Experimental Animals
Online ISSN : 1881-7122
Print ISSN : 0007-5124
42 巻, 2 号
選択された号の論文の23件中1~23を表示しています
  • 清澤 岩水, 青木 誠, 今村 卓広, 内藤 惇, 斎藤 徹, 高橋 和明
    1993 年 42 巻 2 号 p. 129-133
    発行日: 1993/04/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    金線電極およびコットンウィック電極を用いてマウス, ラットの明順応時と暗順応時のERGを測定し, 比較検討した。その結果, a波, b波の潜時と振幅および律動様小波の振幅と波数において, 両電極の間にラットでは差異が認められなかったが, マウスでは明時のa波潜時およびb波振幅に, 暗時のa波潜時および律動用小波振幅に有意差が見られた。しかし, 電極の作製, 維持などの操作性の面では金線電極の方が容易であり, 金線電極は実験小動物のERG測定に有効な電極であると思われた。
  • 大和田 一雄, 片平 清昭
    1993 年 42 巻 2 号 p. 135-142
    発行日: 1993/04/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    成熟雌フェレットの主要臓器重量 (体重比) および血液学的, 血液生化学的諸項目について測定し, 参照値として報告した。また, 直接法により体表面積を測定すると共に, 計算で求める場合のK値 (恒数) についても算定した。K値はデュボイの公式では3.48, ミー・ルプナーの公式では9.69であった。血液学的には10項目, 血液生化学的 (血清および血漿) には57項目 (総アミノ酸分析を含む) について測定した。変動係数が30%を越えるものは, 血液学的項目ではRBC, WBC, PLT, 血液生化学的項目ではγ-G, U, ZTT, GPT, γ-GPT, MAO, ALD, IgGおよびTauline (総アミノ酸分析) であった。AmylaseとCPKのアイソザイムパターンは正常ヒト血清とは著しく異なっていた。また, 総アミノ酸分析において, ヒト血清中には認められない1-MEHIS, 3-MEHISおよびCARが検出された。血液・生化学的測定値は概ねイヌ, ネコにおける文献値と同様であったが, フェレットにおいてはα1-G量 (%) , ALPおよびAmylase活性が低値を示し, WBC, RET-CおよびLDH活性が高値を示した。今回の様な同時多項目にわたる報告はこれまでになく, また一部の例外を除いて変動幅も少なかったことから, われわれの成績は雌フェレットの参照値として充分に寄与し得るものと考えられた。
  • 鳥居 隆三, 和 秀雄
    1993 年 42 巻 2 号 p. 143-149
    発行日: 1993/04/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    メスニホンザルの非交尾期にみられる性腺機能の低下の要因について検討するため, 19頭を用いてLH-RH, PMSG投与実験を行った。7頭にPMSGを12~14日間連日投与したところ, 卵胞の成熟とそれに伴うE2値の増加がみられたが, LH値は2頭で全く増加がみられず, 他の5頭でもその増加は極めてわずかであった。また, 投与10日目以降は, 卵胞も退縮し排卵は見られなかった。これは, 発育した卵胞から分泌されたE2のポジティブ・フィードバックによっても, 下垂体から十分量のLHが分泌されず, 排卵に至らなかったことを示している。また5頭にLH-RHを単独1回投与した時, 交尾期ではLH値に明らかな増加がみられたが, 非交尾期では5倍量の投与量にも拘らずLH値の増加はみられず, 非交尾期の下垂体は高度な機能低下にあることを示していた。さらに, 7頭にPMSGを連日投与後, LH-RHを投与することにより, 全頭でLHのサージ様の増加がみられ, 内4頭で排卵がみられた。これらの成績から, 非交尾期のメスニホンザルの性腺機能の低下の理由の一つとして, 視床下部のLH-RH分泌機能を含む上位中枢の機能低下が示唆された。
