Experimental Animals
Online ISSN : 1881-7122
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  • ―1.雄マウス包皮腺の光顕および透過電顕による観察―
    吾郷 昭夫, 権田 辰夫, 川上 浩平, 佐畑 ひとみ
    1994 年 43 巻 5 号 p. 645-649
    発行日: 1995/10/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    単独飼育を続けた雄マウスの包皮腺を光顕, 電顕的に観察し, 合わせて2匹同居飼育した優位, 劣位マウスの包皮腺細胞の違いについても観察した。包皮腺の形態学的分類は分枝単一管状胞状腺で, 基底部の腺細胞は楕円形の核とエオジン好性の細胞質を含む未成熟細胞であった。中間部の腺細胞は円形の核と多数の脂肪性分泌顆粒を含む細胞質を有した成熟細胞であった。腺腔面の腺細胞は核が融解消失し, 分泌顆粒を充満した細胞がみられ, 典型的な全分泌腺の特徴がみられた。透過電顕像では基底部の腺細胞の細胞質内にはミトコンドリア, 滑面小胞体や多数のリボゾームがみられ, 中間部の腺細胞では細胞質内に多数の分泌顆粒や少数のミトコンドリアおよびリボゾームがみられた。優位群の腺細胞は対照群, 劣位群より腺細胞が増生, 肥大していた。劣位群の腺腔には脂肪性の分泌物が貯溜し, 腺細胞は圧迫され変性萎縮していた。変性細胞は中間部までおよび基底部の細胞も萎縮していた。基底部の腺細胞の透過電顕像では優位群に見られていたミトコンドリアやフリーリボゾームは劣位群にはあまり見られず, 胞体内にはミエリン様物質や小型の分泌顆粒が観察された。これらの結果より, 劣位群では排出されない分泌物が腺腔内に貯溜したため腺細胞の圧迫変性が基底部まで及び, 新しい分泌物はほとんど生産されない状態が続いたものと思われる。
  • 清澤 岩水, 青木 誠, 今村 卓広, 長澤 達也, 伊藤 毅, 柴田 信男, 内藤 惇, 斎藤 徹, 高橋 和明
    1994 年 43 巻 5 号 p. 651-661
    発行日: 1995/10/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    自然発症性糖尿病好発WBN/Kob系雄ラットの加齢に伴う網膜の変化を病理組織学的に検討した。Wistar/ST系雄ラットを対照とし, 1, 2, 3, 5, 9, 13, 17, 23, 27, 36, 45, 54, 67および80週齢時に各5匹, 10眼ずつの眼球切片を作製し, 網膜中央部および周辺部の変化を検討した。WBN/Kob系ラットの網膜では, 杆状体・錐状体層の発達が悪く, 最厚期の比較でも対照の71.7% (中央部) および59.3% (周辺部) であった。5から45週齢頃より, 網膜中央部および周辺部では杆状体・錐状体層, 外顆粒層および外網状層が加齢に伴って菲薄化し, 中央部では, 内網状層にも認められた。そして, 層の菲薄化に伴って細胞核数も減少し, 網膜全体も菲薄化した。菲薄化した細胞層では, 構成細胞の消失のみが認められた。また, 杆状体・錐状体層の菲薄化は網膜周辺部にやや強く観察された。杆状体・錐状体層の生後の発達は悪いが, 他の細胞層の発育は正常であること, 視細胞に初期変化が表れること, 生後5週齢より杆状体・錐状体層の菲薄化がみられ始め, 加齢に伴って緩徐な菲薄化がみられること, 菲薄化は周辺部でやや強いこと等から, WBN/Kob系ラットの網膜変性はrdsマウスの網膜変性症に類似しており, 網膜変性症の疾患モデルの一つとして有用であることが示唆された。
  • 小守 忍, 斎藤 徹, 杉山 公宏, 高橋 和明, 谷口 和之
    1994 年 43 巻 5 号 p. 663-670
    発行日: 1995/10/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    生後0~21日までのスンクスじゃ香腺の発達を組織学的ならびにレクチン組織化学的に観察した。肉眼的には, じゃ香腺は生後3日より周囲の皮膚との区別が容易となり, 生後3~7日にかけて著しく発達し, その後, 生後21日までゆるやかに発達を続けた。
    組織学的には, 生後1日に毛栓の基部に近い部分にじゃ香腺の原基と思われる膨隆部の出現が認められた。その後, 生後3~7日にかけて著しく発達し, 21日では成熟した個体とほぼ同様の形態を示した。
