ファルマシア
Online ISSN : 2189-7026
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52 巻 , 11 号
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目次
  • 52 巻 (2016) 11 号 p. 1008-1009
    公開日: 2016/11/01
    ジャーナル フリー
    特集:DDSの最前線
    表紙の説明:DDSは,種々マテリアルをキャリアとして利用し,薬物の生体内分布および時間推移を適切に制御することで,薬効発現および投薬に伴う患者の負担軽減を実現するものと期待されている.DDSを実現するマテリアルは種々の特性を有し,生体内で効果を最大限発揮するよう最適化されていく,さらに治療・診断・美容(香粧品開発)等へと多岐にわたるアプリケーションを展開している.
    特集にあたって:DDSでは,生体システムを積極的に回避・利用することで,低分子化合物のほか,単独では医薬品としての適用が困難な核酸やタンパク質についても,医薬品として臨床適用を実現することが大きく期待されている.ファルマシアでは,15年前にDDSの特集号(37巻5号(2001年))を発刊した.生体システムの解明およびマテリアル研究の発展に伴い,DDSキャリアも高機能化し,組織・細胞選択性や精緻な放出制御を実現し,製薬企業やベンチャー企業が治験による性能評価試験を展開している.本特集号では,アカデミックでの基礎研究に加えて,製薬企業およびベンチャー企業におけるDDS研究まで,最新のトピックを幅広くカバーした.
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オピニオン
Editor's Eye
セミナー
  • 高倉 喜信
    52 巻 (2016) 11 号 p. 1015-1019
    公開日: 2016/11/01
    ジャーナル フリー
    DDS(drug delivery system)は、薬物の体内動態の精密制御を目的とした新しい投与形態(剤形)の総称であり、医学、薬学、工学、その他広範な学問領域が関連する学際研究として発展してきた。既に多数のDDS製品が実用化され、医療の現場においても高い評価を受けている。本セミナーでは、がん治療、バイオ医薬、遺伝子治療、核酸医薬、再生医療に関するDDS開発における最近の進歩について概説する。
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最前線
  • 秋田 英万
    52 巻 (2016) 11 号 p. 1020-1024
    公開日: 2016/11/01
    ジャーナル フリー
    遺伝子や核酸を医療技術として実用化するためには、これらの高分子を、目的とする臓器、さらには特定のオルガネラまで効率的にデリバリーするための技術が必要となる。特に、エンドソームから細胞質への脱出過程や、細胞質における内封分子の放出過程は、遺伝子や核酸デリバリーの効率を決定づける共通の律速段階となり得る。筆者らは『国産』のドラッグ・デリバリー・システム(DDS)用材料として、独自の脂質様材料(ss-cleavable and pH-activated lipid-like materials: ssPalm)を開発した。本稿では、主に遺伝子・核酸治療への応用を志向したアプローチを中心とし、本材料の概念やデザインについて紹介したい。
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最前線
最前線
話題
  • 後藤 雅宏
    52 巻 (2016) 11 号 p. 1035-1037
    公開日: 2016/11/01
    ジャーナル フリー
    経皮吸収を促進するための油状可溶化型のナノ粒子薬物キャリアを解説する。薬物の経皮吸収を促進させるためには、皮膚の最外層にある角層への薬物の溶解性を向上させることが有効である。角層の特性が疎水的であることを利用し、薬物を油状可溶化型のキャリアに包摂することによって、様々な薬物の経皮吸収性が大きく向上することを明らかにした。本手法は、これまで経皮吸収が困難であったペプチドやタンパク質にも応用可能であることが示された。
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最前線
  • 武田(森下) 真莉子
    52 巻 (2016) 11 号 p. 1038-1042
    公開日: 2016/11/01
    ジャーナル フリー
    近年,医療ニーズは従来の生活習慣病などから,難病やがんなどのアンメットメディカルニーズの高い領域に拡大しており,それに伴って創薬ターゲットが大きく変わりつつある.アルツハイマー型認知症やパーキンソン病などの難治性中枢神経系疾患も競争率の激しい創薬ターゲットの中の1つであり,世界的規模で治療薬の開発が精力的に進められている.その中でも脳内で作用する内因性ペプチド,病態の進展を抑制するワクチン,原因物質あるいは病変部位を標的とする抗体医薬等のバイオ医薬の治療薬としての開発に注目が集まっている.