  • 清水 利行, 吉田 高志, 長 文昭, 後藤 信男
    1993 年 42 巻 2 号 p. 151-158
    発行日: 1993/04/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    筑波医学実験用霊長類センターにおいて, ケージ内繁殖・育成方式によって出生したカニクイザルについて, 出生時から生体計測を繰り返し, 縦断的方法によって, 形態学的成長について解析をおこなった。計測は, 頭部, 体幹部ならびに四肢の長さに係わる17部位で実施した。頭部の計測値では, 雌雄とも, 最大頭長・最大頭幅に比べて形態学顔高・形態学上顔高の増加率が大きかった。また四肢の成長に対し体幹部の成長は1.5歳齢までは優っていた。その後, 雌ではほぼ等成長を呈するのに対し, 雄では四肢の成長の方がやや優成長を呈するようになった。このことが, カニクイザルの雌雄での体型の差をつくる原因であることが示唆された。ついで, それぞれの部位の計測値に, 変曲点のある成長モデル式と1.てGompertz式およびLogistic式を, また変曲点のない式として二次関数を適合させた。その結果, これらの形態学的計測値には二次関数がもっともよく適合するものと判断された。カニクイザルの形態学的な成長の特性として, 成長初期に一時的な成長速度の減少を伴わない (変曲点のない) 成長様式を呈していることが指摘できよう。
  • 根岸 正, 西村 泉
    1993 年 42 巻 2 号 p. 159-168
    発行日: 1993/04/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    ガス状物質と比較するとダストを安定して発生させることは困難であるため, 動物吸入暴露実験において暴露チャンバー内のダスト濃度を一定に保つことは難しい。本研究ではダストの暴露濃度を安定させるために, 発生器の制御はon-offコントロールのみで行い, 発生させたダストを2台のサイクロン整粒器を通過させた後一旦貯蔵漕に蓄え, ここから暴露チャンバーへ搬送するダスト供給量を自動調節する方法を採用した。本システムでは, 貯蔵漕内のダストを加圧空気によってエジェクターへ吸い上げさせ, 混合漕で清浄空気と希釈・混合させた後, 暴露チャンバーに導入したポ暴露チェンバー内のダスト濃度は加圧空気によってエジェクターに吸い上げられるダストの量によって決まる。このため, 暴露チェンバーに取り付けた光散乱方式による粉塵計からの濃度信号をPIDコントローラーで処理させ, ガス流量調節用のマスフローコントローラーに制御信号を送り, 加圧空気の量を自動的に制御させた。本制御システムは, 発生器のon-offコントロールによるハンチングを低減するとともに, ダストの暴露濃度を長時間にわたり安定して維持することができた。また, 所定濃度に達するまでの時間を短縮し, ダスト暴露に特有な配管内部に付着したダストの剥離による急激な濃度上昇も軽減することができた。さらに, 本暴露システムは複数のチャンバーに異なる濃度のダストをダストの中位径を変化させることなく同時に暴露できることが明らかとなった。
  • 万年 英之, 辻 荘一, 後藤 信男, 福田 勝洋
    1993 年 42 巻 2 号 p. 169-173
    発行日: 1993/04/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    本研究では, 近交系マウスの同定と系統間の遺伝的類縁関係の分析に対するDNAフィンガープリント法の有用性を検討したポプロープにはM13ファージDNAの反復配列を使用した。マウスの系統として, 8系統の近交系 (NC/Jah, DDD/Jah, DSD/Jah, RR/Jah, SS/Jah, C3H/HeJah, C57BL/6Jah, C57BL/6CrSic) とcoisogenicのNC-brp, congenicのC57BL/6-bgの2系統を用いた。系統内でのDNAフィンガープリントは, どの系統も全く同一のバンディングパターンを示した。