    レクチン組織化学的観察にはSBA, DBA, PNA, UEA-I, ConA, RCA I, WGAの7種のレクチンを用いた。じゃ香腺は, 生後1日でWGA以外の全てのレクチンに陽性反応を示した。WGAには生後3日で反応を示すようになった。また生後7日までレクチンに対する反応はすべて細胞質のみに認められたが, 生後12日からPNA, UEA-I, DBAに, 21日ではRCA I, SBA, ConA, WGAに細胞質と細胞膜の両者が陽性反応を示すようになった。
  • ―I. 6~30週齢―
    土屋 直子, 原田 由美, 滝 昌之, 峰松 澄穂, 前村 俊一, 雨谷 栄
    1994 年 43 巻 5 号 p. 671-678
    発行日: 1995/10/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    正常ラットの血液化学的検査値の性差および加齢変化を調べるため, SD系ラットの雌雄を用いて測定頻度の高い27項目について6週齢から30週齢まで検討した。その結果, 加齢にともない増加傾向が認められたものはTP, ALB (雌) , Glu, T-Cho, TG, PL (雌) , β-Lp, ChE (雌) , ALT (雌) , CRE, D-BilおよびT-Bilの12項目, 減少傾向が認められたものはAST, ALP, CPKおよびIPの4項目であった。また測定した週齢においてほぼ一定の値を示し, 加齢変化が全くみられなかったものとしてCa, Na, CIの3項目および雄のALT, ChE, ALBの3項目であった。雌が雄より高値を示したものはchE, ALB, PL, NEFA, uN, D-Bil, T-BilおよびFeの8項目であった。Ca, Na, ClおよびT-Choには性差がなかった。
  • 上田 乙也, 鎌田 宣夫, 鈴木 宏志
    1994 年 43 巻 5 号 p. 679-685
    発行日: 1995/10/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    異なる発生段階のマウス凍結融解胚あるいは新鮮胚を同一の受容雌に移植した場合の着床および胎仔への発生を検討した。Jcl: ICR系あるいはFvB系の過排卵処理雌を同系の雄と交配し, Day1 (膣栓確認日=Day0) およびDay2に, 卵管および子宮を潅流して得られた2~4細胞期胚 (Day1胚) および8細胞期胚~桑実期胚 (Day2胚) をガラス化法により凍結融解した。正常な形態のDay1胚およびDay2胚を偽妊娠0日目のJcl: ICR系受容雌の左右の卵管に分けて移植し, 着床率およびDay17における胎仔への発生率を調べたところ, Day1胚とDay2胚の間に有意差は認められなかった。また, 着床率および胎仔への発生率は, Day1胚のみ, あるいはDay2胚のみを移植した対照群の成績と同様であった。また, 異なる発生段階の胚を同一受容雌に移植した場合においても, 胎仔には奇型や形態形成の遅れなどの影響は観察されなかった。新鮮胚に関しても, 異なる発生段階にある胚を同一の受容雌に移植したことによる影響は認められなかった。
    以上の成績より, 同一受容雌に移植された異なる発生段階の初期胚は着床時期周辺で同期化され, 正常な胎仔発育に至ることが示唆された。このことにより, 特に凍結融解や遺伝子導入などの操作の後に発生段階の揃った胚が適当数得られない場合においても, 発生段階の異なった胚を同一の受容雌に移植することにより, 効率的に産仔を得ることが可能であると考えられた。
  • 河田 俊嗣, 丹根 一夫
    1994 年 43 巻 5 号 p. 687-692
    発行日: 1995/10/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    osteopetrotic (op/op) マウスは, macrophage colonystimulating factor (M-CSF) の生産遺伝子に欠陥を有するため, 破骨細胞が正常に形成されず, 骨吸収機能が停止している。その結果, 骨の硬化や頭蓋の変形, 歯の萌出障害などが特徴的に認められる。本研究は, 成長期のop/opマウスの下顎頭の形態を正常マウスと比較観察したものである。この突然変異マウスでは, 関節突起の変形や下顎頭の未骨化が明らかとなったが, さらに正常マウスにくらべ外側翼突筋の発育程度が低いことが示された。これらの形態異常の直接的原因は, 成長発育にともなう骨の改造 (リモデリング) が行われないことにあるが, 下顎頭の未骨化および外側翼突筋の未発達は, 歯の萌出障害にともなう咀嚼運動の不調とも関連していると思われた。
