ファルマシア
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50 巻 , 9 号
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目次
  • 50 巻 (2014) 9 号 p. 848-849
    公開日: 2016/09/17
    ジャーナル フリー
    特集にあたって:宝の山と言われたGPCRの研究はアカデミアから製薬企業を巻き込んで一世を風靡したものの,当時のオーファンGPCR創薬はほとんど成功しなかったことから,GPCR研究も一時に比べて下火になったと言わざるを得ない.しかしながら,β2アドレナリン受容体の結晶構造解析やGPCRのシグナリング研究に代表されるように,2012年のノーベル化学賞を受賞したGPCR研究は着実に進歩を遂げてきたことも事実である.今回の特集号では,GPCR結晶構造解析のブレイクスルー,従来とは異なるGPCRスクリーニング方法を取り上げると共に,感覚器官を担うGPCRやpH依存性のGPCRなどの研究レビューも取り上げた.この特集号をきっかけに,GPCR創薬研究が一皮むけて展開されることを期待したい.
    表紙の説明:リン脂質二重構造の細胞膜には様々なタンパク質が存在しており,その多くは細胞膜を貫通し,外界からのシグナルを細胞内に伝達する役割を担っている.中でも,GPCRは,多くの医薬品の創薬標的になっており,その構造とシグナリングの解明は,GPCRの基礎研究にとどまらず,GPCR創薬の歯車を一気に進めるものと期待されている.画像提供:京都大学の岩田想先生(関連記事:オピニオン)
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オピニオン
  • 岩田 想
    50 巻 (2014) 9 号 p. 847
    公開日: 2016/09/17
    ジャーナル フリー
    2014年5月の時点までに,25種類のG蛋白質共役型受容体(GPCR)の構造が解析されている.2007年にβ2アドレナリン受容体の構造が解かれて以来,受容体の構造数は急速に増加している.しかしながら,創薬研究に携わっている読者の多くは,なかなかそれを実感できないでいるのではないかと思う.その最大の理由の1つは,現在までに解かれている受容体構造の偏りにある.GPCRの構造解析は構造ゲノム研究成果の1つの頂点といえるが,その根幹に,多数のホモログを並列解析し,より構造解析に適した受容体を見つけてくる手法や,受容体の不安定な部分の除去や変異による積極的な受容体の安定化の手法を含んでいる.その帰結として,構造解析しやすいもの,または既に似たものの構造が解けており,安定化の戦略を立てやすい受容体の構造が必然的に多く解析されることになる.例えば,生体アミンの受容体はその安定性もあり最も多くの構造が解かれているが,本特集でも取り上げられている嗅覚や味覚の受容体の立体構造は全く得られていない.これは,安定化に有効な親和性の高いリガンドが得にくいこと,細胞外に翻訳後修飾をうけた大きなドメインを有すること,ヘテロな多量体として働くものがあることなど,現在の構造生物で技術的に克服されていない要素を含んでいるものが多いためである.
    GPCRの構造研究をその機能研究や創薬に結び付けるためには,今後以下の3点がより重要になるだろう.まず,ターゲットの構造をより系統的かつ迅速に解析する技術の確立である.例えば,自由電子レーザーSACLAなどは解析の速度を飛躍的に向上させる可能性がある.次に,より多様なGPCRの構造を解析することが重要となる.実際のすべての受容体構造を実験的に決めることは,時間的にも費用的にも現実的ではない.しかしながら,現在の計算機科学の技術では受容体のホモロジーモデル作成のために非常に近似した構造が必要である.将来的には,多くの受容体構造を十分な精度でモデリングするために必要な各種構造を幅広く解析する必要がある.それとスーパーコンピュータの組み合わせにより,多くの受容体構造を良い精度でホモロジーモデリングできるシステムの構築が目指される.また,リガンド結合部位の情報は,未知のリガンドのドッキングシミュレーションを行う際に非常に有効な情報である.より多くのリガンドとの複合体の構造が蓄積してくれば,上記ホモロジーモデリングの結果との組み合わせによりオーファン受容体のリガンド探索などが可能になるかもしれない.
