Experimental Animals
Online ISSN : 1881-7122
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43 巻, 4 号
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  • 山口 孝雄, 斎藤 徹, 高橋 和明
    1994 年 43 巻 4 号 p. 461-469
    発行日: 1994/10/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    シリアンハムスターの生産効率の向上を計るために, 雄1匹に対して発情雌2および4匹を同居交配した。その結果, 雄の妊孕能は発情雌1匹交配群に比較して低下した。この妊孕能の低下の原因を明らかにするため, 30分間の交尾行動を観察し, さらに雄の妊孕能を調べた。その結果, 雄雌1対1, 1対2および1対4交配時のマウント, イントロミッションおよび射精回数の中央値は, それぞれ27, 36, 3回, 37, 27, 4回および13, 2, 0回となり, 発情雌4匹交配群が発情雌1匹交配群および発情雌2匹交配群に比較して著しく減少した。雄の妊孕能では発情雌2匹交配群では精子の認められた割合が, 12/14例であったにも拘らず出産に至った割合は6/12例と低下した。また, 発情雌4匹交配群では一連の交尾行動が殆ど認められず, 精子の観察された割合は6/28例となり, さらに出産までに至った割合は1/6例と激減した。したがって, 発情雌の数が増加しても生産効率の向上には結びつかず, その原因として1匹の雌が雄の交尾行動を受ける回数の減少 (発情雌2匹の場合) および雄の交尾行動の抑制 (発情雌4匹の場合) が推測された。
  • 松橋 肇, 小野寺 節
    1994 年 43 巻 4 号 p. 471-475
    発行日: 1994/10/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    マウスに対し中性赤生体染色を行い, 糸球体傍細胞 (JGC) の変化を電子顕微鏡により観察した。JGCの細胞質内に多数の糸球体傍細胞顆粒 (JGG) および淡染色顆粒 (LDG) とともにゴルジ体および粗面小胞体 (r-ER) の変化が見られた。多くのLDGには不定形物質が含まれ, 中心部が濃染色で, JGG内部と同様の電子染色性を示した。また, 内部全体が淡染色を示すLDGも観察された。LDGの一部は内部が二重膜構造を示した。LDGはr-ERで囲まれていたが, JGG, LDGの膜とゴルジ体の膜の結合は見られなかった。これらのことから, この生体染色はJGGの変化を観察する上で有用と考えられた。
  • 中島 崇行, 小川 和重, 谷口 和之
    1994 年 43 巻 4 号 p. 477-486
    発行日: 1994/10/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    ラットの甲状腺におけるカルシトニンmRNAを検出する際の最適条件を, 非放射性in situ hybridization (ISH) 法によって検討した。本研究では, ラットのカルシトニンmRNAに相補的な合成オリゴヌクレオチドをDNA合成機で合成し, この3'末端をdigoxigenin-11-deoxyuridine triphosphate (dUTP) で非放射性に標識し, プローブとした。また, プローブとカルシトニンmRNAによって形成された2本鎖のハイブリッドは, アルカリ性フォスファターゼ標識抗digoxigenin抗体とnitroblue tetrazolium, X-phosphate (Boehringer Mannheim社) を用いて検出した。本研究では, ISHの最適条件として, 主に, 固定法とproteinase K処理の関係, および, hybridizationの温度と時間の関係の2つを取り上げた。固定法とteinase K処理の関係では, 10%formalin, 4℃, 2時間の固定で, かつ1μg/ml proteinase K, 37℃, 20分の処理を行ったものがシグナル強度と組織形態の保存のバランスにおいて最適であった。この条件下でhybridizationの温度時間の最適条件を検討すると, 37℃で一晩インキュベートした場合に最も強いシグナルが得られた。また, 隣接切片にそれぞれ, ISHと免疫染色を行ったところ, 隣接切片で同一細胞にISHのシグナルと免疫反応が認められる場合が大部分であったが, 免疫反応は陰性であるのに, ISHのシグナルを示す細胞が少数存在した。
  • 及川 寿浩, 島村 和位, 斎藤 徹, 谷口 和之
    1994 年 43 巻 4 号 p. 487-497
    発行日: 1994/10/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    げっ歯目の一種であるチンチラの鋤鼻器の微細構造を比較解剖学的観点から検索した。チンチラの鋤鼻器は鼻中隔基部に横たわる全長約6mmの一対の管状構造であった。その吻側部は鋤鼻軟骨に, 尾側部は骨性被嚢に被われ, 吻側端では小孔によって鼻腔に開口し, 尾側では盲端に終わっている。鋤鼻器の管腔は三日月状ないし楕円状を呈し, 内側壁は感覚細胞, 支持細胞, 基底細胞より成る感覚上皮で被われていた。一方, 外側壁を覆う呼吸上皮は多列線毛上皮であった。ヤコプソン腺は管状胞状腺であり, 鋤鼻器の背外側部から腹外側部に分布し, 感覚上皮と呼吸上皮の移行部で鋤鼻器管腔内に開口していた。その分泌物はPAS陽性, アルシアンプルー陰性であった。感覚上皮の各構成細胞の微細構造は, 他の動物種で従来報告された所見とほぼ同様であったが, 支持細胞では, 大型のdense bodyが核周囲細胞質内に多数認められた。呼吸上皮は, 線毛細胞, 非線毛細胞および基底細胞から構成されていた。ヤコプソン腺の腺細胞には細胞質内に直径1, 700nm前後の低電子密度の分泌顆粒を持つ細胞と, 電子密度が様々に異なる直径2, 200nm前後の分泌顆粒を有する細胞の2種類が観察された。本研究の所見は, チンチラの鋤鼻器が活発な機能を営んでいることを示唆していた。
  • エバンス G.O., ファッグ R.