    しかしながら,ヒト臨床試験における成功率は著しく低く,例えばアルツハイマー病を対象とした臨床試験は,直近5年間の間に5つ以上の臨床試験が第Ⅲ相で中止となった.開発成功率が低い原因としては,適切な精神疾患動物モデルがないために,中枢疾患の病理や病態が十分に解明されていない等の本質的なことが考えられるが,薬物の脳移行性の絶対的な低さも起因していると考えられる.脳には血液脳関門(blood-brain barrier:BBB)と血液脳脊髄液関門があることにより,循環血液と脳内の物質の輸送が厳密に制御されており,一般的な投与ルートである静脈内投与からBBBを透過できるバイオ医薬の物質量は極めて限られている.したがって,これを克服する革新的DDS技術の開発が急務とされている.
    水溶性低分子薬の脳移行性を高める方法としては,脂溶性を高めるプロドラッグ化,tight junction modulatorやP糖タンパク質等の排出トランスポーター阻害剤との併用投与,また受容体介在性トランスサイトーシスなどを利用した創薬が行われてきたが,バイオ医薬脳内移行性の改善にこれらの方法を適用することは難しい.一方,鼻腔内には,投与された物質が血液を経由せずに脳脊髄液(cerebrospinal fluid:CSF)あるいは脳に直接移行するルートがあることが古くから知られていた.そして近年,その実際の経路である鼻腔内の嗅上皮から嗅球にいたる嗅覚経路を脳への薬物輸送経路として積極的に利用する基礎および臨床研究が進展しつつある.現在,我々も生体膜透過性modulatorである細胞膜透過ペプチド(cell-penetrating peptides:CPPs)を用いて,鼻腔経路からのバイオ医薬の効率的脳内移行を図る脳内デリバリー法の構築を目指して研究を進めている.
    本稿では,このNose-to-Brain Deliveryにおける最近の研究動向について,我々の知見を含めて紹介する.
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最前線
話題
  • 髙橋 和展
    52 巻 (2016) 11 号 p. 1048-1050
    公開日: 2016/11/01
    ジャーナル フリー
    ナノキャリアでは,ナノミセル化技術を用い,薬剤をリプロファイリングする研究開発を行っている.これまで,既存の抗がん剤に技術応用したパクリタキセル内包ミセル,エピルビシン内包ミセル,シスプラチン内包ミセルやダハプラチン内包ミセルを完成させ臨床開発に取り組んでいる.筆者は,以前には能動標的型リポソームの開発に携わっていた経験もあり,この場を借りてリポソームやミセルのDDS研究開発に関する話題を提供したい.
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話題
  • 薗田 啓之
    52 巻 (2016) 11 号 p. 1051-1053
    公開日: 2016/11/01
    ジャーナル フリー
    脳は生物にとって最も重要な臓器の一つである.その機能を健全に保つため,脳血管には血液脳関門(blood-brain barrier: BBB)が存在し,脳内への物質輸送を制限している.この機構のおかげで脳はその機能を維持できているわけだが,ひとたび脳疾患を患い薬物治療が必要になると,このBBBの存在が大きな障壁となる.つまり,脳の恒常性を維持するBBBによって必要な薬物までもが脳内への輸送をブロックされるのである.脂溶性低分子化合物の中には高い脳移行性を示すものもあるが,ペプチド・タンパク質等の親水性高分子はほとんど移行性を示さない.しかしながら,ペプチドやタンパク質であっても脳に必要な物質についてはBBBに存在する特別な輸送システムを介して能動的に輸送されることが分かっている.例えばインスリンやトランスフェリン等はBBBの実体である脳血管内皮細胞上の受容体を介して血液中から脳内へと輸送される.このような生体が元来持っている輸送システムを利用した脳内薬物送達技術の開発が世界中で行われている.本稿では,J-Brain Cargo®(JCRファーマ)を含む各種BBB通過技術について紹介する.
