ファルマシア
Online ISSN : 2189-7026
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51 巻 , 7 号
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目次
  • 51 巻 (2015) 7 号 p. 632-633
    公開日: 2017/03/22
    ジャーナル フリー
    特集:レギュラトリーサイエンス 推進のための人材育成
    特集にあたって:日本でレギュラトリーサイエンスを最初に提唱した内山先生によれば,「レギュラトリーサイエンスは,研究分野では評価科学として,実践のフィールドでは適正規制科学」と定義される.ある多能性幹細胞の存在が否定される事態になってアカデミアにおける評価科学はますます重要になり,我が国における革新的医薬品医療機器のさきがけ創出が求められて医薬品医療機器の開発・承認審査における適正規制科学の重要性もさらに増している. 本特集号では,これら2つのレギュラトリーサイエンスの人材育成について,様々な視点からレギュラトリーサイエンスの人材育成を語っていただいた.本特集号が,日本のレギュラトリーサイエンス人材育成の更なる活発化の一助となれば幸いである.
    表紙の説明:『温故知新』ファルマシア創刊50周年を記念して過去掲載の表紙より抜粋.1992年7月号は「レセプター」特集号.その22年後にあたる昨年9月号で「GPCR」をテーマとした特集号を組んだ.同じレセプターでも生化学,薬理,構造解析,更にはスクリーニングテクノロジーの発達により,基礎のみならず創薬研究も進歩している.
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オピニオン
  • 川西 徹
    51 巻 (2015) 7 号 p. 631
    公開日: 2017/03/22
    ジャーナル フリー
    近年,政府の健康・医療政策の中心テーマである画期的医薬品・医療機器・再生医療等製品等の医療技術開発において,レギュラトリーサイエンス(regulatory science:RS)の重要性が共通認識となり,政府の基本政策文書(日本再興戦略)の中で“医療分野での研究開発におけるRSの振興”がうたわれるとともに,2014年5月に成立した健康・医療戦略推進法に盛り込まれ法制化されるに至った.
    RSについては,我が国では1987年に内山充博士(元 国立衛生試験所(現 国立医薬品食品衛生研究所(国立衛研))副所長(当時))によって「科学技術の進歩を真に人と社会に役立つ最も望ましい姿に調整(レギュレート)するための,予測・評価・判断の科学」として提唱され,既に四半世紀が経過している.その間,医薬品・医療機器・再生医療等製品等の規制に関わる国立衛研,医薬品医療機器総合機構(Pharmaceuticals and Medical Devices Agency:PMDA),厚生労働省関連部局等,また食品安全行政や化学物質安全行政に関わる省庁等では,RSを「医薬品・医療機器・再生医療等製品等の品質・有効性・安全性の適切な予測・評価・判断を支える科学」,あるいは「食品や化学物質の安全分野のリスクアナリシスを支える科学」とし,その関連する業務を象徴する用語として使用しており,RSの認知は広がってきている.また薬学会ではRS部会が創設されて既に10年以上の活動を重ねており,さらに近年,アカデミア創薬の機運の高まりとともに医療系大学を中心にRS関連の研究室が全国各所に設けられている.
    医薬品はヒトの生命に直接関わる製品であるとともに,多くの国では公的医療保険制度によって費用負担が行われる特殊な工業製品であり,開発者が規制当局に承認申請を行い規制当局が審査を行って承認することで,初めて広く疾病治療等に使用することが許される.さらに承認後においても市販後調査等により厳重な監視が行われ,臨床現場では医療安全管理や疾患・服薬指導においてリスクの予測・評価・判断に基づくリスク管理が重要視されている.また食品や生活環境の安全性評価においては,ハザードである食中毒原因菌,残留農薬,放射性物質,食品添加物,化学物質等のリスク評価を担当行政機関が行い許容量等を決め,それを基に規制当局が食品や環境中の規制値等を定めリスク管理を行う.これらの過程はリスクの予測・評価・判断の繰り返しであり,また特に医薬品の場合はリスク対ベネフィット比の予測・評価・判断が重要となる.医薬品,食品安全,環境化学物質の安全等の分野で特にRSが注目される理由は,このような予測・評価・判断の過程が社会システムの中で行われるという特性を持つためである.
