Experimental Animals
Online ISSN : 1881-7122
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38 巻, 1 号
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  • 鈴木 秀作, 毛利 資郎, 西田 隆雄, 西中川 駿, 大塚 閏一
    1989 年 38 巻 1 号 p. 1-9
    発行日: 1989/01/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    メキシコウサギの下顎腺について光学顕微鏡並びに透過電子顕微鏡で観察した。腺胞細胞は明るく微塩基好性の分泌顆粒を持つ漿粘液細胞であった。電顕的に, 腺胞細胞は明調細胞ときわめて少数の明るい細胞からなり, 前者は電子密度の低いないし中程度の顆粒を, 後者は電子密度の低い顆粒を有していた。腺胞と介在部の間に微塩基好性で, 電子密度の中程度の分泌顆粒を持つ細胞群が認められた。介在部上皮は丈の低い明調な立方上皮で, 細胞は核上部から頂部にかけて高電子密度の芯をもつ顆粒を有していた。線条部上皮は, 明調細胞と少数の暗調細胞からなり, 両細胞の頂部には少数の空胞や微細小胞が見られた。これらのいずれの部位にも, 性及び日齢による組織学的差異は認められなかった。今回検索したメキシコウサギの下顎線は, 形態学的にナキウサギよりむしろウサギの下顎腺に類似していた。
  • 吉田 純一, 栗山 澄, 永田平 良一, 久保 薫, 吉中 一朗
    1989 年 38 巻 1 号 p. 11-15
    発行日: 1989/01/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    モルモットPCA反応の個体差の要因について検討した。モルモット抗penicillin G血清による4時間homologous PCA反応の強さは, 同一個体における背部8カ所の反応部位間では大きく変化しなかったのに対し, 同じ反応部位でも個体が異なれば反応の強さに大きな違いが認められた。また, PCA反応は抗histamine薬, promethazineによって強く抑制されると共に, 反応後の組織histamine含量は有意に減少し, 主なmediatorとしてhistamineの遊離が示唆された。各個体のPCA反応の強さは, PCA反応部に隣接した部位で誘発したhistamine皮内反応の強度と高い相関を示したが, 皮膚histamine含量との相関性は低かった。これらの結果は, モルモットPCA反応の個体差にはhistamineに対する感受性の違いが大きく影響していることを示唆している。
  • 戸塚 繁夫, 菅野 昭永, 真鍋 淳, 森 昌弘
    1989 年 38 巻 1 号 p. 17-24
    発行日: 1989/01/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    4日齢の幼若ラットを用い, 強制経口投与手技, 投与可能な最大容量および蒸留水, 1%CMC水溶液あるいは1%トラガント末懸濁液の連続投与による毒性学的影響の有無を調べ, 幼若ラットを用いた連続強制経口投与試験法について検討した。その結果, 幼若ラットを投与前約1時間にわたって母獣から隔離したのち, 背部から頸部にかけての皮膚を軽くつまみ口部が上向きになるように保定し, 市販されていいる金属製のマウス用胃ゾンデを口部から約2cm挿入し, 被験液をゆっくり注入する方法が最適であることが分かった。また, 投与可能な最大容量は体重1g当たり単回投与が0.04ml, 連続投与が0.01mlと判断された。一方, 4日齢から7週齢までの44日間にわたり蒸留水, 1%CMC水溶液あるいは1%トラガント末懸濁液を体重1g当たりそれぞれ0.01ml連続投与しても, 連続投与による栄養障害あるいは特定の臓器に対する毒性学的影響は認められなかった。
    したがって, これらの投与手技および媒体を使用した幼若ラットでの連続強制経口投与試験法は経口剤の小児適用を目的とした薬効, 安全性評価試験として信頼性の高い試験系となりうる可能性があると判断した。
    本試験を遂行するにあたって, 御教示いただいた当研究所所長である美津島宏博士および所次長である増田裕博士に感謝します。
    また, 実験に直接御協力いただいた杉浦弘枝さん, 鈴木素子さんおよび血液・血液生化学検査グループの皆さんに感謝いたします。
  • 樋口 直子, 佐々木 昌志, 新井 敏郎, 大木 与志雄
    1989 年 38 巻 1 号 p. 25-29