    そして3つ目は,更なる情報伝達の分子機構の理解だろう.アドレナリン受容体とヘテロ三量体G蛋白質複合体の構造が解かれてはいるが,リガンドの結合からG蛋白質の活性化そして細胞内の情報伝達に至る経路に不明な点はまだまだ多い.G蛋白質の選択性のような基本的な問題ですら,我々は理解していない.受容体単体の構造を解くだけでなく,G蛋白質などの複合体として解析していくことにより,細胞内情報伝達の分子機構が明らかになるだけでなく,例えば中間状態や複合体のインターフェースをターゲットとした全く新しい創薬を行うことができるようになる可能性が開ける.受容体研究は速さ,広さそして深さが要求される新時代に突入したということができるだろう.
    *:SACLAの公式サイト<http://xfel.riken.jp/index.html>
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Editor's Eye
最前線
  • 日野 智也
    50 巻 (2014) 9 号 p. 857-861
    公開日: 2016/09/17
    ジャーナル フリー
    あらゆる細胞は,外界と自己とを隔てる細胞膜を持ち,細胞外の情報を受容し,細胞内へと伝達する何らかの受容体膜タンパク質を備えている.特に,私たちヒトを含む高等生物では,1個体あたり膨大な数の細胞からなり,個体外からの物理的あるいは化学的情報の受容に加えて,個体として多種多様な機能を発揮するための細胞間コミュニケーションに必要な情報のやり取りを,状況に応じて理路整然と行う必要がある.
    Gタンパク質共役型受容体(G protein-coupled receptor:GPCR)は,生物個体内外の情報受容の大部分を担う,ヒトのゲノム中において最も大きなファミリーを形成する細胞表面受容体膜タンパク質である.GPCRが受容する情報としては,視覚,味覚,嗅覚等にかかわる外部環境由来の物理的あるいは化学的刺激,アセチルコリンやドーパミンなどの神経伝達物質,ヒスタミンやセロトニンなどのオータコイド,アドレナリンやオキシトシンなどのホルモンと多岐にわたっている.これらの刺激・情報受容により惹起される生理現象は,心拍数の変動,平滑筋の弛緩や収縮,神経機能の調節など,様々な病態と深く関連している.そのためGPCRは創薬標的として最も重要視されているタンパク質群であり,合理的な創薬を推進するために,GPCRの高分解能な立体構造の解明が強く望まれていた.
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最前線
  • 井上 飛鳥, 青木 淳賢
    50 巻 (2014) 9 号 p. 862-866
    公開日: 2016/09/17
    ジャーナル フリー
    Gタンパク質共役型受容体(G protein-coupled receptor:GPCR)が薬学にとってどんなに重要なものであるかを疑う余地はない.一昨年のノーベル化学賞がGPCRの研究の先駆者であるLefkowitz博士と構造学的基盤を解明したKobilka博士に授与されたことは記憶に新しい.GPCRをコードする遺伝子は,特に高等生物で発達し,酵母ではわずか数遺伝子しか存在しないのに対し,ヒトでは約1,000もの遺伝子が存在する.また,GPCRは進化の過程でそのリガンド認識様式が多様化し,多くの内在性(場合によっては外来性)の物質を受容する.一方で,そのシグナルの伝達機構はGPCR遺伝子の多様性とは対照的に,高度に保存されており,Gタンパク質という共通のプラットフォームを利用しシグナルを伝達する.GPCRの重要性は,GPCRあるいはそのリガンド産生,シグナル伝達の異常がさまざまな疾病の原因となること,さらに,これまで開発されてきた薬剤の実に40%がGPCRを標的にしていることからも自明である.ほとんどのGPCRはそのポケットにリガンドを結合することにより活性化し,下流にシグナルを伝達する.このように薬学に極めて重要であるGPCRの活性化を検出することはGPCRの機能を解析するだけでなく,作動薬(アゴニスト)や拮抗薬(アンタゴニスト・インバーズアゴニスト)を探索するためにも重要な手法となる.
    本稿では,最近我々が開発した新規GPCR活性化測定法“transforming growth factorα(TGFα)切断アッセイ”について,その発見に至った経緯も含め概説する.
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最前線
  • 木村 郁夫
    50 巻 (2014) 9 号 p. 867-871
    公開日: 2016/09/17
    ジャーナル フリー
    創薬ターゲットの大半を占めるGタンパク質共役型受容体(G protein-coupled receptor:GPCR)はこれまで広く注目されてきた.その中でも特に,その重要な生理機能から脂肪酸受容体の研究は,近年大きく進展している.例えば最近,この脂肪酸受容体のうちのGPR120がヒトの肥満の原因遺伝子であり,その一塩基変異が肥満と密接に結びつくことが明らかになっている.このことを含め,現在,機能解析が行われている各種脂肪酸受容体について,我々の研究成果を含めた最近の知見と糖尿病や肥満などに代表される生活習慣病の創薬ターゲットとしての展望も含めて概説する.