    薬学はRSが最も深く関わる医薬品を主な対象とする科学分野であり,そのカリキュラムには衛生化学も含まれ,職域としては薬剤師のほか,食品衛生や環境衛生に関わる専門家も含まれる.その意味でコアカリキュラムの中にRSが盛り込まれることは大変望ましいことと思う.またこの度RS部会で,薬学カリキュラムの中でのRS教材について議論を行い,その試案を作成したことは極めて意義深いことである.このような過程を経て,薬学卒業生のRSの理解が深まるとともに,薬学の中でのRSの人材育成が活発化し,我が国における医薬品の開発・管理および医薬品の適正使用,あるいは食品衛生,環境衛生をRSの立場から牽引する人材が数多く輩出されることを願っている.
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Editor's Eye
話題
  • 白神 誠
    51 巻 (2015) 7 号 p. 641-643
    公開日: 2017/03/22
    ジャーナル フリー
    平成27年度から導入される6年制薬学教育モデル・コアカリキュラム平成25年度改訂版において,B「薬学と社会」の1つの到達目標(specific behavioral objective:SBO)として「レギュラトリーサイエンスの必要性と意義について説明できる.」が新たに設定された.文部科学省は,これを受け,「大学における医療人養成推進等委託事業」の1課題として「レギュラトリーサイエンスに係る教材や教育方法の開発に関する調査研究」を平成25年度に立ち上げ,募集を行った.日本薬学会レギュラトリーサイエンス部会では,この委託事業の目的が活動目的に合致することからこの事業に応募し,採択されることとなった.
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セミナー
  • 蛭田 浩一
    51 巻 (2015) 7 号 p. 644-648
    公開日: 2017/03/22
    ジャーナル フリー
    医薬品医療機器総合機構(Pharmaceuticals and Medical Devices Agency:PMDA)は,2004年に発足し,医薬品・医療機器等の審査,安全対策および被害救済を三位一体で行う世界で唯一の公的機関であり,これら3業務を透明性,公正性を基盤として遂行し,国民の健康・安全の向上に積極的に貢献することを理念としている.この理念において,私たちは,最新の専門知識と叡智を持った人材を育みながら,その力を結集して,有効性,安全性について科学的視点で的確な判断を行うことを宣言している.
    ライフサイエンスの分野は日進月歩であり,PMDAの3業務に関しても質の高い業務を行っていくためには,理念にもあるように,常に最新の専門知識を取り入れながら,それに基づく有効性,安全性等に関する科学的視点からの的確な予測,評価および判断力が求められる.PMDAは,そのための科学であるレギュラトリーサイエンス(regulatory science:RS)を推進している.
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セミナー
  • 池田 浩治
    51 巻 (2015) 7 号 p. 649-653
    公開日: 2017/03/22
    ジャーナル フリー
    4月に日本医療研究開発機構(Japan Agency for Medical Research and Development:AMED)がスタートした.これまで文部科学省,経済産業省,厚生労働省において,独自に進められてきたライフサイエンス関係の実用化研究を一本化し,効率よく基礎研究シーズを実用化につなげることが目的だ.AMEDの立ち上げだけでなく,革新的医療技術創出拠点プロジェクトやジャパンキャンサーリサーチプロジェクトなど,革新的な医薬品,医療機器開発,特に実用化に焦点を当てて予算が配分されているようであるが,単に予算を一本化し,実用化研究に重点的に予算配分する程度で革新的な医薬品,医療機器開発は進むのだろうか.企業等で実用化研究に従事している読者であれば,答えはすぐに出ると思われるが,予算配分だけでは十分な成果を上げることはできない.
    ここでは,有望な基礎研究の成果を実用化させるために必要な要素を挙げ,レギュラトリーサイエンス教育が果たす役割について解説する.
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話題
  • 小野 俊介
    51 巻 (2015) 7 号 p. 654-656
    公開日: 2017/03/22
    ジャーナル フリー
    「医薬品を研究し,候補を選択し,評価し,承認審査し,使用を調節し,社会における最適化を目指す.そのための科学が必要である」.このような記述をもって,その「科学」について何かを語った気になってはいけない.よく考えるとそれって何も定義していないし,中身もよく分からない.
    新薬が社会に利益をもたらす一連のプロセスには,多くのプレイヤーが異なる私的意図で参加する.何の制約もなしに社会の幸せだけを考えているプレイヤーはいない.それゆえ,プロセス内での判断の基準もプロセスの文脈に応じて多様である.利害をめぐる交渉の帰結は単純に勝ち負けでは語れない.状況を分析し,「こうすべき」という何らかの規範的な意味で改善を図るには,その文脈に応じた学問が必要となる.単に学問の種類・数の問題ではない.それぞれの学問において,とるべき視点の高さも目的や意図に応じて決まってくる.
