ファルマシア
Online ISSN : 2189-7026
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50 巻 , 5 号
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目次
  • 50 巻 (2014) 5 号 p. 384-385
    公開日: 2016/06/21
    ジャーナル フリー
    特集にあたって:ファルマシアで構造生物学に関する特集を組むのは,1999年の「構造生物学と創薬科学」に続いて2度目となる.前回の特集から15年が経過したが,その間に日本では,2002年度から3,000種類のタンパク質の立体構造解析を行うことを目標とした5年計画であるタンパク3000プロジェクト,2007年度からはターゲットタンパク研究プログラムが5年計画として実施された.本特集号では,最先端の種々の構造解析技術,in silicoでのコンピュータ創薬など構造生物学の最先端の知識を紹介している.本特集号が読者の皆様の探究心をくすぐることを期待している.
    表紙の説明:文学作品において,メビウスの帯は無限の繰り返しを比喩的に表すものとして用いられる.本表紙は,メビウスの輪の中に本特集号と関係の深い図を連続的に組み入れたものである.今後も永遠に研究が引き継がれ,構造生物学は無限に発展するだろう.
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グラビア
  • 鈴木 健司
    50 巻 (2014) 5 号 p. 379-381
    公開日: 2016/06/21
    ジャーナル フリー
    Super Photon ring-8 GeV,略してSPring-8(スプリングエイト).SPring-8は兵庫県西部の播磨科学公園都市にある世界最高性能の放射光施設で,1997年10月から国内外の様々な分野の研究者に利用されている.放射光とは,電子を光とほぼ等しい速度まで加速し,磁石によって進行方向を曲げた時に発生する強力な電磁波のことである. SPring-8には様々な研究分野に特化した仕様の実験装置(ビームライン)が設置されている.本稿では,構造生物学研究の進展を支えるタンパク質結晶構造解析で使用されているビームラインを紹介する.
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オピニオン
  • 古谷 利夫
    50 巻 (2014) 5 号 p. 383
    公開日: 2016/06/21
    ジャーナル フリー
    創薬は難しい.私は,物理化学あるいは構造生物学の立場から少しでも創薬に貢献しようと悪戦苦闘してきた.いまではSBDD※1やFBDD※2はHTS※3などと同様,創薬手法としてよく知られた方法だが,私の挑戦は1987年に遡る.NMRで決定したBPTI※4の構造を,X線で決めた構造と比較した論文を読んだとき,タンパク質の立体構造を利用する創薬が早晩必須となることを予感した.ちなみに1987年のPDB※5に登録された立体構造は年間25個,累積で238個であった.2012年の年間登録が8,936個,累積で86,975個であることと比べると隔世の感がある.
    標的タンパク質の立体構造に基づく創薬をラショナルドラッグデザインと呼び,X線構造解析法とNMR法という実験的な手法に,コンピュータを使ったシミュレーションを加えたSBDDが登場した.私は所属していた山之内製薬(現アステラス製薬)の研究所が1989年につくばに移転した際に,大変な苦労の末にX線回折装置と600MHzNMRに加えて,コンピュータグラフィックスを揃えた分子設計研究室の設立を推進した.当時は日本国内のX線結晶学の研究者を集めても,海外の大手製薬会社1社のX線結晶学の研究者程度しかいないと言われた時代であった.SBDDは1990年のHIVプロテアーゼとリガンドとの複合体解析に始まり,その後,ノイラミニダーゼを標的にしてタミフルがデザインされた例は有名である.また,1994年にはSAR by NMRが発表され,FBDDの源流となった.FBDDを武器とした創薬ベンチャーが幾つも登場し,その中の1つ,Plexxikon社が2005年に見いだしたゼルボラフはBrafタンパク質の変異型を標的とした皮膚がん治療薬として,FBDDによる最初のFDA承認薬となっている.