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セミナー
セミナー
  • 岡島 史和
    50 巻 (2014) 9 号 p. 877-881
    公開日: 2016/09/17
    ジャーナル フリー
    血液中pHは7.35~7.45に厳密にコントロールされている.しかし,炎症部位,虚血部位では炎症性細胞の集積,酸素供給の停止などによる解糖系の亢進によって,乳酸が大量に産生され,pHの低下が予想される.実際,炎症性細胞の集積した腫瘍内部,関節リウマチや気道炎症部位ではpHが6以下に低下することが知られている.2003年,スフィンゴシルホスホリルコリンなどのリゾ脂質の受容体として報告されていたOGR1やGPR4が細胞外pH,すなわち水素イオン(プロトン)濃度を感知して,細胞内でGタンパク質を介したシグナル伝達系を活性することが報告された.その後,様々な細胞でこの受容体ファミリーのpH感知性が報告されるに至っている.最近では,受容体欠損マウスを用いた研究も発表されるようになり,pH感知性GPCR(以後,pH-GPCRと記載)が多彩な役割を担っていることが明らかにされている.本総説では,pH-GPCR研究に関して受容体欠損マウスを用いて得られた知見を中心に研究の現状を紹介したい.
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話題
  • 宮澤 崇
    50 巻 (2014) 9 号 p. 882-884
    公開日: 2016/09/17
    ジャーナル フリー
    生理活性ペプチドはアミノ酸が複数個つながった構造をしており,ある細胞から分泌され特定の受容体に作用することで,細胞から細胞への情報伝達を担うホルモンの一種である.この情報伝達により生理活性ペプチドは生体における多彩な生理機能の調節に関与しているため,新たな生理活性ペプチドの発見は様々な診断薬や治療薬などの開発につながる可能性が非常に高い.本稿ではGタンパク質共役型受容体(G protein-coupled receptor:GPCR)リガンド探索における生理活性ペプチドに焦点をあてて,その発見の歴史と探索法の変遷について概説する.
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話題
  • 岩槻 健
    50 巻 (2014) 9 号 p. 885-887
    公開日: 2016/09/17
    ジャーナル フリー
    最近,日本が誇る伝統文化の1つである和食がユネスコの無形文化遺産に登録された.その理由は,自然食材の利用やそれを用いた表現,栄養バランス,年中行事とのかかわりなどが認められたということである.しかしながら,和食の神髄は食材のうまみを引き出す“出汁(ダシ)”を使うことにある.和食では出汁を昆布,削り節,干し椎茸などからとるが,昆布からはグルタミン酸が,削り節や椎茸などからは核酸が主な成分となっている.これらはいずれも,味覚受容体の1つであるうま味受容体に結合し,うま味シグナルを味神経に伝える.これまでの研究から,うま味受容体は甘味,苦味と同様にGタンパク質共役型受容体(GPCR)で構成されており,T1R1+T1R3のヘテロ2量体,代謝型グルタミン酸受容体(mGluR)1,mGluR4と報告されている.
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話題
話題
  • 小柳 光正, 寺北 明久
    50 巻 (2014) 9 号 p. 893-895
    公開日: 2016/09/17
    ジャーナル フリー
    動物は光を視覚のみならず概日リズムの光同調などの視覚以外(非視覚)の役割にも利用している.動物の中には光を眼に限らず脳や皮膚などでも受容するものもいるが,ヒトを含むほ乳類では眼が唯一の光受容器官であると考えられてきた.ところが1999年に,視物質であるロドプシンに類似した新規の光受容タンパク質遺伝子(オプシン)がマウスの小脳で発現していることが報告され,この定説が覆る可能性が出てきた.
    本稿では,この新規オプシンOpn3について私たちの最近の研究成果を中心に紹介するとともに,Opn3のGタンパク質共役型受容体(G protein‐coupled receptor:GPCR)研究への応用の可能性について述べたい.
