ファルマシア
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53 巻 , 1 号
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目次
  • 53 巻 (2017) 1 号 p. 2-3
    公開日: 2017/01/01
    ジャーナル フリー
    特集:躍進するがん免疫療法
    特集にあたって:がん免疫療法は,外科手術,化学療法,放射線療法に続く第4のがん治療として期待され,近年の腫瘍関連抗原の同定や免疫機能の解明に伴い,治療の表舞台に躍進してきた.最近では,免疫チェックポイント分子CTLA-4,PD-1に対する抗体が臨床試験で画期的な効果を示し,国内でも発売に至っている.また,がんワクチン療法,T細胞養子免疫療法の臨床試験が精力的に進められているほか,他の抗がん剤との複合免疫療法やDDSにより治療効果を高めるための取り組みもなされている.本特集号では,こうした多様ながん免疫療法の最前線に加えて,今後重要性が増してくる臨床現場での効果予測診断法や薬剤師の役割についても紹介する.
    表紙の説明:表紙の写真は,富士山頂にかかる太陽の光がダイヤのように輝く「ダイヤモンド富士」である.ダイヤモンド富士の名所で知られる山中湖では,正月の前後2か月間にわたり,この優美な姿を拝むことができる.抗PD-1抗体をはじめとした日本の免疫学の基礎研究成果が,がん免疫療法の躍進をもたらし,がんの実医療に大きく貢献する様子をダイヤモンド富士の光と重ねてみた.
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オピニオン
  • 大野 忠夫
    53 巻 (2017) 1 号 p. 1
    公開日: 2017/01/01
    ジャーナル フリー
    2016年7月1日,筆者は知り合いの医師から「オプジーボは,処方医師に専門医資格を求められるなど,未だ使用にハードルが高い薬であるため,自由診療であっても,あるいは自由診療だからこそ,今回の適用外使用は見合わせよう,ということになりました.」というメールを受け取った.直前の6月4日にシカゴで開催された米国臨床腫瘍学会(American Society of Clinical Oncology:ASCO)では(ASCOの間はがんにかかるな,という冗談があるほど,全米のがん治療医が参加する主要学会),オプジーボのような抗体医薬によるがん免疫療法は,もはや臨床現場でも選択肢の1つとして当たり前の治療法になっており,既に話題のピークを過ぎていた.本抗体の劇的な効果がもともとは国内(京都大学)で発見されたにもかかわらず,がん治療の臨床現場レベルになると,我が国は遅れをとってしまっている.既に,「抗PD-1抗体(ペムブロリズマブ)がPD-L1高発現の進行性非小細胞肺がん患者に対するファーストライン治療として,無増悪生存期間および全生存期間において化学療法に対する優越性を示す」(2016年6月28日,https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/release/16/06/28/02114/)という現実が目の前に来ているのだが・・・.
    日本でもまもなく,「ファーストラインでがん免疫療法を行う」という意味を,医師は患者に説明しなければならなくなるであろう.しかし周知のように,がん免疫療法は手術・放射線・抗がん剤に継ぐ第4の治療法と期待されながら,実際には大学病院も含めて国内のごく普通の臨床現場では,未だに「まだ分からない治療法」なのである.
    すなわち,国内で承認済みの免疫チェックポイント阻害剤にとどまらず,身体に広く影響が及ぶがん免疫療法の真の意義については,我が国ではごく一部の専門医を除けば,臨床現場におけるほとんどのがん治療医がまだ理解していないのである.まして,医師の処方せんをチェックする薬剤師ではどうかと言えば,(少なくとも本稿執筆時点では)全員素人だと言われても仕方がない状況なのではないか.
    がん化学療法とがん免疫療法の関係で言えば,「まず抗がん剤治療ありき」から,「最初からがん免疫療法を実施する(これまでの抗がん剤治療に先んじて)」へ,優先順位が逆転するという,いまや常識のコペルニクス的大転換の時代に入っているのである.また,我が国では高齢化に伴ってがん患者は増える一方であり,既に年間37万人ものがん死者がいる.だからこそ,猛烈なスピードで進化しつつあるがん治療法(特にがん免疫療法)について,ファルマシアの読者にはぜひ勉強してもらいたいと願っている.