  • 渡辺 隆夫, 浅沼 章宗, 田中 雅弘, 秋葉 知英, 古賀 照二
    1994 年 43 巻 5 号 p. 693-696
    発行日: 1995/10/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    糖尿病 (Diabetes Mellitus, DM) 状態において急性胃粘膜病変 (Acute Gastric Mucosal Lesion, AGML) が発生し易い機序を明らかにするため, Streptozotocin (STZ) で誘発したDMラットの胃体部粘膜を病理組織学的に検索した。粘膜全層の長さおよび被蓋上皮細胞 (Surface Epithelial Cell, SEC) 層の厚さを求めるとともにPCNA (Proliferating Cell Nuclear Antigen) 陽性細胞数を計数した。その結果, 対照ラットと比較してDMラットの粘膜全長は若干伸長する傾向にあったが, SEC層/粘膜全層の比およびPCNA陽性細胞数は有意に減少していた。したがって, SEC層から成る粘膜バリアの減弱がDMにおけるAGMLの易発性に密接に関与している可能性が考えられる。
  • 田中 雅弘, 浅沼 章宗, 生田 殉也, 山田 英樹, 清水 貞宏, 古賀 照二, 垣下 奉史
    1994 年 43 巻 5 号 p. 697-702
    発行日: 1995/10/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    ddY系雄マウス (4.5, 20, 40および60週齢) を用い条件回避反応による行動薬理学的変化と海馬神経細胞の病理組織学的変化との関連性について経時的な検討を行った。回避反応試験において40週齢以上のマウスの潜時は若週齢マウス (4.5週齢) に比べ短縮した。海馬錐体細胞の変性が40週齢以上で著しく増加し, 変性細胞はCA1に比べCA3で顕著であった。60週齢マウスのCA3領域の変性神経細胞の出現率は20.8%であった。さらに71.9%の動物で行動薬理学的検査 (受動的回避反応) の成績と海馬の形態学的変化との間に関連性が認められた。これらの結果はマウスの加齢に伴う記憶障害にも海馬が重要な役割を果たしている事を示していた。また, 海馬の変化は致命的なものでは無かったことから, 60週齢前後のddY系マウスは可逆性の海馬神経細胞障害モデルとして利用できる可能性が示唆された。
  • ―ケージ内環境: 温度, アンモニア濃度―
    吉田 一也, 岡本 宗裕, 田島 優, 黒澤 努
    1994 年 43 巻 5 号 p. 703-710
    発行日: 1995/10/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    従来の実験動物飼育環境の基準はいずれも飼育室内環境で示され, 実験動物に直接影響を及ぼすケージ内環境についての検討は少ない。我々は実験動物の飼育環境を改善することを目的として強制換気マイクロアイソレーションシステム (FVMIS) を開発し, そのケージ内環境制御に関する研究を行っている。今回, FVMISの環境制御に対する性能を評価するため, 実際にラットを飼育した条件 (100g Wistar雄ラット5匹/cage) で温度とアンモニアの制御についての実験を行なった。FVMISをケージ内温度23℃となるように設定した時, ケージ内平均温度が22℃~24℃となり, ケージ間の差は平均で0.93℃であった。このときのケージ内の換気回数は65回/hrで, ほぼ均一な温度分布が得られた。また, アンモニア濃度が20ppmに達するのに, フィルターキャップをした非強制換気方式では9日であるのに対し, FVMISでは13~16日とアンモニア濃度の上昇が抑制された。このことは, FVMISによりケージ内のアンモニア濃度を長期間低濃度に維持できるだけでなく, 床敷交換頻度を少なくし実験動物へのストレス軽減に貢献できると思われる。これらの結果から, FVMISはケージ内温度およびアンモニア濃度を少ない換気量で適切に制御できるシステムであることが確認された。
  • 中村 紳一朗, 中山 裕之, 後藤 直彰, 小野-落久保 文子, 榊原 一兵, 吉川 泰弘