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話題
FYI(用語解説)
  • 日野 智也
    50 巻 (2014) 9 号 p. 899_1
    公開日: 2016/09/17
    ジャーナル フリー
    抗体の一次スクリーニングをハイスループットに行う方法として,enzyme-linked immunosorbent assay法(ELISA法)が汎用されている.この方法では,抗原をプラスチックプレートに固相化し,抗原に特異的に結合する抗体を検出する.しかしながら精製した膜タンパク質を抗原とする場合,界面活性剤の存在により,プラスチックプレートへの固相化効率が極めて低い.リポソームELISA法では,精製した膜タンパク質をビオチン化脂質含有リポソームへ再構成し,ストレプトアビジンプレート上に固相化する.これにより,膜タンパク質の立体構造を保持したまま抗体に提示することが可能となる.
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  • 木村 郁夫
    50 巻 (2014) 9 号 p. 899_2
    公開日: 2016/09/17
    ジャーナル フリー
    α-リノレン酸やエイコサペンタエン酸(EPA),ドコサヘキサエン酸(DHA)に代表されるω6位とω3位に2重結合を有する不飽和脂肪酸で,ヒトでは生合成によっては産生されないため,食餌によって補充する必要がある必須脂肪酸である.ヒトを含む動物は,ステアリン酸からオレイン酸を生成するΔ9-脂肪酸デサチュラーゼを有してはいるものの,ω6位に二重結合を作るΔ12-脂肪酸デサチュラーゼも,ω3位に二重結合を作るΔ15-脂肪酸デサチュラーゼもどちらも有していないので,リノール酸もα-リノレン酸もどちらも自ら合成することができない.ω-3脂肪酸による抗炎症作用や,学習能,視力への関与が報告されている.
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  • 宮澤 崇
    50 巻 (2014) 9 号 p. 899_3
    公開日: 2016/09/17
    ジャーナル フリー
    生理活性物質の探索研究において,従来の手法では,まず特定の標的細胞や個体に対して作用する生理活性物質を発見し,その作用機序を解明する過程で受容体が同定されるという手順であった.しかしながら全ゲノム情報が解読され,結合する生理活性物質が不明な受容体の存在が明らかとなったことにより,まず受容体を同定し,その受容体に作用する生理活性物質を発見するといった,従来とは全く逆方向の研究手法が用いられるようになった.この手法が逆薬理学的手法,reverse pharmacologyと呼ばれている.
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  • 宮澤 崇
    50 巻 (2014) 9 号 p. 899_4
    公開日: 2016/09/17
    ジャーナル フリー
    タンパク質は複数のアミノ酸がつながったものであり,それぞれのアミノ酸は3つの塩基配列(コドン)により規定されている.1つのアミノ酸には1つのコドンではなく,複数のコドンが対応している(degeneracy,縮重)ことから,既知のアミノ酸配列に対してPCRを行う際に複数のプライマーを設定する必要がある.
    degenerate PCR法は,縮重した複数のプライマーを利用してPCRを行うものであり,この手法を用いることにより既知の遺伝子と共通する配列を持ったファミリー遺伝子をクローニングすることが可能となる.
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薬学教育維新
新薬のプロフィル
薬学実践英語
  • F. W. FOONG
    50 巻 (2014) 9 号 p. 900-902
    公開日: 2016/09/17
    ジャーナル フリー
    まず最初に,討論をはじめとする意思疎通のための科学英語をよりよく理解する上で非常に有用なヒントおよび基本的事項を紹介する.基本的には,科学英語における文法は一般英語と同様であるが,多種多様な各分野特有の用語を理解し,発音なども含めて習得する必要がある.また,一般英語では見慣れない特殊な用語や用法もある.例えば,apoptosisのようにギリシア語に由来するものは通常の辞書には載っていないし,意味は分かっても発音できないことがある.また,一般英語ではexpressionという言葉の複数形はないが,核酸・遺伝子関係の研究論文ではしばしば複数形expressionsが使われる.さらには,“Diabetes-induced neuropathy patients(n=40) who satisfied the test criteria were enrolled for the study.”の文中のdiabetes-induced,neuropathyおよびenrolledという語や用法は学術的な文章ではよく見られるが,一般にはあまり使われない.