また, 系統内における突然変異のバンドは観察されなかった。10系統は, それぞれ系統に特有のバンディングパターンを示した。これらの結果は, M13ファージプロープを用いたDNAフィンガープリント法は, 近交系マウスの遺伝的モニタリングに適していることを示す。系統間の遺伝的類縁関係を見るために各系統のバンディングパターンでデンドログラムを作成したところ, C57BLグループとその他のグループに大別された。遺伝的類縁関係が近いものとして, (C57BL/6Jah, C57BL/6CrSlc, C57BL/6-bg) , (NC/Jah, NC-brp, RR/Jah) , (DDD/Jah, DSD/Jah) の組み合わせが見られた。これは, それぞれ系統の歴史的背景と一致していた。これらより, 本法はマウス近交系間の遺伝的類縁関係を解明するための方法としても適していることが明らかにされたポ
  • 野間口 隆, 櫻井 洋子
    1993 年 42 巻 2 号 p. 175-179
    発行日: 1993/04/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    モロシヌス・マウス (Mus musculus molossinus) のMiura♀×Urawa♂ (MU) F1を祖先として, 初産同腹子間の兄妹交配による継代を試みた8群のうち, MUA, MUF, MUGの3群がそれぞれF21, F20, F22に, MUDとMUEの2群がF18に達したが, 他の3群はF10までに断絶した。F20に達した3群が, それまでに要した日数は2, 292.3±127.3日, 平均世代日数は114.6±50.1日で, F20まで継代するのに少なくとも6年を必要とした。継代に要した日数は前半と後半世代とでは著しく異なり, F0~F10が1, 502.0±32.8日を要したのに対して, F10~F20は790.3±95.0日に大幅な短縮が認められ, 平均世代日数も, それぞれ150.2±41.7日, 79.0±29.1日であった。このマウスの繁殖能は, 初産齢がF0~F9では124.5±29.4日齢, F10~F19では77.8±9.3日齢で, 初産子数は平均5匹 (2~8匹) , 離乳子数の平均も5匹 (2~7匹) で, 離乳した雌雄の割合は, 雄の方が多い傾向がみられた。また, 出産回数は53.9±28.4日の間隔で8~9回, 最短出産齢56日齢, 最短出産間隔19日, 最終出産齢502.4±15.7日齢であるので, 繁殖可能期間は37~518日齢と推定される。
  • 野間口 隆, 櫻井 洋子
    1993 年 42 巻 2 号 p. 181-187
    発行日: 1993/04/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    近交化されたモロシヌス・マウスの成長に伴う体重変化, 食餌量と飲水量および臓器重量を測定し, また組織学的解析を行い, このマウスの特徴を明らかにした。1) .体重は出直生後から1ヵ月齢まで直線的な増加を示し, その後も3ヵ月齢まで上昇し, さらに微増を続けて, 雄は7ヵ月齢には19.9±1.6g, 雌は9ヵ月齢には19.3±0-7gに達し, その後は一定となり, 既存の系統マウスにみられるような肥満化は認められなかった。体重の最大値は雄21.5g, 雌20.1gであった。2) .体重当たりの食餌量および飲水量は, 1ヵ月齢から6ヵ月齢まで, 個体の成長に伴って著しく減少したが, その後の値は一定であった。食餌量は1ヵ月齢を除いて雄よりも雌の方が有意に多く, 飲水量も4ヵ月齢以後では雌の方が多く, 明らかな有意差が認められた。3) .体重当たりの各臓器の重量を臓器指数として表し, 腎臓, 精巣および胸腺について組織学的検索を行った。腎臓指数は, 雌雄間に著しい差が認められ, 雌は雄の70~75%であったが, 逆に雌の腎小体数は雄の約1.5倍であった。精巣指数は3ヵ月齢を境に増減したが, 3ヵ月齢には発達した精細管上皮が増加し, 9ヵ月齢では間質組織の占める割合が増加した。成長に伴って激しく減少する胸腺は, 雄の指数の低下が雌よりも著しかった。雌雄ともに1ヵ月齢では組織の70%前後を占めていた胸腺皮質は減退し続けたが, 髄質の占める割合はほとんど変わらず, 結合組織および脂肪組織が顕著に増加した。
