ファルマシア
Online ISSN : 2189-7026
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50 巻 , 3 号
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目次
  • 50 巻 (2014) 3 号 p. 184-185
    公開日: 2016/04/19
    ジャーナル フリー
    特集にあたって:眼を酷使する時代である.若年性の「近視」の原因は,勉強からスマートフォンに移ったかもしれない.青年は「ドライアイ」,中壮年は「老眼」「緑内障」,高齢者では「加齢黄斑変性」「白内障」と,いろいろな眼の病気が各世代で幅広く存在し,その障害はヒトとしてのQOLに切実にかかわってくる.目薬をささない日はもはやないといっても過言ではないであろう.目は心の窓ともいわれる.その目を曇らせないためにも,眼病を知り目薬を知ることは意義深いと考え,本特集号を企画した.「眼の病気,目のくすり」.「眼」と「目」の違いにも思いをはせつつ読み進めていただければ,きっと何かが見えてくることであろう.
    表紙の説明:構造物としての眼は,大変精密である.その精密度は,光の入り口である前部と,投影部位である後部で際立つ.眼は脳と直結しているため,感情の表現者としての「目」の機能も有する.表紙の眼の構造図は,本文中の209頁と223頁の図を改変して用いた.また,中田氏の項では「正しい目薬のさし方」にも言及している.両手で丁寧に,目に感謝しつつ目薬をさそう.
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オピニオン
  • 赤池 昭紀
    50 巻 (2014) 3 号 p. 183
    公開日: 2016/04/19
    ジャーナル フリー
    極端な高齢化社会を迎えつつある我が国においては,高齢者の健康の維持と疾患の治療が重要な課題になってきている.しかし,加齢に伴う疾患は加齢自体がリスクファクターになっているためアンメットメディカルニーズの高いものが多い.身体の諸機能のうち,加齢による機能低下が著明なものの1つとして視覚系が挙げられる.重度の視覚障害は失明をもたらす.過去においてはトラコーマなどの感染症や白内障が失明の主要な原因であり,失明と加齢は必ずしも相関するものではなかった.しかし,抗菌薬などの薬物療法の発達や外科手術の進歩により克服された結果,現在では,加齢をリスクファクターとする眼疾患に伴う網膜障害が失明の主たる要因となっている.実際,我が国の失明の第1位は,網膜の神経節細胞と視神経線維の障害を主要な病態とする緑内障であり,失明患者の4人に1人を占める.次いで糖尿病性網膜症,網膜色素変性といった網膜障害を伴う眼疾患が続く.その下位に網膜以外の障害を原因とする高度近視,白内障が位置する.さらに,第6位には加齢黄斑変性がある.
    我が国の緑内障患者数は約400万人と推定されている.日本緑内障学会が岐阜県多治見市で2000~2001年にかけて行った調査(多治見スタディ)が有名であり,この調査では40歳以上の20人に1人が緑内障を罹患しているとの結果が示された.有病率は年齢とともに上昇し,70歳代で10%以上と推定されている.失明患者の4人に1人が緑内障を原因とすることを考えると,緑内障の予防・治療の推進は健康長寿の実現において重要な役割を果たすと言える.緑内障の治療は眼圧下降治療が原則であるが,眼圧のコントロールに加えて網膜神経節細胞の保護(神経保護)が重要であると考えられており,アルツハイマー病治療薬のメマンチンをはじめとする多くの薬物が神経保護薬の候補に挙げられている.その他,ニルバジピンなどの降圧薬,ビタミンB12,スタチン類などが,網膜血流改善作用,網膜神経保護作用を持つことが示唆されている.ただ残念ながら,今のところ臨床での有効性を示す明確なエビデンスがある薬物はない.