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話題
FYI(用語解説)
  • 高倉 喜信
    52 巻 (2016) 11 号 p. 1058_1
    公開日: 2016/11/01
    ジャーナル フリー
    腫瘍組織の毛細血管は,腫瘍の増殖に伴う血管新生により形成されるため分岐が多く血管壁も不完全であるために,透過性が亢進している.したがって,血中滞留性の高い高分子や微粒子はこれらの腫瘍組織において血管外へと漏出しやすい.さらに,腫瘍組織はリンパ系が未発達あるいは欠如しているため,漏出した物質がリンパ管を介して消失しにくく蓄積しやすい.この現象をEPR効果(enhanced permeability and retention effect)と呼び,抗がん剤のパッシブターゲティングの基本原理となっている.
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  • 高倉 喜信
    52 巻 (2016) 11 号 p. 1058_2
    公開日: 2016/11/01
    ジャーナル フリー
    薬物に生体内標的部位に指向する性質を与え,選択的な薬物送達を実現する試みをターゲティングという.生体の異物処理機構や解剖学的・生理学的特性など生体が自然な状態で備えている機能を受身に利用するパッシブターゲティングと,より積極的に特別の工夫をすることにより標的指向化を図るアクティブターゲティングとに分類される.がん治療における前者の例としては,EPR効果を利用したPEG修飾リポソームや高分子ミセルを利用したアプローチがあり,後者の例としては,モノクローナル抗体に抗がん剤や毒素を結合させた抗体-薬物複合体(antibody-drug conjugate:ADC)がある.
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  • 高倉 喜信
    52 巻 (2016) 11 号 p. 1058_3
    公開日: 2016/11/01
    ジャーナル フリー
    高分子ミセルは,両親媒性を有する高分子の集合体である.用いられる高分子は親水性の高い鎖と疎水性の高い鎖とを連結したブロック共重合体であり,疎水性部分を核として100個程度の高分子が会合することで粒子径10~100nm程度の粒子が形成され,これを高分子ミセルと呼ぶ.内部の疎水性部分に脂溶性薬物を封入するキャリアとして利用されることが多い.代表的な高分子としては,親水性部分にはPEGが,疎水性部分にはポリアミノ酸誘導体などが用いられる.現在,パクリタキセル,シスプラチン,ドキソルビシンなどの抗がん剤のキャリアとして開発が進められており,臨床治験中の薬剤も複数存在する.
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  • 高倉 喜信
    52 巻 (2016) 11 号 p. 1058_4
    公開日: 2016/11/01
    ジャーナル フリー
    カチオン性リポソームとプラスミドDNAとを混合し,静電的相互作用に基づいて形成させた複合体をリポプレックスと呼ぶ.リポプレックスは数百ナノメーター程度の大きさを持つナノ粒子であるが,電荷比が正になるように調製されるため,負に帯電した細胞膜に結合した後,吸着性エンドサイトーシスにより細胞内に取り込まれ,遺伝子の発現が起こる.siRNAやアンチセンスODNに対しても同様の手法が応用可能である.リポプレックスの表面をリガンドや抗体で修飾すればアクティブターゲティングへの応用も可能である.カチオン性ポリマーを用いた複合体はポリプレックス,カチオン性リポソームとポリマーを併用した複合体はリポポリプレックスと呼ぶ
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  • 秋田 英万
    52 巻 (2016) 11 号 p. 1059_1
    公開日: 2016/11/01
    ジャーナル フリー
    グリベラ(Glybera®:ユニキュア)は,2012年にEuropean Medicines Agency(EMA)より認可された,先進国初の遺伝子治療薬である.アデノ随伴ウイルス(adeno associate virus:AAV)を用いた遺伝子導入技術を基盤としている.本薬は,リポ蛋白質リパーゼ欠損症(lipoprotein lipase deficiency:LPLD)を抱え,再発性急性膵炎を発症する患者を対象としている.極めて希少な遺伝性疾患が対象となっているものであり,多くの患者が恩恵をうけるものではないが,永年停滞してきた遺伝子治療の重要性を再認識させる歴史的な快挙である.