    発行日: 1989/01/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    MSA投与により作出した肥満性糖尿病KK雄マウスを, 若齢群 (12週齢) と高齢群 (35週齢) に分け, 去勢およびアンドロゲン投与を行い, 糖尿病発症におよぼすアンドロゲンの影響を調べた。血中アンドロゲンレベルは, マウス涙液中の雄性ホルモン依存性蛋白質 (Mtp-M) の消長を, ゲル電気泳動法で観察することにより推定した。若齢マウスでは去勢後一時的に尿糖が消失したが, 再び尿糖が出現した。Mtp-Mは去勢により弱化が認められたが, 消失はしなかった。これに対し, 高齢マウスでは去勢後に尿糖が陰転し, 血糖値は去勢前と比べ著しく低下した。また, Mtp-Mは完全に消失した。いっぽう, 去勢後, 尿糖が陰転した高齢マウスにdehydroepiandrosterone (DHEA) を投与した結果, 再び尿糖の陽転と血糖値の上昇 (98.8mg/dl→198.3mg/dl) がみられ, これに伴ってMtp-Mの出現が認められた。以上の結果から, MSA処理KKマウスの糖尿病発症には, アンドロゲンが重要な役割を果たしていることが強く示唆された。
  • 武下 政一, 土井 邦雄, 今泉 和則, 光岡 知足
    1989 年 38 巻 1 号 p. 31-39
    発行日: 1989/01/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    塩化ナトリウムの8.5%水溶液30ml/kgをddYマウスに腹腔内投与し, 経時的観察を実施した。さらに6時間後にコロイダルカーボンを注入し脳の色素分布を観察した。ヘマトクリット, 血清浸透圧および腹水の増加が投与1時間後を頂点として認められた。コロイダルカーボンを注入されたマウス脳では基底核へのカーボンの侵入が5例中2例で著しく低下していた。脳の病理組織学的検査では投与6時時間後から海馬の錐体細胞の変性が, 電子顕微鏡的検査では微小空胞形成, ミトコンドリアの腫大および粗面小胞体の拡張が錐体細胞に認められた。以上の結果から, ヘマトクリットの増加から判断される血液粘度の著しい増加に起因する脳血流量の減少が虚血性脳病変を惹起したと考えられた。
  • 二階堂 浩子, 早川 純一郎
    1989 年 38 巻 1 号 p. 41-46
    発行日: 1989/01/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    Es-Sia遺伝子を持つ系統のラットの血清におけるSex-influenced esterase (ESSI) 産生について再検討をおこなった。ESSIは成熟雌に電気泳動によって検出される。ISラットでは, 成熟雌のほか去勢雄と春期発動以前の雌雄に検出された。3-37週齢まで経時的に観察したところ, 正常雄では春期発動期からESSIの産生が抑制された。離乳時に去勢された雄では, 春期発動に相当する時期に一過性のESSI抑制がみられたが回復した。離乳時に去勢された雄にテストステロンを連続投与すると正常雄と同様の経過をたどってESSIの産生が抑制された。雌では, 去勢の影響はみられなかった。離乳時に去勢した雌にテストステロンを投与すると, 正常雄と同様の経過でESSIが抑制された。ACIラットで, 成長に伴う量的変動を検討した。雌では3-6週齢の間増加し続けるが, 雄では5週齢から減少しはじめた。ACI (Es-Sia) とWKY (Es-Sib) の交配から, 雌より低濃度であるが成熟雄にESSIを産生する系統SI3を育種した。Es-1aを持つ8近交系の成熟雄をスクリーニングしたところ, SI3を除くいずれにもESSIは認められなかった。
  • 佐藤 勝紀, 松村 貴史, 河本 泰生, 猪 貴義
    1989 年 38 巻 1 号 p. 47-54
    発行日: 1989/01/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    本研究は, 選抜育種および計測形態学的な手法による遺伝的モニタリング法に関する基礎資料を得るためにニホンウズラの8週齢時における雄体重, 筋肉重, 骨格形質の遺伝率, 表型相関, 遺伝相関について検討したものである。材料は221羽の雄ヒナを用いた。検討した形質は体重, 筋肉重および4種類の骨格形質 (骨格重, 骨格長, 骨格幅, 骨格高) である。遺伝率は, 体重では0.67, 筋肉重では0.36~0.56, 骨格重では0.79~0.94, 骨格長では0.35~0.77, 骨格幅では0.17~0.32, 骨格高では0.41~0.84の値がみとめられた。表型相関, 遺伝相関は, 体重と筋肉重, 骨格長との間に高い正の相関のあることが認められた。また, 大腿骨長, 下腿骨長, 中足骨長の間には高い正の遺伝相関値がみられた。以上の結果から, 体重, 筋肉重, 骨格長は選抜育種によって改良されることが示された。また, 遺伝的に明らかにされた骨格形質はニホンウズラ系統の同定や遺伝的モニタリングに役立つことが示唆された。
  • 佐藤 勝紀, 井田 奈美枝, 猪 貴義
    1989 年 38 巻 1 号 p. 55-59