    話はとてもややこしい.そうした科学に呼び名を与えてみても,ややこしさの本質は変わらないし,「では具体的に何を勉強すべきか」への答えにもならない.だから本稿では,読者が具体的に勉強すべき学問領域を固有名詞で紹介することにした.
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研究室から
研究室から
  • 成川 衛
    51 巻 (2015) 7 号 p. 660-662
    公開日: 2017/03/22
    ジャーナル フリー
    近年,医療技術の高度化や医薬品開発の国際化が急速に進む一方で,開発コストの上昇,研究開発の生産性の低下といった問題も生じており,これらに伴い医薬品開発のプロセス・戦略は大きく変化している.このような状況の中,独創的な企画力を持ち,新薬開発の国際的な最前線で活躍できる人材の養成が急務とされている.
    医薬開発学研究室では,薬学・医学・統計学などの幅広い自然科学をベースに,社会科学的な側面も加味した知識と経験を応用し,医薬品の臨床試験の手法や評価のあり方,あるいはもっと広く医薬品の臨床開発全般(市販後の安全性情報の収集・評価や安全対策を含む)をいかに効果的に進めていくべきかといったテーマを中心に研究・教育活動を行っている.そして,これらを通して,医薬品開発に必要な包括的な知識を習得しつつ,現在の医薬品開発の問題点を的確に分析・評価し,それらを解決するための科学的かつ柔軟な戦略を企画立案できる人材を養成することを目的としている.
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研究室から
  • 頭金 正博
    51 巻 (2015) 7 号 p. 663-665
    公開日: 2017/03/22
    ジャーナル フリー
    レギュラトリーサイエンスは,国立衛生試験所(現在の国立医薬品食品衛生研究所,略称 国立衛研)の副所長(当時)であった内山充先生が,1987年に初めて提唱した科学的概念である.2011年に発表された第4次科学技術基本計画によると,レギュラトリーサイエンスとは,「科学技術の成果を人と社会に役立てることを目的に,根拠に基づく的確な予測,評価,判断を行い,科学技術の成果を人と社会との調和の上で最も望ましい姿に調整するための科学」であるとされている.例えば,全ての医薬品は副作用を発症するリスクを持っているが,医薬品を人と社会に役立てるためには,品質,有効性,安全性について科学的根拠を用いて,客観的でかつ的確な予測,評価,判断を行うことが必要になる.このようなベネフィットとのバランスを勘案しつつリスクを低減する一連の概念,あるいは科学的考え方をレギュラトリーサイエンスと呼んでいる.
    筆者は,長年にわたって厚生労働省傘下の研究機関でレギュラトリーサイエンスに関連する調査研究業務を行ってきたが,2011年度より名古屋市立大学大学院薬学研究科において,レギュラトリーサイエンスに関する研究と教育を行う機会を得た.そこで本稿では,本研究室でこれまでに取り組んできたレギュラトリーサイエンス研究や人材育成と今後の展望について紹介したい.
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研究室から
  • 塚本 桂
    51 巻 (2015) 7 号 p. 666-668
    公開日: 2017/03/22
    ジャーナル フリー
    グローバル化著しい現代医療環境の下,薬学におけるレギュラトリーサイエンスの研究と教育を述べる前に,大学卒後25年間にわたって製薬企業基礎薬理研究者として歩んできた筆者が,ここ岐阜薬科大学グローバル・レギュラトリー・サイエンス(Global Regulatory Science:GRS)寄附講座を主宰するに至った経緯を,まず述べるべきであろう.卒後25年と言えば,なかなかの中年である.これまで裸眼で過ごしてきた筆者も,老眼が着実に進んでいた.基礎薬理では,細胞から実験動物まで使ってインスリン分泌機構や膵β細胞保護機構を研究しており,以前は目をつぶっていてもできると思えたマウスの静脈内注射や膵管カニュレーションが,いよいよ難しくなり,若手研究者の指導やマネジメントを求められる年齢になった頃,研究現場から一歩引いた立場で医薬品開発に関わるようになった.
    すると,今まで専門外と思い込んでいた臨床開発,申請業務,薬事システムなどが,基礎研究と共に医薬品を社会へ適切に提供するための重要な因子であることが見えるようになってきたのである.そして,これら様々な領域を統合して理解し,さらに今後どうあるべきか予測する必要があろうと,おぼろげに感じ始めていた.正直に述べるなら,この時点では「レギュラトリーサイエンス」という言葉には全く馴染みがなかった.時を同じくして,母校にGRS寄附講座が設立されると聞き,おぼろげに感じていたことを具現化できる可能性に触れ,新しい分野にチャレンジする決意を抱いたのである.しかし,おぼろげなイメージだけで研究と教育ができるほど世の中は甘くない.自分の経験を基に,医薬品開発の何が問題であり,何が明確でないのか,素朴な疑問を発端に,様々な領域の情報を集めて分析することで,自分なりに「レギュラトリーサイエンス」を定義し,理解することとした.
