ファルマシア
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50 巻 , 10 号
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目次
オピニオン
  • 大塚 雅巳
    50 巻 (2014) 10 号 p. 943
    公開日: 2016/09/30
    ジャーナル フリー
    日本薬学会第134年会は2014年3月27日(木)から30日(日)にかけて熊本にて開催された.熊本での開催は,第101年会以来33年ぶりのことで,約8,000名の方々が参加し,4,000件以上の学術発表が行われた.第132年会(札幌),第134年会(横浜)が1つの巨大な会場施設内で行われたのに対して,プログラム全体を収容できる大きな施設を持たない熊本では,市街地の全体を年会の会場と考え,市中央部のホテルやホール(特別講演等),熊本大学黒髪キャンパス(口頭発表等),水前寺体育館(ポスター発表等)の3地区の会場を循環バスで連絡して運営した.離れた3地区で異なったタイプのプログラムを同時進行させるという計画は,後で振り返ってみると冒険であったが,何とか実行できたのは参加者各位のご理解ご協力は勿論のこと,熊本大学,崇城大学からなる組織委員,学生スタッフの全員のチームワークの賜物であった.第134年会では一般シンポジウムの申込みをすべて採択し,また一般演題では口頭発表の申込演題はすべて口頭で,ポスターの申込演題はすべてポスターでと,すべて申込時の希望どおりの発表形態で発表していただいた.
    第134年会は「薬を創り,薬を育み,命を衛る」をテーマとした.平成18年度にスタートした薬学教育6年制が一巡し6年制の卒業生が世に送り出された.こうした中で,今後は薬剤師教育だけでなく,薬学研究者の養成にもますます力を入れ,両者をバランスよく進めることが薬学の健全な将来の発展に繋がる,という組織委員会の考えを本テーマは表している.
    「創薬と育薬のバランスよい発展を」という考え方は,本年会の随所に見られた.なかでも会頭講演において,日本薬学会の新しい取組みとして,長井記念薬学研究奨励支援の創設が発表されたことが注目される.これは,学位を持った多様な薬剤師や薬学研究者を輩出するために設けられた大学院奨学金制度で,詳細は日本薬学会のホームページで見ることができる.また,佐藤記念国内賞の授賞対象がこれまでの「薬学一般」から「医療現場で薬学的活躍をした人」になったことも,今後の薬学の進む方向を示唆している.
    さらに,薬学の将来を見据えた意義の深いシンポジウムや企画が多数行われた.独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)が企画したシンポジウム「革新的医薬品の創出・実用化に向けて」は,医学,薬学,製薬団体,行政の重鎮がシンポジストとして結集したこともあって注目を集めた.フロアとの意見交換も活発に行われ,午後の全部の時間を割り当てた予定時間を30分もオーバーするほどであった.また,水前寺体育館会場ではPMDAによる薬事戦略相談の個別相談が行われたが,これは日本薬学会年会では初めての試みであった.
    第133年会(横浜)に年会のプログラムをスマートフォンやタブレットから閲覧できるアプリが提供され好評だったが,第134年会でもこれを踏襲した.年会ホームページ,演題・参加申込システムなど,年会運営にいかにITを効果的に活用していくかが今後の課題になってくると思われる.第135年会(神戸)も順調に準備が進んでいると伺っているが,盛会をお祈り申しあげる.
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Editor's Eye
最前線
  • 田口 晃弘, 濵田 圭佑, 林 良雄
    50 巻 (2014) 10 号 p. 953-957
    公開日: 2016/09/30
    ジャーナル フリー
    遺伝性疾患は,遺伝子の異常を原因とする疾患の総称である.最近のゲノム科学の発展に伴い,それぞれの遺伝性疾患の原因の5~20%がナンセンス変異によることが明らかになってきた.このナンセンス変異型遺伝性疾患(ナンセンス変異疾患)は,点突然変異により構造遺伝子上に未熟終止コドン(premature termination codon:PTC)が形成され,機能を有するタンパク質の発現が妨げられることに起因する(図1).ナンセンス変異により失われたタンパク質を再生させる根本的な治療法には,ウイルスベクターを用いる遺伝子導入あるいは幹細胞治療などが挙げられる.しかし,現状では薬物療法を含むナンセンス変異疾患の根本的治療法は確立されていない.一方で,1,800種類以上もあるヒト遺伝性疾患の克服に向け,ナンセンス変異疾患の治療薬開発には大きな期待が寄せられている.