    発行日: 1989/01/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    本研究は, 選抜育種および系統の同定, 遺伝的モニタリングに関する基礎資料を得る目的で, ニホンウズラの卵形質の遺伝率と表型相関, 遺伝相関について検討した。本研究では, 323羽の雌から生産された3230個の卵を使用した。卵形質の測定は, 卵重, 卵黄重, 卵白重, 卵殻重, 卵形係数, 卵白高, 卵比重, 卵殻厚, 卵殻強度, 卵黄色について行った。その結果, 卵形質の遺伝率の値は高く, 0.52から0.84の範囲の値を示した。表型相関, 遺伝相関は卵形質問で種々の値がみられた。これらの結果から, 個体選抜が卵形質の改良にもっとも有効な方法であり, 卵形質の遺伝的改良を行うにあたってはそれらの相互関係を考慮すべきであることが示された。また, 卵形質を利用してウズラ系統の同定, 遺伝的モニタリングを個体を殺さないで行えることが示唆された。
  • ―Rolling Mouse Nagoyaとの比較―
    松井 京子, 真野 行生, 安藤 一也
    1989 年 38 巻 1 号 p. 61-64
    発行日: 1989/01/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    Wriggle mouse Sagami (WMSマウス) にceruletideを投与し, 運動状態に対する影響についてRolling Mouse Nagoya (RMNマウス) の場合と比較した。ceruletide投与後の運動状態の観察はopen-field法により行なった。その結果, ceruletide投与で両マウスともに運動量の低下がみられた。一方, WMSマウスの運動失調は改善がみられたが, RMNマウスでは改善がみられなかった。このことから, 両マウスの運動失調の発現機序が異なることが推測された。
  • 松崎 哲也, 鈴木 博, 神谷 正男
    1989 年 38 巻 1 号 p. 65-69
    発行日: 1989/01/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    1984年4月から6月にかけて奄美大島で捕獲したアマミノクロウサギ (Penzalagus furnessi, 以下クロウサギと略す) 雌雄各5匹を導入し, ケージ内飼育・繁殖を試みた。飼育中のクロウサギは神経質で音に敏感で警戒心が強く, 常に逃避行動をしめした。飼料は, ウサギおよびナキウサギ用の固形飼料を主に, 好食するサツマイモ, リンゴ, ススキ等の野草を若干与えた。クロウサギはカイウサギと同じく食糞行動がみられた。糞には硬い糞と軟らかい糞の2種があり, 後者を食した。ケージ内飼育のクロウサギは最大体重に達するまでに13ヵ月を要したが, 雌雄間に体重の差はみられなかった。繁殖には小型のケージ6個を並列に並べた6連式ケージを作製して用いた。交配は雌雄1: 1で行った。雌雄各5匹の種々の組み合わせで, 延べ74回の交配を試みた。そのうちの1組に妊娠が成立し, 1986年6月10日, 1仔の誕生をみた。この新生仔 (2日齢) は体重が100gであり, 目や耳が閉じ, 門歯が萌出していた。また, 新生仔は野生色の短毛を有しており, 腹部の皮膚は赤味を帯びていた。4肢の爪は伸びて, 先端は白く糸状に巻いていた。新生仔は生後4日で死亡したが, この時の体長は15cmであった。
  • 鈴木 通弘, 浜野 政章, 長 文昭, 本庄 重男
    1989 年 38 巻 1 号 p. 71-74
    発行日: 1989/01/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    東南アジアより輸入後2-4年経過し, 施設の環境によく馴化した成熟カニクイザルの雄61頭, 雌192頭を対象とし, 1日当りの飼料摂取量, 飲水量, 糞量, 尿量および尿の一般性状について調査した。また, 摂水量と尿量との間および尿量と尿比重との間の相関関係を検討したところ, 前者では正の, 後者では負の相関性が認められた。
  • 山本 博昭, 藤代 光一
    1989 年 38 巻 1 号 p. 75-79
    発行日: 1989/01/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    マウスの自然発生由来の継代移植乳腺腫瘍の増殖に対するglycosaminoglycan (GAG) 成分の構成とその変動について検討した。原発の乳腺腫瘍は静岡実験動物農業共同組合より入手した生後45週齢のddY雌マウスの右第3乳腺に発生したものである。この乳腺腫瘍は組織学的にB型の腺癌であった。移植乳腺腫瘍組織はGAGを多量に含有している線維性ないし浮腫性の間質より構築されており, このGAG成分は主にピアルロン酸 (HA) , デルマタン硫酸 (DS) およびコンドロイチン硫酸 (ChS) より構成されていた。GAGの分析において, HA量は腫瘍の対数的増殖期に増加したが, 腫瘍の定常期には減少した。しかし, DSとChSの量は腫瘍の定常期においてのみ増加していた。このDSとChSの増加は組織学的に腫瘍の線維性間質の増生と一致していた。