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話題
  • 伊藤 浩介
    51 巻 (2015) 7 号 p. 669-671
    公開日: 2017/03/22
    ジャーナル フリー
    大阪大学大学院薬学研究科は,厚生労働省の「革新的医薬品・医療機器・再生医療製品実用化促進事業」に採択され,平成24年度より「核酸医薬の臨床有効性及び安全性の評価法」について研究を開始した.私は,当該事業における人材交流の一環で平成24年10月より2年半,医薬品医療機器総合機構(Pharmaceuticals and Medical Devices Agency:PMDA)において特任職員として勤務した.
    この事業は,革新的な技術等を応用した医薬品,医療機器および再生医療製品の実用化をスムーズに進めるために,薬事的な審査基準などの明確化が必要であるとの観点からスタートしている.その目的達成のために,革新的な医薬品等の開発に資する技術,科学的な知見などを有するアカデミアの参画を求めるわけであるが,実際のところ,大学等は単独で医薬品等の審査基準を検討できるノウハウや経験を有していないと思われる(少なくとも本事業開始時点において,大阪大学大学院薬学研究科にはそのような体制は整っていなかった).したがって,この事業では医薬品等の審査等に精通している規制当局(PMDAおよび国立医薬品食品衛生研究所)とアカデミアとの間で人材交流を行い,互いの知識と経験を共有することで,革新的な医薬品等の審査基準等の検討・確立が可能となることが期待されている.また,この事業の重要な副次的な成果として,アカデミアと規制当局間における人材交流などを通じて,アカデミアにレギュラトリーサイエンスに精通した人材を育成することも期待されている.
    本稿では,核酸医薬をキーワードとして行われた大阪大学大学院薬学研究科とPMDAの間の人材交流の当事者としての経験,および核酸医薬の審査基準等に関する検討の一端を紹介する.
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話題
話題
話題
  • 中村 敏明
    51 巻 (2015) 7 号 p. 679-681
    公開日: 2017/03/22
    ジャーナル フリー
    レギュラトリーサイエンス(regulatory science:RS)は,医薬品適正使用において,欠くことのできない科学である.これまでは,特に1つのまとまった科学として認識することなく無意識のうちに実践してきた人も多いのではないだろうか.しかし今後は,薬物療法のリスク最小化においてRSは大変重要であり,病院薬剤師が目的意識を持ってRSに取り組むことで,薬物療法の質の向上に寄与していかなければならない.そのためには,薬学教育や薬剤師の生涯学習においてRS教育を積極的に取り入れるべきと考える.
    本稿では,RSを簡潔に“医薬品を人と社会に調和させるための科学”と定義する.そもそも薬物療法にはリスクが伴っている.ある医薬品が,治療対象となる全ての症例に対して100%の有効性と100%の安全性を発揮するというのは理想であるが,実現には至っていない.仮に,そのような医薬品(理想的な薬)が実在するなら,医療そのものが大きく変わることになる.残念ながら,多かれ少なかれ効果はバラつき,リスクもゼロにできないのが医薬品であり,それをうまく患者に適用して,望ましい結果(成果)を挙げるのが薬剤師に求められる最も重要な役割である.実務的には,RSを“薬物療法を適正に行うための根拠を持ったルール作り”と捉えることもできる.
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セミナー:創薬科学賞
  • 設楽 研也, 中村 和靖, 松島 綱治, 秋永 士朗, 上田 龍三
    51 巻 (2015) 7 号 p. 683-687
    公開日: 2017/03/22
    ジャーナル フリー
    ヒトCC chemokine receptor4(CCR4)に対するヒト化モノクローナル抗体モガムリズマブは,POTELLIGENT技術を応用することで抗体のFc部位にある糖鎖からフコースが除かれた低フコース型抗体であり,通常の高フコース型抗体に比べて100倍以上強い抗体依存性細胞傷害(antibody-dependent cell cytotoxicity:ADCC)活性を示すfirst-in-classの高機能性型抗体である.協和発酵キリンは2011年4月にモガムリズマブの製造承認申請を行い,2012年3月に「再発または難治性のCCR4陽性の成人T細胞白血病リンパ腫」を適応症として承認を取得した(商品名:ポテリジオ点滴静注20mg).その後更に適応拡大治験を実施し,2014年3月に「再発または難治性のCCR4陽性の末梢性T細胞リンパ腫および皮膚T細胞性リンパ腫」の追加適応を取得し,2014年12月には未治療CCR4陽性の成人T細胞白血病に対して抗悪性腫瘍剤との併用における適応を取得している.
