表紙の説明:金岡邸は,1981年に金岡家が富山県に寄付したことから,翌年300年の歴史を持つ富山売薬業に関する資料を中心に薬業全般にわたる資料館として開館した.ここでは金岡家が歴代薬種商時代の資本をもとに,富山県の経済界に力強い足跡と業績を残してきたことがうかがえる.
2024年4月1日に、最新の3GeV高輝度放射光施設NanoTerasu(ナノテラス)の運用が開始された。ドーナツ型の屋根をもつこの放射光施設は、太陽の10億倍の明るさを持つ軟X線を生みだし、様々な先端計測(分析、イメージング等)に利用される。建設資金の一部を拠出した大企業、中小企業、そして学術機関の有志連合(コアリション)に対する専有利用を4月9日より先行開始した。物質や生体中の軽元素(生命の必須元素)の可視化に強みを発揮し、タンパク質構造解析や薬物動態から、医療機器材料開発まで、製薬、ライフサイエンス分野における研究開発の加速と深化に革新をもたらす施設として期待されている。
日本薬学会第144年会は2024年3月28日〜3月31日の4日間にわたり、パシフィコ横浜会議センター・展示ホールを会場に開催された。薬学研究に携わる多くの研究者や医療人、教育者が集い、最新の研究成果を発表するとともに、薬学教育のあり方を議論する大変有意義な機会となった。今回のキーワード「融合」は、会期中のあらゆる場面で具現化されていた。今回の「融合」が、関係各位の未来につながることを期待する。
漢方薬による副作用の新たなリスク因子,老化に伴う代謝機能障害を持続的に予防するCAR-T療法,大麻の急性摂取は思春期の安静時脳機能ネットワークを低下させる,セプチン制御は新規アルツハイマー型認知症治療ターゲットとなる!?,日本人糖尿病患者における主要死因の変遷,併用薬に関する薬事上の取扱いの変更について
薬学教育モデル・コア・カリキュラム(コアカリ)は日本薬学会および文部科学省により策定され,これに準拠した6年制薬学教育が2006年に開始された.その後,2013年,2022年の改訂を経て,今回令和4年度改訂版がまとめられた.そこでは,医師/歯科医師/薬剤師にほぼ共通して求められる基本的な資質・能力が生涯にわたって求められる資質・能力として掲げられた.「情報・科学技術を活かす能力」や「プロフェッショナリズム」などの他,薬学独自の項目として「薬物治療の実践的能力」が明記され,今年の4月より適用された.今回は,コアカリ改訂に深く関わった先生方に集まっていただき,効果的な実施に向けての提案,6年制薬学教育の課題と今後の展望を伺った.
NanoTerasuは東北大学の青葉山キャンパス内に設立された3 GeV高輝度放射光施設であり、2024年から運用を開始した。筆者らは現在、NanoTerasuにおいてタンパク質結晶構造解析用の実験ステーションの整備に取り組んでいる。本稿では、NanoTerasuの概要から医学・薬学分野で期待される様々な実験手法について紹介する。
「発がん性が疑われているN-ニトロソジメチルアミン(N-Nitrosodimethylamine=NDMA)が降圧剤バルサルタン原薬(薬の有効成分)に混入 )」との2018年の報道に端を発した回収事例が他の薬剤にも急拡大している.すべての医薬品製造販売業者に対して,2019年には欧州で,2020年には米国で,2021年10月には日本で,混入リスクを評価して適切な低減策を講じるための通達及びガイダンスが相次いで発出されたことは記憶に新しい.表題のニトロソアミン類とは,例えばニトロソニウムイオン(NO+)とアミン類(RR’NHなど)とが結合した化合物群を指しており,現在はNDMAのようなニトロソアミン不純物の混入に留まらず,原薬を構成するアミン部分が直にニトロソ化されたNDSRIs(Nitrosamine drug substance related impurities,例えばRR’N-NOなど)が全世界の製薬業界を揺るがしている.