    遺伝性疾患の化学療法剤開発では,種々の難病を含む各遺伝性疾患の患者数がとても少ないために,疾患毎の治療薬開発は経済的観点からハードルが高い.疾患横断的に適用できる薬剤開発が理想的である.このような薬剤の候補として,最近,翻訳過程においてPTCを読み飛ばし(リードスルー),完全長のタンパク質を発現させる作用を持つ低分子化合物(リードスルー化合物)が注目されている.ここから「リードスルー薬※1」の概念が提案され,ナンセンス変異疾患克服の一手段として期待されている(図1).ただし,リードスルー作用のメカニズムは未だ十分に解明されていない.リードスルー薬の実現には,より詳細な基礎研究と精力的な創薬研究が必要である.
    本稿では,代表的なナンセンス変異疾患と既知のリードスルー化合物を紹介すると共に,我々が挑戦している(+)-ネガマイシンを基盤としたリードスルー薬の創薬研究について述べる.
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セミナー
  • 須藤 雄気, 神取 秀樹
    50 巻 (2014) 10 号 p. 958-962
    公開日: 2016/09/30
    ジャーナル フリー
    現代は「電気」の時代と言われる.自動車,パソコン,スマートフォンなど,私達の生活は電気なしでは成り立たず,私達は電気により生かされているとも換言できる.このような視点とは別に,私達の行動や情動,記憶などを司る脳神経活動は,電気の流れ(電位)により制御されているため,人を含むすべての生命活動は電気により成り立っているとも言える.本稿では,近年神経科学研究に電気革命をもたらせた光遺伝学(オプトジェネティクス)について,主役となる光駆動イオン透過装置(レチナールタンパク質)の動作原理と基礎を中心に概説する.
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セミナー
  • 岡 浩太郎
    50 巻 (2014) 10 号 p. 963-967
    公開日: 2016/09/30
    ジャーナル フリー
    表題の光遺伝学というネーミングは,技術の主要な開発者であったKarl Deisserothによるものである.光+遺伝学=光遺伝学(オプトジェネティクス)という造語であるが,これだけではどのような研究アプローチなのかは分からない.細胞や生物個体に外来遺伝子を導入させて発現させる際,その外来遺伝子産物(タンパク質)が外界の光のオン/オフによりその性質を変え,それによって細胞や生物個体の機能や振舞いを変えてしまうような技術と説明すれば,光遺伝学という言葉の意味も多少は理解できるのではないかと思うが,それでもやはり具体的なイメージはなかなか湧かないかもしれない.
    この光遺伝学の技術は,神経科学の分野で現在爆発的な進展を見せている.本セミナーでは,まず光遺伝学とその主要な方法について概略を述べた後に,我々の研究室で進めている線虫を材料に用いた研究に焦点を絞り,光遺伝学研究の一端を示したい.
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セミナー
  • 山中 章弘
    50 巻 (2014) 10 号 p. 968-972
    公開日: 2016/09/30
    ジャーナル フリー
    複雑に絡み合う脳内の無数の神経の中から,標的とする神経細胞の活動だけを狙い,透過性の高い光を用いて極めて高い時間精度でその神経の活動を操作するオプトジェネティクス(光遺伝学)の進化が著しい.特に個体動物の脳内の一部の神経細胞の活動を操作し,個体の行動をも制御可能な点が画期的である.新しい実験手法である光遺伝学の基礎知識から同実験手法をげっ歯類に応用した最近の研究について紹介し,将来の創薬分野への応用の可能性について論じる.
    光遺伝学は,2005年に開発された新しい実験技術である.特定の波長の光を感知して活性化され,細胞機能に影響を与えうる分子(光活性化タンパク質)を特定の細胞に発現させると,その細胞機能(特に神経活動)を光で操作することが可能となる(図1).そして,その結果として表出する行動を解析することで,行動発現を制御する神経回路機能の動作原理を明らかにすることが可能となった.これまで長年決着がついていなかった様々な生理現象に対して光遺伝学が適用され,その解決に貢献してきている.
    例えば,記憶が海馬の神経細胞に実際に記録されていること,グリア細胞機能が呼吸機能にかかわっていること,不安を引き起こす扁桃体の神経回路が明らかになっている.そのため光遺伝学は急速に発展し,神経科学の研究に不可欠な実験技術として幅広く普及しはじめている.そのことは2010年のNature Methodsが全分野の中から選ぶMethods of the yearに光遺伝学が選出されていることからも伺える.光遺伝学を用いた研究を行うには,十分な分子数の光活性化タンパク質を標的細胞の細胞膜へ発現させること,そして,その細胞へ十分な量の光を照射するという2つのステップが存在する.