    SBDDやFBDDを支える中心的な技術は,タンパク質の構造解析である.タンパク質の基本構造は10,000種類と見積もられ,網羅的に構造を決める世界的な構造ゲノミクスが計画された.日本では2002年からタンパク3000プロジェクトがスタートし,2007年度までの5年間で3,000を大きく超える構造決定に成功した.評価は様々あるようだが,日本の構造生物学研究を支える多くの研究者を育て,製薬企業の創薬研究に質的変化をもたらした功績は大きいと考えている.その後も技術は進展し,重要な創薬標的であるGPCR※6の構造決定が進んでいる.また最近,19F-NMRを使ったスクリーニング法も注目されている.これは,フッ素原子を含む承認薬が全体の約1/3を占めている点に着目し,フッ素原子を好むタンパク質側の結合部位を探索する手法であり,単にFBDDの一手段に留まらず新たなドラッグデザインにつながる可能性をはらんでいる.
    創薬は難しい.しかし,活性や選択性を上げるためには標的タンパク質がリガンド分子を認識する描像を手にすることが必要で,これが創薬に大きく貢献することに異論を挟む人はいないであろう.海外の製薬会社が極めてルーティン的にSBDDやFBDDを創薬に取り入れているのに比べ,日本ではまだまだという感は否めない.構造生物学の重要性をより一層認識して欲しいものである.

    ※1 SBDD:structure based drug design(標的タンパク質の構造に基づく分子デザイン),※2 FBDD:fragment based drug design(フラグメント分子を利用した分子デザイン),※3 HTS:high throughput screening(ハイスループットスクリーニング),※4 BPTI:bovine pancreatic trypsin inhibitor(ウシトリプシン阻害剤),※5 PDB:Protein Date Bank(タンパク質構造データバンク),※6 GPCR:G-protein coupled receptor(Gタンパク質共役受容体).
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Editor's Eye
セミナー
最前線
  • 村上 聡
    50 巻 (2014) 5 号 p. 398-402
    公開日: 2016/06/21
    ジャーナル フリー
    構造生物学分野における膜タンパク質を対象とした原子レベル構造解析の歴史は,水溶性のそれに比べると30年程度の遅れがある.これは膜タンパク質の構造解析が困難であることに起因しているが,一方でその重要性については疑う余地がない.細胞膜の細胞に占める体積比は5%程度にも満たないにもかかわらず,例えばヒトの場合,ゲノム中の遺伝子のうち約30%が膜タンパク質をコードしているといわれており,遺伝子資源の多くが膜タンパク質に割かれていることから,細胞が膜を格好の反応の場としていると考えることができる(図1).そのため,多くの生理的に重要な生体反応に膜タンパク質が関与し,疾病の責任因子が膜タンパク質であることも多く知られている.市販されている医薬の約50%以上が膜タンパク質をターゲットとしているといわれており,膜タンパク質の詳細な立体構造情報は,その機能を本質的に理解するためばかりでなく,医薬品開発分野においては構造に基づく創薬の基礎情報となるため,その必要性は極めて高い.とりわけ,2012年ノーベル化学賞に輝いたGタンパク質共役型受容体(GPCR)の立体構造解析は,医薬品開発分野における大きなブレイクスルーであろう.ゲノム中で最も大きなファミリーを形成するGPCRは,細胞の内外で情報の輸送を行う膜タンパク質であり,細胞外からのリガンド結合の情報が細胞質側に結合するGタンパク質へ伝えられ,細胞内で種々の生体反応を誘起させる.細胞外から結合するリガンドは細胞膜を介して輸送されず,情報のみが膜を介して伝わる.受容体に次いで大きなファミリーを形成するものが,膜輸送体(トランスポーター)である(図1).これは受容体とは違い,細胞膜を介して基質となる分子を細胞膜を介して能動的に輸送する膜タンパク質である.細胞外から細胞内へと必要な物質を取り込むための取り込み輸送体と,細胞内から細胞外へと不要な物質を排出するための排出輸送体がある.
    創薬のターゲットタンパク質としてはGPCRが最も大きな部分を占めるが,輸送体をターゲットとするものも少なからずあり(図1),とりわけ中枢神経系に作用するものの重要性は高い.本稿では,最近構造解析の進む輸送体・ファミリーのほか主に著者らによって,その重要な部分が解析された多剤排出輸送体の構造と機能について概説するとともに,今後の展望について論じたい.