  • ―出生時体重について―
    佐々木 康成, 野中 和明, 中田 稔
    1993 年 42 巻 2 号 p. 189-195
    発行日: 1993/04/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    母親マウスの系統が胎児マウスの子宮内成長に及ぼす影響を調べるために, 1系統のマウス受精卵を4系統の母親マウスに移植し, 生まれてきた新生児マウスの出生時体重, 産子数および妊娠期間について比較検討した。また, コントロール群として通常の交配, 分娩により出産した新生児マウスについても, 同様の項目を測定し, 実験群と比較し, 受精卵移植手技の影響についても検討した。得られた結果を以下に示した。1.新生児マウスの出生時体重に, 性差は認められなかった。2.新生児マウスの出生時体重は, 産子数が多くなるほど小 (偏回帰係数; 移植群と非移植群の分析では, 一0.024, P<0.001, 4系統のレシピエントの分析では, 一0.058, P<0.001) , 妊娠期間が長いほど大 (偏回帰係数; 移植群と非移植群の分析では, 0.068, P<0.001, 4系統のレシピエントの分析では, 0.071, P<0.001) となる傾向が認められた。3.受精卵移植手技が, 移植した受精卵の着床やその後の子宮内成長に影響していることが認められた。4.4系統のレシピエント雌マウスは, それぞれの子宮内環境を通して, 胎児マウスの子宮内での体重増加に, 異なる影響を与えていることが示唆された。すなわち, 遺伝的に均一なDDD/Qdjの受精卵から生まれた新生児マウスの出生時体重について, 産子数と妊娠期間の影響を統計学的に除去して検討したところ, 体重の重いDDD/QdjおよびC3H/Qdjレシピエントの子宮内で成長した胎児は, 体重の軽いC57BL/QdjおよびDBA/1JSeaレシピエントの子宮内で成長した胎児よりも, 出生時での体重が重かった。
  • 蛭間 正巳, 関 あずさ, 小野 晃弘, 栗原 毅
    1993 年 42 巻 2 号 p. 197-201
    発行日: 1993/04/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    エチオニン添加コリン欠乏 (ECD) 食で誘発されたラットの肝病変について病理組織学的に観察した。実験は脂肪肝または肝硬変に対する薬物の予防ないし抑制効果を知るために行ったが, 予想に反し薬物とは無関係にECD食を与えたラットの全例に, 肝の腫瘍性病変が認められた。肉眼的に一部の死亡例を除き, ほとんどの例で結節病変を認めた。組織学的に肝は腫瘍性結節, 腺管構造そしてoval cellの増生を特徴としていた。腺管構造はoval cellの増殖と共に, 死亡した34日目のラットで既に顕著に認められ, cholagiofibromaに類似していた。腫瘍性結節は42日目以後で見られ, その発生は腺管構造より遅れていた。エチオニン添加コリン欠乏食による腺管構造を主体とした肝病変の形成は, 本試験が初めてと思われた。
  • 田中 雅弘, 斎藤 直広, 玉木 太郎, 山本 進, 秋葉 智英, 浅沼 章宗, 古賀 照二
    1993 年 42 巻 2 号 p. 203-209
    発行日: 1993/04/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    2, 6あるいは9ヵ月齢の脳卒中易発性自然発症高血圧ラット (SHRSP) に4週間高脂肪食を負荷し, 糸球体泡沫細胞の発生に及ぼす高血圧あるいは高脂血症との関連について検討した。普通食群では高血圧性の血管障害が顕著な9ヵ月齢群でのみ糸球体泡沫細胞が出現した。一方, 高脂肪食負荷群においては高血圧性の血管病変が出現していない2ヵ月齢群では糸球体泡沫細胞は認められなかったが, 高血圧状態が長く持続し血管病変が出現している6あるいは9ヵ月齢では糸球体泡沫細胞が顕著に出現した。泡沫細胞は皮質傍髄部の硬化した糸球体に好発した。以上の結果からSHRSPの糸球体における泡沫細胞の発生には高脂血症よりむしろ高血圧による糸球体血管障害が重要な役割を果たし, その後の糸球体内泡沫細胞巣の進展には高脂血症の存在が背景因子として重要である事が示唆された。