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速報 医療の現場から
  • 中尾 祐輔
    51 巻 (2015) 7 号 p. 688-690
    公開日: 2017/03/22
    ジャーナル フリー
    機能性を表示することができる食品は,これまで国が個別に許可した特定保健用食品と国の規格基準に適合した栄養機能食品に限られていた.そこで,機能性を分かりやすく表示した食品の選択肢を増やし,消費者がその食品に関して,正しい情報を得た上で選択できるよう,平成27年4月から新たに「機能性表示食品」制度が開始された.
    食品には,生命維持のための栄養面での働き(栄養機能)や食事を楽しもうという味覚・感覚面での働き(感覚機能)のほか,生体の生理機能を調整する働き(体調調節機能)があり,これらはそれぞれ1次機能,2次機能,3次機能と呼ばれている.すなわち,「機能性食品」の「機能性」とは3次機能のことであり,食品の3次機能に関する表示は,一般に機能性表示と呼ばれている.
    栄養機能食品は栄養成分の機能を表示するものであり,食品表示基準(平成27年内閣府令第10号)により定められた表示を行うことができる.また特定保健用食品は,その摂取により当該保健の目的が期待できる旨を表示するものであり,表示に当たっては,健康増進法(平成14年法律第103号)第26条第1項の許可または同法第29条第1項の承認を受ける必要がある.これら以外の食品に機能性表示を行うことは,食品表示法(平成25年法律第70号)や健康増進法により禁止されている.
    このようななか,「国の成長・発展,国民生活の安定・向上および経済活動活性化への貢献」を目的とした規制改革会議が平成25年1月に発足し,検討項目の1つとして,「一般健康食品の機能性表示を可能とする仕組みの整備」に関する議論が行われた.そして,栄養機能食品については対象成分が限定されていること,また,特定保健用食品については,食品ごとに安全性や有効性に関する臨床試験が必須であるとともに,許可手続に時間と費用がかかるため,中小企業にとってハードルが高いこと等,現行制度についての課題が指摘された.
    その結果,規制改革実施計画(平成25年6月14日閣議決定)において,「特定保健用食品,栄養機能食品以外のいわゆる健康食品をはじめとする保健機能を有する成分を含む加工食品および農林水産物について,機能性の表示を容認する新たな方策をそれぞれ検討し,結論を得る.なお,その具体的な方策については,民間が有しているノウハウを活用する観点から,その食品の機能性について,国ではなく企業等が自らその科学的根拠を評価した上でその旨および機能を表示できる米国のダイエタリーサプリメントの表示制度を参考にし,企業等の責任において科学的根拠のもとに機能性を表示できるものとし,かつ,一定のルールの下で加工食品および農林水産物それぞれについて,安全性の確保(生産,製造および品質の管理,健康被害情報の収集)も含めた運用が可能な仕組みとすることを念頭に検討を行う.」こととなり,平成26年度の結論・措置となった.
    この閣議決定を踏まえ,消費者・生活者の視点に立って国民全体の利益を考える観点から,企業等の責任において科学的根拠を基に機能性を表示できる新たな方策について検討するために,平成25年12月から平成26年7月までの計8回にわたり,消費者庁長官の下に設置された検討会を開催した.そして平成27年7月30日に公表された報告書を踏まえ,食品表示法第4条に基づく食品表示基準(平成27年内閣府令第10号)および「機能性表示食品の届出等に関するガイドライン」(以下,「ガイドライン」という.)を平成26年度末に策定した.
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FYI(用語解説)
  • 村山 一茂, 豊島 聰
    51 巻 (2015) 7 号 p. 682_1
    公開日: 2017/03/22
    ジャーナル フリー
    承認申請資料の国際的なハーモナイゼーション推進の必要性に応えるため,日米EU医薬品規制調和国際会議(international conference on harmonization of technical requirement for registration of pharmaceuticals for human use, ICH)により合意された新医薬品の承認申請書に添付すべき資料の作成要領をCTD(国際共通化資料)という.新医薬品の開発過程で得られたデータは,CTDの様式でまとめられる.この様式でまとめられた資料は,ICH構成地域のいずれの規制当局にも受け入れられる.新医薬品の承認申請は,これと申請書を規制当局に提出して行う.