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最前線
  • 古川 浩康, 田嶋 南海
    50 巻 (2014) 5 号 p. 403-407
    公開日: 2016/06/21
    ジャーナル フリー
    タンパク質の立体構造は,1958年にKendrewとPerutzによって初めて発表された.X線回折と構造解析技術の著しい発展に伴い,1980年後半頃からタンパク質構造データバンク(PDB)に登録されたタンパク質構造の数は年々増加し,2013年12月現在登録数は10万件に迫る勢いである.近年では,可溶性タンパク質と比較すると扱いが難しく成功例が少なかった膜タンパク質の構造も,Gタンパク質共役型受容体(GPCR)を筆頭に多数報告されるようになった.タンパク質の構造と機能には相関性があるため,構造を分子レベルで見ることにより,あるタンパク質が生体内においてどのように動き機能しているか,どう共存するタンパク質や核酸,基質や低分子化合物と相互作用するかを理解するのが可能なる.また,構造をベースに,生物学の研究に役立つ・または病気に対する薬効性を持つ阻害剤をデザインすることが理論上可能になる.
    現在,高分解能の構造を得るための最も強力な手法はX線結晶構造解析である.加えてX線小角散乱法,核磁気共鳴法,超遠心分析,質量分析,一分子蛍光共鳴エネルギーイメージング,等温滴定型熱量測定や表面プラズモン共鳴分析といった物理学的手法や電気生理学的手法,および生化学的手法を組み合わせることで,目的タンパク質の特性や,結合モード,活性・阻害機構を解明することが可能となる.タンパク質立体構造情報に基づく薬剤設計の例としては,HIVプロテアーゼ阻害剤であるアジェネラーゼやインフルエンザウイルスノイラミニダーゼ阻害薬のザナミビルなどが挙げられるが,これらはタンパク質の構造情報を基に,基質ポケットに当てはまる化合物を設計することで,目的タンパク質特異性と阻害効率の高さを得る化合物の開発に成功した良い例である.また,タンパク質構造情報を用いたin silicoスクリーニングは,広範な化合物の探索をコンピュータ内でシミュレーションし,有用な化合物の数を絞ることで短期間かつ低コストでの効率的な創薬を可能とする.
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セミナー
  • 阪下 日登志
    50 巻 (2014) 5 号 p. 408-412
    公開日: 2016/06/21
    ジャーナル フリー
    筆者は,学生時代に構造生物学を学び,製薬会社の研究員として長年初期創薬研究に携わってきた.その立場と視点で表題について紹介したい.本号は「使おう! 構造生物学」の特集とのことなので,特にハイスループットX線構造解析に重点を置く.
    構造生物学と創薬研究というと,多くの方がSBDDという言葉を連想するだろう.薬剤がタンパク質に結合している状態の立体構造を見て次の合成方針を考えるのは,教科書的で当たり前のように思うかもしれない.しかし,製薬企業内での研究スピードに合わせて構造情報を提示しながらテーマを進めるためには,構造解析に相当する速さが必要となる.以前は構造解析ができたころには化合物のステージが進んでおり,「後付け」と揶揄されたり意味がないといわれることがほとんどであった.
    筆者はこの流れを断ち切るため,速さと測定数の増加を両立させるハイスループット(HT)型のX線構造解析を目指した.速い構造解析とは,薬理評価と同等の速さ,つまり,化合物を得てから1週間程度で立体構造を提示する位の速さを実現することを示す.また,HTSヒットの解析や後ほど詳しく説明するfragment based drug discovery(FBDD)を可能とするためには,数多くのタンパク質/化合物複合体構造解析ができる必要がある.
    本稿では,当社のHT-X線構造解析の紹介と,これを利用したFBDDである「fragment evolution(FE)」を概説することによって,製薬企業内の初期創薬研究を解説する.
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最前線
最前線
  • 西村 善文
    50 巻 (2014) 5 号 p. 418-422
    公開日: 2016/06/21
    ジャーナル フリー
    2001年にヒトゲノム解析が報告され,2007年にワトソンやヴェンターのゲノムが解析され,個人ゲノム情報が解明できるようになった現在,改めてエピジェネティクスが注目されている.エピジェネティクスとはDNA配列を変化させないで,遺伝子の表現系や遺伝子発現量を変化させる機構である.その実体はDNA周りの構造変化であり,DNAのメチル化やDNAの折れ畳み方であるクロマチンの構造変化である.細胞内に起こっている,これらエピジェネティクスの変化の総体を「エピゲノム」と呼ぶ.エピジェネティクスの言葉は1942年のウォディントンの命名によるとされるが,ジェネティクスを超えた上位の(ギリシア語επι:エピ)変化として名付けられた.ここではクロマチンの構造変化に重点を置いて,エピゲノムの現状を簡単に紹介したい.
