ミニ特集 脳デリバリーの最前線
ミニ特集にあたって 疾患領域別に治療満足度や薬剤貢献度を調べた統計を見ると,精神・神経系疾患については,未だ低いものが多い.その原因の一端として,薬物が血液脳関門を突破して,薬効標的が存在する脳内に十分な量が到達できないといった問題が挙げられる.本ミニ特集では,「脳デリバリーの最前線」と称して,これまでにない斬新な戦略で薬物を脳内へ効率よく送り届ける最先端の研究を展開する先生方にご執筆いただいた.一部のものは既にヒト臨床研究にまで到達しており,近い将来,精神・神経系疾患の薬物治療の飛躍的な進歩を支える基幹技術の1つとなることが期待される.
表紙の説明 61巻偶数号の表紙を飾るのは,ピクトグラムである.様々な分野で活躍するファルマシア読者の姿をイメージしてデザインした.ご自身の姿と重なるピクトグラムは見つかるだろうか.見つからないという方は,ご自身の姿を表現するピクトグラムを思い浮かべてほしい.表紙のイメージよりも多くの分野の方々にファルマシアが届くことを願っている.
帝京大学薬学部発・初のベンチャー、ウェルセラの創業者として、立ち上げから現在までの経験を述べてみた。自主開発したマイクロバブルを用いた治療法の実用化を目指して起業し、現在、非臨床試験直前の段階にある。自身の経営者としての未熟さを身にしみて感じているが、起業して経験したことを述べてみたい。「為せば成る」で熱意をもって奮闘している次第である。ベンチャーを考えている薬学研究者の一助になればと思う。
光の力でチアゾールをイソチアゾールに組み替える,“Charge relocation”による新しいテトラヒドロフラン(THF)環構築法,小腸管腔内の栄養素の情報は,どのように感知されるのか?,PROTACの細胞内取り込みを促進する新手法,ベンゾジアゼピン系睡眠薬を減らすのは難しい,臨床インシデント分析手法ロンドン・プロトコルの改訂
統合失調症の治療薬の多くは、陽性症状には効果がある一方、陰性症状や認知機能障害への効果は限定的である。血管作動性腸管ペプチド受容体2 (VIPR2)は、臨床ならびに非臨床研究から統合失調症の有望な創薬標的として考えられ、我々はこれまでにVIPR2を選択的に阻害するペプチドKS-133を見いだしてきた。本稿では、最近創製したKS-133と脳でのトランスサイトーシスによる送達が期待されるLRP1結合ペプチドKS-487を同時に搭載するナノ粒子について概説し、統合失調症の認知機能障害を回復させるための新しい皮下投与型ペプチド製剤としての可能性について紹介する。
近年、マイクロバブル (気体を脂質などで覆い安定化した微小気泡) と超音波によって、血液脳関門の透過性を亢進できることが明らかになり、新たな脳への薬物送達法として注目を集めている。そこで、本稿では、マイクロバブルを併用した脳への超音波薬物送達システムについて最新の知見を交えて紹介する。
近年、生理活性物質を体内の特定部位へ効率的に届け、標的とする機能を選択的に発揮させる「薬物送達システム(Drug Delivery System; DDS)」の研究が急速に進展している。一方で、脳への薬剤送達は依然として大きな課題であり、従来のアプローチでは十分な成果が得られていなかった。本稿では、著者らが中心となって開発を進めてきた、機能性高分子の自己組織化により形成される「ナノマシン」を用いた脳指向型DDSの取り組みについて述べる。
アミロイドβ抗体薬の登場により、近年アルツハイマー病等の認知症に対する薬物治療は大きな転換期を迎えている。今後、認知症の原因を標的とする治療薬の開発がさらに活性化されるものと予想される。その開発を成功に導くためには、血液循環から脳実質への薬物の移行を高めるだけでなく、脳内の病巣部位に薬物を特異的に集積させる技術を確立することが重要になる。本稿では、筆者が最近取り組んでいる海馬神経細胞への薬物送達戦略に関する研究を紹介する。