    老年期の失明の大きな要因の1つである加齢黄斑変性も,種々の治療が試みられている.緑内障が視野の周辺部から障害されるのに対して,加齢黄斑変性は視野の中心部が真っ先に障害されるので,機能的な失明状態に至るケースが多い.この疾患では,網膜の中心にある黄斑が加齢変化に関連して変性する.日本人では,眼球の外壁をなす強膜と網膜の間にある血管に富んだ組織である脈絡膜に新生血管を生じ,新生血管からの浸出性変化により視機能が低下する型(滲出型)が多い.滲出型加齢黄斑変性の薬物治療としては,血管内皮増殖因子(vascular endothelial growth factor:VEGF)の機能を抑制する薬物(中和抗体製剤ラニビズマブなど)の眼内注射が行われている.今年になって,自家iPS細胞由来網膜色素上皮シートの移植に関する臨床研究が厚生労働省に申請され,iPS細胞の臨床応用の先駆けとなる点でも注目されている.
    我が国の視覚障害者数は2007年の統計で164万人(そのうち失明者が19万人弱)であり,高齢化が進む2030年には200万人の大台に上ると推定されている.この人数は400~500万人と推定される認知症の患者数に迫るものである.視覚障害は,患者自身のQOLの低下,医療費の高騰,家族の負担等が大きく,今後の眼科医療イノベーションの進展による救済が期待される.
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Editor's Eye
セミナー
  • 森山 無価, 大野 京子
    50 巻 (2014) 3 号 p. 193-195
    公開日: 2016/04/19
    ジャーナル フリー
    近視は欧米に比してアジア諸国で頻度の高い疾患であり,特に我が国は世界有数の近視国である.近視人口は年々増大傾向にあり,視覚障害の原因としても大きな割合を占めている.近視の薬物治療については,大きく近視進行の抑制と近視による合併症の治療とに分けられ,前者はまだ保険適応でないものが多いが,後者については近年保険適応となった薬剤も出てきた.本稿では,最近注目されている近視治療に用いられる薬剤に焦点を当てて概説する.
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セミナー
  • 内尾 英一
    50 巻 (2014) 3 号 p. 196-200
    公開日: 2016/04/19
    ジャーナル フリー
    結膜(conjunctiva)は眼表面を覆う粘膜組織で,角膜以外の部分を指す.球結膜(bulbar conjunctiva)と瞼結膜(palpebral conjunctiva),その移行部である結膜円蓋(conjunctival fornix)から成っている.表面は涙液で保護されている重層扁平上皮組織であり,上皮には結膜上皮細胞以外に粘液を分泌する杯細胞がある.上皮下には血管や各種の細胞が豊富に存在する.眼球とは疎に結合し,眼球を保護し滑らかに運動させる機能がある(図1).
    結膜は眼表面(ocular surface)を形成し,外界に直接接している部位である.そのため感染症やアレルギーなどの炎症を生じやすい特徴があり,臨床所見は様々である.本来動物は海の中で進化していたが,両生類以降陸上で生活をするようになると,眼表面の乾燥を防ぐために涙液を持つようになり,さらに眼瞼も陸上生活に対応して備わった.魚類には眼瞼はない.瞬目(まばたき)をすることにより乾燥を防ぎ,涙液を行き渡らせることができるが,これは進化の結果として獲得したものである.しかし現代の生活では様々な要因で乾燥しがちであり,ドライアイも増加している.
    結膜炎は結膜の炎症性疾患であるが,原因によりアレルギー性結膜疾患と感染性結膜炎とに大別される.すなわち,非感染性結膜炎と感染性結膜炎である.
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セミナー
  • 井上 佐智子, 川島 素子, 坪田 一男
    50 巻 (2014) 3 号 p. 201-206
    公開日: 2016/04/19
    ジャーナル フリー
    ドライアイとは「様々な要因による涙液および角結膜上皮の慢性疾患であり,眼不快感や視機能異常を伴う」と定義されている多因子性疾患である.日本での罹患人口は少なくとも約800万人,通院しないで市販点眼薬を使用している潜在患者も含めれば約2,200万人いると見込まれ,著しくQOLを低下させる疾患である.図1に示す通り,その背景は複雑であり,内科的疾患から起きるものや,目の手術に伴うもの,服用している薬の副作用でも起きる.シェーグレン症候群などの自己免疫疾患や,スティーブンス・ジョンソン症候群などの病気により涙腺が破壊されて,引き起こされる重篤なドライアイもある.