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最前線
セミナー
  • 袴塚 高志
    50 巻 (2014) 10 号 p. 978-982
    公開日: 2016/09/30
    ジャーナル フリー
    2011年1月のアンチスタックスに引き続き,2014年4月にプレフェミンが一般用医薬品として製造販売の承認を受けた.前者は赤ブドウ(Vitis venefera L.)の葉,後者はチェストツリー(Vitex agnus-castus L.)の果実に由来する西洋ハーブ医薬品である.アンチスタックスは軽度の静脈還流障害による諸症状の改善,特に足のむくみを改善する内服薬として既に販売されており,プレフェミンが月経前症候群を緩和する内服薬として流通する日も遠くないものと思われる.ドラッグストア等の店頭で健康食品として販売されている西洋ハーブの中には,欧州で一般用医薬品として扱われているものもあり,医薬品としての規制を受けずに流通することに関して,かねてより安全性や品質保証の面で問題視されてきた.医薬品の承認はあくまでも個別の案件であり,西洋ハーブ全般が一般用医薬品に移行するという話ではないが,海外の生薬製剤を我が国の一般用医薬品として承認申請する道筋が明示され,実際の承認例も出てきたことは,天然物医薬品に係る薬事行政ならびに産業振興の上で画期的な出来事と言える.本稿では,医薬品,食品および健康食品の関連性について触れつつ,西洋ハーブ医薬品という新しいカテゴリーが誕生するまでの経緯を概説したい.
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話題
  • 川原 信夫, 保富 康宏, 米田 悦啓
    50 巻 (2014) 10 号 p. 983-987
    公開日: 2016/09/30
    ジャーナル フリー
    創薬・疾患研究を行うためには,生物に由来する試料と情報を利用することが必須である.医薬基盤研究所では,霊長類医科学研究センター,薬用植物資源研究センター,japanese collection of research bioresources(JCRB)生物資源バンク(細胞,ヒト組織,日本人由来B細胞株・DNA,遺伝子クローン,実験動物),難病研究資源バンクという多様な生物資源の分譲・利用体制を整備している.
    本稿では,医薬基盤研究所の生物資源事業の概要について紹介することによって,生物資源事業について理解をいただき,これらを利用して質の高い研究が展開されることを期待している.
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話題
  • 中村 幸夫
    50 巻 (2014) 10 号 p. 988-992
    公開日: 2016/09/30
    ジャーナル フリー
    理化学研究所(以下,理研)がバイオリソース事業に着手したのは1986年のことであり,理研ジーンバンクとして,遺伝子,細胞等を中心としたバイオリソース事業を開始した.2001年には,理研の中の独立したセンターとして理研バイオリソースセンター(以下,理研BRC)が設立され,現在では実験動物,実験植物,細胞,遺伝子,微生物,情報の6部門が各々のリソース事業を展開している.バイオリソース事業の第一義的な目的は,研究者が必要とする研究材料を整備し,これを迅速に提供することによって,研究の発展に貢献することである.本事業には,バイオリソースそのものの開発を行うことも含まれてはいるが,現状では,理研BRCが整備しているバイオリソースのほとんどは外部機関の研究者が開発したものである.
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話題
  • 津田 宏治
    50 巻 (2014) 10 号 p. 993-997
    公開日: 2016/09/30
    ジャーナル フリー
    私の製薬業界に関する知識は非常に限られたものであるが,日本の製薬業界の競争力は必ずしも高くないように見える.特に,医薬関係で膨大な貿易赤字を計上している点からもその傾向はうかがえる.一般に日本企業は,欧米企業に比べて情報解析力,特に独自のアルゴリズムを開発する能力に劣り,このことは競争力低下の一因となっているのではないだろうか.ビッグデータという言葉に代表されるように,薬学・分子生物学を巡るデータの量は急激な増加を続け,計算機とアルゴリズムなしには,到底対処できない.データ解析力を高めなければ,世界にごしていくことはできないのではという危機感が最近ようやく高まってきたようである.しかし私の意見では,そのような軽い危機感では全く不十分であり,データ解析力が国力を大きく左右する時代がきたのではないかと考えている.