アミンは薬剤の構成成分として汎用されるため,これまで私たちが服用してきた身近な薬剤にも,発がん性が疑われるニトロソアミン類混入のリスクが忍び寄っている.リスク回避策は2つ,「混入ありきの許容摂取量(閾値)の設定」 and/or 「ニトロソアミン類生成の根絶」 である.
管理および試験法,ガイドラインに関しては,厚労省から既にいくつかの報告が示されているが,「許容摂取量(閾値)の設定」については,薬剤毎の「服用期間を考慮した発がん性の可能性”」についての議論を待たねばならず,一朝一夕には結論を下せない状況にある.よってここでは,「ニトロソアミン類生成の根絶」にフォーカスを絞り,弊社で発生したメトホルミン製剤中のNDMA混入とその原因解明についての事例研究を交えながら,現段階でどのような対策を講じることができるかについての私見を述べたい.本稿がニトロソアミン類の生成・混入を根絶する一助となり,安心・安全な医薬品の安定供給につながれば幸いである.
アルツハイマー病の発症原因と考えられているアミロイドβ (Aβ)は、アミロイド前駆体タンパク質(APP)がβ-セクレターゼ、γ-セクレターゼによる連続切断を受けて産生される。最近我々は、APPに結合してβ-セクレターゼによる切断を阻害することでAβの産生を抑制するとともに、Aβの凝集を強力に抑制する能力を兼ね備えた4価型ペプチドを同定した。本稿では、本ペプチドの同定のために開発した新規技術と、本ペプチドの作用機構の詳細について紹介する。
炭化水素鎖上に多数のカルボニル基を持つポリケトンは,様々な分子構造や機能を創出するための重要な化合物となっている.本稿では,筆者らがこれまでに行ってきたアセチルアセトン誘導体をモノマーとする単分散ポリケトンの合成と変換反応,機能性有機分子への展開,そして最近の医療応用について紹介する.
ドコサヘキサエン酸(DHA)は、正常な脳機能の維持や脳発達に必須なω3-多価不飽和脂肪酸である。脳における様々なDHAの摂取効果が明らかにされているが、実験動物(マウスやラット)において、成獣ではDHA摂取により脳内DHAは変化せず、DHA代謝物であるDHAジオール体が増加する。また、DHAジオール体は、母マウスのDHA摂取により胎仔の脳内でも顕著に増加し、神経保護作用を発揮している。本稿では、このような脳に存在して生理活性を示すDHA代謝物について紹介する。
視覚に障害があるとquality of visionが低下し,その結果quality of lifeも大きく低下する.筆者の研究室では,視覚障害の原因疾患の上位を占める緑内障や網膜色素変性などの網膜変性疾患により引き起こされる網膜神経細胞死を防ぎ,健やかな視機能,すなわちquality of visionを維持することを目指して,薬理学的な研究を行っている.本稿では,筆者の研究室で行っている主な研究について,簡単に紹介したい.
臨床研究開発学部門は医療機関内に2021年9月に設置された部門で、臨床研究が実践できる薬剤師の養成を目指している。私は薬学部卒業後、Medical Representatives(MR)の経験を経て医学部再受験を決意し、医師と薬剤師両方の免許を取得した。同部門での研究は小児、高齢者、精神疾患患者などの患者のニーズに応えることを目指しており、学際的なアプローチで社会還元を追求している。
2019年5月から約10ヶ月間、米国マサチューセッツ州Massachusetts General Hospitalの荒井健先生,Eng H. Lo先生のもとで研究に従事した。修士課程1年という研究者として未熟すぎるタイミングでの研究留学に至るまでの経緯や、留学により得られたこと、留学を通して感じたことについて記する。
薬系大学において博士課程、博士課程(後期)に進学する学生は少ない。博士課程に進学すると、その研究能力を生かした研究者に将来なるものと考えられる。一方で、私は大学院では専門としてこなかった「有機化学」を教える教員となり、現在に至っている。このきっかけとなった出来事や、新しい専門を得たことに対する喜びについてお伝えしたい。
四年制博士課程に進学すると決めて最初に書いた申請書が、長井記念薬学研究奨励支援事業である。学部生時代に研究のプロポーザルを誰かに見てもらう機会はほとんどなかったため、長井記念薬学研究奨励支援事業で得た経験や反省点は、その後の申請書作成において大きな財産になった。大学院に進学すると申請書を書く機会が増えていくので、進学する前に長井記念薬学研究奨励支援事業を通して、申請書作成の経験を積まれることをお勧めしたい。
Thiamine diphosphate(ThDP)はピルビン酸代謝に関する酵素の補因子であり,ラジカル反応に有用なN-ヘテロ環カルベン(NHC)触媒は本分子の生物模倣体であることが知られている.一方,ThDP依存性酵素のラジカル不斉反応への応用に関する報告例はほとんどない.今回Xuらは,ThDP依存性酵素と光化学反応を組み合わせることでラジカル不斉アシル化反応を達成した.
なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
1) Liu K. et al., ACS Catal., 12, 11984-11999(2022).
2) Xu Y. et al., Nature, 625, 74-78(2024).
ヒドロキシルアミン構造は,生体内で薬物代謝酵素による代謝活性化を受けて変異原性や遺伝毒性を惹起するニトロソ化合物へと変換されることから,創薬においては一般的に忌避構造と定義されている.そのため,低分子創薬での合成例が極めて少なく,創薬研究において積極的に活用されることは稀である.一方で,N, N, O-三置換ヒドロキシルアミンは上述したような代謝活性化を受けないことから,生体内で比較的安定であり,少置換ヒドロキシルアミンに比べて毒性懸念が低いことがDhanjuらによって報告されている.加えて,三級アミンよりも塩基性が低いなど,他の官能基とは異なる物性プロファイルを示すことから,N, N, O-三置換ヒドロキシルアミンの創薬応用への可能性が模索されている.本稿では,N, N, O-三置換ヒドロキシルアミンを活用した構造変換により,ボスチニブの主活性を損なうことなくオフターゲット毒性リスクの低減に成功した例を紹介する.
なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
1) Dhanju S. et al., J. Am. Chem. Soc., 142, 9147-9151(2020).
2) Hill J. et al., ACS. Med. Chem. Lett., 14, 1869-1875(2023).
3) Hill J. et al., J. Med. Chem., 66, 15477-15492(2023).
血のように赤い種子を多数内包するザクロの果実は古来より長命・不死・復活の象徴であったが,実際に抗老化物質を含有することが明らかになりつつある.特にザクロポリフェノールが腸内細菌によって代謝され生じるウロリチンA(Urolithin A: UA)による筋力低下抑制作用がヒト臨床試験で,認知機能低下抑制作用がマウスモデルで示されている.その作用機序はUAがミトコンドリア選択的オートファジーを促進し不良ミトコンドリアを除去することで,細胞質への活性酸素種の漏出抑制を介した抗酸化能を発揮するものである.本稿では,老化に伴いミトコンドリアが異常蓄積する造血幹細胞(hematopoietic stem cells: HSCs)におけるUAの抗老化効果を確認したGirotraらの研究を解説する.
なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
1) Viuda-Martos M. et al., Compr. Rev. Food Sci. Food Saf., 9, 635-654(2010).
2) Andreux P. et al., Nat. Metab., 1, 595-603(2019).
3) Singh A. et al., Cell Rep. Med., 3, 100633(2022).
4) Girotra M. et al., Nat. Aging, 3, 1057-1066(2023).
近年,細胞集団や組織内の不均一性を考慮して,単一細胞レベルでの解析を行う一細胞分析が隆盛しており,様々な分析技術の開発が進んでいる.細胞内代謝物を対象とするメタボローム解析では,多種の化合物を一斉に同定・定量可能な質量分析(MS)が汎用されている.また,キャピラリー電気泳動や液体クロマトグラフィー(LC)といった分離プロセスを組み込んだ分析法についても超微量成分の検出に適した手法が開発され,単一細胞レベルでの測定が実現しつつある.本稿では,単一細胞内脂質の網羅的解析(一細胞リピドミクス)を可能とするLC―MS法を開発したSaundersらの研究を紹介する.
なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
1) Lanekoff I. et al., Curr. Opin. Biotechnol., 75, 102693(2022).
2) Saunders K. D. G. et al., Anal. Chem., 95, 14727-14735(2023).
3) Lewis H. M. et al., Analyst, 148, 1041-1049(2023).
4) Kaoutari A. E. et al., EBioMedicine, 66, 103332(2021).
肺や肝臓,腎臓など多くの臓器で発生する線維化は,がんを含む種々の加齢性疾患の原因となり得るが,その詳細なメカニズムは分かっていない.一方,鉄の蓄積は線維性疾患と関連付けられており,例えば,鉄代謝異常疾患であるヘモクロマトーシス患者は,線維性疾患を発症しやすい.また,線維化組織には老化細胞が多く存在しており,老化細胞による細胞老化随伴分泌現象(SASP)の亢進は,線維化の促進につながる.本稿では,組織への鉄の蓄積が線維化および細胞老化を促すことを明らかにしたMausらの論文を紹介する.
なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
1) Ali M. K. et al., J. Pathol., 251, 49-62(2020).
2) Schafer M. J. et al., Nat. Commun., 8, 14532(2017).
3) Maus M. et al., Nat. Metab., 5, 2111-2130(2023).
4) Trojanowska M., Nat. Rev. Rheumatol., 6, 453-460(2010).
現在,医療用漢方薬は148処方あり,そのなかには同様の症状に対して適応を有する漢方薬が複数存在する.臨床家は,患者症状の背景となる体質や体力等の情報を統合した「証」に基づいて,複数の候補漢方薬のなかから処方する漢方薬を選択している.これは,西洋医学と異なる漢方医学の特徴である「同病異治」という考え方に基づく.とは,精神不安に対して処方される漢方薬であり,加味逍遙散は体質虚弱な婦人で肩がこり,疲れやすく,精神不安などの精神神経症状,ときに便秘傾向がある人,加味帰脾湯は虚弱体質で血色の悪い人がそれぞれの「証」となっている.しかし,「証」の違いに基づく精神安定作用のメカニズムの差異は不明である.本稿では,加味逍遙散と加味帰脾湯の精神安定作用に着目し,それぞれの作用メカニズムの違いを明らかにした研究成果を紹介する.
なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
1) Tomita K. et al., Heliyon., 9, e22784(2023).
2) Yoshimura A. et al., Obstet. Gynecol. Int., 2018, 9475919(2018).
現在,産後うつ病は世界的に問題となっており,Hahn-Holbrookらによる56か国を対象とした調査では,その有病率は17.7%であると報告されている.産後のうつ症状には,栄養面からの予防や介入の重要性が示唆されているが,十分には検証されていない.特に,魚油に多く含まれるω-3脂肪酸であるドコサヘキサエン酸(docosahexaenoic acid: DHA)やエイコサペンタエン酸(eicosapentaenoic acid: EPA)の摂取と産後のうつ症状との関連は多くの研究から示唆されているが,その有効性は限定的である.そこで,Haraumaらは同じω-3脂肪酸の1つであるα-リノレン酸(α-linolenic acid: ALA)に着目し,研究を進めている.ALAは,えごま油等に含まれる必須脂肪酸であり,食事からの摂取が重要である.Haraumaらは,このえごま油に含まれるALAについて,妊娠中の摂取が産後の不安定な精神状態を安定させる可能性,および母親の赤血球の総脂肪酸に占めるALAの割合が産後の精神的安定性と関連することを示したので,本稿で紹介する.
なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
1) Hahn-Holbrook J. et al., Front. Psychiatry, 8, 248(2018).
