ファルマシア
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59 巻, 6 号
選択された号の論文の47件中1~47を表示しています
目次
オピニオン
Editor's Eye
話題
研究室から
医療の現場から
話題
話題
話題
最前線
最前線
セミナー:創薬科学賞
  • 塩﨑 真, 野路 悟, 小西 典子, 谷本 敦男, 仲 裕一
    2023 年 59 巻 6 号 p. 536-540
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/06/01
    ジャーナル 認証あり
    アトピー性皮膚炎(AD)は,国内患者数51万人以上,医療費に労働生産性の損失を加えた費用が年間3兆円と言われる慢性皮膚疾患である。本疾患は,免疫系異常,皮膚バリア機能異常,瘙痒が協奏的に働くため,三者全てに効果を示す薬剤が求められてきた。本稿では,新規AD外用薬としては国内20年ぶり,また外用JAK阻害薬として世界初となるdelgocitinib軟膏(コレクチム®)の創製ヒストリーについて紹介する。
セミナー:創薬科学賞
承認薬の一覧
  • 新薬紹介委員会
    2023 年 59 巻 6 号 p. 547
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/06/01
    ジャーナル 認証あり
    本稿では厚生労働省が新たに承認した新有効成分含有など新規性の高い医薬品について,資料として掲載します.表1は,当該医薬品について販売名,申請会社名,薬効分類を一覧としました.
    本稿は,厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課より各都道府県薬務主管課あてに通知される“新医薬品として承認された医薬品について”等を基に作成しています.今回は,令和5年3月27日付分の情報より引用掲載しています.また,次号以降の「承認薬インフォメーション」欄で一般名,有効成分または本質および化学構造,効能・効果などを表示するとともに,「新薬のプロフィル」欄において詳しく解説しますので,そちらも併せて参照して下さい.
    なお,当該医薬品に関する詳細な情報は,医薬品医療機器総合機構のホームページ→「医療用医薬品」→「医療用医薬品 情報検索」(https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuSearch/)より検索できます.
最終講義
留学体験記 世界の薬学現場から
アメリカ薬学教育の現場から
  • 藤原 亮一, ジェンキンス ローリン
    2023 年 59 巻 6 号 p. 552-553
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/06/01
    ジャーナル 認証あり
    日本の薬学教育は、特に6年制になってからはアメリカのものと似たものであると認識していた。しかし、2019年に異動しアメリカの薬学教育に直接携わるようになってからというもの、筆者は日米間での薬学教育の違いを目の当たりにする日々が続いている。そこで本コラムでは、アメリカ薬学部にて教鞭をとる立場から、アメリカの薬学教育、日本での薬学教育との違い、またそれぞれの特色について筆者が感じ取ったことをシリーズで伝える。アメリカでは、10か月間 (4週間 x 10か所の合計1600時間) に及ぶAdvanced Pharmacy Practice Experiences (APPE)と呼ばれる実務実習が、カリキュラムに組まれている。APPEは病院実習や薬局実習などの必修実習と、教育研究実習や在宅医療実習などから選べる選択実習からなる。今回のコラムでは、教育研究実習の様子を、ノースイースト医科大学薬学部の4年生 (P4) が伝える。
長井記念薬学奨励支援事業採用者からのメッセージ
長井記念薬学奨励支援事業採用者からのメッセージ
トピックス
  • 佐藤 一樹
    2023 年 59 巻 6 号 p. 556
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/06/01
    ジャーナル 認証あり
    1,1΄-グリコシド結合を有する最も有名な糖は,グルコースがα,α΄の立体化学で結合したトレハロースである.トレハロースは高い保湿効果から,食品添加物や化粧品等に活用されており,トレハロース類縁体の合成により様々な機能性分子の創製に繋がることが期待される.しかし,非対称構造を有するトレハロース誘導体の化学合成は,グリコシル化で生じうる立体異性体が4種類となるため困難であった.特に2位に水酸基を有さない2-デオキシ糖誘導体は,立体選択性を発現させる足掛かりがないため,合成難易度が極めて高い.JeanneretらはAuCl3を触媒として,2-デオキシ糖を含む非対称トレハロース誘導体を,α,α΄の立体化学で合成可能な手法を開発した.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Jeanneret R. et al., Org. Lett., 24, 6304–6309(2022).