    2006年,マイクロソフトのJim Grayは,著書の中でデータ中心科学という概念を提唱した.これは,経験科学,理論科学,計算科学に次ぐ,第四の科学的パラダイムである.単純化して言うと,これまでの科学では経験や知識に基づいて仮説を想起し,その仮説を極めて限られた量のデータを生み出す実験によって検証する形で,発見が行われてきた.それに対し,21世紀の科学であるデータ中心科学では,仮説を決める前に網羅的に大量のデータを取得する.そのデータを解析アルゴリズムにかけた結果を見て仮説を生成し,従来のように検証実験を行うという流れになる.言うまでもなく,大きな違いは解析アルゴリズムが科学的発見のフローの中に組み込まれている点であり,その優劣が最終的な発見の量と質を決定する.このような方法論の変化は,生物学・薬学のみで起こっているわけではない(図1).化学・物理学・マクロ経済学・スマートグリッド・環境エネルギーなど,あらゆる分野から膨大なデータが生み出され,それを解析できる人材が求められている.
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FYI(用語解説)
  • 林 良雄
    50 巻 (2014) 10 号 p. 998_1
    公開日: 2016/09/30
    ジャーナル フリー
    遺伝性疾患の約5~20%は,ナンセンス変異が原因で発症すると言われている.ナンセンス変異では,構造遺伝子上に未熟終止コドン(premature termination codon:PTC)が生じ,機能を有するタンパク質の発現が妨げられる.リードスルー薬は,このPTCを読み飛ばし(リードスルー),完全長タンパク質を発現させる薬物である.リードスルー作用を有する化合物としてゲンタマイシンなどのアミノグリコシド系抗生物質やケミカルライブラリーから見いだされたアタルレン(臨床治験中)が知られているが,実用化されたものはない.リードスルー作用の詳細な分子機構は解明されていない.
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  • 林 良雄
    50 巻 (2014) 10 号 p. 998_2
    公開日: 2016/09/30
    ジャーナル フリー
    デュシェンヌ型筋ジストロフィー(Duchenne muscular dystrophy:DMD)は,新生男児約3,500人に1人の割合で発症する重篤かつ進行性の伴性劣勢遺伝性疾患である.ジストロフィン遺伝子の異常が原因で,筋細胞の維持に重要なジストロフィンタンパク質が欠損し,筋細胞の障害,壊死が進行する.幼少期に歩行不全になると同時に,呼吸不全,心不全等により若くして死に至ることが知られている.ステロイド投与による対症療法が奏効しているが,原因療法は未だ存在せず,患者の平均寿命は約29年と深刻な状況にある.有効な治療法の開発が望まれている.
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  • 中村 幸夫
    50 巻 (2014) 10 号 p. 998_3
    公開日: 2016/09/30
    ジャーナル フリー
    マイコプラズマは常在微生物であり,マイコプラズマ肺炎という特殊な肺炎を引き起こす.理由は明確になっていないが,4年に1回程マイコプラズマ肺炎の流行年がある.常在微生物であるが故に培養細胞に感染することもあり,感染した多くの場合には細胞を死滅させることなく細胞と共存して生存し続ける.マイコプラズマに汚染された細胞は,多かれ少なかれ遺伝子の転写・翻訳,蛋白の代謝等々様々な細胞動態に影響が出ることは確実であり,研究材料としては不適切なものである.マイコプラズマ汚染された細胞を通常の顕微鏡観察だけで検出することは不可能であり,長期培養細胞に関しては,DNA染色法等の検査を定期的に実施することが必須である.
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  • 津田 宏治
    50 巻 (2014) 10 号 p. 998_4
    公開日: 2016/09/30
    ジャーナル フリー
    複数の仮説を検定する手法(多重検定法)の中で最も単純であり,同時に,最も広く用いられている方法である.複数の統計量が与えられたとき,ボンフェローニ法は,1つでも偽陽性が現れる確率(family-wise error rate)を,ある値(通常は0.05)以下に抑えるように,統計量の閾値を計算する.具体的には,N個仮説がある場合には,各統計量に関するP値が0.05/Nになるように閾値を設定する.慣習的に,P値にNを掛けて,それを補正P値と呼ぶこともある.この時の係数Nをボンフェローニ補正係数という.
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承認薬の一覧
  • 新薬紹介委員会
    50 巻 (2014) 10 号 p. 1012-1013
    公開日: 2016/09/30
    ジャーナル フリー
    このコラムでは厚生労働省が新たに承認した新有効成分含有など新規性の高い医薬品について,資料として掲載します.表1は,当該医薬品について販売名,申請会社名,薬効分類を一覧としました.
    当コラムは,厚生労働省医薬安全局審査管理課より各都道府県薬務主管課あてに通知される“新医薬品として承認された医薬品について”等を基に作成しています.今回は,平成26年7月4日付分の情報より引用掲載しています.また,次号以降の「承認薬インフォメーション」欄で一般名,有効成分または本質および化学構造,効能・効果などを表示するとともに,「新薬のプロフィル」欄において詳しく解説しますので,そちらも併せて参照して下さい.