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  • 武田(森下) 真莉子
    52 巻 (2016) 11 号 p. 1059_2
    公開日: 2016/11/01
    ジャーナル フリー
    1988年にHIV-1ウイルス由来のTransactivator of transcription(Tat)proteinが細胞膜を通過し,細胞質内に移行することが報告されて以来,同様の作用を有するペプチドが複数見いだされ,細胞膜透過ペプチド(CPPs)と総称されている.CPPsはタンパク質など目的物質に結合させることにより,それらを効率的に細胞内に移行させることが可能で,現在では細胞内送達ベクターあるいは吸収促進ツールとしても汎用されている.代表的なCPPsとしてアルギニンなどのカチオン性のアミノ酸に富むペプチドやカチオン性および疎水性アミノ酸を含む両親媒性のペプチドが知られている.
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  • 髙橋 和展
    52 巻 (2016) 11 号 p. 1059_3
    公開日: 2016/11/01
    ジャーナル フリー
    Chemistry,Manufacturing and Controlの各頭文字を取った略語であり,Chemistryは化学,Manufacturingは製造,そしてControlはそれらの管理を意味する.医薬品製造の承認を申請する際には非臨床試験から臨床試験さらに市販後に向けて,評価される製造物を定義づけることが求められる.そのために必要な情報およびそれに関連する領域の総称である.医薬品は微量で効果を示すことから,分解物や製造ロット間のバラつきが有効性や安全性に対する評価に影響を与える可能性がある.このため,製造物の処方や規格およびそれらの評価方法や設定根拠,包材を含めた原材料の管理,原料や製造物の製造プロセスを検討し,製造物の品質評価を統合して行う概念である.
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  • 近藤 啓
    52 巻 (2016) 11 号 p. 1059_4
    公開日: 2016/11/01
    ジャーナル フリー
    持続吸収型経口徐放システムであるOCAS®は,一回の経口投与で長時間に亘り薬効を発現させる経口徐放製剤を開発するための製剤技術の1つである.服用後に消化管を移動しながら徐々に薬物を溶出・吸収させる徐放製剤では,水分の少ない消化管下部で薬物を溶出させることが難しくなるが,OCAS®は水分の多い消化管上部で錠剤の内部まで吸水し,ゲルを形成させておくことにより,水の少ない下部消化管での薬物溶出を可能とする.主薬,ゲルを形成する基剤およびゲル化を促進する基剤を基本組成とし,消化管の広い範囲において持続的な薬物溶出を可能としたハイドロゲルを形成するマトリックス型のシングルユニット錠剤として設計される.
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承認薬インフォメーション
  • 新薬紹介委員会
    52 巻 (2016) 11 号 p. 1060-1063
    公開日: 2016/11/01
    ジャーナル フリー
    本稿では既に「承認薬の一覧」に掲載された新有効成分含有医薬品など新規性の高い医薬品について,各販売会社から提供していただいた情報を一般名,市販製剤名,販売会社名,有効成分または本質および化学構造,効能・効果を一覧として掲載しています.
    今回は,52巻10号「承認薬の一覧」に掲載した当該医薬品について,表解しています.
    なお,「新薬のプロフィル」欄においても詳解しますので,そちらも併せてご参照下さい.
