ファルマシア
Online ISSN : 2189-7026
Print ISSN : 0014-8601
ISSN-L : 0014-8601
52 巻, 10 号
選択された号の論文の43件中1~43を表示しています
目次
  • 2016 年 52 巻 10 号 p. 904-905
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/10/01
    ジャーナル フリー
    電子付録
    表紙の説明:ゲンノショウコは日本三大民間薬のひとつ.開花直前に採取した地上部を干し,煎じて用いる.名の由来は,飲むとピタリと下痢が治まる「現の証拠」.白花系と紅色系とに大別される.本花は雄しべが先に成熟し,その後に雌しべが開く雌雄異熟により自己受粉を防いでいる.弾けて種子を飛ばした後の朔果(さくか)が神輿(みこし)の形に似ることから,ミコシグサの別名もある.晩夏から秋は,本花にとって,まさにお祭りの季節なのだろう.
オピニオン
Editor's Eye
薬学がくれた私の道
視点
話題
  • 球脊髄性筋萎縮症の医師主導治験の経験から
    祖父江 元
    2016 年 52 巻 10 号 p. 920-924
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/10/01
    ジャーナル フリー
    神経変性疾患は特定の神経細胞の変性・脱落を特徴とする進行性の疾患であり,アルツハイマー病,パーキンソン病,筋萎縮性側索硬化症,脊髄小脳変性症,ポリグルタミン病など多くの種類の疾患が含まれる.人口の高齢化とともにいずれもその患者数が急速に増加してきており,その治療や予防は21世紀の医学の最も重要な課題になってきている.本稿では我々の球脊髄性筋萎縮症に対するdisease-modifying therapy(DMT)開発の経験を紹介しながら,神経変性疾患のDMT開発の展望と問題点について述べる.
最前線
最前線
話題
最前線
  • 西尾 美希
    2016 年 52 巻 10 号 p. 940-944
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/10/01
    ジャーナル フリー
    これまで増殖因子による細胞増殖制御機構は非常によく解析されてきたが,細胞接触や機械刺激による増殖制御の機構については不明な点が多かった.Hippo経路は細胞接触や機械刺激を感知するユニークな経路で,器官のサイズ制御に関与すること,細胞分化に関与すること,強力ながん抑制遺伝子として作用することなどが明らかとなり,抗がん剤の分子標的として,再生医学における分子標的として,最近注目を集めている.
話題
話題
  • インターネット上でのEBMスタイル臨床教育プログラムの概要とその展望
    青島 周一, 桑原 秀徳, 山本 雅洋
    2016 年 52 巻 10 号 p. 948-950
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/10/01
    ジャーナル フリー
    前景疑問に対する問題解決に、Evidence-based Medicine(EBM)の実践は必要不可欠である。しかしながら我が国では、EBMに対する薬剤師の認知度は高いとは言えない。「薬剤師のジャーナルクラブ」は論文抄読会をインターネット上で開催することで、EBM学習の場を提供する取り組みである。取り組み当初より、視聴者数は徐々に増え、現在ではコメント投稿機能を用いた活発な議論が展開されている。論文から深い考察や新鮮な驚きを得たことを示唆するコメントも多く、当取り組みは、EBM学習の場を提供するという点において、一定の役割を果たせるものと思われる。
最前線
  • 早期探索的臨床試験が拓くパラダイムシフト
    残華 淳彦
    2016 年 52 巻 10 号 p. 951-955
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/10/01
    ジャーナル フリー
    1990年代後半になり、医薬品の研究開発の効率、言い換えれば、製品化成功確率は、著しく低下した。しかしながら、今日でも、多大なCMC活動と前臨床試験、大規模な臨床試験の後に、候補品が開発中止になることも多い。真に効率的な医薬品開発を目標として、最先端の研究技術を駆使し、より早い研究開発段階で、より成功確率の高い候補品を、少ない費用で見つけ出す戦略は、現在の医薬品開発で最も重要な戦略であり、それを実現するのが、早期探索的臨床試験である。
承認薬の一覧
  • 新薬紹介委員会
    2016 年 52 巻 10 号 p. 958
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/10/01
    ジャーナル フリー
    本稿では厚生労働省が新たに承認した新有効成分含有など新規性の高い医薬品について,資料として掲載します.表1は,当該医薬品について販売名,申請会社名,薬効分類を一覧としました.