    一般英語では,“cardiovascular disease patients”のようなnoun+nounの表現は正しくない用法とみなされている(特に,ヨーロッパにおいて).さらに一般英語では許しがたいnoun+noun+nounのような複合名詞が,科学論文にはしばしば使われる.“Rat brain extracts”や“three-dimension expression”などはその例である.また,“After centrifugation at 1,500×G for 3 min at 4℃, the yellowish supernatant was decanted into a test tube and stored at -30℃ until use”におけるcentrifugation,supernatantおよび略語“1,500×G”やminなどは,学術論文・報告書などに見られる独特の用語や表現である.
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  • F. W. FOONG
    50 巻 (2014) 9 号 p. 939
    公開日: 2016/09/17
    ジャーナル フリー
トピックス
  • 辻原 哲也
    50 巻 (2014) 9 号 p. 909
    公開日: 2016/09/17
    ジャーナル フリー
    遷移金属によるC-C結合の選択的切断は,従来とは全く異なるアプローチで分子の骨格を構築でき,炭素骨格の不斉構築に有用である.以前,村上らやDongらは遷移金属触媒存在下,シクロブタノンの不斉骨格変換反応を報告している(図1).これらの反応は,酸化的環化反応や分子内アルケンの挿入の段階でそれぞれ不斉を誘起するものである.興味深いことに,最近Cramerらによって,ロジウム触媒のシクロブタノンへの酸化的付加によるエナンチオ選択的なC-C結合切断を基軸とした二環式ケトンの不斉合成が達成されたので紹介したい.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Liu L. et al., Angew. Chem. Int. Ed., 51, 2485-2488 (2012).
    2) Xu T. et al., J. Am. Chem. Soc., 134, 20005-20008 (2012).
    3) Souillart L. et al., Angew. Chem. Int. Ed., 53, 3001-3005 (2014).
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  • 鬼塚 和光
    50 巻 (2014) 9 号 p. 910
    公開日: 2016/09/17
    ジャーナル フリー
    α-アミノカルボニル骨格は多くの医薬品や生物活性を示す天然有機化合物に含まれているため,カルボニルα位の簡便なアミノ化反応は有用性が高いと考えられる.しかし,カルボニルα炭素上でのアミノ化反応は,一般的にα-ハロカルボニル化合物への変換とそれに続くアミンによる求核置換反応を段階的に行う必要があり,カルボニル化合物の無置換α炭素上での直接的なアミノ化を触媒的に達成した例は少ない.そうしたなかでLohらは,過酸化物の存在下にヨウ化銅を触媒とすることで,脂肪族アルデヒドの直接的なα-アミノ化を報告している.今回MacMillanらは,空気中の酸素存在下に臭化銅を触媒とすることで,アルデヒドだけでなくケトンやエステルの簡便で汎用性の高い直接的α-アミノ化を達成したので,以下に紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Tian J.-S. et al., Chem. Commun., 47, 5458-5460 (2011).
    2) Tian J.-S. et al., Angew. Chem. Int. Ed., 51, 9105-9109 (2012).
    3) Evans R. W. et al., J. Am. Chem. Soc., 135, 16074-16077 (2013).
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  • 松井 崇
    50 巻 (2014) 9 号 p. 911
    公開日: 2016/09/17
    ジャーナル フリー
    ここ30年間に開発された低分子医薬品の60%以上が天然物,天然物半合成,あるいは天然物模倣である.天然物はタンパク質と特異的に相互作用し生命現象を制御できる非常に幅広い化学的多様性を持ち,医薬品開発において多様性に富む化合物群を効率よく提供できるツールであるが,天然資源から新規生理活性物質を見いだし創薬シーズとすることは,資源の枯渇や輸出制限により困難となりつつある.そのため,生合成による多様性に富む天然物模倣ライブラリー構築が試みられている.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Newman D. J. et al., J. Nat. Prod., 75, 311-335 (2012).
    2) Mishra B. B. et al., Eur. J. Med. Chem., 46, 4769-4807 (2011).
    3) Yan Y. et al., Angew. Chem. Int. Ed., 52, 12308-12312 (2013).