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新薬のプロフィル
家庭薬物語
薬学を糧に輝く!薬学出身者の仕事
  • 西 真弓
    52 巻 (2016) 11 号 p. 1068-1069
    公開日: 2016/11/01
    ジャーナル フリー
    私は薬学部卒業後,大学院には進まず,薬学部時代に不完全燃焼であった経験への反省と,もう一度学問にチャレンジしてみたいという思いから,医学部に再入学した.したがって,原稿の依頼を受けた時,「薬学を糧に輝く!薬学出身者の仕事」のコラムの執筆者としてはふさわしくないと思ったのであるが,多様な生き方があることを紹介したい,また内容は余り堅苦しくないものにしたい,との趣旨を聞き,お引き受けすることにした.薬学部出身の私が医師へ転身し,さらに医学部で研究をすることになった経緯についてご紹介させていただく.
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くすりの博物館をゆく
トピックス
  • 山本 浩司
    52 巻 (2016) 11 号 p. 1072
    公開日: 2016/11/01
    ジャーナル フリー
    ビアリール化合物の軸不斉は,生物活性への影響や,光学活性な反応場の提供の面から注目を集めている.しかし,その重要性にもかかわらず,軸不斉制御の一般法は確立されていない.今回Xuらは,キラルリン酸触媒を用いた直接アリール化反応による2, 2’-ジヒドロキシ-1, 1’-ビアリール類の位置およびアトロプ選択的合成法を開発したので,本稿で紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Wang J. Z. et al., J. Am. Chem. Soc., 138, 5202-5205 (2016).
    2) Gao H. et al., Angew. Chem. Int. Ed., 55, 566-571 (2016).
    3) Chen Y. H. et al., J. Am. Chem. Soc., 137, 15062-15065 (2015).
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  • 小暮 紀行
    52 巻 (2016) 11 号 p. 1073
    公開日: 2016/11/01
    ジャーナル フリー
    立方体構造を持つ炭素化合物キュバンは,そのひずみから合成は不可能と言われていたが,1964年にEatonらにより達成され,のちに最長の対角線の長さがベンゼンの直径とほぼ変わらないことから,生物学的等価体に成り得ると提唱された.今年,この仮説を検証する論文が報告されたので紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Eaton P. E., Core Jr. T. W., J. Am. Chem. Soc., 86, 3157-3158 (1964).
    2) Eaton P. E., Angew. Chem. Int. Ed., 107, 1421-1436 (1992).
    3) Chalmers B. A. et al., Angew. Chem. Int. Ed., 55, 3580-3585 (2016).
    4) Falkiner M. J. et al., Org. Process Res. Dev., 17, 1503-1509 (2013).
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  • 米山 達朗
    52 巻 (2016) 11 号 p. 1074
    公開日: 2016/11/01
    ジャーナル フリー
    日本には「ミョウガを食べすぎるとボケる」という言い伝えがある.そのような言い伝えのためかミョウガには鈍根草という別名も存在し,狂言の曲名にも用いられている.ミョウガZingibermiogaはショウガ科ショウガ属の多年草であり,古くに中国より渡来し,野生化したと考えられている.我が国においてミョウガの花蕾は,夏の風物詩として長きにわたり食されている.今回Kimらは,韓国済州島産ミョウガ花蕾の熱水抽出物の神経成長因子(NGF)を介した記憶力改善作用について報告したので紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Kim H. G. et al., Phytother. Res., 30, 208-213 (2016).
    2) Salehi A. et al, J. Neural Transm., 111, 323-345 (2004).
    3) Kim H. G. et al., Curr. Pharm. Des., 18, 57-75 (2012).
    4) Felipe C. F. B. et al., J. Med. Plants, Res., 2, 163-170 (2008).
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  • 東野 晴輝
    52 巻 (2016) 11 号 p. 1075
    公開日: 2016/11/01
    ジャーナル フリー
    近年の医薬品開発における候補化合物は,治療ターゲットである酵素や受容体への親和性が優先されており,官能基など複雑な構造を有していることから,水への溶解度が極めて低い性質(難溶解性)を示すものが増加している.このような難溶解性化合物は,一般的な錠剤として経口投与しても消化管内で十分に溶解しないため,薬効を示す血中濃度が得られず,開発中止となるケースがある.通常,難溶解性化合物には,製剤学的手法により溶解度や溶解速度の改善が試みられる.特に,溶解度を改善する手法として,過飽和溶解を示す固体分散体,塩結晶,共結晶,脂質分散製剤(lipid-based formulation:LBF)等の製剤化技術が利用されている.
