた。1.色素産生, ウサギおよびヒト血漿凝固性, 耐熱性および易熱性DNase, Clumping factor, 卵黄因子, Phosphatase活性, Tween 80水解性, 硝酸塩還元, 馬尿酸塩分解, 食塩耐性およびCV加寒天上における増殖型は, 全株が同様の態度を示した。また, 多くの菌株がウシ血漿を凝固し, Acetoin, Protease, Fibrinolysinを産生した。溶血型は, 25株がα型, 57株がβ型, 45株がαβ型で, 非溶血性のものが40株あった。2.供試菌75株の糖分解試験は, 全株あるいは大部分がFru, Gal, Glu, Gly, Lac, Mal, Mtl, Man, Suc, Treを分解したが, Ara, Dex, Inu, Raf, Sal, Sor, Xylは全株陰性であった。3.糖分解試験に用いた75株の各種薬剤に対する感受性は, 全株がPC, PCM, EM, SPM, LCM, CM, TC, KM, GM, CERに高度の感受性を示したが, SXには耐性であった。4.ヒト系ファージによる型別では, 167株のすべてが型別可能で, うち166株が混合群 (I+III+M群124株, I+III群35株, I+II+III+M群6株, I+M群1株) であった。残り1株はI群であった。5.Hájek and Maršálek [7, 8] の生物型別法に従って167株を型別すると, 5株が生物型A, 1株がB, 60株がCに型別されたが, 残りの101株は型別不能であった。型別不能株は生物型Aと生物型Cの中間的性状を示していた。
    本論文の要旨は昭和54年4月, 第87回日本獣医学会において発表した。
  • 吉田 高志, 鴻野 操, 横田 絹江, 長 文昭, 本庄 重男
    1985 年 34 巻 2 号 p. 165-171
    発行日: 1985/04/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    まずヒト・プロラクチン測定用の放射免疫測定法 (RIA) キットのカニクイザル・プロラクチン測定への適用の可否を, カニクイザル下垂体, および, 妊娠20週齢のカニクィザリ母体血清, 羊水を用いて検討した。これらカニクイザル由来標品に対し, 本キットは, 妥当な用量反応性を示すとともに, ヒト標準標品との間に, 良好な平行性を認めることができた。このことから, 本キットは, カニクイザルのプロラクチン測定に適用できる, と判断した。
    次に血中プロラクチン濃度におよぼすケタミン麻酔の影響について検討した。すなわち, 20頭の野生由来成熟雌カニクイザルを用い, 3回の実験で, 全ての動物に対し, 生理的食塩水投与 (0.1ml/kg体重) , ケタミンの低用量投与 (5mg/kg体重) および高用量投与 (15mg/kg体重) を, 実施した。ケタミンの低用量投与であれ, 高用量投与であれ, 約半数の動物では, 血中プロラクチン濃度は, 投与後, 20分までは顕著に増加を続け, その後, 減少に転じた。しかし, 残る半数の動物では, 血中プロラクチン濃度に著明な変化は認められなかった。放射受容体測定法 (RRA) で, 血中黄体形成ホルモン (LH) 濃度も同時に測定したが, ケタミンによる影響は認められなかった。ケタミンに対するカニクイザル下垂体のプロラクチン分泌の反応性における個体差が, どのような機構によって生ずるのか, という問題は, 今後に残された問題である。ともあれ, サル類を用いた従来の報告では不明確であったケタミン麻酔と血中プロラクチン濃度との関係が, 本研究によって, かなり明確にされたものと考えられる。
  • 小松 正憲
    1985 年 34 巻 2 号 p. 173-182
    発行日: 1985/04/01
    公開日: 2010/12/09
    ジャーナル フリー