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  • 坂上 弘明
    50 巻 (2014) 9 号 p. 912
    公開日: 2016/09/17
    ジャーナル フリー
    光学顕微鏡による観察では細胞を生きたまま観察できるため,生命科学において必要不可欠の技術である.今日では,細胞の微細構造を観察するために,高分解能化が求められている.光学顕微鏡の分解能は回折限界により200nm程度が限界であったが,近年これを超える超解像蛍光顕微鏡法が開発されている.超解像蛍光顕微鏡法では,特定波長の光を照射することで蛍光を自在に明滅できるフォトクロミック蛍光タンパク質や蛍光波長が変換できる光変換型蛍光タンパク質を応用することで超解像を得ることが可能である(図1参照).超解像蛍光顕微鏡法には,フォトクロミックタンパク質の蛍光を明滅させ,蛍光強度のゆらぎから分子の位置を特定する超解像光ゆらぎイメージング(短時間で分解能の向上が見込める)や光変換型蛍光タンパク質の蛍光を1分子ずつ変換して,蛍光波長の違いから全蛍光分子を検出する光活性化局在顕微鏡法(時間はかかるが極めて分解能が高い)などが存在する.しかし,単一分子のラベリングで,2つの顕微鏡法を同時に行うことはできない.蛍光の明滅と光変換の両方の性質を持った蛍光分子を開発できれば,この問題は解決される.そこでMoeyaertらは,フォトクロミックタンパク質として知られるドロンパに突然変異を導入し,光変換機能を追加することを目指した.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Moeyaert B., Dedecker P., Methods Mol. Biol., 1148, 261-276 (2014).
    2) Moeyaert B. et al., ACS Nano, 8, 1664-1673 (2014).
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  • 橋川 成美
    50 巻 (2014) 9 号 p. 913
    公開日: 2016/09/17
    ジャーナル フリー
    オキシトシンは下垂体後葉ホルモンで,乳汁の射出作用や子宮筋の収縮を起こす,と講義で習ったのではないだろうか.つまり,母親が子供を出産し,育てる過程において重要な役割を果たすホルモンとして考えられてきた.最近オキシトシンは女性のみならず,男性においても信頼関係やパートナーシップ,男女の愛情に関わっていることが明らかとなっており,スキンシップからも分泌が促進されることから,オキシトシンは「幸せホルモン」として世間に広く知られるようになってきた.さらに研究者の間では,オキシトシンは自閉症スペクトラム障害に対する治療として有効なのではないかと注目されている.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Green J. J. et al., Neurotherapeutics, 7, 250-257 (2010).
    2) Tyzio R. et al., Science, 343, 675-679 (2014).
    3) Watanabe T. et al., JAMA Psychiatry, 71, 166-175 (2014).
    4) Lemonnier E. et al., Trans. Psychiatry, 2, e202 (2012).
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  • 橋本 敬輔
    50 巻 (2014) 9 号 p. 914
    公開日: 2016/09/17
    ジャーナル フリー
    アンモニアは,生体内において常時大量に産生されており,その大部分は肝臓で尿素への変換を受けて代謝される.肝不全などによりこの代謝機能が低下すると,高濃度のアンモニアが血中に蓄積し,その一部が脳内に移行することでさまざまな神経症状を引き起こす.通常,脳内に移行したアンモニアは,アストロサイトに存在する酵素の働きによりグルタミンに固定されることで解毒される.高アンモニア血症においては,この処理過程で過剰量のグルタミンが生成され,浸透圧上昇の結果生じるアストロサイトの膨張と脳浮腫によって神経症状が惹起されるというメカニズムが提唱されている.しかし,この仮説の裏付けとなる研究のほとんどはex vivoや末期患者の死後脳における研究であり,覚醒下の生体における直接的な証拠は存在しなかった.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Brusilow S. W. et al., Neurotherapeutics., 7, 452-470 (2010).
    2) Thrane R. et al., Nat. Med., 19, 1643-1648 (2013).
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  • 馬場 貴志
    50 巻 (2014) 9 号 p. 915
    公開日: 2016/09/17
    ジャーナル フリー
    宇宙航空研究開発機構(JAXA)をはじめ,アメリカ航空宇宙局(NASA),欧州宇宙機関(ESA)などの各国宇宙機関は,火星探査や月面居住の実現へ向けたロードマップを作成し,さまざまな面からの研究・開発を進めている.ヒトが宇宙で健全に生活するためには,安全性をはじめとする様々な面からの検討が必要であり,微生物についても大きなトピックの1つとなっており,国際宇宙ステーション「きぼう」日本実験棟においても微生物モニタリングが実施されている.宇宙などの微小重力下においては,細菌の病原性が上昇するといった報告もあり,もし宇宙において病原微生物が増殖した場合,重大な事態を引き起こす可能性があることから,微生物への影響に関する研究が行われている.一方で,宇宙飛行によってヒトの免疫機能が低下することも報告されており,これは日和見感染のリスクが上昇する可能性があることを示している.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Ichijo T. et al., Microbes Environ., 28, 264-268 (2013).