  • 梅津 元昭, 藤村 達也, 菅原 七郎, 利部 聰
    1993 年 42 巻 2 号 p. 211-216
    発行日: 1993/04/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    雌雄の遺伝性侏儒症ラット (rdw/rdw) を生後10週齢で血清と下垂体を採取するために断頭で屠殺した。下垂体のプロラクチン (PRL) , 甲状腺刺激ホルモン (TSH) と血中PRL, TSHと甲状腺ホルモン (T4) をラジオイムノアッセイ (RIA) で測定し, 表現型が正常な同腹子 (N) と比較した。rdwラットでは下垂体と血中のPRLはNラットに比べて非常に低い値を示し, 血中T4も有意に低い値を示した。下垂体当たりのTSH含量はrdwラットで有意に低かったが, 下垂体mg重量当りのrdwラットのTSH含量はNラットに比較して差がなかった。rdwの血中TSH水準はNラットと比べて雄で差がなく, 雌では有意に高い値を示した。前回 [23] と今回の成績を合わせて考慮した時, rdwラットは下垂体のPRLとGH合成細胞の形成不全が特徴的で, 下垂体のPRLとGHの内分泌欠陥を持つモデル動物として有用と考えられた。
  • 金田 昌博, 藤井 咲子, 青山 博昭, 寺本 昭二
    1993 年 42 巻 2 号 p. 217-220
    発行日: 1993/04/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    催奇形性試験のためのウサギにおける簡便な人工授精手技の有用性について検討した。人工授精の手順は, 1) 簡単な人工腟を用いた2~3匹の雄からの精液採取, 2) 生理食塩液による混合精液の10倍希釈液0.5mlの腟内への注入, および3) 排卵誘発のためのhCG (25単位) の耳介静脈内投与である。これらの手技と手順を用い, 約10匹の妊性のある雄を維持することによって, 2人の術者の1時間の作業で1日当たり10~15匹の雌に人工授精が可能である。ウサギにおけるこの簡便な人工授精手技は, 短期間に比較的多数の妊娠動物を準備する必要のある化学物質の安全性評価のための催奇形性試験に特に有用である。
  • 前田 勝弘, 小倉 安巳, 深川 清二, 内海 健二朗, 藤原 公策
    1993 年 42 巻 2 号 p. 221-224
    発行日: 1993/04/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    SDAV・TG株を経鼻接種後4~15日のSHR雄ラットの交尾能力および, これと1夜同居交配した雌ラットのSDA発症, 妊娠, 胚 (胎児) の生死を調べたところ, SDAV感染雄ラットの交尾能力は対照と差がなかった。しかし, 接種後4~11日の雄ラットと交配した雌ラットは高率に発症し, 多数の胚 (胎児) 死亡例を認めた。
  • 松木 則夫, 鳥居 義史, 梶 隆英, 西山 信好, 石山 順一, 千田 昇, 齋藤 洋
    1993 年 42 巻 2 号 p. 225-228
    発行日: 1993/04/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    われわれは既に食虫目に属するスンクスがさまざまな催吐刺激により嘔吐することを報告した。本研究では, 食虫目でもスンクスとは異なるトガリネズミ亜科に属するオオアシトガリネズミ (Sorex unguiculatus) が催吐薬で嘔吐するかどうか検討した。ベラトリンの皮下注射や硫酸銅の経口投与により嘔吐することが観察された。組織学的検索より延髄最後野が両側性の構造をもつことが嘔吐するために重要ではないことが示された。嘔吐する能力は食虫目トガリネズミ科動物に共通に存在している可能性がある。また, オオアシトガリネズミは嘔吐することが明らかにされた哺乳動物の中で最小である。