    ニュージーランドホワイト種ウサギ集団において, 遺伝性補体成分欠損症個体の作出と補体価の実現遺伝率の推定を目的とした, 補体価の高低二方向選抜実験を行なった。得られた結果は次の通りである。1) 203匹の成熟ウサギ個体の補体価は, 2~18U/mlに分布し, その平均値±標準誤差は, 9.0±0.2U/mlであった。2) ウサギ補体価の個体差は, 時間や季節によらず比較的安定していた。3) 補体価の実現遺伝率は, 約0.3と推定された。4) 補体価の低いもの同士の交配, すなわち, 雄: 5.9U/ml×雌: 5.6U/mlの交配からは, 遺伝性C8α-γ欠損ウサギ2個体が得られた。また, 雄: 3.2U/ml×雌: 5.6, 5.7U/mlの交配から, 遺伝性C6欠損ウサギ5個体が得られた。5) この集団におけるC8α-γ欠損およびC6欠損遺伝子の頻度は, それぞれ, 少なくとも0.005と0.003と推定できた。6) 補体価の低方向への選抜は, ウサギにおいて遺伝性補体成分欠損症個体の作出方法として, 一つの有効な方法であることが示唆された。
  • 山田 淳三, 芹川 忠夫, 石河 二郎, 乾 俊秀, 高田 博, 川合 是彰, 岡庭 梓
    1985 年 34 巻 2 号 p. 183-188
    発行日: 1985/04/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    Kyo: Wistar系ラット中に触毛と被毛の曲がった個体が見つけられた。これらのラットは行動時に振戦を発症し, その表型と行動は雌雄ともにみられ, 雌雄とも不妊であった。1匹以上の振戦仔を産んだペアーから産まれた仔のうち21.8%の雌と21.7%の雄が異常を発現した。この比率は常染色体性劣性遺伝子を想定させる。ヘテロと思われる雄2匹をこのような異常が今まで認められないWAG/Rij系雌2匹と交配させた。F1雌はヘテロと思われるKyo: Wistarへ戻し交配された結果, 約半数のF1雌 (8/21) が1匹以上の異常仔を産んだ。戻し交配で異常が産まれた腹での異常の発症率は26.1% (43/165) であった。このことからこの形質は常染色体性劣性遺伝子によることが強く示唆されたので, 仮にこの遺伝子をtremor (tm) と命名した。病理学的検査の結果, 異常は生殖器及び中枢神経系に認められた。卵巣, 精巣は成体においても形成不全を示した。中枢神経系においては空胞形成が広く認められ, 時にはスポンジ状を呈した。α-methyl-p-tyrosine投与後, 小脳のnorepinephrine濃度は高く, catecholamineの放出に異常があると思われる。現在発症動物の正常同腹仔同志の交配でこの形質を維持している。詳細な病理学的, 内分泌学的, 神経薬理学的, 及び遺伝学的検査が進行中である。
  • 味沢 千代, 筏井 洋, 今道 友則
    1985 年 34 巻 2 号 p. 189-195
    発行日: 1985/04/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    雄の約50%に片側または両側性に, 精巣上体・精管・精管腺の完全もしくは部分的欠損を伴う精巣異常を発現するTW系ラットの, 生後精巣重量および組織像の変化を調べた。
    TW系の異常側精巣重量は, 4・5週齢では正常側に比べ有意に大きかったが, 6週齢以後増加はみられず, 9週齢以後正常精巣の1/2~1/3となった。組織像では, 4・5週齢では精細管径および内腔の拡大, 精細胞の減少が認められた。6週齢以後, 一部の精細管で精細胞の変性・消失・多核巨細胞の発現が認められた。その後加齢につれ変性は進み, 15週齢以後ほとんどの精細管ではセルトリ細胞のみが観察され, 間質の水腫および間質細胞増殖が認められた。また, TW系ラットの精巣異常は, 副性器欠損による精細管内液の排出障害に起因する可能性が考えられたため, 正常なラットの精巣輸出管結紮後の, 精巣重量および組織像の変化を調べた。精巣輸出管結紮後の精巣重量は, 結紮1・3週後 (4・6週齢) には増大し, 6・12週後には萎縮した。組織像の変化は, 結紮1週後には精母細胞の減少と精細管内腔の拡大が, 3・6週後には精細胞の変性・消失と多核巨細胞が, 12週後には多くの精細管ではセルトリ細胞のみが観察され, 間質の水腫と間細胞の増殖が認められた。以上の結果より, TW系ラットの精巣異常の原因は, 副性器欠損に起因する精細管内液の排出障害によることが明らかになった。
  • 武藤 健, 遊佐 智栄, 杉崎 正雄, 田中 金一, 田口 京子, 野口 洋子