    2) Wilson J. W. et al., PNAS., 104, 16299-16304 (2007).
    3) Borchers A. T. et al., Nutrition, 18, 889-898 (2002).
    4) Crabbe A. et al., Plos one, 8, e80677 (2013).
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  • 河内 正二
    50 巻 (2014) 9 号 p. 916
    公開日: 2016/09/17
    ジャーナル フリー
    新規抗凝固薬であるダビガトランは,血液凝固カスケード中のトロンビン活性を直接的かつ選択的に阻害することで抗凝固作用・抗血栓作用を発揮する.非弁膜症性心房細動を対象とした第Ⅲ相国際共同試験(randomized evaluation of long-term anticoagulant therapy:RE-LY試験)では,脳卒中および全身塞栓症の発症率について,ダビガトランとワルファリンとの非劣性が示された.またダビガトランは,重大な副作用である大出血,特に頭蓋内出血の頻度がワルファリンと比較して少なく,非弁膜症性心房細動に対する臨床的有用性が証明されている.この結果を受けて,世界各国で心房細動治療に関するガイドラインの改定が行われた.わが国では,「心房細動における抗血栓療法に関する緊急ステートメント」(日本循環器学会,2011年発表)において,非弁膜症性心房細動へのダビガトランの使用が推奨された.しかし,RE-LY試験の対象外であった僧帽弁狭窄および機械弁患者に対しては,ダビガトランの有用性は示されておらず,ワルファリンの使用のみが推奨されている.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Connolly S. J. et al., N. Engl. J. Med., 361, 1139-1151 (2009).
    2) Eikelboom J. W. et al., N. Engl. J. Med., 369, 1206-1214 (2013).
    3) Ruff C. T. et al., Lancet, 383, 955-962 (2014).
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  • 水口 貴章
    50 巻 (2014) 9 号 p. 917
    公開日: 2016/09/17
    ジャーナル フリー
    カンジダ症は,皮膚・消化管・口腔・膣などに常在する真菌(カンジダ属)の繁殖によって起こる感染症であり,その原因となる真菌の約50%がカンジダ属のCandida albicansC. albicans)である.ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染やステロイド薬投与による免疫機能低下,および広域抗菌薬の長期使用に伴う菌交代現象などにより発症し,皮膚や粘膜に白苔・炎症・潰瘍を起こす.その治療には,真菌細胞膜中のエルゴステロールを標的にしたアムホテリシンBやフルコナゾールなどの薬剤が使用される.近年,これらの薬剤に耐性を持つC. albicansが増加し問題となっている.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Brown G. D. et al., Sci. Transl. Med., 4, 165rv13 (2012).
    2) Mowery B. P. et al., J. Am. Chem. Soc., 129, 15474-15476 (2007).
    3) Liu R. et al., J. Am. Chem. Soc., 136, 4333-4342 (2014).
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  • 田島 俊彦
    50 巻 (2014) 9 号 p. 918
    公開日: 2016/09/17
    ジャーナル フリー
    医薬品や生理活性物質の骨格としてよく用いられるカルボスチリル基は,光吸収性を持ち,この性質を利用した生体分子の検出が可能である.ランタノイド錯体が近接するカルボスチリル基は光吸収後,ランタノイド錯体にエネルギー移動を起こすことで,その発光を誘起する(図1).この原理を利用した生体分子の検出が,最近,多数報告されている.また,光吸収のない3,4-ジヒドロカルボスチリル基を光照射でカルボスチリル基に変換して検出する方法が1970年代に報告されている.本稿では,最近報告された光吸収基(カルボスチリル基)形成と図1に示す発光原理を組み合わせた,極めて精度の高いRNA検出法について紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Nishi T., Pharm. Tech. Jpn., 25, 2205-2211 (2009).
    2) Kido M. et al., Yakugaku Zasshi, 97, 1-4 (1977).
    3) Saneyoshi H. et al., J. Am. Chem. Soc., 135, 13632-13635 (2013).
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