    1994 年 43 巻 4 号 p. 499-502
    発行日: 1994/10/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    抗ヒトCD4モノクロナール抗体を使用して, 2つの異なる方法により, カニクイザルのTリンパ球を標識することができた。そのうちの一方では, 磁気化できるビーズを用いた分離法を行った後, リンパ球をイムノゴールド (金結合抗体) によって標識した。さらに, 可溶性CD4の定量をこれらのサルの血清について行った。
  • 山本 將
    1994 年 43 巻 4 号 p. 503-510
    発行日: 1994/10/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    哺乳類の消化管壁の粘膜下組織中には感覚神経に属する神経細胞の細胞体が電気生理学的によく知られているが微細構造的にはまだほとんど明らかにされていない。そこでマウス小腸の粘膜下神経叢に散在する神経節を電子顕微鏡下で観察した。これらの節細胞はしばしば, 細胞内の主としてdense bodyの近くに微細顆粒域を共通して有するがその意義は明らかではない。それらの神経節の中に特殊な構成をもつ1つの神経節が認められた。この神経節の中心を占める神経細胞の細胞体はただ一つのシュワン細胞によりそのほとんど全周をとり囲まれ, 他の神経線維との直接接触を断たれている。この神経節や, 50%以上を一つのシュワン細胞に包まれる類似の神経節の周辺部にはしばしば亜鈴型小胞含有終末が認められるが他のタイプの神経節領域ではこのような終末はめだたない。この神経節細胞が壁内反射における感覚神経節細胞である可能性が論じられた。
  • 長尾 静子, 小山 洋一, 高橋 久英
    1994 年 43 巻 4 号 p. 511-519
    発行日: 1994/10/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    我々は, マウス多発性嚢胞腎症 (PKD) における腎臓の異常を解析するために, 成人型PKDマウスであるDBA/2FG-pcyの腎臓を免疫したDBA/2マウスから得た脾臓と, P3U1ミエローマ細胞を融合し, マウスの腎臓に反応するモノクロナール抗体を作製した。得られたクローンのひとつであるD28は, DBA/2マウスとDBA/2FG-pcyマウスの近位尿細管基底膜に特異的に反応した。しかし, D28抗体はマウスの腎臓の他の部位や, 皮膚, 卵巣, 卵管, 精巣, 肺および小腸等の腎臓以外の組織には, 反応しなかった。基底膜構成物質であるコラーゲンIV, ラミニンおよびプロテオグリカンのコア蛋白は, 成人型PKDマウスであるDBA/2FG-pcyと乳幼児型PKDマウスであるC57BL/6J-cpkに形成された腎嚢胞の基底膜に, 検出されたが, D28エピトープは認められなかった。また, 他の腎臓疾患では, D28エピトープは近位尿細管基底膜から消失しなかった。これらの結果は, 近位尿細管に形成される腎嚢胞が, 近位尿細管に特異的な構造の異常に関与することを示唆している。この様に, D28モノクロナール抗体は, 遺伝性PKDにおける基底膜に関連した異常を解析するために有益な道具となるであろう。
  • 万年 英之, 辻 荘一, 福田 勝洋, 後藤 信男
    1994 年 43 巻 4 号 p. 521-526
    発行日: 1994/10/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    本研究では, DNAフィンガープリント法を用いて, 近交系マウスC57BL/6とC3H/Heの亜系マウスの同定と亜系統および亜系間の遺伝的類縁関係の分析を行った。C57BL/6の亜系統および亜系としては, Jackson研究所 (J) 由来のJ//Jcl, J//Yok, J//Nrs, J//Jms, J//Slc, とアメリカNIH (N) 由来のN//Crj, N//Jcl, およびアメリカNational Cancer Institute (NCI) 由来のJahの8系統を用いた。C3H/Heの亜系統および亜系としては, J由来のJ, J//Jcl, J//Yok, J//Nrs, J//JmsとN由来のN, N//Jcl, N//Crj, およびNCI由来のNrs, Slc, Jahの11系統を用いた。プローブにはM13ファージの反復配列を用い, 制限酵素はHinfIPstIを用いた。1) すべての亜系において, 同一亜系の個体は同一のフィンガープリント像を示した。