NCマウスは6週齢頃から両側性に耳介, 次いで顔面, 頸部に皮膚炎の自然発症がみられる。congenic系統のNC-nudeマウスの
nu/+ではNCマウスと同様に皮膚炎が発症するが,
nu/
nuでは全く発症しない。このことから皮膚炎発症と免疫機能との関係について検討した。生後24時間以内に胸腺を摘除したNCマウス, 新生児の胸腺あるいは胸腺細胞を移植したNC-
nu/
nu, 皮膚炎を発症しているNCマウスの血清を移入したNC-
nu/
nuについて皮膚炎発症の有無を調べた。免疫機能はヒッジ赤血球 (SRBC) に対する抗体産生, 腸管膜リンパ節におけるT細胞数の比率で判定した。その結果, 胸腺依存性の免疫応答の有無とは関係なくNC-
nu/
nuでは全く皮膚炎の発症がないのに対し, 免疫抑制されたNCマウスに皮膚炎が発症し, 血清移入されたNC-
nu/
nuでは皮膚炎は発症しなかった。これらのことからNCマウスの皮膚炎には免疫が関与しないことが明らかにされた。NC-
nu/
nuに皮膚炎がおこらないのは
nu遺伝子の免疫異常以外への遺伝子効果によるものと考えられた。
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