    なお,当該医薬品に関する詳細な情報は,医薬品医療機器総合機構の医薬品医療機器情報提供ホームページ→「医薬品関連情報」→「承認情報(医薬品・医薬部外品)」→「医療用医薬品の承認審査情報」(http://www.info.pmda.go.jp/info/syounin_index.html)より検索できます.
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承認薬インフォメーション
  • 新薬紹介委員会
    50 巻 (2014) 10 号 p. 1014-1017
    公開日: 2016/09/30
    ジャーナル フリー
    このコラムでは既に「承認薬の一覧」に掲載された新有効成分含有医薬品など新規性の高い医薬品について,各販売会社から提供していただいた情報を一般名,市販製剤名,販売会社名,有効成分または本質および化学構造,効能・効果を一覧として掲載しています.
    今回は,50巻8号「承認薬の一覧」に掲載した当該医薬品について,表解しています.
    なお,「新薬のプロフィル」欄においても詳解しますので,そちらも併せてご参照下さい.
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新薬のプロフィル
新薬のプロフィル
数式なしの統計のお話
  • 酒井 弘憲
    50 巻 (2014) 10 号 p. 1002-1003
    公開日: 2016/09/30
    ジャーナル フリー
    少し暑さも納まり,過ごしやすい季節になってきた.サマージャンボに続き,オータムジャンボ宝くじが発売される.当たらないとは分かっていても先日のサマージャンボのように1等前後賞合わせて6億円などと言われると,ついつい買ってしまうのが人情である.銀座数寄屋橋の宝くじ売り場などは毎回,長蛇の列である.しかし宝くじは,言ってみれば某銀行や地方自治体が胴元の公認/公営ギャンブルみたいなものである.
    皆さんはそのテラ銭,つまり胴元の取り分の割合をご存じだろうか? 競馬などの公営ギャンブルで25%くらい,パチンコでもせいぜい12%程度なのである.ところが,宝くじのテラ銭は何と54%にも上るのである.売り上げの半分以上が懐に入る仕組みで,胴元の某銀行は笑いが止まらないであろうと思われるかも知れないが,このお金はご存じのように公益事業に使われるので,公共団体などへの寄付のようなものとも考えられなくもない.4月に消費税が8%に上がって不平不満たらたらのはずだが,宝くじなら炎天下に2,3時間並んでも買おうというのであるから,著者も含め,まったくみんなおめでたくできている.
    統計の連載なので少しそれらしい話に戻ると,皆さんは,宝くじの当選確率はいったいどのくらいになると思われるだろうか? 確率の世界では,「期待値」という考え方がある.取らぬ狸の何とやらで,宝くじ1枚あたりでいくら自分の手元に戻ってくるかという金額である.ジャンボ宝くじの場合,1ユニットあたり1,000万本が発行され,その中で1等はわずかに1本のみ.つまり1等を手にする確率は,1,000万分の1の確率なのである.当選金の期待値は,当選金額×当選確率で計算されるので,1等3億円の期待値はわずかに30円ということになる.この計算を1等から6等まですべてに当てはめて合算すると,ジャンボ宝くじ1枚の期待値は140~150円程度なのである.1枚300円なのでその半分以下しか期待できないというのが現実なのである.
    その事実を知ったうえでも,なお,宝くじをお買いになるかどうかは皆さんの判断次第であるが,あまりにも分の悪い勝負というよりほかはない(と偉そうに講釈しながらも著者自身,まずは買わなければ当たらないと,毎回購入しているのだが…).
    勝負というと,医薬品の開発も勝負には違いない.1つの医薬品を開発するのに,いまや1,000億円以上の経費を費やし10年もの歳月を重ねることになるが,最後の最後で安全性で問題が見つかり開発中止になるなどといった事例は枚挙に暇がない.製薬企業にとっては,まさに真剣勝負なのである.
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薬薬連携 つながる病院・薬局
  • 遠藤 喬, 石田 かおり
    50 巻 (2014) 10 号 p. 999-1001
    公開日: 2016/09/30
    ジャーナル フリー
    結核は昔の病気というイメージを持っている方も多いだろう.しかし現代の日本において,結核患者数は人口10万人当たり20人弱となっている.これは欧米先進国と比較すると高いものであり,依然として日本は「中蔓延国」として位置付けられている.