  • 今泉 智禎
    2023 年 59 巻 6 号 p. 557
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/06/01
    ジャーナル 認証あり
    GTP加水分解酵素の1つであるKRASに特定のアミノ酸残基で変異が生じると,GDPが結合した不活性型からGTPが結合した活性型が優位になる.その結果,下流のシグナル伝達経路が恒常的に活性化され,細胞のがん化が引き起こされると考えられている.KRAS変異のうち,コドン12番目のグリシン(G)がシステイン(C)に変異したG12C変異の阻害剤に関しては,既に上市された医薬品が複数生み出されている.これらは,いずれも変異システイン残基側鎖の求核性の高さを利用すべくアクリルアミドなどのマイケルアクセプターを分子内に含んでいる.一方で,G12D,G12V,G12R,G13D,Q61Lなどの他の変異に関してはシステインのような特異な反応性を示す官能基を有していないため,選択的な阻害剤の上市は未だ成功していない.これらKRAS変異のなかで,G12R変異は膵管腺がん患者の17%に見られており,選択的な阻害剤の開発が望まれている.本稿では,KRAS G12R選択的に共有結合するα,β-ジケトアミド化合物に関する研究について紹介する.なお,この論文を発表したグループは,以前にG12C変異選択的な共有結合阻害剤についてブレークスルーとなる論文を発表している.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Zhang Z. et al., J. Am. Chem. Soc., 144, 15916–15921(2022).
    2) Ostrem J. M. et al., Nature, 503, 548–551(2013).
  • 若森 晋之介
    2023 年 59 巻 6 号 p. 558
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/06/01
    ジャーナル 認証あり
    近年,酵素工学やゲノム解析・バイオインフォマティクスが大きく進展し,学術界や産業界では,目的に応じた酵素を開発できるようになっている.酵素は高い基質特異性を示し,温和な条件下で化学・立体選択的反応を促進するため,グリーンケミストリーの観点から望ましい触媒である.その一例としてシトクロムP450が注目されており,化学合成とシトクロムP450改変体を組み合わせた複雑な天然有機化合物の全合成も報告されている.最近,アリロマイシン類のコア骨格を構築可能なP450改変体の開発がMolinaroらによって報告されたので紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Heckmann C. M., Paradisi F., ChemCatChem, 12, 6082–6102(2020).
    2) Zhang X. et al., Science, 369, 799–806(2020).
    3) Molinaro C. et al., J. Am. Chem. Soc., 144, 14838–14845(2022).
  • 長友 太希
    2023 年 59 巻 6 号 p. 559
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/06/01
    ジャーナル 認証あり
    統合失調症の治療では,薬物を長期間服用する必要があるため,患者の服薬アドヒアランスが重要となる.しかしながら患者の多くは,認知機能障害により服薬アドヒアランスが良好でないため,十分な治療効果が得られない.鼻腔内には脳への直接経路(Nose-to-Brain: N2B)が存在するため,鼻腔内で持続的に薬物を放出する経鼻投与製剤の開発は,薬物を持続的に中枢へ送達できることから,患者の服薬アドヒアランスを改善し得ると考えられる.本稿では,治療薬の持続的な中枢への送達を目的とする新規経鼻投与製剤として鼻腔内留置型デバイスの開発について紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Acosta F. J. et al., Schizophr. Res., 146, 196–200(2013).
    2) Utomo E. et al., Int. J. Pharm., 624, 122061(2022).
    3) Goel H. et al., J. Control. Release, 341, 782–811(2022).
  • 坂下 陽彦
    2023 年 59 巻 6 号 p. 560
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/06/01
    ジャーナル 認証あり
    ヒトを含むほ乳動物の個体発生は,終末分化した卵子と精子の受精によって誕生する,ただ1つの受精卵から開始される.受精卵は受精直後,ゲノム広範囲なエピゲノム変化と胚性遺伝子の発現惹起を介し,胎盤組織を含む全ての細胞系譜に分化可能な「全能性」を獲得する.その後,受精卵は自身の発生プログラムに従い,細胞分裂に伴う分化と周辺環境との相互作用による自己組織化を繰り返し,250種類以上の細胞組織から成る「個体」を形成することができる.この個体発生制御の複雑で緻密な制御ネットワークの完全な理解には,受精から出生までの細胞系譜の動的変化を生きたまま顕微鏡下で観察・同定することが理想的であるが,ほ乳動物胚は胚盤胞まで発生した後,子宮という特別な環境下で発生を進めるため,着床期ならびに着床後の胚を直接観察することは極めて困難である.この解決策として,近年,子宮に包まれた個体発生をin vitroで再構成する試みが多くなされており,本稿ではAmadeiらの革新的な方法について紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Amadei G. et al., Nature, 610, 143–153(2022).