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セミナー
  • 佐藤 主税
    50 巻 (2014) 5 号 p. 423-427
    公開日: 2016/06/21
    ジャーナル フリー
    イオンチャネルは,刺激に応じてイオンを通すだけでなく,様々なタンパク質分子とも直接相互作用して早い情報の処理を行う.さらに,その細胞内局在も,刺激に応じてダイナミックに変化することが多い.このようなタンパク質複合体としての情報伝達は,イオンチャネルに限らず,近年多様なタンパク質複合体で明らかになってきている.タンパク質複合体の構造を研究するために開発されたのが,結晶を用いない,透過電子顕微鏡(以下,電顕)像からの単粒子解析法である.本法は,精製タンパク質を必要とする方法であり,最近になって原子分解能に到達した.筆者らのグループは10年以上にわたって本方法を開発してきた.しかしタンパク質複合体の中には,弱い結合で形成されるものも多い.精製が難しいタンパク質複合体を細胞中で直接観察するために,電顕は真空中で見るものという従来の常識を覆した大気圧走査電顕(atmospheric scanning electron microscope:ASEM)を,強靭な半導体製造用薄膜を導入して開発した.組織・細胞・タンパク質微結晶などを,水溶液中のまま高分解能で観察でき,免疫電顕法に優れている.両方法の組み合わせは,これからのタンパク質複合体解析における強力なツールと思われる.
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セミナー
  • 湯本 史明
    50 巻 (2014) 5 号 p. 428-432
    公開日: 2016/06/21
    ジャーナル フリー
    筆者は2007年から5年半ほどカリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)においてタンパク質複合体の結晶構造解析を中心に研究活動を行ったが,その中で2010年からアメリカ衛生保健局(NIH)の5年プロジェクトとして進行中である“PSI:Biology”において,1つのバイオロジーパートナーシップの立ち上げとプロジェクトマネージメントに携わり,また2012年11月半ば以降は,高エネルギー加速器研究機構(KEK)において,2012年度から5年間の予定で行われている文部科学省の“創薬等支援技術基盤プラットフォーム”事業にかかわってきた.本稿では,これまでの経験に基づいて,両国のタンパク質の構造解析を中心とした生命科学プロジェクトの概要や近況を解説したい.
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話題
  • 奥野 恭史
    50 巻 (2014) 5 号 p. 433-437
    公開日: 2016/06/21
    ジャーナル フリー
    第1の科学的手法である「経験科学(実験)」,第2の科学的手法である「理論科学」に加え,近年新たな潮流として,第3の科学的手法である「計算科学(シミュレーション科学)」と第4の科学的手法である「データ科学(data centric science)」が注目を浴びている.実際,2013年のノーベル化学賞は,ハーバード大学のカープラス教授らが,創薬計算などにも貢献している計算化学の基盤研究で受賞するなど,生命科学分野における「シミュレーション科学」の重要性は高まる一方である.また,近年のハイスループット技術やオミクス計測技術の著しい進展に伴い,生命科学分野においてもデータ爆発が起こり,「ビッグデータ科学」の研究開発が急務とされている.
    スーパーコンピュータ「京」は,こうした時代の要請に応えるべく2012年9月末より共用利用が開始された.筆者は,製薬企業,IT企業と共にコンソーシアムを設立し,「京」を用いた創薬応用計算に取り組んできた.この約1年間の取り組みの中で見えてきた,モンスターマシン「京」の驚異的パフォーマンスとそれによる創薬計算の展望を紹介する.