    一般的なドライアイは,環境要因が大きいと考えられており,パソコンやスマートフォンなどの凝視や,冷暖房などの空調,コンタクトレンズの長期・長時間装用などがリスクファクターとして有名であり,さらには夜型の生活,食生活の変化,運動不足など,ライフスタイルの関与や加齢による影響も指摘されている.近年,これらのライフスタイルの変化や高齢化社会により更に罹患率が上昇しており,社会的な問題となっている.
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セミナー
  • 嶋澤 雅光
    50 巻 (2014) 3 号 p. 207-211
    公開日: 2016/04/19
    ジャーナル フリー
    我が国の中途失明疾患には,緑内障,糖尿病網膜症,加齢黄斑変性症(age-related macular degeneration:AMD)および網膜色素変性症などがある.中でも緑内障,糖尿病網膜症および網膜色素変性症は中途失明の三大原因と呼ばれ,緑内障が成人の中途失明原因のトップを占め(全体の20.7%),40歳以上の平均有病率は5.0%と非常に高い.本疾患は,いったん失明に陥ると現在の医療では治療する手段はなく,患者の生活の質(QOL)の著しい低下を招き,本人はもとよりその家族に与える精神的,身体的,経済的負担は計り知れない.
    緑内障は,進行性の網膜視神経節細胞の消失とそれに対応した視野異常を伴う視神経症である.したがって,その病態は視神経の変性に起因することが知られているが,その病態発症機序については眼圧がその病態発症および進行リスクの1つであること以外には十分に解明されていない.一方,眼圧を下降させる薬物または手術療法による眼圧下降療法により病態の進行を抑えることが証明されていることから,様々な眼圧下降薬が開発され,臨床応用されている.
    そこで本稿では,緑内障の病態と薬物治療,ならびに今後期待される治療アプローチについて述べる.
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セミナー
セミナー
  • 森 麻美, 石井 邦雄
    50 巻 (2014) 3 号 p. 217-221
    公開日: 2016/04/19
    ジャーナル フリー
    白内障は,水晶体が混濁することで網膜に達する光の異常散乱や透過性の低下が起こり,視界がかすむ,霧がかかったように見える,光をまぶしく感じる,ぼやけるなどの症状が出て,視力が低下する疾患である.常染色体優性遺伝や妊娠時母体の風しん感染などにより,出生時もしくは出生後早期から発症する先天性白内障と,様々な要因で発症する後天性白内障に分類することができる.後天性白内障の中で最も一般的なのは加齢性白内障であるが,他にも糖尿病性白内障や,アトピー性白内障,外傷性白内障,ステロイド白内障,放射線白内障,ダウン症候群や筋緊張性ジストロフィーなどの全身疾患に伴う白内障,眼内炎,ぶどう膜炎や網膜剥離など眼の病気による白内障がある.
    本稿では,はじめに眼の構造について解説し,次いで白内障の病態,治療法の現状と問題点,今後の展望について論じたい.
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セミナー
  • 小池 千恵子
    50 巻 (2014) 3 号 p. 222-226
    公開日: 2016/04/19
    ジャーナル フリー
    明るいところから暗いところに移動すると一時的にものが見えにくくなるが,しばらく経つと網膜の感度が暗さに順応し見えるようになる.しかしながら,この順応が上手くいかない状態,すなわち「暗順応障害」を夜盲という.夜盲症患者には,網膜電位図(electroretinogram:ERG)検査において,双極細胞由来のb波が消失しているという特徴がある.