    LBFは,脂質や界面活性剤で構成され,そこに薬物を溶解させた製剤である.LBFが水系溶媒に添加されると,薬物は油滴および水中(free)間の平衡状態で存在する.しかしながら,経口投与後のLBFの消化管内での詳細な薬物放出挙動と吸収改善メカニズムについて検証された報告は少ない.本稿では,LBFによる過飽和溶解の発生メカニズムやその吸収改善効果について,invivoにおける過飽和現象を検証したCrumらの論文を紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Crum M. F. et al., Pharm. Res., 33, 970-982 (2016).
    2) Williams H. D. et al., Pharm. Res., 30, 2976-2992 (2013).
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  • 中山 祐二
    52 巻 (2016) 11 号 p. 1076
    公開日: 2016/11/01
    ジャーナル フリー
    高齢化社会が進むに伴い,今後直面していく課題は,加齢関連性疾患や慢性疾患の増加と,それに対する治療法の開発である.これらの症状は「高齢化」そのものがリスクファクターであり,種々の組織に蓄積する老化細胞が何らかの役割を担っていると予想されるが,老化研究において,細胞レベルの老化(senescence)と個体の老化(aging)の機能的な関係性は明確になっていない.Senescenceは,不可逆的な細胞増殖の停止と定義され,抗がん作用を持つ現象として位置づけられている.しかし近年,老化細胞が様々な炎症性サイトカインを分泌するsenescence-associated secretory phenotype(SASP)と呼ばれる現象が見つかり,老化細胞によって局所的に組織構造や機能が破壊され,抗がんとは逆の,がん化亢進の温床が形成されると考えられるようになった.今回Bakerらは,agingにおける組織内のsenescenceの役割を調べるために,老化細胞を選択的に除去する独自の実験系を使い,老化細胞の除去が加齢関連性疾患の軽減,がん発生の遅延をもたらし,健康寿命を延伸すると報告している.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Pérez-Mancera P. A. et al., Nat. Rev. Cancer, 14, 547-558 (2014).
    2) Baker D. J. et al., Nature, 530, 184-189 (2016).
    3) Baker D. J. et al., Nature, 479, 232-236 (2011).
    4) Childs B. G. et al., Nat. Med., 21, 1424-1435 (2015).
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  • 千葉 義彦
    52 巻 (2016) 11 号 p. 1077
    公開日: 2016/11/01
    ジャーナル フリー
    肺はガス交換を行う重要な臓器である.吸気はいくつにも分岐した気管支を通って,最終的に肺胞に到達する.この時,空気中の種々の物質に曝されることになるが,それを感知・応答するメカニズムの大部分は不明である.肺神経内分泌細胞(pulmonary neuroendocrine cells:PNECs)は,気管支上皮細胞全体の1%未満しか存在しない“rare”な細胞である.PNECsはおもに気管支分岐点にクラスターとして存在し,in vitroにおいて酸素濃度変化を感知してCGRP等の神経ペプチドやセロトニンを分泌することが知られている.種々の閉塞性呼吸器疾患でPNEC増加が報告されているが,発症との因果関係は不明である.本稿では,PNECsのin vivoにおける生理的機能を解明したBranchfieldらの報告を紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Branchfield K. et al., Science, 351, 707-710 (2016).
    2) Kantarci S., Donahoe P. K., Am. J. Med. Genet. C. Semin. Med. Genet., 145C, 217-226 (2007).
    3) Noguchi M. et al., Cell Rep., 13, 2679-2686 (2015).