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話題
  • 中村 春木
    50 巻 (2014) 5 号 p. 438-441
    公開日: 2016/06/21
    ジャーナル フリー
    タンパク質,核酸,糖鎖などの生体高分子の立体構造情報は,構造決定を行った研究者がデータを寄託する形でのデータバンク方式によってタンパク質構造データバンク(PDB)として集積されている.PDBは1971年に米国で誕生し,最初はわずか7件のみが登録されていたが,データ登録を論文投稿の必須条件とするよう1980年代に国際結晶学会が主要な科学雑誌に働きかけた結果,登録データが急増し,2013年12月末までに96,600件を超える構造情報が登録され,更に増加している.2003年には,米国The Research Collaboratory for Structural Bioinformatics(RSCB)-PDB,欧州The European Bioinformatics Institute(EBI)-PDBeとともに,大阪大学蛋白質研究所が運営するPDB Japan(PDBj,http://pdbj.org/)が協力して,国際的なworldwide PDB(wwPDB,http://wwpdb.org/)を設立した.
    その後,核磁気共鳴(NMR)法によって解析された化学シフト情報を集積しているBioMagResBank(BMRB)がwwPDBに加わり,さらに電子顕微鏡画像データのデータベースであるThe Electron Microscopy Data Bank(EMDB)とも連携を行っており,国際連携の下,構造生物学の多様な一次データがwwPDBに集積されている.PDBでは設立当初からデータ公開の原則を貫いており,現在ではインターネットを通じて世界中の誰でも構造データを無償で利用することができる.最初は,X線結晶解析やNMR等の構造生物学者がこの構造情報を利用していただけであったが,最近ではほとんどすべての生命科学分野の研究者が基礎データとして利用するだけでなく,ビッグデータの一部として他の生命科学データベースや化学や物理データとの統合化も進んでいる.本稿では,wwPDBとPDBjの活動について,特にそのデータの質の確保と透明性に対する方策を紹介する.
    私どもPDBjでは,2000年より科学技術振興機構(JST)の支援によって,以下の活動を行っている.
    1)“Data-in”活動:wwPDBに共通した品質管理によるデータ登録作業.図1に示すように,PDBjでは,これまでにwwPDB全体の約1/4の登録を行ってきている.
    2)“Data-out”活動:毎週水曜日の午前9時(日本時間)に世界同時にアップデートされる共通データのダウンロード・サイトの運営と,独自に開発した種々のサービス・ツールや二次データベースの提供.
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FYI(用語解説)
  • 湯本 史明
    50 巻 (2014) 5 号 p. 442_1
    公開日: 2016/06/21
    ジャーナル フリー
    溶液中におけるタンパク質やタンパク質複合体などの構造を解析する手法であり,分子の3次構造や4次構造の解析に利用できる.生体試料を用いたSAXSについては,Biological SAXSあるいはBio-SAXSとも呼ばれる.国内では,KEKのPhoton Factory(KEK/PF)のBL6AとBL10C,SPring-8のBL45XUがタンパク質のX線溶液散乱解析に利用可能なビームラインとなっている.KEK/PFでは,生物学分野と材料科学分野に適用可能なSAXS用ビームラインBL15A2が現在建設中であり,本手法はますます盛んに使われていくものと期待される.
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  • 湯本 史明
    50 巻 (2014) 5 号 p. 442_2
    公開日: 2016/06/21
    ジャーナル フリー
    XFELは,位相のそろったX線領域の波長を持つレーザーである.XFELの光を使うことによって,動いている物質についてその様子を原子レベルで捉えることができると考えられている.XFELは日本において国家基幹技術の1つとされ,理化学研究所播磨事業所にてSACLAの建設が進められた.2011年には初めてのレーザー発振が確認され,運用が進んでいる(http://xfel.riken.jp/index.html).XFEL施設としては,2014年3月時点において,米国SLAC国立加速器研究所のLiniac Coherent Light Source(LCLS)とSACLAの2施設が稼働している.
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  • 湯本 史明
    50 巻 (2014) 5 号 p. 442_3
    公開日: 2016/06/21
    ジャーナル フリー
    生体分子を急速に凍結させ,低温に保ったまま電子顕微鏡で解析する手法のことである.染色や固定をするわけではないことから,生体分子をそのまま観察することが可能となる.ここ最近は,検出量子効率の高い検出器やソフトウェアの開発をはじめとした解析技術の発展が相まって,比較的短期間に高分解能で単粒子構造解析を行った例が次々に報告されてきている.