経鼻投与は、血液脳関門(BBB)を介さずに鼻から脳へ薬物を直接送達できるNose-to-Brain経路が存在することから、脳脊髄疾患を標的とする新たな投与ルートとして注目されている。しかし、核酸医薬を単独で経鼻投与するだけでは十分な送達効率や分布は得られにくい。そこで本稿では、筆者らが取り組んでいる、脳脊髄疾患治療を目的としたNose-to-Brain型核酸ナノDDSについて、研究成果の一部を紹介しながら概説する。
中枢神経系の神経回路は一度損傷を受けるとその機能を完全に回復させることは難しく、神経回路の修復を促す治療法もない。しかし、近年の研究で機能的に十分ではないものの自発的に神経回路が修復されることが明らかになってきた。本稿では、中枢神経損傷後の神経回路修復において中心的な役割を果たす代償性神経回路の概説とその形成メカニズムについて、神経の内因性要因と外因性要因の両側面から著者らの最新知見を概観する。
オピオイドδ受容体(DOP)作動薬は、既存薬とは異なる作用機序を有する抗うつ薬候補として注目されている。最近筆者らは、DOP作動薬によるマウスの抗うつ様作用に、内側前頭前野下辺縁皮質におけるGABA作動性介在ニューロンを介した脱抑制、および海馬におけるミクログリアの過剰活性の抑制作用が関与することを報告した。さらに、海馬新生神経の生存の調節機構を介した抗ストレス作用も明らかにしている。近年、ヒトでのDOP作動薬の効果も徐々に裏付けられつつあり、DOPを標的とする抗うつ薬開発への関心は着実に高まっている。
前介護状態として位置付けられるフレイルは転倒リスクや死亡率増加に繋がることから、フレイルの予防は高齢者の健康寿命を延ばすことに繋がる。加齢や生活習慣の他に、ポリファーマシーがフレイル進行のリスク因子として考えられており、服薬状況に応じたフレイル予防策の実践が必要となる。本稿では、フレイル対策における薬剤師の役割について考察した。
本稿では厚生労働省が新たに承認した新有効成分含有医薬品など新規性の高い医薬品について,資料として掲載します.表1は,当該医薬品について販売名,申請会社名,薬効分類を一覧としました.
本稿は,厚生労働省医薬局医薬品審査管理課より各都道府県薬務主管課あてに通知される“新医薬品として承認された医薬品について”等を基に作成しています.今回は,令和7年6月24日付分の情報より引用掲載しています.また,次号以降の「承認薬インフォメーション」欄で一般名,有効成分または本質および化学構造,効能・効果などを表示するとともに,「新薬のプロフィル」欄において詳しく解説しますので,そちらも併せて参照して下さい.
なお,当該医薬品に関する詳細な情報は,医薬品医療機器総合機構のホームページ→「医療用医薬品」→「医療用医薬品 情報検索」(https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuSearch/)より検索できます.
本稿では既に「承認薬の一覧」に掲載された新有効成分含有医薬品など新規性の高い医薬品について,各販売会社から提供していただいた情報を一般名,市販製剤名,販売会社名,有効成分または本質および化学構造,効能・効果を一覧として掲載しています.
今回は,61巻4号,7号「承認薬の一覧」に掲載した当該医薬品について,表解しています.
なお,「新薬のプロフィル」欄においても詳解しますので,そちらも併せてご参照下さい.
モスネツズマブは、抗CD20/CD3ヒト化二重特異性モノクローナル抗体である。本剤の開発の経緯、薬理作用、臨床成績と安全性について述べた。
特に再発又は難治性の造血器悪性腫瘍患者を対象に、本剤を単剤投与した海外第I/II相臨床試験(GO29781試験)ならびに日本人の再発又は難治性のB細胞性非ホジキンリンパ腫(NHL)患者を対象に、本剤を単剤投与した国内第I相臨床試験(JO40295試験)の拡大コホート(FLMOON-1試験)について記述した。
2018年7月,再発または難治性のイソクエン酸脱水素酵素1(IDH1)遺伝子変異陽性の急性骨髄性白血病(AML)の治療薬として,本剤が米国で承認された.その後,75歳以上または強力な寛解導入療法の適応とならない併存症を有する未治療のIDH1遺伝子変異陽性のAMLに対して,2019年5月に単剤療法,2022年5月にアザシチジン(AZA)との併用療法の適応が追加された.