    1994 年 43 巻 5 号 p. 711-718
    発行日: 1995/10/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    カニクイザル (Macaca fascicularis) の老人斑と脳血管アミロイド症の発生頻度および形態学的特徴を明らかにする目的で老齢ザル6例 (20~29歳) の大脳を病理組織学的ならびに免疫組織化学的に検索した。過ヨウ素酸メセナミン銀 (PAM) 染色とアルカリコンゴレッド染色により6例中の5例に老人斑を認め, そのうちの3例の皮質毛細血管と小動脈壁にアミロイド沈着を認めた。老人斑は形態学的に3型に分類され, 成熟型とされるclassicalおよびprimitive型が未成熟型のdiffuse型より多く観察された。老人斑は側頭葉と被殻, 尾状核頭部に好発する傾向があった。成熟型老人斑と血管アミロイド沈着とがしばしば接する像が認められ, また老人斑の認められる範囲以外では血管アミロイド沈着も認められず, 両者には密接な関係があることが示唆された。また免疫組織化学的にはアミロイドβ蛋白 (AβP) 1-40合成ペプチドに対する抗体 (AβP1-40) に対してはすべての老人斑と血管壁アミロイドが陽性を示したが, AβP8-17合成ペプチドに対する抗体 (AβP8-17) では一部のprimitive型老人斑とdiffuse型老人斑は陰性であった。対照群として用いた若齢サル15例 (9~11歳) の大脳には老人斑および血管アミロイド沈着はともに認められなかった。
  • 奥村 克彦, 前田 芳實, 是澤 幸江, 橋口 勉
    1994 年 43 巻 5 号 p. 719-723
    発行日: 1995/10/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    スナネズミ (Mongolian gerbil, Meriones unguiculatus) 集団における標識遺伝子の解析および遺伝的変異性を明らかにすることを目的として, MGS/Sea, MON/Jms Gbs, Kwl: Mongolian GerbilおよびHos: Mongolian gerbilの4系統のスナネズミ群について, 電気泳動法により血液, 肝臓および腎臓における酵素および蛋白の多型の有無を検討し, さらに多型については系統間の差違を検討した。
    今回, 泳動像が検出された23種類の酵素および蛋白のうち, 肝臓のacid phosphataseにおいてのみ多型の存在が確認され, 血液および腎臓の酵素あるいは蛋白では多型は認められなかった。このことから, 4系統スナネズミについては互いに遺伝的類似性はかなり高いと推定された。肝臓acid phosphataseについてはKwl: Mongolian Gerbil系のみにAcp2バンドが確認され, 系統差が認められた。
  • 林 智人, 安尾 美年子, 天野 卓
    1994 年 43 巻 5 号 p. 725-730
    発行日: 1995/10/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    主要組織適合性遺伝子複合体classII領域のDRB/DQBハプロタイプを指標として系統作出した韓国在来小型肉用ヤギ (韓国ヤギ) 3系統A, DおよびEを用い, 系統間におけるリンパ球混合反応 (MLR) 試験を行った。同系統内でのMLRの刺激指数 (S.I.) は, 最も低いものがD系統内における1.08±1.26, 最も高いものがA系統内における3.19±2.28であり, いずれの系統内においても低い値が示された。一方, 異系統間におけるS.I.値は, 最も低いものがEを刺激細胞としAを反応細胞とした組み合わせの10.47±4.31, 最も高いものがDを刺激細胞としEを反応細胞とした組み合わせの36.08±7.42であり, 同系統内で行なったMLRに対し有意 (P<0.001) に高い値が示された。A, E系統およびAEヘテロ型を用い, ハプロタイプの接合状態がMLR誘導におよぼす影響を調べたところ, 刺激細胞がAEヘテロ型で反応細胞がAまたはE系統のホモ接合体のS.I.値は, 9.62±3.87であった。この値は異系統間でのMLRと同程度に高く, 同系統間での値とは有意な差 (P<0.001) があった。反対に, 刺激細胞がAまたはE系統のホモ接合体で反応細胞がAEヘテロ型のS.I.値は, 1.46±1.17を示した。この値は異系統間でのMLRと有意な差 (P<0.001) があり, 同系統内と同程度に低く示された。