  • 中潟 直己
    1993 年 42 巻 2 号 p. 229-231
    発行日: 1993/04/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    室温にて高濃度の保存液 (DAP 213: 2 M dimethyl sulfoxide, 1M acetamide, 3M propylene glycol in PBI) に胚を移し, 10秒以内に, 直接液体窒素に浸漬することにより, マウス桑実胚および胚盤胞の凍結保存を行った。また, 融解は保存容器内に37℃の0.3M sucrose溶液を加え, 融解と同時に保存液の希釈を行った。桑実胚における融解時の形態的正常胚の割合は, 92.0% (149/162) と高値であり, それら胚の体外培養による胚盤胞への発生率および移植による新生児への発生率はそれぞれで83.1% (74/89) および45.0% (27/60) であった。しかしながら, 胚盤胞における融解時の形態的正常胚の割合は, わずか13.3% (13/98) と低値であった。
  • 野口 規子, 小倉 剛, 鈴木 繁生, 蟹沢 幸一, 斎藤 敬司, 松本 清司
    1993 年 42 巻 2 号 p. 233-236
    発行日: 1993/04/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    イヌを用いた安全性試験に骨髄穿刺手技を応用する目的で, イヌ胸骨から30日間隔で4回の骨髄反復採取を行い, 生体への影響を調べた。その結果, 一般状態, 体重, 体温, 血液学的検査値および骨髄細胞百分比に明らかな影響はみられなかった。血清生化学的検査では採取後1日目にクレアチンフォスフォキナーゼ (CPK) 活性値が一過性に上昇したが, その他の項目に著明な変動はみられなかった。
  • 田中 愼, 東條 英昭, 松沢 昭雄
    1993 年 42 巻 2 号 p. 237-241
    発行日: 1993/04/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    ヒト成長ホルモン (hGH) 遺伝子を導入して作出されたトランスジェニック (Tg) マウスの内, 2例の不妊雌で副腎皮質を組織学的に検索した。固定方法やTgマウスの作出に用いられた系統の遺伝的背景の違いを除いて対照雌と比較すると, Tgマウスでは束状層の細胞が肥大し, 脂肪滴の蓄積が増加しており, 網状層が存在しなかった。束状層の変化はhGHにより機能が一部高められたことに依るものと考えられた。一方, 網状層の変化は, 皮質の層形成には順位があり, 網状層の分化が遅いか, 弱いことに依る可能性が考察された。またhGH遺伝子導入Tgマウスにより, 皮質層構成の解明に遺伝学的な手段と同様新しい展開がもたらされた。
  • 御船 弘治, 鈴木 秀作, 軒原 清史, 小林 裕太, 上田 智之, 小原 徹, 野田 安孝, 坂本 紘
    1993 年 42 巻 2 号 p. 243-247
    発行日: 1993/04/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    22℃および33℃飼育下における妊娠4, 12, 20日目のラットの心耳筋細胞の心房性ナトリウム利尿ペプチド (ANP) 顆粒を免疫組織化学的ならびに形態計測的に, 血漿ANP濃度をラジオイムノアッセイにより解析した。免疫組織化学的に, 22℃飼育群のANP免疫反応は妊娠20日目で強くなったが, 33℃飼育群においては, 妊娠12, 20日目で弱くなった。形態計測的に, 22℃飼育群ではANP顆粒の数は, 妊娠20日目に有意に増加していたが, 33℃飼育群では妊娠12, 20日目に有意に減少していた。血漿中のANP濃度は, 22℃飼育群において妊娠日齢と共に減少し, 33℃飼育群では22℃飼育群の同時期に比べ低い傾向にあった。
  • 小林 欣滋, 川島 一剛, 川島 弓子, 山村 高章, 久世 博, 浅野 裕三, 川合 是彰, 堀 正樹, 岡庭 梓, 芹川 忠夫, 山田 ...