    少しでも勉強すれば,誰でもがん治療の臨床現場で最先端の知識を身につけられるのである.時代に置いてけぼりにされるより,はるかに面白いのではなかろうか.
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Editor's Eye
セミナー
  • 河上 裕
    53 巻 (2017) 1 号 p. 11-14
    公開日: 2017/01/01
    ジャーナル フリー
    がんは長年にわたる進展過程で免疫から逃避して増殖し、臨床で見つかるがんでは、多様な免疫細胞や分子が関与して、がんの増殖・生存・浸潤に促進的かつ免疫抑制的ながん微小環境が構築されている。がん免疫病態は、がん種ごと、同じがんでもサブセットごと、また症例ごとに異なり、免疫状態の個人差は、遺伝子異常によるがん細胞の性質、患者の免疫体質、喫煙や腸内細菌などの環境因子に規定される。効果的ながん治療のためには、患者ごとに適切な免疫制御が重要となるが、そのためには、ヒトがん免疫病態のさらなる解明と制御法の開発が期待される。
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最前線
最前線
最前線
  • 東 みゆき
    53 巻 (2017) 1 号 p. 25-29
    公開日: 2017/01/01
    ジャーナル フリー
    T細胞の抗原特異的応答の調節に関わる共刺激には、正と負のシグナル分子が存在し、反応の場と時間経過という可変因子を加えて時空間的に巧妙なT細胞応答調節がされている。特に、免疫チェックポイント阻害薬と呼ばれる負の共刺激分子 PD-1および CTLA-4を標的とした阻害抗体は、がん免疫療法をがん治療の第4の柱として加えつつあり、がん治療戦略にパラダイムシフトを起こしている。本稿では、共刺激分子研究の基礎から免疫チェックポイント阻害薬の臨床応用までを概説する。
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最前線
  • 池田 裕明
    53 巻 (2017) 1 号 p. 30-34
    公開日: 2017/01/01
    ジャーナル フリー
    近年,免疫チェックポイント阻害療法はセンセーショナルな成功をおさめつつあるが決して万能ではない.現在の抗PD-1/PD-L1抗体や抗CTLA-4抗体による治療の有効率は殆どのがん種で10-30%程度であり,今後は免疫チェックポイント阻害療法抵抗性がんの治療法の開発が喫緊の課題である.
    がん特異的なT細胞の体内誘導がうまく起こっていないがん患者では,免疫チェックポイント阻害療法が効かない可能性が高い.したがって,がん特異的なT細胞を体外で人為的に大量に作製して患者に輸注する遺伝子改変T細胞の輸注療法は,免疫チェックポイント阻害療法抵抗性のがんに有効である可能性が高い.
    本稿では遺伝子改変T細胞療法開発の現状を概観し,今後の課題と進むべき方向性について考察する.
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最前線
セミナー
  • 宇都口 直樹
    53 巻 (2017) 1 号 p. 40-44
    公開日: 2017/01/01
    ジャーナル フリー
    がん治療の三本柱は外科療法,放射線療法,化学療法であるが,近年,新たな一本として,がん免疫療法が期待されている.がん免疫療法の実用化,最適化に対して,ドラッグデリバリーシステム(DDS)の技術が応用されている.例えば,DDSで培われた標的指向性の技術は目的とする細胞への抗原送達に,徐放性の技術はアジュバント開発に応用されるなど,がん免疫療法への寄与は大きい.がん免疫療法におけるDDSの果たす役割について紹介する.
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最前線
  • 岩堀 幸太, 和田 尚
    53 巻 (2017) 1 号 p. 45-48
    公開日: 2017/01/01
    ジャーナル フリー
    がんに対する治療法として、免疫チェックポイント阻害剤の有効性が臨床試験で近年明らかになるとともに実地臨床においても適応が拡大中であり、がん免疫療法は非常に注目されている手段となってきている。一方で、その奏功率は例えば非小細胞肺がんに対する抗PD-1抗体療法は20%前後と十分ではなく、従来の殺細胞性抗がん剤や分子標的治療薬とは異なる副作用も報告され、さらにはその高額な薬剤費が社会的な問題ともなっている。基礎研究、臨床研究、さらには医療経済の観点からも、免疫チェックポイント阻害剤に限らずがん免疫療法全般において、奏功する患者群を明らかにするための効果予測診断法、バイオマーカーの同定が切望されている。
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話題
承認薬の一覧
  • 新薬紹介委員会
    53 巻 (2017) 1 号 p. 52-53
    公開日: 2017/01/01
    ジャーナル フリー
    本稿では厚生労働省が新たに承認した新有効成分含有など新規性の高い医薬品について,資料として掲載します.表1は,当該医薬品について販売名,申請会社名,薬効分類を一覧としました.