    結核菌は主に吸入感染(飛沫感染,空気感染)で人の体内に侵入するが,結核菌感染=結核発病となるわけではない.ほとんどの場合は自己免疫によって生涯発病せずに済むことが多いが,免疫力の低下などで発病してしまったときは抗結核薬の確実な服薬が完治の絶対条件となる.服薬がおろそかになると耐性結核となったり,完治しづらくなって治療が長引く要因になったりする.つまり,結核治療の成否は患者のコンプライアンスに依存し,治療を最後までしっかり完遂させることが完治への近道となる.
    そこで要となるのが,現在行われている『直接服薬確認療法』(direct observed treatment short course:DOTS)という治療法である.これは,WHOが推奨する医療従事者などの第三者が抗結核薬の服薬を直接確認する療法である.基本的に結核治療はイソニアジド・リファンピシン・ストレプトマイシン(またはエタンブトール)・ピラジナミドの4剤を2か月服用後,イソニアジド・リファンピシンの2剤を4か月服用する計6か月間の治療が行われることが多い.しかし,重症結核患者や合併症のある患者では,更に延長して3か月治療することがある.これらの薬をすべて一包化して一度に服用するのだが,これだけ長い期間の治療となれば患者の負担も大きく,治療の成功確率も落ちてしまう可能性がある.そこでコンプライアンス維持のため,患者の服薬を第三者が継続して見守るDOTSという方法が効果的なのである(図1).
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家庭薬物語
  • 張 涛
    50 巻 (2014) 10 号 p. 1004-1005
    公開日: 2016/09/30
    ジャーナル フリー
    効能効果:更年期障害,更年期神経症,血の道症,のぼせ,生理不順,生理異常,生理痛,肩こり,冷え症,肌荒れ,めまい,耳鳴り,動悸,貧血,にきび,便秘,ヒステリー,帯下,産前産後,下腹腰痛,血圧異常,頭痛,頭重
    成分分量:(12錠中)ダイオウ末175mg,カノコソウ末207mg,ケイヒ末170mg,センキュウ末100mg,ソウジュツ末100mg,シャクヤク末300mg,ブクリョウ末175mg,トウキ末300mg,コウブシ末50mg,ゴシュユ40mg,ハンゲ75mg,ニンジン40mg,コウカ50mg,チアミン塩化物塩酸塩5mg,リボフラビン1mg,ピリドキシン塩酸塩0.5mg,シアノコバラミン1μg,パントテン酸カルシウム5mg,葉酸0.5mg,タウリン90mg,dl-α-トコフェロールコハク酸エステル5mg,リン酸水素カルシウム水和物10mg,ビオチン1μg,精製大豆レシチン10mg 添加物として,ケイ酸アルミニウム,ステアリン酸マグネシウム,セラック,タルク,炭酸カルシウム,酸化チタン,バレイショデンプン,ゼラチン,白糖,エリスロシン,ニューコクシン,サンセットイエローFCF,ミツロウ,カルナウバロウを含有
    用法用量:1回4錠,1日3回,毎食後服用
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製剤化のサイエンス
薬学実践英語
トピックス
  • 横江 弘雅
    50 巻 (2014) 10 号 p. 1022
    公開日: 2016/09/30
    ジャーナル フリー
    パラジウム触媒を用いて炭素–炭素結合を形成する鈴木–宮浦クロスカップリング反応は,基質のホウ素化合物が安定であり高い一般性を有することから,広く用いられている.最近Mlynarskiらは,不斉ジボリル化反応と鈴木–宮浦クロスカップリング反応を組み合わせた光学活性化合物の効率的合成法を報告したので紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Mlynarski S. N. et al., Nature, 505, 386-390 (2014).
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  • 甕 千明
    50 巻 (2014) 10 号 p. 1023
    公開日: 2016/09/30
    ジャーナル フリー
    がん細胞特有の形質を標的とした化合物の探索は,正常細胞に対する傷害性が少ない抗がん剤の創薬に有用な情報を与える.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Lakshmi R. et al., Nature, 475, 231-234 (2011).
    2) Wang Y. et al., Cell. Death. Dis., 4, e824 (2013).
    3) Xu Z. X. et al., Cell. Death. Differ., 14, 1948-1957 (2007).
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  • 野本 裕也
    50 巻 (2014) 10 号 p. 1024
    公開日: 2016/09/30
    ジャーナル フリー
    クラウドソーシングは群衆(crowd)と人材資源利用(sourcing)を組み合わせた造語であり,アウトソーシング(専門性の高い業務委託)に比べて,よりオープンに不特定多数の人間の協力を募り,比較的安価にプロジェクトを遂行する手法とされ,現在,様々な分野で応用されている.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Lin D. et al., Angew. Chem. Int. Ed., 53, 804-809 (2014).