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  • 成川 衛
    51 巻 (2015) 7 号 p. 682_2
    公開日: 2017/03/22
    ジャーナル フリー
    説明変数(x)から応答変数(y)を予測しようとする分析方法を回帰分析という.例えば,父親の身長(説明変数)から子どもの身長(応答変数)を予測する場合などである.よく見る回帰分析では,応答変数として身長や血圧値などの連続データ(計量可能なデータ)が用いられる(線形回帰分析).これに対して,応答変数として二値の分類データ(例えば疾病のあり/なし,手術後の患者の生存/死亡など)を用いて,説明変数の種々の値に対する応答変数の発生確率を推定しようとする手法がロジスティック回帰分析である.
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  • 頭金 正博
    51 巻 (2015) 7 号 p. 682_3
    公開日: 2017/03/22
    ジャーナル フリー
    米国の食品医薬品庁(FDA)に報告された医薬品に関する副作用についての情報を集積したデータベース.データソースは全世界にわたり,1969年以降の900万件以上の副作用症例についての報告番号,報告年月日,性別や年齢等の患者背景,原疾患,被疑薬,併用薬,投与量,投与開始日と終了日,有害事象,転帰,報告者の職種,報告された国(地域)等の情報が4半期ごとに集積されている.JADERと同様に,これらの情報を薬剤疫学的手法で解析することで,副作用発生のシグナル検出等に用いることができる.FAERSは全世界を対象に調査することが可能であるが,重複データ等を削除するためのデータクリーニング作業が必要になる.
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  • 頭金 正博
    51 巻 (2015) 7 号 p. 682_4
    公開日: 2017/03/22
    ジャーナル フリー
    医薬品医療機器総合機構が公表している「副作用が疑われる症例報告に関する情報」をラインリスト形式で集積したデータベース.医薬品医療機器等法(旧薬事法)に基づき報告のあった2004年度以降の副作用症例と予防接種法に基づき報告のあった2013年度以降の副作用症例についての,報告年度,性別,年齢階層,身長,体重,転帰,原疾患,被疑薬,適用理由,投与経路,一回投与量,投与開始日と終了日,被疑薬の処置,有害事象,有害事象の発現日,併用被疑薬等の情報が集積されている.これらの情報を薬剤疫学的手法で解析することで,副作用発生のシグナル検出等に用いることができる.
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家庭薬物語
  • 山村 秀樹
    51 巻 (2015) 7 号 p. 696-697
    公開日: 2017/03/22
    ジャーナル フリー
    効能効果:整腸(便通を整える),軟便,便秘,腹部膨満感
    成分分量:9錠(15歳以上の1日服用量)中,コンク・ビフィズス菌末18mg,コンク・フェーカリス菌末18mg,コンク・アシドフィルス菌末18mg
    用法用量:(新ビオフェルミンS錠)次の量を,食後に服用すること.15歳以上:1回3錠1日3回,5~14歳:1回2錠1日3回,5歳未満:服用しないこと.(新ビオフェルミンS細粒)次の量を,食後に服用すること.15歳以上:1回1g(添付のサジ3杯分)1日3回,5~14歳:1回2/3g(添付のサジ2杯分)1日3回,3か月~4歳:1回1/3g(添付のサジ1杯分)1日3回,3か月未満:服用しないこと.
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くすりの博物館をゆく
薬学実践英語
トピックス
  • 渡邊 優子
    51 巻 (2015) 7 号 p. 702
    公開日: 2017/03/22
    ジャーナル フリー
    工業的にも極めて重要なプロセスへと発展した遷移金属錯体による“触媒的水素化反応”は将来的なレアメタルの枯渇を考慮すると,その代替材料を戦略的に開発していく必要がある.このような背景下,Stephanらは有機分子での触媒的水素化反応の研究に取り組み,かさ高いルイス酸とかさ高いルイス塩基から成るfrustrated Lewis pairs(FLPs)が水素分子をプロトンとヒドリドへとヘテロ開裂を起こし,イミンやエナミンなどを水素化することを報告した.これまでに報告されたFLPsの多くはルイス酸にホウ素化合物を,ルイス塩基にはホスフィンやアミンを用いており,カルボニル化合物の水素化を指向した場合,ホウ素原子の高い酸素親和性のため,触媒的な水素化反応が困難であると考えられていた.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Stephan D. W., Erker G., Angew. Chem. Int. Ed., 49, 46-76 (2010).
    2) Mahdi T., Stephan D. W., J. Am. Chem. Soc., 136, 15809-15812 (2014).
    3) Longobardi L. E. et al., Dalton Trans., 43, 15723-15726 (2014).