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  • 奥野 恭史
    50 巻 (2014) 5 号 p. 442_4
    公開日: 2016/06/21
    ジャーナル フリー
    生体内の特定の機能分子に着目して,網羅的に解析・研究する学問を総称してオミクス(omics)と呼ぶ.対象とする分子が遺伝子(gene)ならゲノミクス(genomics),タンパク質(protein)はプロテオミクス(proteomics),代謝物(metabolite)はメタボロミクス(metabolomics)などとそれぞれ分類される.近年これらの研究が進展した背景には,質量分析計やNMRなど分析機器の精度や,得られる大量のデータを解析するコンピュータ処理能力の著しい向上が関与している.
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トピックス
  • 原田 慎吾
    50 巻 (2014) 5 号 p. 443
    公開日: 2016/06/21
    ジャーナル フリー
    極性転換反応は,官能基の持つ本来の反応性を逆転させる極めて有用な反応である.含窒素複素環式カルベン(N-heterocyclic carbene:NHC)は,極性転換反応を促進する有機分子触媒として利用可能である.NHCは,1991年にArduengoらによって初めて単離・構造決定されて以来,五員環構造を有したカルベン14を用いた反応開発が盛んに行われている.最近,Gravelらはシクロプロペニリデン5を設計し,5が極性転換反応を促進する有機分子触媒として働き,Stetter反応においてはNHCを上回る触媒活性を示すことを報告したので紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Arduengo Ⅲ A. J. et al., J. Am. Chem. Soc., 113, 361-363 (1991).
    2) Wilde M. M. D., Gravel M., Angew. Chem. Int. Ed., 52, 12651-12654 (2013).
    3) Lavallo V. et al., Science, 312, 722-724 (2006).
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  • 関口 光明
    50 巻 (2014) 5 号 p. 444
    公開日: 2016/06/21
    ジャーナル フリー
    タンパク質を標的とする低分子医薬品研究では,相互作用にかかわる各官能基を適切に配置して結合部位の形状に適合させる,いわゆる「鍵と鍵穴の関係」が重要であり,高い結合力を有する化合物の創製戦略の1つとなる.この戦略は低分子化合物に限らず,次世代医薬品として期待されるペプチドやオリゴヌクレオチド(Oligonucleotide:ON)など高分子化合物にも応用され,高次構造を適切に固定化することで標的との親和性を向上できることが明らかとなってきた.最近Hanessianらは,巧みな架橋構造の配置によって核酸のフラノース環の揺らぎと5′位水酸基の向きを固定し(TriNA(1)),相補鎖との結合力を大幅に向上させることに成功している.今回,同グループから架橋位置が異なる核酸誘導体(TriNA(2))が合成され,ONの結合親和性と架橋構造との関連性が議論されていたので紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Campbell M. A., Wengel J., Chem. Soc. Rev., 40, 5680-5689 (2011).
    2) Hanessian S. et al., Angew. Chem. Int . Ed., 51, 11242-11245 (2012).
    3) Hanessian S. et al., J. Org. Chem., 78, 9064-9075 (2013).
    4) Hanessian S. et al., J. Org. Chem., 78, 9051-9063 (2013).
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  • 中島 健一
    50 巻 (2014) 5 号 p. 445
    公開日: 2016/06/21
    ジャーナル フリー
    ホップHumulus luplusはビール原料の1つとして,その雌株の毬花が風味付けや保存性向上のために利用されている.ビール特有の苦味は,主にフムロンや醸造中に変換されるイソフムロン等の苦味成分によるものである.本成分の存在は古くから知られていたが,昨年,遂に絶対構造の決定が成された.同様にホップの主成分であるキサントフモール(xanthohumol:XH,図1)に関する研究も興味深い.XH は,カルコン誘導体であり,がん予防効果について盛んに研究が行われてきた.Legetteらは,高脂肪食を与えた雄の肥満モデルラットにおいて,6週間XHを投与したところ,体重増加と空腹時血糖値上昇を有意に抑制することを報告したが,最近,その作用に関するさらなる研究が報告された.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Urban J. et al., Angew. Chem. Int. ed., 52, 1553-1555 (2013).
    2) Legette L. L. et al., Phytochemistry, 91, 236-241 (2013).
    3) Kirkwood S. J. et al., J. Biol. Chem., 288, 19000-19013 (2013).