2) HinfIを用いたフィンガープリントでは大部分の亜系統で特有のバンディングパターンを示し, 相互に識別できたが, C3H/Heの亜系であるJ, J//Nrs, J//Yok間とN//Crj, Slc間では同一のパターンを示した。Pstlを用いた場合では, C3H/Heの亜系間では全く同じパターンを示し, C57BL/6の亜系においてもわずか5本のバンドで多型が見られる程度であった。3) 各亜系および亜系統間の遺伝的類縁関係を見るため, 制限酵素HinfIを用いたフィンガープリントを用いて, デンドログラムを作成した。その結果, クラスターは大きくC57BL/6とC3H/Heの系統で大別された。C3H/Heでは, J由来とNIH由来 (NCI由来を含む) の亜系統マウス間では別のクラスターを構成し, その歴史的背景を反映していた。C57BL/6では, J由来のJ, J//Jms, J//SlcとJ//Yok, J//Nrsが別のクラスターを形成し, この間にNIH系 (NCI由来を含む) マウスのクラスターを形成していた。4) これらの結果からDNAフィンガープリント法は近交系マウス亜系についても, 遺伝的モニタリングや遺伝的類縁関係の解明に有効な手法となることが明らかにされた。
  • ―尿中蛋白成分―
    山田 かなえ, 黒澤 努, 岡本 宗裕, 岳 秉飛, 水野 信哉, 内貴 正治
    1994 年 43 巻 4 号 p. 527-534
    発行日: 1994/10/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    ネフローゼ自然発症モデル動物は少ない。国立予防衛生研究所で発見されたネフローゼマウス (ICGN系統) は自然発症モデル動物としてきわめて有望である。当施設ではこのマウス系統とその親コロニーであるICR系統の交配で得られた個体を由来として, ネフローゼマウスの系統選抜維持を行っている。この系統のネフローゼ発症を尿のSDS-PAGE解析を行い, アルプミンバンドの検出により診断しているが, 他の臨床所見に比較し, この方法は早期診断に有利であると考えられた。また尿中蛋白濃度の推移を検討し, ネフローゼ発症群では, 2日齢から6日齢でやや高い値を示し, 16日齢まではやや低値を示すが, それ以降は序々に上昇することを明らかにした。しかしマウスではMUPの影響のため雄の尿中総蛋白濃度が高いことから, 尿中蛋白濃度のみではネフローゼの発症診断に限界があることが示唆された。
  • 石川 順子, 林 たつ代
    1994 年 43 巻 4 号 p. 535-539
    発行日: 1994/10/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    ラットの全血液量を放射性ヨウ素標識ラットアルブミン投与後の血液中放射能の減衰曲線から外挿法を用いて推定する方法を確立して, 生殖生理学の研究上繁用されている4日性の性周期を高率で示すウイスター・イマミチ系のSPF雌ラットの血液量推定に応用した。5週齢で購入した動物を体重150~300gになるまで飼育, 頸静脈にカニュレーションを施し, 125I標識ラットアルブミンをカニュラを通して静脈内に注入し, 経時的に採血してその放射能から見かけの血液量を計算した。採取した血液の放射能は, 投与後10分間まで急速に, その後緩やかに低下した。これは投与された標識アルブミンが体内の血液のプールに行きわたるのに約10分を要し, その後一定の半減期を以て分解排泄されて行くと解釈される。正しい血液量は, 緩やかに減衰する放射能を時間ゼロに外挿して得られる補正放射能値から計算されるべきものであり, われわれは標識アルブミン投与後10, 30, 60分の血液試料の放射能からゼロ時間に外挿して血液量を求めた。その結果動物の体重150~300gの範囲内で, 全血液量=8.4007+0.0430x体重という回帰式 (動物数=30) を得た。この回帰式の相関係数は0.96, 自乗値は0.92という高い値であった。また単位体重当りの血液量は体重とともに直線的に減少し, その関係式として, 体重100g当りの血液量=12.25-0.0174x体重, (相関係数の自乗値=0.9217) が得られた。
  • 保田 昌宏, 田浦 保穂, 宇根 智, 高島 一昭, 三笠 直也, 中市 統三, 中間 實徳
    1994 年 43 巻 4 号 p. 541-544