    2) Niakan K. K. et al., Nat. Proc., 6, 1028–1041(2013).
    3) Sahu S., Sharan S., iScience, 9, 101485(2020).
  • 亀井 竣輔
    2023 年 59 巻 6 号 p. 561
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/06/01
    ジャーナル 認証あり
    生体の主要臓器である心臓および肝臓の機能不全は致死的であり,世界の死因の上位を占めると同時に,両臓器の疾患や不全が併発することはよく知られている.多臓器連関は生体ホメオスタシス維持に必須であり,肝臓-心臓間のクロストークも例外ではなく,心不全などの心疾患発症や増悪を肝機能障害が強く促進するという臨床報告もなされた.一方で,様々な臨床知見を証明する基礎的なエビデンスは不明であり,肝臓-心臓間でどのような臓器連関メカニズムが存在するかは不明であった.Caoらはこの臓器連関に注目し,肝臓由来の血液凝固第XI因子が心不全保護的にはたらくことを明らかにした.本稿では,その詳細について紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Salah H. M. et al., JACC Basic Transl. Sci., 918-932(2021).
    2) Mantovani A. et al., J. Am. Coll. Cardiol., 180-191(2022).
    3) Cao Y. et al., Science, 377, 1399-1406(2022).
    4) Piccini J. P. et al., Lancet, 399, 1383-1390(2022).
    5) Kotecha D. et al., J. Am. Coll. Cardiol., 2217-2228(2016).
  • 逢坂 文那
    2023 年 59 巻 6 号 p. 562
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/06/01
    ジャーナル 認証あり
    炎症性腸疾患(IBD)は,消化管の慢性的な炎症性疾患である.病因はいまだに明らかになっていないが,遺伝や欧米型の食生活,腸内細菌叢の異常などに起因する免疫異常により発症すると考えられている.根本的な治療法は確立されていないが,がんをはじめとする様々な疾患で注目されている細胞外小胞(EV)を用いた治療の適用が期待されている.しかしながら,IBDにおいて宿主由来および腸内細菌叢由来のEVがどのような役割を果たすのか,ほとんど知られていなかった.EVは様々な細胞が放出する膜小胞で,核酸やタンパク質などを積荷として放出細胞から取込み細胞に輸送されて機能する細胞間コミュニケーションツールの1つである.腸管では,腸上皮細胞や免疫細胞から放出されたEVが腸管の恒常性維持に寄与することが示されてきた.一方,腸内細菌も膜小胞(BMV)を放出し,それが宿主と腸内細菌との相互作用を媒介することも知られるようになった.本稿では,大腸炎モデルマウスにおいてEV中のmicroRNA(miRNA)およびBMVが病態形成に果たす役割を明らかにした,最近の研究を紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) van Niel G. et al., Gastroenterology, 121, 337-349(2001).
    2) Jiang L. et al., Nat. Commun., 7, 13045(2016).
    3) Chu H. et al., Science, 352, 1116-1120(2016).
    4) Shen Q. et al., Gut Microbes, 14, 2128604(2022).
    5) Liu S. et al., Cell Host Microbe, 19, 32-43(2016).
  • 岡田 直人
    2023 年 59 巻 6 号 p. 563
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/06/01
    ジャーナル 認証あり
    新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は未曾有のパンデミックを引き起こした.新型コロナウイルスは流行の過程で高度に多様化した結果,様々な変異株が出現した.オミクロン株は,2021年以降のパンデミックの主たる原因変異株である.オミクロン株は,従来株やデルタ株よりもヒト集団での増殖速度が高い一方,病原性が低い可能性が示唆されている.しかし実臨床では,オミクロン株感染後に重症化する患者は一定数存在するが,そのような患者の特徴や感染株の種類が予後に与える影響はこれまで解明されていない.本稿では,オミクロン株感染後に重症化したCOVID-19患者の特徴を明らかにすることを目的とした前向きコホート研究を紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Suzuki R. et al., Nature, 603, 700-705(2022).
    2) de Prost N. et al., Nat. Commun., 13, 6025(2022).
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