    4) Krajka-Kuzniak V. et al., Toxicol. In Vitro, 27, 149-156 (2013).
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  • 比多岡 清司
    50 巻 (2014) 5 号 p. 446
    公開日: 2016/06/21
    ジャーナル フリー
    インシリコ創薬は,従来の実験を主体とした手法に理論・計算化学に基づく分子科学計算を応用した創薬手法である.近年の飛躍的なコンピュータの演算能力の向上も相俟って,従来の試行錯誤的なアプローチをより効率化・迅速化させることが期待されている.例えば,インシリコ技術を活用してタンパク質に対する薬物(リガンド)の結合親和性を評価する場合,ドッキングや古典的な結合自由エネルギー評価法(molecular mechanics/Poisson-Boltzmann surface area:MM/PBSA)などのポストドッキング解析は,実用的かつ簡便な手法であると考えられる.一方,その精度についてはどうであろう.本稿では,ドッキングやMM/PBSAの解析において,リガンドとタンパク質の結合を媒介する水分子(架橋水)や電子分極効果の重要性ならびに,これらが予測精度に与える影響を議論・検討したLiuらの報告を紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Liu J. et al., J. Chem. Inf. Model., 53, 1306-1314 (2013).
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  • 三好 歓
    50 巻 (2014) 5 号 p. 447
    公開日: 2016/06/21
    ジャーナル フリー
    神経障害性疼痛は神経系に起因する感覚障害であり,自発痛,痛覚過敏,およびアロデイニアなどの症状が特徴的である.その発症メカニズムは非常に複雑であり,いまだ不明な点が多い.このような背景から本病態のメカニズム解明に向けて動物モデルが作成され,分子生物学的アプローチを中心とした多角的な研究がなされている.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Patel R. et al., J. Neurosci., 16, 16412-16426 (2013).
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  • 丹羽 里実
    50 巻 (2014) 5 号 p. 448
    公開日: 2016/06/21
    ジャーナル フリー
    がん細胞において,カルシウム透過チャネルは,直接的に細胞内カルシウム濃度を調節し,細胞増殖・分化・浸潤・遊走・アポトーシス誘導に重要な役割を果たしている.一方,非興奮性細胞におけるカリウムチャネルの活性化は,細胞膜の過分極を介して,間接的にカルシウム流入を引き起こし,同様の役割を果たす.中でも,カルシウム活性化カリウムチャネルは,細胞内のカルシウム濃度上昇によって活性化し,細胞膜を過分極させる.この過分極は,カルシウム遊離活性化カルシウムチャネル(Orai1チャネル)などのカルシウム透過チャネルからのカルシウム流入を促進する.カルシウム活性化カリウムチャネルはコンダクタンス(電流の通りやすさ)の大きさにより分類され,小コンダクタンスカルシウム活性化カリウムチャネル(small-conductance Ca2+-activated K channel:SK)ファミリーの1つであるSK3チャネルは,中枢神経,平滑筋,乳がん組織等に機能発現しており,がん細胞の遊走に寄与することが知られている.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Potier M. et al., Mol. Cancer Ther., 5, 2946-2953 (2006).
    2) Girault A. et al., Curr. Med. Chem., 19, 697-713 (2012).
    3) Chantome A. et al., Cancer Res., 73, 4852-4861 (2013).
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  • 内井 喜美子
    50 巻 (2014) 5 号 p. 449
    公開日: 2016/06/21
    ジャーナル フリー
    別の動物を介して感染する感染症をベクター媒介感染症という.蚊が媒介するデング熱やマラリアは人間の代表的なベクター媒介感染症だが,有効なワクチンがなく,その制御には,殺虫剤による蚊の駆除と,防虫ネットによる蚊との接触遮断が最も有効な手段となっている.しかし,蚊が薬剤耐性を獲得したり,防除器具の普及・維持が難しい場合があることより,新たな方策が求められている.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) McGraw E. A. et al., Nat. Rev. Microbiol., 11, 181-193 (2013).
    2) McMeniman C. J. et al., Science, 323, 141-144 (2009).
    3) Moreira L. A. et al., Cell, 139, 1268-1278 (2009).
    4) Ye Y. X. H. et al., Plos Neglect. Trop. Dis., 7, e2362 (2013).