2) Gould J. F. et al., J. Affect. Disord., 224, 2-9(2017).
3) Harauma A. et al., Nutrients, 15, 4388(2023).
4) Venna V. R. et al., Psychoneuroendocrinology, 34, 199-211(2009).
5) Gao X. et al., J. Affect. Disord., 200, 25-30(2016).
我が国の認知症患者は2012年で462万人であったが,2025年には約700万人に達し,65歳以上の5人に1人が認知症を発症すると予想されている.そのため,医療・介護体制の充実に加え,革新的な予防・診断・治療法等の開発が喫緊の課題である.
認知症の発症要因の1つとして,低密度リポタンパクコレステロール(low density lipoprotein cholesterol: LDL-C)および高密度リポタンパクコレステロール(high density lipoprotein cholesterol: HDL-C)等の脂質の関与が示唆されている.しかし,LDL-C値が高値ほど認知症発症リスクは増大するという報告がある一方で,HDL-C値やLDL-C値,総コレステロール値と認知症発症に関連性はないとする報告もあり,統一した見解が得られていない.これは交絡因子の評価が影響していると考えられる.また,これまでコレステロ―ル値と認知症間の関係性をモデル化し,交絡因子の1つであるスタチン系薬剤の使用を組み込んで評価した研究も少ない.前述を踏まえ本稿では,LDL-CおよびHDL-Cと認知症発症リスクとの関連について調査した大規模観察研究に関する論文を紹介する.
なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
1) 厚生労働省,認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)(2015).
2) Peters R. et al., Dement. Geriatr. Cogn. Diord., 50, 318-325(2021).
3) Iwagami M. et al., Lancet Healthy Longev., 2, e498-e506(2021).
4) Ferguson E. L. et al., Neurology, 101, e2172-e2184(2023).
本会名誉会員・元会頭 南原利夫先生が2024年4月20日満97歳でご逝去されました. 先生は,1926年姫路市にお生まれになり,東京大学医学部薬学科を卒業後,同薬学科助手,北海道大学医学部薬学科講師・助教授,東京大学医学部薬学科助教授を経て,1966年東北大学医学部薬学科薬品分析化学講座教授に就任されました.この間,米国スロンケッテリング癌研究所へ留学され,臨床と基礎研究との融合を目の当たりにされ,大きな感銘を受けるとともに,臨床との接点としての分析化学の必要性を強く感じ,以後臨床分析化学という新たな研究分野の立ち上げに努力されました.40歳で東北大学に着任された直後,医学部同窓誌「艮陵新聞」に,今後の分析化学の進む方向として「非破壊分析」「超高感度分析」「微小差の弁別」と書いておられます.先生は,この先見の明,そして実践を通して,世界の臨床分析化学研究の進展に大きく貢献されました.
先生は,500報近くの原著論文をはじめ世界に先駆けた数多くの業績により,日本分析化学会学会賞,日本薬学会学術賞,FIP Lifetime Achievement in the Pharmaceutical Sciences Award を受賞され,紫綬褒章,ならびに瑞宝中綬章を受章され,2024年正四位に叙されておられます.
学会活動においては,日本薬学会会頭,日本分析化学会会長として学術研究の発展に務められ,星薬科大学理事長・学長として薬学・薬剤師教育にも大きな足跡を残されるとともに,中央薬事審議会会長として薬事行政にも貢献されました.
私は,南原研究室第一回生として半世紀以上にわたって常に温かいご指導をいただいてきました.研究だけでなく,人生の師である先生にもうお目にかかれないといいうことがいまだ信じられない思いです.
南原利夫先生のご冥福を心よりお祈りいたします.
きのこの山とたけのこの里は、どちらも根強い人気を誇るお菓子である。私は昔からたけのこ派であり、誤解を恐れずに言えば、きのこの山はいらないとさえ考えていた。しかしラボ内で勃発したきのこたけのこ戦争の際、不思議ときのこの山のおいしさを実感した。このことについて、嗜好性の観点から考察してみることとした。