    本稿は,厚生労働省医薬安全局審査管理課より各都道府県薬務主管課あてに通知される“新医薬品として承認された医薬品について”等を基に作成しています.今回は,平成28年7月4日付分の情報より引用掲載しています.また,次号以降の「承認薬インフォメーション」欄で一般名,有効成分または本質および化学構造,効能・効果などを表示するとともに,「新薬のプロフィル」欄において詳しく解説しますので,そちらも併せて参照して下さい.
    なお,当該医薬品に関する詳細な情報は,医薬品医療機器総合機構のホームページ→「医療用医薬品」→「医療用医薬品 情報検索」(http://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuSearch/)より検索できます.
承認薬インフォメーション
  • 新薬紹介委員会
    2016 年 52 巻 10 号 p. 959-960
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/10/01
    ジャーナル フリー
    本稿では既に「承認薬の一覧」に掲載された新有効成分含有医薬品など新規性の高い医薬品について,各販売会社から提供していただいた情報を一般名,市販製剤名,販売会社名,有効成分または本質および化学構造,効能・効果を一覧として掲載しています.
    今回は,52巻9号「承認薬の一覧」に掲載した当該医薬品について,表解しています.
    なお,「新薬のプロフィル」欄においても詳解しますので,そちらも併せてご参照下さい.
在宅医療推進における薬剤師のかかわり
製剤化のサイエンス
トピックス
  • 川戸 勇士
    2016 年 52 巻 10 号 p. 967
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/10/01
    ジャーナル フリー
    近年,酵素の活性部位特異的修飾によって新たな分子認識能,反応性および選択性を付与した人工酵素の創出により,実現困難な分子変換を達成する研究が盛んに展開されている.中でも,生化学反応で利用されない白金族元素(Ru,Rh,Pd,Os,Ir,Pt)を補因子とする人工酵素が注目されている.今回,WardらはPd錯体を結合させたビオチン誘導体をホストタンパク質のストレプトアビジン(Sav)に組み込むことにより,人工酵素“Suzukiase”を創出することに成功したので,本稿にて紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Hyster T. K. et al., Angew. Chem. Int. Ed., 55, 7344-7357 (2016).
    2) Chatterjee A. et al., Chem. Sci., 7, 673-677 (2016).
  • 酒井 一成
    2016 年 52 巻 10 号 p. 968
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/10/01
    ジャーナル フリー
    全身性炎症反応症候群(SIRS)は外傷,感染症などに合併する全身性炎症である.特に感染症を原因とし,臓器障害を伴うSIRSのことを敗血症という.このような病態では炎症性サイトカインが過剰発現している.サイトカインシグナルにおいてキーになるのがToll様受容体(TLR)である.敗血症に関与するTLRとしてTLR4が詳細に検討されている.TLR4は協同で働くタンパク質MD-2と複合体を形成してグラム陰性菌外膜のリポ多糖(LPS)を認識し,シグナルを伝達する.近年の研究で,MD-2がLPSのコアを認識して炎症を誘導することが示されており,MD-2は細菌性炎症疾患治療の創薬ターゲットとなっている.
    キサントフモール(XN)はホップ由来のフラボノイドの一種で,MD-2に結合することによりLPS刺激による炎症シグナルを抑制することは知られていたが,その結合様式については明らかとなっていなかった.今回Weitaoらは,計算化学的および実験的に,XNとMD-2の相互作用を検討したので紹介したい.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Peluso M. R. et al., Planta Med., 76, 1536-1543 (2010).
    2) Weitao F. et al., Drug. Des. Devel. Ther., 10, 455-463 (2016).
    3) Wang Y. et al., J. Pharmacol. Exp. Ther., 353, 539-550 (2015).
  • 高橋 司
    2016 年 52 巻 10 号 p. 969
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/10/01
    ジャーナル フリー
    稲作はアジアを中心に南アメリカやアフリカなど広く普及しており,稲から可食部分として米,米糠が得られる.米糠に含まれるファイトケミカルに関する研究報告数が増加傾向にある中,赤米の米糠から得られた2種の抽出画分による抗がん作用として,ヒト由来がん細胞であるCaco-2,MCF-7,HL-60に対する細胞周期停止とアポトーシス誘導作用が報告されている.本稿では,マウス骨髄性白血病細胞(WEHI-3)を用いたRiceberry rice branの非鹸化抽出画分(RBDS)とその主要成分であるグラミステロール(GRA)の抗がん作用に関するSomintaraらの報告を紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Leardkamolkarn V. et al., Food Chem., 125, 978-985 (2011).