    2) Johnson R., Nature Chem., 6, 87 (2014).
    3) Stadler M., Keller N. P., Mycol. Res., 112, 127-130 (2008).
    4) Hawksworth D. L., Stud. Mycol., 50, 9-18 (2004).
    5) Lessl M. et al., Nat. Rev. Drug Discov., 10, 241-242 (2011).
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  • 高瀬 ひろか
    50 巻 (2014) 10 号 p. 1025
    公開日: 2016/09/30
    ジャーナル フリー
    ナノ粒子(NP)は疾患の治療や診断のための薬物輸送担体の1つとして利用されている.粒子のサイズや形状の変化,粒子表面の修飾により多種多様なNPの作製が可能であり,それに伴い様々な機能を付与することが可能となる.例えば,細胞への内部移行を促進するためのNP表面への正電荷の導入や,特定細胞への標的化を目的とした細胞表面受容体を認識するペプチドによる修飾が挙げられる.これらはそれぞれに利点を持つ一方で,正電荷を導入したNPは細胞に対する選択性が低く,またペプチドにより修飾したNPは,細胞表面受容体の立体構造における違いや発現量の増減によって標的化効率が大きく変化するという欠点を有している.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Schroeder A. et al., Nat. Rev. Cancer, 12, 39-50 (2012).
    2) Voigt J. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 111, 2942-2947 (2014).
    3) Bareford L. M. et al., Adv. Drug Deliv. Rev., 59, 748-758 (2007).
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  • 庵原 大輔
    50 巻 (2014) 10 号 p. 1026
    公開日: 2016/09/30
    ジャーナル フリー
    スマートフォンに続く次世代型端末として,ウェアラブル端末が世界中で脚光を浴びている.ウェアラブル端末は身につけて持ち歩くことができる情報端末の総称で,2014年4月に限定販売されたグーグル・グラスがその代表例である.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Hiratani H. et al., Biomaterials, 26, 1293-1298 (2005).
    2) Ciolino J. et al., Invest. Ophthalmol. Vis. Sci., 50, 3346-3352 (2009).
    3) Kim H. J. et al., ACS Nano, 8, 2998-3005 (2014).
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  • 早田 敦子
    50 巻 (2014) 10 号 p. 1027
    公開日: 2016/09/30
    ジャーナル フリー
    自閉症は社会的・対人的相互作用の欠如,言語・非言語のコミュニケーション障害,固執的な反復行動の増加など発達初期から症状の表れる代表的な広汎性発達障害である.このような障害により,自閉症患者は社会的に困難な状況に陥りやすいが,自閉症の発症メカニズムには不明な点が多く,いまだ有効な治療法は確立されていない.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Folstein S. E., Rosen-Sheidley B., Nat. Rev. Genet., 2, 943-955 (2001).
    2) Pobbe R. L. et al., Horm Behav., 61, 436-444 (2012).
    3) Striepens N. et al., Front Neuroendocrinol., 32, 426-450 (2011).
    4) Gordon I. et al., PNAS, 110, 20953-20958 (2013).
    5) Critchley H. D. et al., Brain, 123, 2203-2212 (2000).
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  • 川畑 公平
    50 巻 (2014) 10 号 p. 1028
    公開日: 2016/09/30
    ジャーナル フリー
    ペルフルオロオクタン酸(PFOA)およびペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)をはじめとする有機フッ素系化合物(PFCs)は,化学的に安定であり,はっ水剤や難燃剤として広く使用されてきた.一方で,PFCsは環境中では分解されにくく,近年では河川や湖沼,土壌のみならずヒトや野生動物からも検出されている.PFCs製造工場の退職者の追跡調査により,ヒトにおけるPFOA・PFOSの血清中濃度半減期はそれぞれ約3.8年および5.4年と推定されており,長期残留による毒性が懸念される.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Olsen G. W. et al., Environ. Health Perspect., 115, 1298-1305 (2007).
    2) DeWitt J. C. et al., Toxicol. Pathol., 40, 300-311 (2012).
    3) Grandjean P. et al., JAMA, 307, 391-397 (2012).
    4) Looker C. et al., Toxicol. Sci., 138, 76-88 (2014).