    本稿は,厚生労働省医薬安全局審査管理課より各都道府県薬務主管課あてに通知される“新医薬品として承認された医薬品について”等を基に作成しています.今回は,平成28年9月28日付分の情報より引用掲載しています.また,次号以降の「承認薬インフォメーション」欄で一般名,有効成分または本質および化学構造,効能・効果などを表示するとともに,「新薬のプロフィル」欄において詳しく解説しますので,そちらも併せて参照して下さい.
    なお,当該医薬品に関する詳細な情報は,医薬品医療機器総合機構のホームページ→「医療用医薬品」→「医療用医薬品 情報検索」(http://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuSearch/)より検索できます.
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家庭薬物語
  • 鈴木 信之
    53 巻 (2017) 1 号 p. 54-55
    公開日: 2017/01/01
    ジャーナル フリー
    効能効果:胃もたれ,食欲不振,消化不良,消化不良による胃部・腹部膨満感,食べ過ぎ,胸つかえ,消化促進,整腸(便通を整える),軟便,便秘,腹部膨満感,滋養強壮,虚弱体質,肉体疲労・病中病後・胃腸障害・栄養障害・発熱性消耗性疾患・産前産後などの場合の栄養補給
    成分分量:27錠(成人1日量)中,アスペルギルス・オリゼーNK菌(消化酵素産生菌)培養末「小麦を含む」3375.0mg,乳酸菌培養末「小麦を含む」675.0mg,乾燥酵母(ビール酵母)2490.1mg,チアミン硝化物(ビタミンB1)3.4mg,リボフラビン(ビタミンB2)2.0mg,ニコチン酸アミド2.0mg
    用法用量:次の分量を食後に服用してください.成人(15歳以上)9錠,11歳以上15歳未満6錠,8歳以上11歳未満5錠,5歳以上8歳未満3錠,5歳未満服用しないこと.
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薬学を糧に輝く!薬学出身者の仕事
くすりの博物館をゆく
トピックス
  • 繁田 尭
    53 巻 (2017) 1 号 p. 60
    公開日: 2017/01/01
    ジャーナル フリー
    C–H活性化は,通常反応性の低いC–H結合を切断して新たな結合を構築する,直接的かつ強力な合成手法で,多くの研究者の関心を集める領域である.本稿ではDaviesらにより報告された脂肪族化合物へのサイト・立体選択的C–H挿入反応を紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Liao K. et al., Nature, 533, 230-234 (2016).
    2) Guptill D. M., Davies H. M. L., J. Am. Chem. Soc., 136, 9792-9796 (2014).
    3) Fu L. et al., Org. Lett., 16, 3036-3039 (2014).
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  • 川口 充康
    53 巻 (2017) 1 号 p. 61
    公開日: 2017/01/01
    ジャーナル フリー
    エピジェネティクスはDNA塩基配列の変化を伴わず,ヒストンのアセチル化やDNAのメチル化などの化学修飾により遺伝子発現が調節される現象であり,細胞増殖や体内時計制御などの生理的・病理的に重要な機能に関連している.その制御を担う酵素の1つにヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)がある.これまでに多くの小分子HDAC阻害剤が開発され,それを用いることでエピゲノム制御に関する研究が大きく進展してきた.しかし,小分子を用いたエピゲノム制御の最大の欠点として,時空間分解能の低さが挙げられる.