    夜盲には先天性と後天性のものがある.先天性夜盲はさらに,幼児期より徐々に発症して症状が進行する進行性夜盲と,発症しても生涯進行しない停止性夜盲とに分けられる.先天性停止性夜盲症(congenital stationary night blindness:CSNB)の原因遺伝子として同定されているものは,ON型視覚情報伝達にかかわる遺伝子が多い.一方で進行性先天性夜盲の代表には網膜色素変性症(retinis pigmentosa:RP)が挙げられる.RPは視細胞が変性・減少し,網膜機能低下と網膜萎縮を呈する進行性の遺伝性疾患であり,初期に夜盲を自覚する.後天性夜盲は,全身的にはビタミンA欠乏での突発夜盲が代表的であり,眼疾患で網膜が広範に障害される場合にも認められる.
    本総説では,特に夜盲と関連のある網膜の構造と機能について説明した上で,先天性夜盲症の原因遺伝子と発症メカニズムについて概説する.
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最前線
  • 大黒 伸行
    50 巻 (2014) 3 号 p. 227-230
    公開日: 2016/04/19
    ジャーナル フリー
    虹彩・毛様体・脈絡膜を炎症の主座とするぶどう膜炎は,全身の免疫異常や眼局所免疫の異常により生じる疾患である.これまでの研究で,複数のサイトカインやケモカインといった炎症関連遺伝子の発現変化やTh1細胞やTh2細胞と呼ばれるヘルパーT細胞,最近ではTh17細胞と呼ばれる細胞群の病態への関与が明らかにされてきている.
    ぶどう膜炎の治療として,眼局所(点眼や眼球周囲注射),あるいはステロイド剤や免疫抑制剤(シクロスポリン・メトトレキサート)の全身投与が行われてきた.また近年では,生物学的製剤の有効性が報告されている.一方で,これらの薬物の大量投与や長期投与に伴う様々な副作用の出現が問題となっており,炎症部位特異的に薬物を集積させ,低容量で効果があり,かつ副作用の少ない薬物の開発が望まれていた.
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話題
  • 中田 雄一郎
    50 巻 (2014) 3 号 p. 231-234
    公開日: 2016/04/19
    ジャーナル フリー
    目薬はプラスチックボトルに入った多くは無色透明,あるいは白濁した懸濁型の無菌性の液剤である.目薬(以下,点眼剤)という名前の通り,点眼剤は疾患部位,あるいは疾患部位近傍に直接投与可能な製剤であるために経口投与製剤や静脈内投与製剤に較べ,眼内組織移行性向上と全身の副作用軽減の可能性がある.点眼剤は単に原薬を水に溶解あるいは懸濁させただけでなく,溶解度の向上や保持,安定性の確保,防腐効力の担保,懸濁であれば再分散性の向上や保持などにも注意を払い製剤設計が行われる.本稿では点眼剤の設計,将来展望,使用上の注意点について解説する.
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話題
話題
  • 豊浦 正広, 柏木 賢治
    50 巻 (2014) 3 号 p. 240-242
    公開日: 2016/04/19
    ジャーナル フリー
    疾患や外傷などによって片眼の視機能が消失もしくは著しく低下した患者や斜視の強い患者は,両眼視機能を失うため,対象物の距離感獲得に困難が生じる.我々が開発を進める片眼鏡は,失われた両眼視機能を一部代行する装置である.利用者の目線に取り付けた2台のカメラで得られる画像から,被写体までの距離を計算し,距離に応じて焦点ぼけを強調した画像を合成する.利用者には焦点ぼけの有無によって,1枚の画像の中で強調された距離情報が提示される.本稿では,片眼鏡の原理と実装の現状について紹介する.
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FYI(用語解説)
  • 井上 佐智子, 川島 素子, 坪田 一男
    50 巻 (2014) 3 号 p. 243_1
    公開日: 2016/04/19
    ジャーナル フリー
    急激に発症する皮膚や粘膜の過敏症で,原因には非ステロイド系抗炎症剤,サルファ剤,抗生剤の投与が挙げられるが,その他の薬剤でも起こり得る.また,ウイルス感染が契機の場合もある.症状は発熱(38℃以上),粘膜症状(結膜充血,口唇びらん),多発する紅斑(進行すると水疱・びらんを形成)を伴う皮しんなどである.発症機序の詳細は不明だが,免疫反応の異常が考えられている.病変部では著明なCD8陽性T細胞の表皮への浸潤が見られ,細胞傷害性Tリンパ球(活性化CD8陽性T細胞)が表皮細胞のアポトーシスを誘導する,もしくはこの細胞から産生されるIFN-γやマクロファージから産生されるTNF-αが細胞傷害を引き起こすと想定されている.