国内では,強力な寛解導入療法の適応とならない未治療のIDH1遺伝子変異陽性のAML患者(日本人を含む)を対象に本剤とAZAとの併用療法を検討した国際共同第Ⅲ相試験[AG120-C-009試験(AGILE試験)]1)の結果に基づき,2025年3月に「IDH1遺伝子変異陽性の急性骨髄性白血病」を効能又は効果として製造販売承認を取得した.
2025年5月時点で,本剤はIDH1遺伝子変異陽性のAMLに対して,45か国で承認されている.
30年前,痛みの研究だけはしたくないと思っていた.痛みの本質的な問題である「なぜ苦しいのか,なぜ慢性化するのか,なぜこんなに行動や思考を変えてしまうのか」という問題に答えなければ痛みを研究したことにはならない.最新の研究手法を積極的に採り入れ,脳の可塑性が痛みを生むこと,それが臨床で多くみられる「痛覚変調性疼痛」と共通の機構に由来する可能性,そして,今まで記述されなかったさまざまな鎮痛薬の脳内の作用機序を示してきた.
筆者は、東北大学大学院薬学研究科医薬品開発研究センター在籍時の2021年7月から1年間、スイスのGeneva大学Nicolas Winssinger研究室に研究留学する機会をいただいた。Genevaはフランケンシュタイン博士の生まれた都市であり、留学先であるGeneva大学化学科は、化学と生物学の融合を特徴としている。本稿では、1年間のGeneva大学への留学体験記について紹介する。
本事業に申請するにあたり研究内容や展望を外部に説明する機会を得たことは、研究者としての成長につながった。採用後は、支援をいただくことに対する責任感が、成果を出していくための良い意味でのプレッシャーとなった。なにかとお金がかかる博士課程で、経済的サポートを受けられて研究活動に充てる時間を確保できたことは非常にありがたいものであった。本事業に支えられた博士課程での経験を活かし、医薬品業界の発展に貢献していきたい。
私は学部生時代に研究の魅力に触れて博士課程進学を決意したが、その選択に不安もあった。そうした中、本事業に採択されたことで、自分を支えてくれる人の存在を実感でき、学位取得への大きな励みとなった。学位取得後の現在もこの経験が自信となり、研究活動を推進する大きな原動力となっている。本事業は経済的支援にとどまらず、研究生活における精神的な支えにもなるため、進学を考えている方には積極的に挑戦することをおすすめしたい。
医薬品となる化合物には,三次元的な構造の広がりを持つsp3炭素を多く含む傾向がある.sp3炭素の構築方法の1つに合成容易な多置換ベンゼンを還元する方法があるものの,Birch還元を代表とするベンゼン環の還元は厳しい反応条件のものが多く,基質一般性にも課題が残る.今回Deviらは,有機光触媒を用いた温和な条件下でのベンゼン環の還元反応により,より安定でsp3炭素の多いシクロヘキセン環を合成する新規手法を開発したので,本稿にて紹介する.
なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
1) Lovering F. et al., J. Med. Chem., 52, 6752-6756(2009).
2) Devi K. et al., J. Am. Chem. Soc., 146, 34304-34310(2024).
近年,AlphaFold2やRoseTTAFoldなどのAI構造予測技術が急速に発展している.この進展により,従来の実験手法では解析が困難だったタンパク質の立体構造が高精度で予測可能となった.こうした技術革新は,分子標的の構造的理解にとどまらず,創薬候補となる分子そのものをゼロから設計する「構造創製型創薬」への転換を促進している.本稿では,こうした背景のもとAI技術を活用し,ヘビ毒中の致死性タンパク質に対する中和バインダーをde novoで設計することに成功したTorresらの報告を紹介する.
なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
1) Jumper J. et al., Nature, 596, 583-589(2021).
2) Baek M. et al., Science, 373, 871-876(2021).
3) Torres V. et al., Nature, 639, 225-231(2025).
ベンジルイソキノリンアルカロイドは様々な薬理活性を示す植物特化代謝産物の一群であり,ベルベリンやモルヒネのように医薬品として広く利用されている.生産植物はキンポウゲ目やコショウ目の特定の種が中心だが,異なる系統の植物に広く分布している例も知られる.例えばベルベリンは,キンポウゲ目のオウレンやメギ,ムクロジ目のキハダなどに豊富に含まれる.オウレン属では,ベルベリン生合成に関わる酵素群の多くが同定されている一方,系統的に離れたキハダ属におけるベルベリンの生産機構は不明であった.本稿では,キハダ(Phellodendron amurense)の全ゲノム解読を起点として,ベルベリン生合成における進化を明らかにしたXuらの研究について紹介する.
なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
1) Xu Z. et al., Sci. Adv., 10, eads3596(2024).
2) Winkler A. et al., J. Biol. Chem., 281, 21276-21285(2006).
3) Denoeud F. et al., Science, 345, 1181-1184(2014).
皮膚は,体内と周囲の環境を隔てる強固なバリアである一方で,医薬品有効成分(active pharmaceutical ingredient: API)の適用ルートの1つとして利用される.なかでも皮膚付属器官である毛包の深部は,皮膚の他の部位と比較してバリア能が低いと考えられており,APIの有用な浸透ルートとして注目されている.本浸透ルートでは,APIを溶解した液体は,単独では毛包内部へ浸透しづらく,十分な浸透深度を担保できない.これに対して,1µm未満のサブミクロン粒子(submicron particle: SP)は毛包の深部に浸透しやすい.このSPによる毛包深部への薬物送達の主な推進力は,マッサージのような機械的刺激であることが知られている.これはラチェット効果と呼ばれ,約600nmの最適なサイズのSPが毛幹表面のジグザグ構造に物理的にフィットし,機械的刺激による毛幹の往復運動がSPを毛包深部へ送達する仕組みである.このとき,API溶解液も毛幹表面に存在する場合,SPとともに周囲のAPI溶解液を毛包内部へ引き込む.この特徴を利用した毛包深部への薬物送達技術(粒子支援毛包ターゲティング)が見いだされている.しかしながら,APIの性質やSPの有無および形状などが毛包深部への浸透に及ぼす影響については不明な点が多かった.そこで,本稿では,API溶解液の毛包浸透性を向上させる薬物送達技術として,APIの分子量や親水性,親油性の程度,あるいはSPの形状がAPIの毛包への浸透性に及ぼす影響を調査したKleinらの報告を紹介する.
なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
1) Mohd F. et al., Pharmaceutics, 8, 32 (2016).
2) Klein A. L. et al., Int. J. Pharm., 670, 125200(2025).
胎児期の大脳において適切な量・種類のニューロンを産生することは,適切に機能する大脳を形成するうえで重要である.ヒトの大脳皮質ではグルタミン酸作動性の興奮性ニューロンが全ニューロンの大半を占めており,これらは脳室帯に存在している神経幹細胞(vRG)や外側脳室帯に存在している神経幹細胞(oRG)から直接的,あるいは中間型前駆細胞(IPC)を介して間接的に産生されている.マウスの大脳では,下層のニューロン(第5,6層)は主にvRGから直接的に産生されている一方で,上層のニューロン(第2~4層)は主にIPCを介して間接的に産生されていることが細胞系譜解析システムによって示されている.しかし,ヒトの大脳においてニューロンがどの様式で産生されているかは不明である.本稿では,ヒト大脳オルガノイドにおいて細胞系譜を追跡できるシステムを開発し,ヒトにおけるニューロン産生様式を明らかにしたBuryらの報告を紹介する.
なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
1) Huilgol D. et al., Neuron, 111, 2557-2569(2023).
2) Bury L. A. D. et al., Cell Rep., 43, 114862(2024).