    近年,オプトジェネティクス(光遺伝学)に代表される,光を利用した遺伝子の発現制御に関する技術開発が盛んになされている.光を利用する最大の利点は,高い時空間分解能にある.ある特定の時間,場所において遺伝子の発現を変化させることで,極めて詳細な遺伝子の機能解析が実現できる.本稿では,光制御によって前述の欠点を克服した新規小分子HDAC阻害剤を合成・開発し,遺伝子改変していない細胞において高い時空間分解能でエピゲノム制御を実現できることを示した,Reisらの報告について紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Tischer D., Weiner O. D., Nat. Rev. Mol. Cell Biol., 15, 551-558 (2014).
    2) Reis S. A. et al., Nat. Chem. Biol., 12, 317-323 (2016).
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  • 長友 暁史
    53 巻 (2017) 1 号 p. 62
    公開日: 2017/01/01
    ジャーナル フリー
    アトピー性皮膚炎,アレルギー性鼻炎および喘息などのアレルギー性炎症や免疫応答の際にみられる白血球やリンパ球の組織への遊走・浸潤は,ケモカインと呼ばれるサイトカインの一群により制御されている.ケモカインとその受容体の相互作用を阻害することは,アレルギー性疾患をはじめとした異常免疫応答に有効な治療効果が期待できることから,創薬ターゲットとして注目されている.最近,和漢薬ライブラリーを用いた網羅的探索により,マオウ(麻黄,Ephedra herb)がCCケモカイン受容体(CCR)3,CCR4およびCCR8に対するトリプルアンタゴニスト活性を有することが報告されたので紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Matsuo K. et al., Front. Cell Dev. Biol., online 7 Jun. 2016, doi : 10.3389/fcell.2016.00054.
    2) Zlotnik A., Yoshie O., Immunity, 36, 705-716 (2012).
    3) Ma C. H. et al., Chin. J. Nat. Med., 12, 361-366 (2014).
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  • 東海林 敦
    53 巻 (2017) 1 号 p. 63
    公開日: 2017/01/01
    ジャーナル フリー
    表面プラズモン共鳴(SPR)センサーは,タンパク質,DNA,RNAなどの生体高分子間の相互作用を解析するツールとして利用されている.また,イムノアッセイとしてSPRセンサーを利用する報告例も多い.この場合,酵素や蛍光色素で標識された2次抗体を用いずに,アナライトを添加するのみの簡便な手順で計測できる利点がある.しかしながら,SPRセンサーでは物理現象である共鳴角の変化をシグナルとして観測するため,装置自体を高感度化するにはノイズを低減させることしかできず,限界がある.そのため,SPRセンサーをイムノアッセイやバイオセンサーに応用する場合,計測法の高感度化にはアナライトのシグナル増幅システムをセンサー界面で化学的にデザインすることが要求され,ナノ粒子やリポソーム等が,このシステムをデザインする上で注目されてきた.本稿では,ホールセルと金ナノ粒子を用いた新しいシグナル増幅システムにより,ロイシンをSPRで計測する分析方法を紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Gao Y. et al., Biosens. Bioelectron., 81, 207-213 (2016).
    2) Woo M. A. et al., Anal. Chem., 88, 2871-2876 (2016).
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  • 市村 敦彦
    53 巻 (2017) 1 号 p. 64
    公開日: 2017/01/01
    ジャーナル フリー
    ほ乳類の心筋が再生能力を有するのは新生児期の限られた期間だけである.そのため,成体期に心筋梗塞などで損傷を受けた場合,心筋細胞はそれを修復するために十分な自己複製を行えず,心筋の機能低下や心不全が誘導される.新生児期における心筋再生能力を成体期に再度活性化させることは,心筋機能の維持や回復に効果的であることから,この心臓修復を促進する分子機構を理解することは重要である.従来,臓器や器官の大きさの制御を担うHippo経路が心筋再生に重要であり,Hippo経路欠損マウス(心筋細胞特異的Salv欠損マウス)においては,成熟個体でも心筋再生が発生期と同様に起こることが報告されていた.しかし,心筋再生の制御因子や分子機構の全容は依然として不明であった.本稿では,Hippo経路欠損心再生マウスモデルを用いて,心筋再生の鍵分子を同定したTaoらの研究成果を紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Porrello E. R. et al., Science, 331, 1078-1080 (2011).
    2) Heallen T. et al., Development, 140, 4683-4690 (2013).
    3) Tao G. et al., Nature, 534, 119-123 (2016).