    2) Somintara S. et al., PLoS One., 11, e0146869 (2016).
    3) Suttiarporn P. et al., Nurtients., 3, 1672-1687 (2015).
  • 別所 幸治
    2016 年 52 巻 10 号 p. 970
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/10/01
    ジャーナル フリー
    分子レベルで化合物をポリマーに分散させた固体分散体は,経口吸収性を改善する有用なツールである.固体分散体が経口吸収性を改善する主な理由は,化合物が結晶の溶解度を超えて溶解(過飽和)し,ポリマーが過飽和状態を安定化するからである.これまで,過飽和状態を最も安定化するポリマーを選定するためのスクリーニング評価が盛んに行われてきた.
    これらの評価の中で,化合物が過飽和した溶液中に化合物を含むコロイド粒子が存在することが明らかとなった.このコロイド粒子は結晶化する可能性があるため,コロイド粒子が過飽和状態の安定性にどう影響するかを評価する必要がある.しかし,発生メカニズムが不明であることが一因となり,コロイド粒子を考慮したスクリーニング評価は進展しなかった.これについて近年,液/液相分離(liquid liquid phase separation:LLPS)という熱力学的な理論で,コロイド粒子の発生メカニズムが説明可能となった.LLPSを理解し,理論に基づいた評価を実施することで,効率的に目的のポリマーを選定できる可能性がある.
    そこで本稿では,ダナゾールの過飽和溶液においてLLPSにより生成する油滴(以下,LLPS油滴)の,熱力学的および速度論的な特性解明と,ポリマーがそれらの特性に及ぼす効果の解明について検討した論文を紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Friesen D. T. et al., Mol. Pharm., 5, 1003-1019 (2008).
    2) Ilevbare G. A. et al., Cryst.Growth, 13, 1497-1509 (2013).
    3) Jackson M. J. et al., Pharm. Res., 33, 1276-1288 (2016).
  • 稲住 知明
    2016 年 52 巻 10 号 p. 971
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/10/01
    ジャーナル フリー
    正常の分化細胞が主にミトコンドリアでの酸化的リン酸化を利用してATPを獲得しているのに対し,がん細胞や増殖の盛んな細胞においては,酸素存在下においても,エネルギー産生を解糖系に依存している.この好気的解糖はワールブルク効果として知られており,ATPの産生効率は低いものの,低酸素環境への適応や,細胞増殖時に必要な核酸,脂質等の生体原料を解糖系の副産物から供給する意味でも,がんの成長に非常に重要とされている.本稿では,Huらによって示された,ホスホイノシチド3-キナーゼ(phosphoinositide3-kinase:PI3K)による細胞骨格制御を介した新規の解糖系調節機構について紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Vander Heiden M. G. et al., Science, 324, 1029-1033 (2009).
    2) Hu H. et al., Cell, 164, 433-446 (2016).
    3) Cantley L. C., Science, 296, 1655-1657 (2002).
  • 鈴木 良明
    2016 年 52 巻 10 号 p. 972
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/10/01
    ジャーナル フリー
    嚢胞性線維症(CF)はClチャネルの一種である嚢胞性線維症膜コンダクタンス制御因子チャネル(CFTR)の機能不全によって起こる常染色体劣性の遺伝性疾患である.CF患者の70%において,CFTRの508番目のフェニルアラニンが欠損した機能消失型変異(F508Δ)が認められる.CFTRチャネルの機能が障害されると,気道粘液の粘性が上昇し,気道が閉塞する.これにより病原菌が定着しやすくなるため慢性的な炎症が起こり,気道閉塞が増悪される.特に,緑膿菌等の持続的感染によって起こる呼吸不全は予後を悪化させるため,CF患者の死因の約95%を占める.Diらのグループは,CFTR遺伝子欠損マウス(CFTR-KO)由来の肺胞マクロファージが,異物取り込み後のファゴソーム内酸性化を起こさないため,殺菌作用を持たないことを報告した.この機能障害が持続性感染症の原因の一端である可能性が推測される.