    4) Scott D. J. et al., J. Am. Chem. Soc., 136, 15813-15816 (2014).
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  • 早川 敦彦
    51 巻 (2015) 7 号 p. 703
    公開日: 2017/03/22
    ジャーナル フリー
    生体内において,タンパク質等と結合していない非結合型薬物のみがその標的分子と相互作用するというのは,一般的に受け入れられた仮説である.それゆえメディシナルケミストは,生体内における非結合型薬物濃度を向上させることを目的の1つとしてドラッグデザインを行っている.例えば,生体内での非結合型薬物濃度を改善するためには,化合物のタンパク結合率を低下(=非結合型分率を増加)させれば良いように思われる.しかしながら,in vitroのタンパク結合率とin vivoにおける非結合型薬物濃度の関係は,それほど単純ではない.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Liu X. et al., J. Med. Chem., 57, 8238-8248 (2014).
    2) Liu X. et al., Curr. Top Med. Chem., 11, 450-466 (2011).
    3) Ito T. et al., J. Pharmacol. Exp. Ther., 320, 124-132 (2007).
    4) Jones D. et al., J. Pharmacol. Exp. Ther., 229, 522-526 (1984).
    5) Miida H. et al., J. Toxicol. Sci., 33, 349-361 (2008).
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  • 藤原 裕未
    51 巻 (2015) 7 号 p. 704
    公開日: 2017/03/22
    ジャーナル フリー
    近年,臨床医学では根拠に基づく医療(evidence-based medicine:EBM)の考えが一般的になりつつある.最近の報告によると,我が国の80%に上る医師が処方した経験があるとされる漢方薬の分野においてもそれは例外ではなく,エビデンス報告が増加しつつあるが,今後の漢方利用の拡大には,更なるエビデンスの収集が重要な課題となっている.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Ara T. et al., Biol. Pharm. Bull., 3, 1141-1144 (2008).
    2) Ara T. et al., Biol. Pharm. Bull., 33, 611-616 (2010).
    3) Hiroshima Y. et al., J. Periodont. Res., 45, 79-86 (2010).
    4) Yoshida K. et al., PLoS One, 9, e112689 (2014).
    5) Liao J. et al., Pharm. Biol., 51, 1538-1544 (2013).
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  • 牧島 隆史
    51 巻 (2015) 7 号 p. 705
    公開日: 2017/03/22
    ジャーナル フリー
    近年の医薬品候補化合物の多くは難水溶性であるため,非晶質製剤化,特に薬物を非晶質状態で高分子基材等に分散させた固体分散体化は,汎用性の高い可溶化技術として広く用いられている.しかし非晶質製剤は,再結晶化に由来する溶出性の低下が懸念されるため,再結晶化挙動に影響を及ぼす因子を適切に評価し,そのリスクを見極めることが重要である.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Trasi N. S. et al., J. Phys. Chem. B., 118, 9974-9982 (2014).
    2) Baird J. A. et al., J. Pharm. Sci., 99, 3787-3806 (2010).
    3) Trasi N. S. et al., CrystEngComm., 14, 5188-5197 (2012).
    4) Jackson K. A. et al., Interface Sci., 10, 159-169 (2002).
    5) Kestur U. S. et al., CrystEngComm., 12, 2390-2397 (2010).
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  • 二反田 康秀
    51 巻 (2015) 7 号 p. 706
    公開日: 2017/03/22
    ジャーナル フリー
    生物の進化は,遺伝子変異が蓄積することにより生じる.ある遺伝子変異が個体生存に有利に働く場合,その変異は優先的に保存される.類人猿やヒトでは,α-ガラクトース(α-galactose:α-Gal)の合成に必要なα1,3-ガラクトシルトランスフェラーゼ(α1,3-galactosyl transferaseα1,3-GT)遺伝子の欠損が進化的に保存されている.α-Galは,ほ乳類をはじめ,原生生物や細菌の細胞膜に存在する細胞外多糖の一種である.これまでに,類人猿やヒトは,α1,3-GTを欠損することで,α-Galを抗原として認識できるようになり,α-Galを発現する病原体に対して抵抗性を獲得したのではないかと予想されてきたが,実験的に証明されていなかった.実際,大腸にはα-Galを発現する大腸菌が常在するため,ヒトは血中にα-Galを認識する抗α-Gal抗体を多く持っていることが知られている.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Galili U. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 88, 7401-7404 (1991).
    2) Macher B. A. et al., Biochim. Biophys. Acta, 1780, 75-88 (1780).