    これらの結果は, DRB/DQBハプロタイプがMLR誘導と関連していることを示しているものであり, HLA class II抗原同様, GLA class II DRおよびDQ抗原も免疫応答に関与している可能性を示唆した。したがって, MLR誘導の惹起およびMLR誘導の程度が既知である動物実験がヤギでも可能になるものと考えられ, 本韓国ヤギ系統は臓器移植実験用動物として有効に利用し得るものと考えられた。
  • 佐藤 正寛, 小畑 太郎
    1994 年 43 巻 5 号 p. 731-735
    発行日: 1995/10/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    シリアンハムスターを選抜実験に用いるため, 給与飼料および交配週齢が受胎率や離乳子数などの繁殖成績に及ぼす影響について検討した。雌240匹を2群に分け, 1群には草食動物用飼料ZC-2, 他の1群には繁殖用飼料MB-1を給与して育成した (育成期) 。交配時に各群をさらに2群に分け, 1群は育成期と同一飼料, 他の1群は飼料を変えて繁殖させた (繁殖期) 。交配は各群の半数を8週齢, 残りの半数を12週齢で行った。育成期にZC2を給与し, 繁殖期にMB-1を給与した区が, 雌親の分娩数, 離乳数, 3週齢時における子の匹数および一腹体重において有意に高い値を示した (P<0.01) 。12週齢交配区は8週齢交配区に比べて, 雌親の分娩数, 分娩時における産子数と一腹体重において有意に高い値を示した。しかし, 3週齢における子の匹数や一腹体重には差がみられなかった。以上の結果から, ハムスターの育成期には比較的高繊維質の飼料を給与し, 繁殖期に繁殖用飼料に切り換えることによって高い繁殖成績が得られることが明らかとなった。
  • ―尿, 血液および血液化学的検査値ならびに器官重量―
    吉原 久美, 渡辺 彰子, 稲葉 智之, 倉本 正人, 白鳥 耕也
    1994 年 43 巻 5 号 p. 737-745
    発行日: 1995/10/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    近交系として確立したWeiser-Maples系 (WM系) モルモットの尿, 血液および血液化学的検査ならびに器官重量の基礎データを収集するとともに市販のハートレイ系モルモットのStd: Hartley (H系) の各データと比較した。また, 尿比重測定法および遠心分離による尿検査値への影響について, 尿検査法の検討も併せて行った。尿比重については, 容積と重量から求めた実測値と屈折率から求めた比重との間に高い相関が認められた。遠心分離前の尿と分離後の尿上清を用いた尿検査成績には特に差は認められなかったが, 尿試験紙の測定では尿上清を用いた方がより正確な判定が出来ることが示唆された。尿, 血液および血液化学的検査ならびに器官重量の成績については, 尿検査における蛋白の陽性例がH系で0%に対し, WM系では38.9%と高率にみられ, 血液および血液化学的検査ならびに器官重量の測定では, H系と比べてWM系において高値または低値を示す測定項目が認められたが, それらはWM系の特徴とは考えられなかった。
  • 斉藤 正好, 寺田 賢, 斎藤 徹, 高橋 和明
    1994 年 43 巻 5 号 p. 747-754
    発行日: 1995/10/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    近年におけるMethamphetamine (MAP) 乱用者の増加は, 国内外において社会的問題となっている。MAP乱用者のモデルとして, ラットにMAP (0.1-10.0mg/kg/day) を連続投与し, 生理的諸機能におよぼす影響について検討した。MAPの連日投与により, 投与量に依存した体重の減少が認められた。飼料摂取量も同様に減少し, 投与約2週間目までは顕著であった。MAP投与終了後には飼料摂取量が増加し, 終了6日後までは特にその傾向が顕著に見られた。血清の生化学的測定値において, MAP (5mg/kg) の単一投与群では, 投与6時間後よりTP, TC, TG値の低下が見られ, 雌ラットに有意差 (TP, TC) を認めた。さらに, MAP連続投与群では雌雄ともにMAPの投与期間中, この傾向が持続した。このことより, MAPはタンパク質, 脂質およびアミノ酸の代謝系に抑制的に作用することが示唆された。また, 性周期はMAPの投与量に依存して不規則化が顕著となり, MAPが視床下部一下垂体系を介して性腺系に影響する可能性が推測された。