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  • 井上 佐智子, 川島 素子, 坪田 一男
    50 巻 (2014) 3 号 p. 243_2
    公開日: 2016/04/19
    ジャーナル フリー
    涙腺と唾液腺を標的とする自己免疫疾患で,膠原病などに合併する二次性と,これら合併のない一次性(原発性)に分類される.さらに一次性は,病変が涙腺,唾液腺に限局する腺型(45%)と,全身性の何らかの臓器病変を伴う場合(約50%),さらには悪性リンパ腫や原発性マクログロブリン血症を発症する(約5%)腺外型に分類される.主な症状は,涙腺の破壊に伴うドライアイであるが,唾液腺の破壊に伴う口腔の渇きから,う歯や口内炎などの症状も多い.他に関節,筋肉,腎臓,甲状腺,神経,皮膚,肺などで様々な症状をきたす.遺伝的・環境的・性ホルモンの影響などもいわれておりその直接的な原因は不明である.2003年の調査では患者数は7万人であったが,現時点では10万人を超えていると考えられている.
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  • 井上 佐智子, 川島 素子, 坪田 一男
    50 巻 (2014) 3 号 p. 243_3
    公開日: 2016/04/19
    ジャーナル フリー
    マイボーム腺は上下の眼瞼に存在する外分泌腺で,油成分を分泌し涙液の蒸発を防いでいる.MGDはその機能がびまん性に異常をきたした状態で,慢性の眼不快感を伴うと定義され,その原因はマイボーム脂質の変性やうっ滞・慢性感染や炎症導管上皮の過角化といわれる.治療は,眼瞼の洗浄療法・温罨法が中心で,眼瞼の環境を整えるものである.ドライアイ専用メガネ,眼瞼専用のアイシャンプー,眼周囲専用温熱カイロなどのアイテムにより,治療が身近になっている.ほかに,眼瞼全体へ圧力と熱(41~43℃)を加え,眼瞼のマイボーム腺脂の溶解・圧出を行う「Lipiflow」や,マイボーム腺の閉塞を1つずつ開口していく「Maskin Probe」がある.
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  • 豊浦 正広, 柏木 賢治
    50 巻 (2014) 3 号 p. 243_4
    公開日: 2016/04/19
    ジャーナル フリー
    観察者の身体・視線方向の変化によって,視野中の対象物の位置が変わること.身体移動や視線方向変化の量と,対象物の位置の変化の情報は脳内で統合され,対象物までの距離が知覚される.例えば,視線方向を同じだけ変化させても,近くにあるものほど視野中の位置が大きく変わり,遠くにあるものほど位置があまり変わらないので,この位置の変化量から対象物までの距離を推定できる.単眼による観察によっても運動視差は生じるので,単眼失明者も運動視差を利用することで距離の知覚が可能である.
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トピックス
  • 塚野 千尋
    50 巻 (2014) 3 号 p. 244
    公開日: 2016/04/19
    ジャーナル フリー
    (+)-Linoxepin(1)は,アマ科の多年草Linum perenne L.(Linaceae)から2007年Schmidtらにより単離されたリグナンである(図1).ジヒドロナフタレンとジヒドロオキセピンが縮環し,環内に四置換オレフィンを含む歪んだ構造を有している.そのため,合成標的として注目を集めており,2013年初頭にTietzeらがパラジウム触媒を用いたドミノ反応を鍵としてわずか10工程で全合成を達成している.最近Lautensらは,Catellani反応を利用することで1の全合成をさらに短工程で達成したので,以下に紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Schmidt T. J. et al., Planta Med., 73, 1574-1580 (2007).