    3) Menard R. et al., Nat. Rev. Microbiol., 11, 701-712 (2013).
    4) Yilmaz B. et al., Cell., 159, 1277-1289 (2014).
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  • 今西 正樹
    51 巻 (2015) 7 号 p. 707
    公開日: 2017/03/22
    ジャーナル フリー
    心筋梗塞は心筋細胞に酸素や栄養を供給している冠動脈の閉塞や狭窄によって発症し,心筋細胞の機能障害や心筋細胞死を引き起こす.このような急性の心臓傷害に対して心臓線維芽細胞は,増殖,線維化することで,心臓構造の修復において中心的な役割を果たす.線維芽細胞は種々の増殖因子や細胞外基質タンパクを分泌し,心臓の構造や収縮,機能などの維持に寄与する.特に,線維芽細胞増殖因子や血管内皮細胞増殖因子は,内皮細胞に作用することで血管新生や側副血行路の形成に関与し,傷害部の血流を回復させることが知られている.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Souders C. A. et al., Circ. Res., 105, 1164-1176 (2009).
    2) Zeisberg M. E. et al., Nat. Med., 13, 952-961 (2007).
    3) Ubil E. et al., Nature, 514, 585-590 (2014).
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  • 横谷 馨倫
    51 巻 (2015) 7 号 p. 708
    公開日: 2017/03/22
    ジャーナル フリー
    様々な健康効果をうたったハーブやダイエタリーサプリメント(herb and dietary supplements:HDS)の利用が世界中で広がっており,日本でもその利用が増えている.HDSに添加されているハーブの原材料は,植物の根や茎,葉などであるが,有効成分ならびにその含有量は,利用された植物の部位,生育した産地や収穫時期により異なる.そのためHDSの安全性は,製品としても原材料としても十分に検証されているとは言い難く,近年のHDS利用者の増加に伴い,健康被害の報告も増えている.多くの消費者は「HDSは天然・自然で安心・安全,体によい」との思いから,HDSを安易に利用しているが,実際,誤った植物部位の使用,有害物質,農薬,重金属,医薬品成分の混入などによる健康被害の事例が報告されている.今回は,この10年間でHDS摂取による肝障害が7%から20%に増加したという,安易なHDS摂取に警鐘を鳴らす,最近の研究結果を紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Gershwin M. E. et al., Ann. N.Y. Acad. Sci., 1190, 104-117 (2010).
    2) van Breemen R. B. et al., Am. J. Clin. Nutr., 87, 509S-513S (2008).
    3) Navarro V. J. et al., Hepatology, 60, 1399-1408 (2014).
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  • 小清水 治太
    51 巻 (2015) 7 号 p. 709
    公開日: 2017/03/22
    ジャーナル フリー
    リポソームは,リン脂質を水溶液中で懸濁することにより形成される2分子膜構造の小胞である.水溶性物質や脂溶性物質,DNAやタンパク質など,低分子から高分子まで様々な物質を内部に包含できることから,薬物送達システム(DDS)の運搬体や,遺伝子導入の非ウイルスベクターとしてなど,幅広い分野で利用されている.さらに,リン脂質は生体膜の主要な構成成分であることから生体適合性にも優れている.医学・薬学の分野でも安全性の面から理想的な運搬体として高い利用価値が認められ,幾つかのリポソーム製剤は既に実用化されている.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Drulis-Kawa Z. et al., Int. J. Pharm., 387, 187-198 (2010).
    2) Henry B. D. et al., Nat. Biotechnol., 33, 81-88 (2015).
    3) Allen R. C. et al., Nat. Rev. Microbiol., 12, 300-308 (2014).
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追悼
  • 桐野 豊
    51 巻 (2015) 7 号 p. 699
    公開日: 2017/03/22
    ジャーナル フリー
    上田陽先生は,昭和27年10月に九州大学医学部薬学科薬品分析化学講座(百瀬勉教授)の助教授に就任されました.昭和39年4月に医学部薬学科が独立して薬学部となり,新設された薬品物理化学講座の初代教授に就任され(昭和41年3月),昭和60年3月末日に定年退職されるまで19年間,その職を全うされました.同年10月に私は後任の教授に就任し,ご挨拶のため福岡市小笹の瀟洒(しょうしゃ)な御自邸に参りました.背筋のぴんと伸びた端正なお姿でサムライのような風格を感じましたが,後日お聞きしたところ,先生のご出自は大分臼杵(うすき)藩の御典医の家系とのことでした.その後,講座のピクニック等にお誘いすると快く応じて下さり,気さくで人間味あふれる面も拝見致しました.
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