    発行日: 1994/10/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    犬において胎子膵移植のため安定した糖尿病状態のレシピエントの作製が必要になる。今回6頭の犬において膵臓全摘出術を施行し糖尿病状態を作製した。また同時にイソフルラン (GOI) 麻酔下の細胞性免疫能をリンパ球幼若化試験により検索した。経口糖負荷試験, 静脈内糖負荷試験の結果から重度の糖尿病と診断された。また, GOI麻酔下で膵臓全摘出を行った時のリンパ球幼若化試験の変化は, 対照群に比べ術後, 2週目まで反応の低下がみられたが, 3週目になると対照群に比べ, 同程度かあるいは, 反応の上昇傾向がみられた。以上より, 膵臓全摘出により重度の糖尿病状態が作製でき, かつそれが持続し, 膵移植のレシピエントとして使用可能であることが示唆された。
  • 二村 芳弘
    1994 年 43 巻 4 号 p. 545-549
    発行日: 1994/10/01
    公開日: 2010/12/09
    ジャーナル フリー
    DBA/2, BALB/c, C57BL/6, C3H/He, ddYおよびICRマウス末梢血単球を採取し, 系統によるエンドトキシン誘発サイトカイン産生量の差異を調べた。さらに, 動物の週齢による差異を見いだす目的で4, 6, 8, 10, 12, 18, 26および52週齢のICRマウスを用いて調べた。その結果, ICRに比してDBA/2ではIL-1α, IL-1βおよびIL-6産生量が低かった。また, BALB/cはTNFα産生量が最も低かった。一方, ddYはICRと同程度の産生量を示した。また, IL-1α, IL-1βおよびIL-6産生量は4~18週齢でほぼ一定であったが, 26および52週齢では減少した。一方, TNFα産生量は26又は52週齢で増加する傾向が認められた。このように単球によるサイトカイン産生量において系統および週齢による差異が認められた。
  • 岡田 雅昭, 竹内 純, 木村 均, 吉島 賢一, 伊藤 一彦, 古橋 忠和
    1994 年 43 巻 4 号 p. 551-558
    発行日: 1994/10/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    消炎鎮痛剤の投与により経胎盤性に胎児動脈管が収縮することが知られている。今回, 動脈管収縮時の形態変化について細胞外matrix成分を中心に組織化学的ならびに免疫組織化学的に検索した。細胞外matrixは収縮に際して増加し, 抗体2B1陽性のlarge PGと3B3陽性のchondroitin 6-sulfatePGが認められた。large PG と chondroitin 6-sulfate PGが収縮に何らかの関与をしているものと思われた。ラット胎児動脈管を構成する細胞は, 特異的に増生傾向を示すようになり, その結果PGの産生と集積がみられるようになったと考えられる。
  • 岩田 祐之, 林 俊春
    1994 年 43 巻 4 号 p. 559-562
    発行日: 1994/10/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    慢性乳酸脱水素酵素ウイルス (LDV) 感染マウスにおけるマクロファージからのインターロイキン6 (IL-6) 産生を非感染マウスのそれと比較した。LDV感染マウスにおけるマクロファージのIL-6産生能は非感染マウスのものと同等であり, またインドメタシンの添加により影響されなかった。以上の結果から, 慢性LDV感染マウスにみられる多くの免疫反応の修飾は少なくともマクロファージのIL-6産生能の変化によるものではないこと, また, このIL-6産生はシクロオキシゲナーゼ経路由来産物に影響されないことが示唆された。
  • 武吉 正博, 江田 雅雄
    1994 年 43 巻 4 号 p. 563-565
    発行日: 1994/10/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    ウサギの毛周期と週齢および一日増体重の関係について検討を行った。当研究所で実施した皮膚毒性試験に使用したウサギの週齢について過去4年間の集計を行うとともに, 調査結果を裏づけるための実験を行った。その結果, ウサギの毛周期と一日増体重の間に関連性は認められなかったが, 毛周期は動物の週齢と密接に関連し, 休止期の皮膚を有する動物は17週齢前後の動物から効率的に得られるものと思われた。
  • 佐畑 ひとみ, 鈴木 秀作, 吾郷 昭夫, 御船 弘治, 坂本 紘
    1994 年 43 巻 4 号 p. 567-571