    5) Zhang G. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A., 110, 10276-10278 (2013).
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  • 岡田 守弘
    50 巻 (2014) 5 号 p. 450
    公開日: 2016/06/21
    ジャーナル フリー
    関節リウマチ(rheumatoid arthritis:RA)の治療は生物学的製剤の登場により,関節破壊抑制効果が期待できるようになった.これにより,できるだけ早期に生物学的製剤を導入して関節破壊を防ぐという治療指針が,国際的に広く受け入れられている.現在,我が国においては4種類の抗TNF-α抗体と可溶性TNF-α受容体抗体,抗IL-6受容体抗体およびT細胞選択的共刺激調節剤の計7剤が使用可能である.しかしながら,これらの抗体製剤に対して中和抗体が産生されることがあり,アレルギー反応や治療抵抗性に伴う効果減弱が問題となっている.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Baert F. et al., N. Engl. J. Med., 348, 601-608 (2003).
    2) Maini R. N. et al., Arthritis Rheum., 41, 1552-1563 (1998).
    3) Maini R. et al., Lancet, 354, 1932-1939 (1999).
    4) Lipsky P. E. et al., N. Engl. J. Med., 343, 1594-1602 (2000).
    5) Dervieux T. et al., Ann. Rheum. Dis., 72, 908-910 (2013).
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  • 正木 慶昭
    50 巻 (2014) 5 号 p. 451
    公開日: 2016/06/21
    ジャーナル フリー
    ヒトゲノムにおいてタンパク質をコードしているエキソンは2%程度に過ぎない.タンパク質をコードしていない残りの領域はジャンクとして注目を集めていなかったが,近年の網羅的なRNA解析により,その多くがノンコーディングRNA(ncRNA)として転写されていることが明らかとなった.現在,ncRNAは発生から分化,多様な疾患に関与していると考えられているが,詳細な機構はまだ明らかになっていない.その理由の1つとして,生細胞内におけるncRNAの挙動の解析が困難であることが挙げられる.そこで本稿では,挙動の解析に有用なRNAイメージングの最近の研究について紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Sunbul M., Jaschke A., Angew. Chem. Int. Ed., 52, 13401-13404 (2013).
    2) Paige J. S. et al., Science, 333, 642-643 (2011).
    3) Holeman L. A. et al., Fold. Des., 3, 423-431 (1998).
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  • 今野 博行
    50 巻 (2014) 5 号 p. 452
    公開日: 2016/06/21
    ジャーナル フリー
    天然物由来の医薬品リード化合物が枯渇していると言われて久しい.重要な標的の1つであるケモカインレセプター阻害剤に限ると,天然物由来阻害剤は海綿由来異常アミノ酸含有デプシペプチド(エステル結合を持つぺプチド)類,アニバミン類のみではないだろうか.しかし,その阻害能は強力であり,これらの全合成,構造活性相関研究は,いまだ魅力的である.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Pelay-Gimeno M. et al., Marine drugs., 11, 1693-1717 (2013).
    2) Zhang F. et al., J. Org. Chem., 76, 7945-7952 (2011).
    3) Albericio F. et al., Nature Commun., 4, 2352 (2013).
    4) Coellp L. et al., Int. Appl. Pat., WO2010/070078A1 (2010).
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総説目次
藥学昔むかし
講義室
  • 富永 俊義
    50 巻 (2014) 5 号 p. 469
    公開日: 2016/06/21
    ジャーナル フリー
    大学時代,講義は最前列中央の席で受けるように心がけた.近視のせいと,前に座る者の頭で黒板が見にくくなるのが嫌だったからでもある.教授の方々と学生の交流の機会(新入生歓迎パーティーのようなものだったか)に,いつも迫力満点の講義をされた微生物学のM教授に「君はいつも一番前に居るな」と言われて「同じ授業料なら前の方がいいかと思いまして」と答えたのも34年も前のことになる.一緒に最前列で学んだK君は,最善の席は筆者に譲ってくれていたが,有機合成化学を究め,立派に大学教授になっている.むしろ最善の席を競ったもう1人のK君も,やはり教授になったと聞く.そう言えば筆者も最近教授になった(長く持ちそうにないが).
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