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  • 原田 慎一
    53 巻 (2017) 1 号 p. 65
    公開日: 2017/01/01
    ジャーナル フリー
    視床下部は摂食行動を司るとともに,生体内のエネルギー代謝をコントロールする中枢神経系として知られている.そして,それを担う因子の1つとして,レプチンがよく知られている.レプチンは,1994年にアメリカのフリードマンらによって同定され,脂肪細胞によって作り出され,強力な飽食シグナルを伝達し,交感神経活動亢進によるエネルギー消費増大をもたらし,摂食行動の抑制,肥満の抑制や体重増加の制御の役割を担っているタンパク質である.
    その一方で,視床下部においてレプチンが検知される仕組みは不明のままであった.本稿では,レプチンセンシングの過程と体重増加に関与する部位や因子を同定するために,正中隆起および第4のグリア細胞と呼ばれているNG2-グリア細胞の関与を発見したDjogoらの報告を紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Djogo T. et al., Cell Metab., 23, 797-810 (2016).
    2) Levin B. E. et al., Int. Rev. Neurobiol., 51, 219-258 (2002).
    3) Wilson C. L. et al., Cancer, 121, 2262-2270 (2015).
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  • 本多 了
    53 巻 (2017) 1 号 p. 66
    公開日: 2017/01/01
    ジャーナル フリー
    ヒト・動物が抗生物質を摂取することで出現した薬剤耐性は,大気や水を通じて環境中に排出され自然界に伝搬していく.例えば,都市下水や病院廃水が環境中への薬剤耐性菌の排出源となっていることが多く報告されている.一方で,A. Flemingが青カビからペニシリンを発見したように,自然界にも抗生物質を産生する微生物が存在し,それに対する耐性を野生の微生物が自然淘汰の中で獲得することもある.これら環境中の薬剤耐性菌は,何らかの経路を通じてヒトに曝露され健康を害する脅威と成り得る.多種多様な薬剤耐性のうち,どのような薬剤に対するどのような耐性機構が,自然界に伝搬し優占しやすいかを知ることは,薬剤耐性菌の蔓延を防止するために重要と言える.
    最近,FitzpatrickとWalshは,ショットガンメタゲノム配列データの解析ツールであるMG-RASTに登録されているメタゲノム解析データから,薬剤耐性データベース(ARDB)に登録されている薬剤耐性遺伝子の配列データを照合・抽出し,自然界の多種の試料における薬剤耐性遺伝子の多様性を明らかにしたので紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Fitzpatrick D., Walsh F., FEMS Microbiol. Ecol., 92, fiv168 (2016).
    2) Martinez J. L. et al., Nat. Rev. Microbiol., 13, 116-123 (2015).
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  • 佐古 兼一
    53 巻 (2017) 1 号 p. 67
    公開日: 2017/01/01
    ジャーナル フリー
    近年,母集団解析の適用が増加し,その解析結果の添付文書やインタビューフォームへの記載が顕著に増加している.厚生労働省医薬・生活衛生局審査管理課では2015年12月に「母集団薬物動態・薬力学解析ガイドライン(案)」のパブリックコメントを募集しており,2017年には最終化される予定である.実臨床の投与設計では少数点採血に起因する情報不足をモデルとベイズ推定でカバーしているが,事前情報の正確性が予測精度に影響することは論を待たない.
    しかし,臨床適用の可能性を検証するための外部バリデーションによる母集団薬物動態モデルの評価に関する報告は,世界的にモデル構築より圧倒的に少ないことが問題として指摘されている.成人患者を対象とした新規薬剤に関する報告は散見されるが,古いながらも処方頻度の高い薬剤や,小児や超高齢者といった特殊集団に関する報告は皆無である.今回,小児患者におけるトブラマイシン母集団モデルの評価に関する研究が報告されたので紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Marsot A. et al., Clin. Pharmacokinet., 51, 1-13 (2012).
    2) Taghizadeh-Ghehi M. et al., J. Res. Pharm. Pract., 4, 129-134 (2015).
    3) Deng C. et al., J. Clin. Pharm. Ther., 38, 480-489 (2013).
    4) Bloomfield C. et al., Antimicrob. Agents. Chemother., 60, 3407-3414 (2016).
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