    本稿では,CFモデルマウス(CFTR-KOおよびF508Δ変異型マウス)由来の肺胞マクロファージ機能を回復させる低分子化合物の同定と,その作用機序の解明を目的とした研究を紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Di A. et al., Nat. Cell Biol., 8, 933-944 (2006).
    2) Riazanski V. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A., 112, E6486-6495 (2015).
  • 宇田川 理
    2016 年 52 巻 10 号 p. 973
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/10/01
    ジャーナル フリー
    精子形成の最終段階でDNAを折り畳むヒストンは,プロタミンという別のタンパク質にほとんどすべてが置き換えられる.これにより精子はその核成分を強く凝縮させコンパクトにし,高い運動性を可能にする.残った一部(マウスでは1%,ヒトでは15%)のヒストン(H3)は,引き続き分子内のリジン(K)残基がジメチル化(me2)等の化学修飾を受け,遺伝子発現制御に有利な染色体構造の保持を可能にする(H3K4me2)ことで,精子形成に関与している.近年線虫など他の真核生物においてDNA修飾(メチル化)がヒトと異なり,アデニンに対して生じることが報告された.DNA修飾(メチル化アデニン)を解除する酵素の欠損は,ヒストン修飾(H3K4me2)を解除する酵素suppressor of presenilin(spr-5)を欠損した線虫の生殖能力喪失をさらに悪化させることから,DNA修飾・ヒストン修飾の協調した調節機構の重要性が指摘されている.Siklenkaらは,spr-5に対するヒトの相同分子として知られるK(lysine)demethylase1A(KDM1A)を生殖腺特異的に過剰発現するtransgenic(TG)マウスを作成しヒストンの修飾様式を変化させることで,世代を経て子孫の健康に悪影響が及ぶことを今回明らかにした.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Erkek S. et al., Nat. Struct. Mol. Biol., 20, 868-875 (2013).
    2) Greer E. L. et al., Cell, 161, 868-878 (2015).
    3) Siklenka K. et al., Science, 350, aab2006 1-12 (2015).
  • 湧井 宣行
    2016 年 52 巻 10 号 p. 974
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/10/01
    ジャーナル フリー
    2型糖尿病は心血管疾患の主要な危険因子であり,心血管疾患の併発が患者の死亡リスクを上昇させることが明らかになっている.2型糖尿病患者において,厳格な血糖管理を行った場合でも,心血管疾患の発症や死亡を十分に抑制できないため,糖尿病薬による心血管疾患の発症の抑制が注目されている.現在まで多数の臨床試験が実施されているが,心血管疾患の発症や全死亡のリスクを有意に低下させるエビデンスを有する糖尿病薬はビグアナイド系のメトホルミンのみである.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) White W. B. et al., N. Engl. J. Med., 369, 1327-1335 (2013).
    2) Green J. B. et al., N. Engl. J. Med., 373, 232-242 (2015).
    3) Roumie C. L. et al., Ann. Intern. Med., 157, 601-610 (2012).
    4) Zinman B. et al., N. Engl. J. Med., 373, 2117-2128 (2015).
資料
薬学会アップトゥデイト
交信
会合予告
カレンダー
総説目次
談話室
  • 白川 久志
    2016 年 52 巻 10 号 p. 960
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/10/01
    ジャーナル フリー
    さて、標題の話しを耳にした時、皆さんはどちらの反応をしますか?
    A,“こんな都会にもカブトムシっているんだ。クワガタムシも捕まえられるかな?”
    B,“レアキャラのゲットいいね。僕はそこの公園ではピカチュウしか捕まえられなかったよ。”
    私は最近、長男の趣味に付き合ってクワガタ・カブトムシを採集に行くようになったのでもちろん“A”の反応でした。しかし、本当は最近世間で大流行の「Pokémon GO」のゲームの話しだったようで、“カブト”とはカブトガニのモンスターとのことなので、“B”の対応が正かったのです。カブト=カブトムシという“先入観”が招いた勘違いでした。
新刊紹介
最近の新刊書から
次号掲載予告
日本薬学会・医薬化学部会への入会のご案内
異動連絡届・購読誌変更届・退会届
編集後記
feedback
Top