  • 小坂 忠司, 高橋 和明
    1989 年 38 巻 1 号 p. 81-83
    発行日: 1989/01/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    プロジェステロン充填チューブの21日間処置により, 性周期を同期化したモルモットの過排卵に対する妊馬血清性性腺刺激ホルモン (PMSG) の効果を調査した。生理的食塩液を投与した対照群では, プロジェステロン埋没物 (処置) 除去後6日目に全例で排卵の同期化がみられた。PMSG投与群では, プロジェステロン埋没物除去前8時間のPMSG処置により, 対照群と比べて排卵数の有意な増加を認めた。しかし, その他の投与時期では排卵数の有意な増加はみられなかった。本成績から, プロジェステロンの長期間埋没処置により性周期の同期化したモルモットにおいて, 性周期の特定の時期にPMSGを投与すると過排卵の誘起されることが明らかになった。
  • 海上 智, 平田 真理子, 一戸 一晃, 谷本 義文, 飯塚 宏美
    1989 年 38 巻 1 号 p. 85-88
    発行日: 1989/01/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    ラットにおける血清アルカリ性ホスファターゼアイソザイム (ALP iso) の分離・定量を小麦胚芽レクチンを用いた親和電気泳動法によって検討した。通常のセルロースアセテート膜電気泳動法では肝型および骨型isoは相接したバンドとして認められるが, 親和電気泳動法では骨型isoの易動度が減じ, 肝型isoとの分離が良好となった。この電気泳動法によりラット血清ALP isoの生理変動を調べたところ, 骨型iso活性は加齢にともなって低下し, 小腸型isoは摂食によって増加した。また肝型iso活性は摂食や加齢に関係なくつねに低値を示した。以上のことから, 親和電気泳動法による血清ALS isoの臨床的有用性について, 今後さらに検討する価値があると考えられる。
  • 笠井 憲雪, 笠井 暁史, 対馬 保典
    1989 年 38 巻 1 号 p. 89-92
    発行日: 1989/01/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    近交系動物の家系図を作成するプログラムを作製した。プログラムは家系図の作成 (データの入力) , 家系図の表示, データー覧の表示, 及びシステムとデータのバックアップの4つからなり, 画面表示と印刷が行える。このプログラムを用いて動物実験施設で育成・維持されている近交系ラットの家系図を作成し, 今までの継代法を検討した。その結果, 一部の系統 (WKAH) に複数のラインが出来ているのが示され, 継代法が適切でないことがわかった。このプログラムは, 近交系動物やモデル疾患動物の育成・維持に際して, サブラインの防止や異常動物の出現時における近縁関係の特定や淘汰などにきわめて有用である。
  • 竹中 務, 植木 治美, 橋本 慶喜, 橋本 一也, 松本 智志
    1989 年 38 巻 1 号 p. 93-96
    発行日: 1989/01/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    45頭のカニクイザルの鼻腔ふき取り標本について鏡検によりAnatrichosoma sp.の検査を実施したところ, 3例 (6.7%) の陽性を認めた。スワブ標本陽性個体の鼻粘膜組織標本では, 雌の虫体はつねに鼻粘膜の重層偏平上皮細胞層に見られた。雌寄生部位の鼻粘膜では上皮細胞層の肥厚と角化不全が見られた。雄の虫体は粘膜下組織に存在し, その周囲には慢性炎症反応が見られた。
  • ラーマン モハメッド ハビブール, チャウドリー アザド
    1989 年 38 巻 1 号 p. 97-99
    発行日: 1989/01/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    特発性回腸乳頭腫が1.5才のメスのSprague-Dawleyラットにおいて発見された。この病変ははじめ, 回腸の吸収性表面部の微小なふくらみとして記録された。組織学的には, この新生物は変質した上皮の角質増殖症, 過形成及び表皮肥厚症を示す乳頭腫として記録された。これは, バングラディッシュでラットの回腸において発見されたこの種の病変の, 最初の報告であると考えられる。
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