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  • 高橋 圭太
    50 巻 (2014) 10 号 p. 1029
    公開日: 2016/09/30
    ジャーナル フリー
    女性の第二次性徴の発現を促す女性ホルモンとして知られるエストロゲンは,その他にも骨代謝や心臓血管系への作用等の幅広い生理活性を有している.臨床では,更年期障害の治療に用いられているが,乳がん誘発等の副作用があるため使用は制限される.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Acconcia F. et al., Mol. Biol. Cell., 16, 231-237 (2005).
    2) Adlanmerini M. et al., PNAS, 111, E283-290 (2014).
    3) Hammes S. R., Levin E. R., Endocrinology, 152, 4489-4495 (2011).
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  • 楠瀬 直喜
    50 巻 (2014) 10 号 p. 1030
    公開日: 2016/09/30
    ジャーナル フリー
    体内時計は,バクテリアからヒトにいたるまで様々な生物に備わっている生理機能の1つであり,生体の恒常性の維持に寄与している.時差ボケ(正確には非同期症候群または時差症候群と呼ばれる)は,体内時計と外部環境のリズム(特に明暗周期)のズレが原因となって生じ,睡眠障害や頭痛,めまい,食欲不振といった症状が現れる.海外渡航時における時差ボケは一時的な問題であるが,交代制勤務者らは日々これらの症状に悩まされており,慢性的な時差ボケ状態にあると指摘されている.慢性的な時差ボケは集中力の低下に伴うヒューマンエラーを引き起こすだけでなく,近年ではうつ病やがんの発症リスクを高めることが明らかになってきている.そのため,時差ボケに対する治療薬は,疾患の予防という観点からも早急な開発が望まれている.今回,Yamaguchi らによって,アルギニンバソプレッシン(AVP)受容体が時差ボケ治療の標的分子となる可能性が報告されたので紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Srinivasan V. et al., Adv. Ther., 27, 796-813 (2010).
    2) Yamaguchi Y. et al., Science, 342, 85-90 (2013).
    3) Ueda H. R. et al., Nat. Genet., 37, 187-192 (2005).
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  • 高木 彰紀
    50 巻 (2014) 10 号 p. 1031
    公開日: 2016/09/30
    ジャーナル フリー
    コルヒチンは,イヌサフランに含まれるアルカロイドで痛風発作の緩解および予防に適応を有する.コルヒチンによる痛風発作寛解における作用機序は,好中球の機能抑制によると考えられている.また適応外使用であるが,メルクマニュアルには心膜炎の初回エピソードに効果的であり,再発の防止に役立つと記載されている.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) コルヒチン錠0.5mg 「タカタ」 添付文書
    2) Mark H. Beersほか,“メルクマニュアル日本語版 (第18版) ”, 日経BP社, 東京, 2006, pp. 767-773.
    3) Imazio M. et al., Heart, 98, 1078-1082 (2012).
    4) Imazio M. et al., N. Engl. J. Med., 369, 1522-1528 (2013).
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  • 水田 賢志
    50 巻 (2014) 10 号 p. 1032
    公開日: 2016/09/30
    ジャーナル フリー
    医薬品の候補化合物にフッ素官能基を導入する方法は,フッ素原子が分子に取り込まれることで,pKa,溶解度および代謝安定性などが変化し,生物活性の向上も期待されることから,創薬戦略の1つとなっている.フッ素置換ヘテロ環の中で,特にヘテロ原子とフッ素原子が隣接する2-フルオロピリジンは,医薬品にとって重要な分子骨格である.一例として,インスリン様成長因子1受容体阻害剤のBMS-754807は,ピリジン環2位の水素原子がフッ素原子に置き換わることで,薬理活性が大幅に向上することが知られている.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Wittman M. D. et al., J. Med. Chem., 52, 7360-7363 (2009).
    2) Furuya T. et al., Nature, 473, 470-477 (2011).
    3) Fier P. S. et al., Science, 342, 956-960 (2014).
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  • 山本 明子
    50 巻 (2014) 10 号 p. 949_1
    公開日: 2016/09/30
    ジャーナル フリー
    この原稿の締め切りの1週間前にいわゆる会社の女子会があり,そこで「山本さんの目標とする人とかロールモデルってどなたでしたか?」と質問され,答えに窮した.私自身これまであまり意識したことがなかったからだ.ロールモデルは,社員が将来目指したいと思う模範となる存在で,そのスキルや具体的な行動を学んだり模倣をしたりする対象となる人材のこと.ロールモデルの必要性は,女性活用推進のアクション・プランなどで指摘されていて,企業におけるロールモデルの育成など,普及のための様々な取り組みが行われている.ロールモデルは一人とは限らなくて,社内にいなければ社外でもいいし,同性でなくてもよいそうだ.
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