  • 松岡 佳子, 鈴木 二郎
    1994 年 43 巻 5 号 p. 755-760
    発行日: 1995/10/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    生涯観察したスナネズミ158例 (雄80例, 雌78例) を剖検したところ, 雌雄合わせて61例 (38.6%) に自然発生腫瘍を認めた。腫瘍の発生は雄80例中22例 (275%) 雌78例中39例 (50%) に見られた。雄では腹部皮脂腺癌が18例 (担腫瘍雄の81.8%) , 雌では顆粒膜細胞腫が31例 (担腫瘍雌の79.4%) に認められ, 顕著な多発傾向を示した。腹部皮脂腺癌も顆粒膜細胞腫も, 3年齢以降に斃死した個体に多く見られた。その他の腫瘍の発生率は, 雌雄合わせてもいずれも5%以下であった。
  • 藤沢 信義, 佐藤 徳光, 本山 悌一
    1994 年 43 巻 5 号 p. 761-764
    発行日: 1995/10/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    チャイニーズハムスター間葉型軟骨肉腫由来の2種のクローン細胞株を用い, 実験的肺転移の病態を比べた。未分化型細胞のみよりなるMCS-1株と, 軟骨への分化能を持つMCS-8株において, ヌードマウス静脈内移植23日目の転移率は, それぞれ100%と33%, 肉眼的転移結節数は平均41個と3個であった。また, 移植後生存日数は, それぞれ平均27日と48日であった。しかし, MCS-8移植42日目には, その転移率も100%となった。以上の結果から, 両者の転移像の相違が明らかとなった。また, 転移能を論じるときは, 転移臓器への腫瘍細胞生着率が問題となるが, その際, 転移部位における腫瘍の増殖速度を特に考慮する必要がある。
  • 川上 浩平, 吾郷 昭夫, 権田 辰夫
    1994 年 43 巻 5 号 p. 765-768
    発行日: 1995/10/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    NODマウスの雌雄を用いてオープンフィールド行動試験を行い, 加齢にともなう変化と糖尿発症との関連について, 生後40日齢から300日齢までを経時的に調べた。オープンフィールド行動の中で探索行動量と考えられる歩行量および立ち上がり回数は雌雄ともに, ほぼ40~80日齢で日齢と共に増加し以後は低下した。特に歩行量は雄では緩やかに減少したが, 雌では160日齢以後に顕性糖尿を発症した個体が多くなり, それに伴って急激に減少傾向を示した。これらの結果は雌雄の探索行動量には性差があり, 雌では糖尿発症に伴う体重減少と衰弱により, 劇的に探索行動が減少する事を示唆していた。洗顔行動, 排尿行動, 排糞行動は雌雄ともに加齢および糖尿発症との間に一定の関係はみられなかった。
  • 杉田 昭栄, 内海 修, 藤原 克彦, 新飯田 俊平, 福田 勝洋
    1994 年 43 巻 5 号 p. 769-772
    発行日: 1995/10/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    ニホンハタネズミの左右上顎後臼歯のほとんどが巨大歯 (macrodont) を形成し, それら一部は歯牙が歯槽骨を貫き, 一部は歯槽骨ごと頭蓋腔に突出して脳実質に深く侵入した例を報告する。巨大歯が左側第一, 第二, 第三, 右側第二および第三後臼歯であるため脳底部の外側嗅索と視索に挟まれた領域に左右二対の大きな窪みが形成されていた。さらに左側嗅球の大部分が欠損していた。これらのことにより脳組織は著しく変形すると共に左側の嗅球, 外側視索前核, 淡蒼球および内包の大部分と前交連, 視床, 視床下部の一部が欠損していた。
  • 天野 卓, 林 智人, 横濱 道成, 田中 一栄, 李 載洪
    1994 年 43 巻 5 号 p. 773-777
    発行日: 1995/10/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
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