    1993 年 42 巻 2 号 p. 249-250
    発行日: 1993/04/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    自然発症てんかんラット (SER) およびzitterラットにおける視覚器障害と網膜ドパミン (DA) との関連について検討するため, 網膜におけるDAとその代謝産物である3, 4-ジヒドロキシフェニル酢酸 (DOPAC) およびホモバニリン酸 (HVA) の含量を測定した。Zitterラットの網膜では, 測定対象物質のいずれもがKyo: WistarラットあるいはSprague-Dawleyラットよりも低値を示した。これに対し, SERとKyo: Wistarラットとの間には著しい差は認められなかった。Sprague-Dawleyラットとの比較では, いずれもSERの方が高い値を示した。以上の結果より, zitterラットにおける視覚器障害は網膜のDA合成の減衰と何らかの関連があるが, SERでは関連がないことが示唆された。
  • 田中 愼, 福田 勝洋, 後藤 信男, 松沢 昭雄
    1993 年 42 巻 2 号 p. 251-255
    発行日: 1993/04/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    1年齢以上のハタネズミの副腎皮質を組織学的に観察し, この種の特徴と性差を検索した。ハタネズミでは皮質全体が雌に比べて雄でより薄く, マウス・ラットと同様であるのに対して, シリアンハムスター・マストミスとは逆であった。雄では束状層が厚く, 網状層が極めて薄く, マウス・ラット・シリアンハムスター・スナネズミと類似しているがマストミスとは逆であった。雌では束状層と網状層が各々外層と内層に区分できた。雌では網状層が厚く残り, 雄と際立った差を示し, マウス・シリアンハムスター・スナネズミ・マストミスと異なっていた。光顕レベルでこの種に特異な付加層はみられなかったが, 雌の網状層内層はこれにあたる可能性が示唆された。ハタネズミの副腎皮質はその食性の特異さからも更に検索を進めるのに値する対象と考えられた。
  • 山口 孝雄, 斎藤 徹, 外尾 亮治, 松尾 紘二, 若藤 靖匡, 高橋 和明
    1993 年 42 巻 2 号 p. 257-259
    発行日: 1993/04/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    シリアンハムスターの生産効率の向上を計る方法を探るため, まず1匹の雄が何匹の発情雌を1晩の同居交配により妊娠させることが可能であるかを検討した。生後8~10週齢の雄21匹を用いて, 雄雌1: 1, 1: 2および1: 4の交配群における雄の妊孕能について調べた結果, 各々6/7, 7/14および4/28例の妊娠・出産動物が得られた。したがって, シリアンハムスターの交配においては, 雄雌1: 2および1: 4の交配方法を採用しても生産性の高率化には結びつかないものと思われた。
  • 小坂 忠司, 外尾 亮治, 高橋 和明, 斎藤 徹
    1993 年 42 巻 2 号 p. 261-264
    発行日: 1993/04/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    性周期を同期化した雌との交配により, 生後12週齢の交尾未経験雄モルモットの交尾行動が赤色ライト下で観察された。交配に用いた雌の性周期同期化処置として, プロジェステロン充填チューブを2週間皮下に埋没移植した後, 0.5mgのプロジェステロンを皮下注射した。性周期同期化処置を施した雌は, チューブ除去後4日目の19時と21時にロードシス行動を示し, 5日目の9時には排卵していた。2時間の交尾行動の観察において, 射精が7例中6例で30分以内に観察された。雄モルモットのマウント (乗駕) , イントロミッション (挿入) および射精の各回数は, ラットやハムスターと比べて低頻度であり, またそれらの行動発現までの潜伏時間は長かった。
feedback
Top