4日齢の幼若ラットを用い, 強制経口投与手技, 投与可能な最大容量および蒸留水, 1%CMC水溶液あるいは1%トラガント末懸濁液の連続投与による毒性学的影響の有無を調べ, 幼若ラットを用いた連続強制経口投与試験法について検討した。その結果, 幼若ラットを投与前約1時間にわたって母獣から隔離したのち, 背部から頸部にかけての皮膚を軽くつまみ口部が上向きになるように保定し, 市販されていいる金属製のマウス用胃ゾンデを口部から約2cm挿入し, 被験液をゆっくり注入する方法が最適であることが分かった。また, 投与可能な最大容量は体重1g当たり単回投与が0.04ml, 連続投与が0.01mlと判断された。一方, 4日齢から7週齢までの44日間にわたり蒸留水, 1%CMC水溶液あるいは1%トラガント末懸濁液を体重1g当たりそれぞれ0.01ml連続投与しても, 連続投与による栄養障害あるいは特定の臓器に対する毒性学的影響は認められなかった。
したがって, これらの投与手技および媒体を使用した幼若ラットでの連続強制経口投与試験法は経口剤の小児適用を目的とした薬効, 安全性評価試験として信頼性の高い試験系となりうる可能性があると判断した。
本試験を遂行するにあたって, 御教示いただいた当研究所所長である美津島宏博士および所次長である増田裕博士に感謝します。
また, 実験に直接御協力いただいた杉浦弘枝さん, 鈴木素子さんおよび血液・血液生化学検査グループの皆さんに感謝いたします。
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