    2) Tietze L. F. et al., Angew. Chem. Int. Ed., 52, 3191-3194 (2013).
    3) Weinstabl H. et al., Angew. Chem. Int. Ed, 52, 5305-5308 (2013).
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  • 谷口 陽祐
    50 巻 (2014) 3 号 p. 245
    公開日: 2016/04/19
    ジャーナル フリー
    分子に機能付与を行うための部位選択的な修飾を可能とする触媒の開発は,画期的な医薬品の創製や分子プローブの開発などにおいて,非常に重要な意義を有している.特に,糖鎖は多くのヒドロキシ基を有しており,保護脱保護を行わず,望みのヒドロキシ基を選択的に修飾できる触媒の開発が強く求められている.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Sun X. et al., Nat. Chem., 5, 790-795 (2013).
    2) Worthy A. D. et al., J. Am. Chem. Soc., 134, 7321-7324 (2012).
    3) Sun X. et al., Angew. Chem. Int. Ed., 50, 8167-8171 (2011).
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  • 在間 一将
    50 巻 (2014) 3 号 p. 246
    公開日: 2016/04/19
    ジャーナル フリー
    TRP(Transient Receptor Poten-tial)チャネルは,1989年に突然変異ショウジョウバエの光受容器の電位異常に伴って発見された分子である.近年,TRPチャネルの生理機能が注目され,TRPチャネル分子群を介した応答が,生理現象に極めて重要であることが明らかになってきた.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Clapham D. E., Nature, 426, 517-524 (2003).
    2) Bassoli A. et al., Food Chem., 141, 2044-2051 (2013).
    3) Bassoli A. et al., Bioorg. Med. Chem., 17, 1636-1639 (2009).
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  • 安藤 茂
    50 巻 (2014) 3 号 p. 247
    公開日: 2016/04/19
    ジャーナル フリー
    医薬品の開発において,製剤中の化合物の分子状態を把握することは物性や品質管理として重要である.特に窒素原子は分子間水素結合に関与し,cocrystalや固体分散体等の複合系において,その状態を評価することは物性情報として有用である.これまで,固体NMR測定での窒素観測は,核スピン量子数-1/2であり四極子相互作用がなく扱いやすい15Nが用いられてきた.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Tatton A. S. et al., Mol. Pharmaceutics, 10, 999-1007 (2013).
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  • 石橋 賢一
    50 巻 (2014) 3 号 p. 248
    公開日: 2016/04/19
    ジャーナル フリー
    アディポサイト脂肪酸結合タンパク質aP2は脂肪細胞に高発現しており,細胞内の脂肪酸に結合して輸送を行うタンパク質である.aP2ノックアウトマウス(aP2KOマウス)ではインスリン感受性が低下することから,aP2はエネルギー代謝にかかわるタンパク質と考えられている.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Maeda K. et al., Cell Metab., 1, 107-119 (2005).
    2) Waki H., Tontonoz P., Annu. Rev. Pathol., 2, 31-56 (2007).
    3) Cao H. et al., Cell Metab., 17, 768-778 (2013).
    4) Cao H. et al., Diabetes, 55, 1915-1922 (2006).
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  • 多胡 憲治
    50 巻 (2014) 3 号 p. 249
    公開日: 2016/04/19
    ジャーナル フリー
    1980年代初めから,悪性新生物であるがんは日本国民の死因の第1位になっており,その治療法や予防などの対策が非常に重要な問題になっている.そのため,発がん機構を理解し,その抑制機構を解明することを目指した研究が急速に進んでいる.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Seluanov A. et al., PNAS, 106, 19352-19357 (2009).
    2) Tian X. et al., Nature, 499, 346-349 (2013).