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  • 中西 勝宏
    52 巻 (2016) 11 号 p. 1078
    公開日: 2016/11/01
    ジャーナル フリー
    大腸上皮は外粘液層と内粘液層の2層から成る粘液層に覆われており,内粘液層をほぼ無菌状態に保つことで上皮と細菌の接触を制限し,病原細菌の侵入や腸内細菌に対する過剰な免疫応答を防いでいる.大腸上皮と細菌の接触を防ぐ機構には,内粘液層の密な構造による物理的な阻害が知られるのみで,小腸におけるディフェンシンやregenerating islet-derived 3γ(RegIIIγ)のように菌に作用する物質はこれまで知られていなかった.今回Okumuraらによって,大腸上皮と細菌の接触を阻害する新たな分子としてLy6/PLAUR domain containing 8(Lypd8)タンパク質が同定されたので紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Johansson M. E. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 105, 15064-15069 (2008).
    2) Okumura R. et al., Nature, 532, 117-121 (2016).
    3) Johansson M. E. et al., Gut, 63, 281-291 (2014).
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  • 曽田 翠
    52 巻 (2016) 11 号 p. 1079
    公開日: 2016/11/01
    ジャーナル フリー
    術後悪心嘔吐(postoperative nausea and vomiting:PONV)は,術後患者の30~50%が経験する頻度の高い愁訴であり,離床や経口摂取開始の遅延を引き起こし,術後の回復を妨げる.PONVは,結果的に予後の悪化や入院期間の延長を招き,患者のQOLを低下させるとともに医療経済学的な損失をもたらす.したがって,PONVの発症を予防することは医学的・医療経済学的側面から極めて重要である.これまでにPONVの予測因子として,女性,PONVあるいは動揺病の既往歴,非喫煙者,年齢,手術時間,術後のオピオイド使用などが報告されている.これらの予測因子のうち,女性,非喫煙者,PONV既往歴,術後のオピオイド使用をPONV発症の4大リスク因子として単純化したスコアがPONV発症のリスク評価に用いられており,リスク因子の保有数が増えるとPONVの発症頻度は高くなる.また,制吐薬やデキサメタゾンの使用はPONVの発症頻度を低下させるものの,PONVの発症には個人差があり,その発症メカニズムや有効な予防策は未だ解明されていない.
    抗けいれん薬ガバペンチンは神経因性疼痛に有用であることがよく知られているが,術後疼痛に対する非オピオイド性鎮痛補助薬としてガバペンチンの術前投与が注目されている.さらにガバペンチンは,がん化学療法により誘発される悪心の軽減にも効果があると報告されている.そこで本稿では,ガバペンチンの術前投与がPONVに与える効果を評価したメタアナリシスについて紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Apfel C. C. et al., Br. J. Anaesth., 109, 742-753 (2012).
    2) Choi J. B. et al., Yonsei Med. J., 55, 1430-1435 (2014).
    3) Cruz F. M. et al., Supprot Care Cancer., 20, 601-606 (2012).
    4) Grant M. C. et al., Anesth. Analg., 122, 976-985 (2016).
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追悼
  • 前田 初男
    52 巻 (2016) 11 号 p. 1080
    公開日: 2016/11/01
    ジャーナル フリー
    枡井雅一郎先生の訃報に接し,教え子の一人として痛惜の念にたえません.
    枡井先生は昭和29年から35年間の長きにわたって大阪大学薬学部における教学の発展に尽力され,昭和40年から主宰された物理分析学講座では,いち早く電気化学的手法を取り入れた薬学研究を展開されました.その研究では,アミン,ナイトロン,ヒドロキシアミン,ニトロソアミンなどの含窒素化合物や,ホスフィン,ホスファイトなどの有機リン化合物を対象とし,電気化学分析法や有機電解合成反応の開発,電子移行反応の機構解明などに取り組まれました.枡井先生が確立された重金属触媒を用いない様々な有機電解合成反応は,近年注目されているグリーン・ケミストリーそのものです.
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