1,1΄-グリコシド結合を有する最も有名な糖は,グルコースがα,α΄の立体化学で結合したトレハロースである.トレハロースは高い保湿効果から,食品添加物や化粧品等に活用されており,トレハロース類縁体の合成により様々な機能性分子の創製に繋がることが期待される.しかし,非対称構造を有するトレハロース誘導体の化学合成は,グリコシル化で生じうる立体異性体が4種類となるため困難であった.特に2位に水酸基を有さない2-デオキシ糖誘導体は,立体選択性を発現させる足掛かりがないため,合成難易度が極めて高い.JeanneretらはAuCl
3を触媒として,2-デオキシ糖を含む非対称トレハロース誘導体を,α,α΄の立体化学で合成可能な手法を開発した.
なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
1) Jeanneret R.
et al.,
Org. Lett.,
24, 6304–6309(2022).
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