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  • 水川 葉月
    50 巻 (2014) 3 号 p. 250
    公開日: 2016/04/19
    ジャーナル フリー
    臭素系難燃剤の1つであるポリ臭素化ジフェニルエーテル(PBDEs)は,身の回りの家具や家電に難燃・延焼防止目的で添加されており,近年ではヒトや野生生物から検出され,その生体リスクが危惧されている.PBDEs製剤には異性体組成によりペンタ製剤,オクタ製剤,デカ製剤があるが,近年,ペンタ製剤の主要異性体であるBDE-47,BDE-99の毒性影響として,甲状腺機能の恒常性撹乱や神経発達障害が報告されている.日本では,2010年にテトラ,ペンタ,ヘキサ,ヘプタBDEが化審法の第一種特定化学物質に指定されており,またこれらの物質は,欧米諸国においてRoHS指令や州の行政機関により製造・使用が規制されている.一方,デカ製剤の使用は世界各地で現在も継続しているにもかかわらず(米国では2013年末でデカ製剤の使用を廃止する動きがある),主要異性体であるBDE-209(図1)の生体への影響は不明である.本稿では,魚類のモデル動物であるファットヘッドミノーにBDE-209を曝露し,甲状腺機能へ与える影響を調査した研究を紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Szabo T. et al., Toxicol. Sci., 107, 27-39 (2009).
    2) Noyes P. et al., Environ. Sci. Technol., 47, 10012-10021 (2013).
    3) Stapleton M. et al., Environ. Sci. Technol., 38, 112-119 (2004).
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  • 加藤 文子
    50 巻 (2014) 3 号 p. 251
    公開日: 2016/04/19
    ジャーナル フリー
    一般用医薬品(OTC薬)の副作用は年間250症例前後報告されている.中でも総合感冒剤,解熱鎮痛消炎剤が上位を占め,アナフィラキシーショック,肝機能障害,スティーブンス・ジョンソン症候群等の重篤な症例や死亡に至る症例も報告されている.今回,OTC薬の総合感冒剤や解熱鎮痛消炎剤にも用いられている非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)により,血管や上部消化管合併症リスクが増加する結果を示した報告について紹介したい.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Pharmaceuticals and Medical Devices Safety Information No. 293, Aug. (2012).
    2) Coxib and traditional NSAID Trialists' (CNT) Collaboration, Lancet, 382, 769-779 (2013).
    3) U.S. Food and Drug Administration, news release, Aug. (2013).
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  • 後藤 俊弘
    50 巻 (2014) 3 号 p. 252
    公開日: 2016/04/19
    ジャーナル フリー
    経皮薬物送達システム(TDDS)は,皮膚から全身への分布を意図した投与経路であり,初回通過効果を回避できるなど,経口および静脈注射投与に替わる有用な投与経路である.現在,TDDSに用いられるナノキャリアとしては,水溶性と脂溶性の物質双方を保持できるベシクルが最も一般的なものとなっている.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Torchilin V. P., The AAPS Journal, 9, 128-147 (2007).
    2) Kong M. et al., Carbohydrate Polymers, 94, 634-641 (2013).
    3) Marjan J. et al., Biochim. Biophys. Acta, 1192, 35-44 (1994).
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  • 繁田 幸宏
    50 巻 (2014) 3 号 p. 253
    公開日: 2016/04/19
    ジャーナル フリー
    標的タンパク質から解離の遅い化合物は薬効の持続性に優れるため,より低い投与量で薬効を示したり,副作用との乖離やオフターゲット選択性に優れるといった利点を有する.現在,このような特性を示す市販薬や開発中の薬剤が複数知られており,例えば抗インフルエンザ薬のラニナミビルオクタン酸エステル水和物が例として挙げられる.この薬剤は他の薬剤と異なり1回の投与で優れた治療効果を発揮するが,その理由の1つは標的タンパク質であるノイラミニダーゼに対して,活性本体であるラニナミビルの解離速度が他の薬剤より遅いためと考えられている.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) 小林慶行, MEDCHEM NEWS, 21 (3), 18-25 (2011).
    2) Meizhong J. et al., ACS Med. Chem. Lett., 4, 627-631 (2013).
    3) Muluvihill M. et al., Future Med. Chem., 1, 1153-1171 (2009).
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