    発行日: 1994/10/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    NONマウス (Non-Obese Non-diabetic) の雌にのみ観察される腎臓の近位尿細管の拡張と酸好性の小体の出現に及ぼす性ホルモンの影響について組織学的に検討した。雄マウスは精巣摘除により, 弱い拡張と少数の小体が観察された。一方, 雌マウスでは卵巣摘除により, それらの出現の程度が弱くなった。エストラジオール投与により, 正常雄にも拡張と小体が出現した。テストステロンを投与された正常雌や精巣摘除雄および卵巣摘除雌には拡張と小体は認められなかった。以上の結果は, NONマウスの腎臓の尿細管の拡張と小体の出現に, 雌性ホルモンが促進的に雄性ホルモンが抑制的に作用することを示している。
  • 冷岡 昭雄, 吉田 高志, 長 文昭, 吉川 泰弘
    1994 年 43 巻 4 号 p. 573-576
    発行日: 1994/10/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    ミドリザル腰椎骨の骨面積, 平均骨幅, 骨量および骨密度の測定を行い, 半年間の変動を検出できるか否かを検討した。実験に用いた動物は85頭で, 育成群は雌雄および年齢別に4群とし, 野生由来の動物は雌雄2群に分けた。測定には, 2波長X線密度測定装置 (DEXA; DPX-α, Lunar社製) を用いた。2歳齢以下の育成群では雌雄ともに, 半年間では骨密度の変化が検出されなかった。6歳齢から13歳齢までの育成群と当センターに推定年齢5歳以上で入荷され, 10年以上飼育された老齢の野生由来の群では, 半年間で骨密度の顕著な減少が検出された。DEXAによる測定は, ミドリザル腰椎骨の半年間の変化を検出するのに有効であるものと判断された。
  • 梅津 元昭, 利部 聰, 菅原 七郎
    1994 年 43 巻 4 号 p. 577-580
    発行日: 1994/10/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    加齢の進んだrdwラットの剖検時にその精巣重量が異常に大きいのに気付いた。従来, 侏儒症マウスや下垂体GH単一欠乏の侏儒症ラットではこのような現象の報告は見られないので, 精巣重量と精嚢腺重量の実重量と比体重重量を加齢の過程でrdwラットとNラットで比較した。結果は以下の通りであった。1) rdwラットでは15~16週齢で精巣重量の増加は顕著となり, その増加は23~30週齢まで維持され, 31週齢以後では低下した。2) 精嚢腺重量はrdwラットでは15~16週齢で急増し, アンドロジェンの昂進が窺われ, この時期にrdwラットは成熟に達するものと考えられた。その重量は31週齢以後では低下した。3) 組織学的所見から, rdwラットの精巣重量の増加の原因の一つは水腫によるものと考えられ, その出現はアンドロジェンの分泌の昂進の時期とほぼ一致した。
  • 斎藤 徹, 芹沢 功, 外尾 亮治, 藤平 篤志, 小守 忍, 高橋 和明
    1994 年 43 巻 4 号 p. 581-584
    発行日: 1994/10/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    糖尿病男性の性機能障害については良く知られているが, 女性に関しては現在のところ明確な回答が得られていない。最近, streptozotocin誘発糖尿病雄ラットに交尾行動の障害が認められている。今回, streptozotocin誘発糖尿病雌ラットの性行動について検討した結果, 雄と同様にロードシス行動の抑制が観察された。
  • 住田 浩之, 山下 巧, 小林 百合子, 岸上 澄子, 半田 淳, 中森 浩太
    1994 年 43 巻 4 号 p. 585-588
    発行日: 1994/10/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    ウサギの胎児着床痕を観察するために, アルカリ処理を含む検出法を検討した。妊娠7日, 8日, 9日, 10日または18日に胚を刺殺処理した母ウサギを29日に安楽死させ, 子宮を摘出した。子宮は2%水酸化ナトリウム水溶液および10%ホルマリン緩衝液に順次浸漬後, 着床痕の観察と面積測定に供した。アルカリ処理後の着床痕は白色に, その他の部分は透明に, それぞれ明瞭に検出され, 固定後も同程度の検出力が認められた。また, 妊娠10日以降着床痕の面積は明らかに経日的に増加した。以上の結果から, 本法はウサギの着床および妊娠状態を簡便かつ正確に評価するために有用であると結論した。
  • 1994 年 43 巻 4 号 p. 603-612
    発行日: 1994/10/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
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