    1985 年 34 巻 2 号 p. 197-201
    発行日: 1985/04/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    国立予防衛生研究所において, 1964年から1982年までにわたって主要な感染病が制御されている25ケ所の生産場からモルモットを購入し, 臨床所見の観察と体重測定によって検疫を行った。19年間の検疫総数は166, 050匹で1, 461匹 (0.88%) の異常動物が摘発された。異常動物の発生状態は1964年から1971年までと1972年から1982年の間で著しい違いがみられた。すなわち, 1971年までは0.53~0.81%の発生で4月と10月に多発していたが, 1972年以後はほぼ2倍に増加し, 11月から4月までの間に持続して発生した。異常動物の症状は1971年までは下痢と死亡が主で, これらの多くは入荷後1週間内に発現したが, 1972年以降は発育不良のものが多く, 入荷後1~3週にかけて発現した。したがって, 前者における異常動物は殆んどが体重減少によって発見されたが, 後者では体重の増加不良が主な異常所見であった。
  • 松林 清明, 熊崎 清則, 釜中 慶朗
    1985 年 34 巻 2 号 p. 203-206
    発行日: 1985/04/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    1981年7月より1983年4月にかけて成雌チンパンジー2頭に人工授精を試み, 計3回の受胎を得た。雄からの採精はケタミンによる全身麻酔下に直腸電気刺激法を用いて行なった。雌の排卵は, 初めの2例は月経周期の性皮腫脹の推移を示標に, 3例目は尿中LH濃度を簡易測定キットで定量して推定し, それぞれの授精適期を選定した。雄から採取した精液は37℃のフラン器中に約20分静置して液化させた後, 注射筒に接続した約30cm長のポリエチレン管に液状部を吸引し, 注入を行なった。雌への精液注入は, 全身麻酔下に伏臥位で腰部を挙上し, 子宮頸管内へ注入した。3例は, 最後の精液注入後それぞれ234日, 235日, 235日で分娩し, 児はいずれも正常な発育をしている。
  • 伊藤 豊志雄, 代田 欣二, 鍵山 直子
    1985 年 34 巻 2 号 p. 207-209
    発行日: 1985/04/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    実験処置のほどこされていない6週齢, オス, Sprague-Dawleyラットが死亡した。ラットは腹部が膨満しており, 剖検により, 腹腔内に背部正中線上より発生したと思われる直径3×4cmの球状の腫瘤が認められた。組織学的検索により, この腫瘤は皮膚, 神経節, 筋肉, 軟骨, 骨, 膵, リンパ節, 線維性結合組織脂肪織などより構成されており, 奇形腫と診断した。
  • 山中 聖敬
    1985 年 34 巻 2 号 p. 211-214
    発行日: 1985/04/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    一般成分の含有量が同じになるように修正した, 6種類のマウス, ラット用市販飼料のタンパク正味利用率 (屠体分析で求めたNet protein utilization, 以下NPUと略す) と, 精製全卵タンパク質およびミルクカゼインのNPUとを, 6週齢のSprague-Dawley系オスラットに, 粗タンパク質含量が各々10%の飼料を10日間与えて比較した。その結果, 市販飼料のすべてとミルクカゼインのNPUは精製全卵タンパク質のそれより低い値であった。6種類の市販飼料のうちの, 2種のNPUはミルクカゼインより低かったが, 残る4種類はミルクカゼインのNPUと同じであった。
  • 1985 年 34 巻 2 号 p. 215-232
    発行日: 1985/04/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
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