刺激に対する感情価の適切な予測および評価は,皮質下神経ネットワークによって調節されている.これは脳の報酬処理や気分調節に重要である.例えば,負の感情価の過小評価は外敵に狙われやすくなるなど致命的であり,過大評価は不安や抑うつ行動につながる.腹側被蓋野(ventral tegmental nucleus: VTA)は,刺激の感情価の評価および予測における重要な脳領域として知られている.特に,VTAから側坐核のドパミン遊離は報酬をポジティブな結果をもたらす行動とリンクさせることで,意思決定や行動適応,記憶形成の促進に役割を果たしている.このVTAは,ネガティブ情報を媒介する外側手綱核(lateral habenula: LHb)によって調節されている.LHb→VTA経路の活動バランスは感情価処理や維持に不可欠であり,情報評価や予測,情動機能に重要であることが示唆される.これまでの研究で,LHbへの神経投射をはじめとする制御機構が検討されてきた.しかし,LHbへの抑制性神経投射に対する理解は,いまだに不完全である.本稿では,脳幹におけるLHb投射性の報酬関連GABA神経群を新たに同定したZichóらの報告を紹介する.
なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
1) Berridge K. C., Nat. Rev. Neurosci., 20, 225-234(2019).
2) Zichó K. et al., Science, 387, eadr2191(2025).
加工食品に広く含まれる乳化剤は,腸内環境に影響を与え,炎症性腸疾患や代謝異常のリスク因子となる可能性が指摘されている.こうした環境因子の影響は,個人の腸内細菌叢の構成により大きく異なる.近年,食事成分への反応性を個別に予測するモデル開発が進められており,腸内細菌の変化を介した疾患リスク評価が現実味を帯びてきた.本稿では,乳化剤に対する腸内細菌の個別反応性をin vitroで再現・予測可能な新たなモデルについて紹介する.
なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
1) Chassaing B. et al., Nature, 519, 92-96(2015).
2) Naimi S. et al., Microbiome, 9, 66(2021).
3) Rytter H. et al., Gut, 74, 761-774(2025).
4) Chassaing B. et al., Gastroenterology, 162, 743-756(2022).
薬物治療を行ううえで,薬物動態学を理解し活用することは必須である.しかし,若手医療従事者において薬物間相互作用や禁忌といった医薬品適正使用上重要な知識の欠如がしばしば散見され,卒業後間もない医療従事者のなかには,臨床上の課題に対して薬物動態学の基本原理を適用することを難しく感じている人もいる.そのため,将来医療現場で働く人材を育成する教育現場において学生の薬物動態学の理解度を正しく評価し,学習効果を高めることは喫緊の課題である.そこで,本稿では,現役学生が薬物動態学をどの程度理解しているのか,さらに現役学生の理解度が低い薬物動態学の基本概念は何かを特定したBabeyらの報告を紹介する.
なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
1) Brinkman. D. J. et al., Clin. Pharmacol. Therapeut., 101, 281-289(2017).
2) Babey A. M. et al., Eur. J. Pharmacol., 990, 177256(2025).
3) Guilding. C. et al., Br. J. Pharmacol., 181, 375-392(2024).
2025年5月27日から29日までの3日間,カナダ・モントリオール市内,モントリオール大学薬学部内で開催されたカナダ薬学会,放出制御学会カナダ支部,日本薬学会とのジョイントシンポジウムに参加した.筆者らは,その中で中国伝統医学 (中医学)・漢方医学・生薬学の交流による薬物療法の発展と題されたセッションで,講演させていただいた.本稿では,主にそのセッションの内容と,シンポジウム全体の概要について報告する。
長男の大学入学時、教授から「点数よりも考える力を重視してほしい」と言われ、少し不思議に感じたが、技術の進化により、大学だけでなく日常生活にもデジタル化やAIの利用が進んでいる。自身の研究所勤務時代、困難な状況でも新たな製品を生み出す力を培った。現在は新入社員の育成に携わり、研修では実社会での対応力を養うことを重視している。AIの進化に伴い、人間の創造力を育成することが重要だと感じている。